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テロ等準備罪の編集履歴

2017-07-05 18:58:11 バージョン

テロ等準備罪

てろとうじゅんびざい

テロ等準備罪は日本の法律の一部。組織的犯罪集団が犯罪を計画した時点で処罰対象となる内容。他国における「共謀罪」に相当する。

概要

 日本国法律の一部であり、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」( 略称:組織犯罪処罰法、平成11年成立、組織犯罪や犯罪収益、テロ行為に関する刑法の特別法を定めている)の一部改正である。

 この改正案は2017年6月15日に成立し、同年7月11日に施行予定である。

詳細

 この改正法案は「共謀罪」に相当する法律であるとされ、過去において小泉政権において国会に提出されるも3度に渡り廃案にされた共謀罪に表記されていた「団体」という取り締まり対象を「組織的犯罪集団」と明確にし、「犯罪の遂行を2人以上で計画した者」を処罰対象とし、その処罰にあたっては「犯罪の実行のための資金または物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件が付いている。


 ちなみに共謀罪は、世界各国の全ての国々においても当たり前に定められている法律であり、この法が成立するまで先進国で共謀罪に相当する法律が無いのは日本だけであり、外務省の調査によればOECD加盟35ヶ国において同種の法律がない国は日本だけであったとされている。


国際組織犯罪防止条約の締結

 交通の高速化、インターネット技術の急速な進歩による通信手段の広がりなどに伴って、国際化・複雑化している組織犯罪に効果的に対処するべく、各国には自国の刑事司法制度を整備して、国際社会における法の抜け穴を無くしていくことが求められ、国連は国際的な組織犯罪と戦い防止するための国際協力を推進することを目的とした国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約( 略称:国際組織犯罪防止条約、「TOC条約」、「パレルモ条約」とも。 )を、日本を含む世界147ヵ国の署名により定めた。

 日本において条約を締結するには「重大な犯罪を行うことの合意」をすることへの罰則、具体的には「犯罪的結社の設立制限」あるいは「重大犯罪の共謀時点での検挙」が行える「共謀罪( 他には「マネーロンタリング」や「司法妨害」を犯罪とすることや犯「罪収益の没収」および「犯罪人引渡し」等に関して法整備や他国との協力を行うことなども )が必要であるとされたものの、結社の制限に関しては日本国憲法に抵触する可能性が高いため「犯罪を行うことの合意を罪とする」ことを目的としてこの法律改正案が作られた。

 ちなみにこの条約は現在187ヵ国が締結しており、ほぼ全ての国が締結している

主要7ヵ国(G7)どころか先進国とされる国々の中でも締結していないのは日本だけであり、締結していない国は日本を含め僅か7ヵ国しかない。


定義・適用対象

 この法律の適用範囲として、組織犯罪処罰法を引用すると、目的は犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰すること及び犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例等について定めるとある。

 また「組織的犯罪集団」に該当する団体は、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」であり「財産上の不正な利益を得る目的で犯罪を犯したもの」がそれとされる。

 例示すれば「海外におけるマフィア等の組織、日本における暴力団」、「不法な資金収集やテロ等を行う恐れが高い組織」、「テロリストなど、を問わず思想面において国内外で非合法な活動を行う団体」などが存在する。


 日本国内では、「指定暴力団」、「テロリスト、これには極左暴力集団などがあげられるが左右を問わず思想面において活動する団体も含まれる」「朝鮮総連などの不法な資金収集やテロ等を行う恐れが高い海外組織」などが該当する。

 特に朝鮮総連に関しては、下部組織にあたる朝鮮学校阪神教育事件という大規模な犯罪暴動事件の中から生まれた組織であり、かつて多くの生徒たちが「日本人狩り」と称し、集団で日本人を襲撃して暴行・恐喝・強盗などの組織的な犯罪を常態的に行っていたことが、朝日新聞金漢一記者が朝鮮学校時代の思い出を語った自叙伝『朝鮮学校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ』(光文社)により解っている。


 ちなみに1959年に発生した新潟日赤センター爆破未遂事件や、1973年に自国要人を拉致した金大中事件などを発生させた大韓民国政府組織や深いつながりを持つ「在日本大韓民国民団」も組組織的犯罪集団に該当する可能性があるとされる(そもそも初代団長の朴烈は、皇太子時代の昭和天皇の暗殺を企て逮捕されていたテロリストである)。


 また、普通の社会宗教等の団体偽装したり、普通のそれらの集団が性質を一変させた場合も組織的犯罪になり得るという政府統一見解を示している。例を挙げると、以前は普通の会社だったが暴力団に買収されて企業舎弟化して犯罪行為に加担しているというケースや、設立当初は単なるヨガサークルに過ぎなかったオウム真理教が危険な犯罪カルト教団に変貌したケース、資金獲得のため特殊かつ強引な資金徴収を行っている宗教団体や政治結社などがあげられ、これらも法律に抵触する行為があった場合この法律で罰することもできるといわれる。

 更に、少なくない数ある労働組合の多くが、上述した中核派革マル派といった極左テロ組織に乗っ取られてその影響下におかれており、朝鮮総連や韓国民団の傘下には多くの企業団体が存在する。

それら全てが最初から犯罪目的で設立されたわけではないだろうが、現時点で上述したテロ組織の指導下に入っているならば、組織的犯罪集団の一部として厳重な監視下に置かれるべきという声もある。


問題点

 この法律に関しては複数の問題が指摘されている。

 これらの法律改正は必要であったかどうかは国会内部でも議論が分かれているが、民主党政権においてこの条約が締結されていない( ただし当時の法務大臣曰く「政権が死に体であったため官僚の同意が得られず締結に向けた作業が困難だった」と発言している )ことからもおそらく必要であったと思われる。

 与党である自由民主党はこの改正案に対し「テロ対策」を口実としているものの、実際のところは条約に対する回答であり、これは成立時期や議定書の内容、この発言(外部リンク)を見てもわかる通りアメリカ同時多発テロ以前の成立であり近年高まっている同時多発テロに対するものではなく、「マフィア等の犯罪組織の封じ込め」を目的としているため、現状では双方に対し中途半端となり有効な対処が取れていない可能性がある。

 さらに、条約の求める共謀罪という形式がそれまでの日本の法体系に適合するか、という問題も存在する。

 またこの改正法には200以上( 初期の法案では600以上の罪に対し適応される予定であった、これは条約には「重大犯罪」を「四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重大な刑を課せられる罪」と定義されていたためである )の犯罪に対し共謀を認めているため、警察等の公権力がその中の一つ、例えば非親告化された強姦罪、著作権法やわいせつ物頒布や児童ポルノ関連、高利貸などその一つを無理やり適用して、恣意的( でっち上げなど )な手法を用いこの法律を運用することにより不当に個人及び団体を拘束あるいは本件あるいは別件で立件が可能となる、という可能性は否定できないため公権力に対する市民の監視が必要とする、という声もあるが、これは英米式の共謀罪、すなわち「共同謀議による罪」]や仏独式の「犯罪を目的とした結社の結成の罪」などが存在する他の外国でも共通である。


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