基礎データ
ずかん | No.481 |
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ぶんるい | かんじょうポケモン |
タイプ | エスパー |
たかさ | 0.3m |
おもさ | 0.3kg |
とくせい | ふゆう |
他言語版の名称
英語 | Mesprit |
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イタリア語 | Mesprit |
スペイン語 | Mesprit |
フランス語 | Créfollet |
ドイツ語 | Vesprit |
図鑑説明
ポケットモンスターダイヤモンド
かなしみの くるしさと よろこびの とうとさを ひとびとに おしえた。 かんじょうのかみ と よばれている。
ポケットモンスターパール
みずうみの そこで ねむっているが たましいが ぬけだして すいめんを とびまわると いわれている。
ポケットモンスタープラチナ
エムリットが とびまわったことで ひとびとに いきるときの よろこび かなしみと いうものが うまれた。
ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー
ひとびとの こころに よろこびや かなしみなどの かんじょうを もたらしたと いわれる ポケモン。
概要
初登場は『ダイヤモンド・パール』。
外見は小型の妖精のようで、頭からは4本の房状のものが垂れ下がっている。同様の構造を持つルカリオは感覚器の一つとして用いているが、エムリットのそれには今の所言及が無く、役割は謎である。通常やや青みがかった白色にピンク色の配色で、色違いは白色部分が金色となる。
顔立ちは「半眼微笑」といった印象で、目を見開いたアグノムと閉ざしたユクシーの中間的なものである。とは言え釣り目気味なので挑発や嘲笑しているようにも見え、また、公式イラストを含めて変化が大きいため、角度が落ちてジト目に見える時もある。良く言えば表情豊か、悪く言えば設定が定まっていない。
性別不明な点や足が短くイカ腹な体形、先端がカエデの葉のようになった二尾の尻尾、「葉」の中心と額の赤い宝石状の構造は他の二種と共通している。
鳴き声はきゃううん!と表記される。三湖の鳴き声は全て「きゃ」行で始まるが、何故か一番目の「きゃ」が二番目の「M」に充てられている。実際に聞こえる音は二連続で声を挙げたような独特のもので似ても似つかないが、ポケモン界にはよくあることである。
見た目に反してややハスキーな低めの声をしていたが、6世代に入ってからは音源変更という大人の事情によってかなり甲高いものに変わっている。
ストーリーでの扱い
図鑑説明の通り、人々に感情を与えたとされる。その一方で、エムリットに触れた者は三日にして感情が無くなってしまうとも謂われる。やはり、対象の心を操れる「心司」でもあるのかもしれない。
三湖の力を合わせるとディアルガまたはパルキアと互角の力になる事から、アカギによって彼らを呼び出すための原動力とされてしまった。解放後も他二種とは異なりシンジ湖には戻らず、シンオウ各地を飛び回る。
アカギは幼少期の体験から心を病み、感情を否定する凶行に走ったと考えられており、ある意味彼が最も向き合うべきポケモンであったと言える。
『BW2』にてイッシュにも進出。殿堂入り後、20番道路にある「心の空洞」に行くと邂逅でき、その後タワーオブヘブン屋上の慰霊鐘前で接触・捕獲できる。様々な感情が渦巻く同所はエムリットに相応しい舞台設定であると共に、上記のトリックスター的設定がようやく前面に出てきた。
『ORAS』ではホウエンに進出。今作では「未知の洞窟」内に他二種と時間差で登場するため、接触する上で特筆される演出は無い。エムリットの割り当ては広義の昼間帯にあたる4~20時。
余談だが、6世代で実装された「ポケパルレ」にてエムリットの頭の房に触れると、ものすごい形相でマジギレされる。やはり何かあるようだが、反応パターンはルカリオとは異なっており、ミロカロス等に近いものとなっている。それが何を意味するのかは依然として不明であるが。また、手が自由に使えるポケモンであるものの、ハイタッチはしてくれない。
外伝の『ポケモン不思議のダンジョン時・闇の探検隊』では、「ときのはぐるま」を守る番人として登場する。男性的なアグノム、中性的なユクシーに対して女性的な雰囲気が漂う。
しかし、感動的なイベントがあったユクシーや、「ときのはぐるま」を唯一守りきったアグノムと比べると、言動にやや感情的な点が見られた程度で影が薄い。むしろ、技構成の関係で一体だけ力不足であったとも言われる。
対戦での扱い
三湖の中でも特に多くの個性付けがなされているものの、その大半が「トレーナーにこうかはいまひとつのようだ」といったところで、あまり良い扱いをされない傾向にある。
能力的には攻撃型のアグノム、防御型のユクシーに対してバランス型となっており、HPと素早さが80、それ以外が105というかなり均整の取れた種族値配分が特徴である。それらは厳密な平均値ではなく、素早さを犠牲にして他を平均+5とするという某論者じみた発想に依っている。
しかし、素早さ80付近は(4世代当時の基準で)「激戦区」と呼ばれる地帯であり、それを越えている他二種に比べて「上から殴られる」可能性が高い事、一体に全ての役割を持たせる事は現実的ではないため、他二種をそれぞれの特性に特化させればそれで済むと判断されがちな事、なにより一ヵ所に留まらないエムリットは、ゲームの仕様上いわゆる「厳選」行為がほぼ不可能な事から、多くのトレーナーにとってそもそも育成対象として見做されないという大きなハンデを背負ったデビューとなってしまった。
三湖は他の準伝説トリオと異なり全て単エスパータイプであるという点も差別化を困難にしている。一応、レベル76と技マシンにて、それぞれ異なる自主退場技と特殊攻撃技を習得し、エムリットは「いやしのねがい」と「れいとうビーム」「ふぶき」を覚えられるものの、今度はクレセリアというディフェンスに定評のあるポケモンが二重の意味で壁として立ちはだかる。
「いやしのねがい」はクレセリア固有技である「みかづきのまい」の完全下位互換性能となっており、使い手としての適性も防御力・素早さ共に上回るあちらに分がある。
そもそもエムリットは類似名称・効果の「いやしのはどう(5世代~)」「ねがいごと」といった技を覚えず、「じこさいせい」すら不可能であるため他二種の後追いをするために持たされているという向きが強い。
一方のクレセリアは「つきのひかり」によって強力な「受け」としての役割を果たしており、「どくどく」等と組み合わせた持久戦にも秀でている。回復手段が「ねむる」に限られるエムリットにはいずれも困難な戦法である。
「れいとうビーム」を覚えるエスパーは希少であるが、クレセリアもその中の一体に入ってしまっており、多くのトレーナーが仮想的にしているガブリアスに対して「後出し(≒攻撃を二度受けて)から倒す」などという芸当さえやってのけてしまう。
残る「ふぶき」はエムリットのみが覚えるものの、命中率に不安があるため本職のこおりタイプですら採用を控える事も多い技であり、サブウェポンとして隠し持つにはいささか勇気が要る。足の遅さと回復手段の不足故、多くの場合外せば「二発目」は無い。
実の所、クレセリアの特攻種族値は75と大きく劣っており、エムリットが差別化を図る事は容易いのだが、一度付いた「劣化クレセリア」というイメージは中々払拭できるものではなく、純粋な防御型同士であるはずのユクシー以上の比較対象となってしまった。
『プラチナ』では教え技システムの追加によって「しねんのずつき」やいわゆる「三色パンチ」を覚えられるようになり、物理攻撃型という選択肢が新たに生まれた。
もっとも、パンチを三色全て覚えられた反面、他二種も同様に全てを覚えたため、三湖内での差別化には至っていない。
『BW2』では初の固定シンボルとなり、「厳選」行為が可能になった。
しかし、クレセリアも同様に固定シンボルとして再登場しており、特に新しい戦法が開発される事も無かったため大きな話題とはならなかった。印象的なはずの舞台設定も、ストレンジャーハウスのホラーイベントと絡めたクレセリアの演出が全て持って行った。
5世代と前後して二次元全体でジト目ブームが起こってもいたが、注目を集めたのは新キャラという事もあってクルマユやペンドラー、ホミカといった面々ばかりであり、趣味的な方面でもエムリットに光が当たったという話はあまり聞かない。むしろ、「唯一王」いじめ等の影響で「三湖」中エムリットだけを外すというネタさえ見られたとか…
『XY』には登場せず、当初は旧作との互換性も切られていたため、一時的に対戦の場から姿を消していた。三湖は準伝説で唯一ゲーム内のバトル施設にも登場せず、その徹底的な隠しぶりから「新たに発見されたフェアリータイプを追加してポケモンバンク・ポケムーバーの目玉とするのでは?」という推測がにわかに広まっていった。
三湖は妖精との関係性が示唆されており、特にエムリットはフェアリータイプの強化アイテムが「せいれいプレート」という名称である事や、同じ「かんじょうポケモン」であるキルリアが実際にフェアリータイプを持った事から、クレセリアとの差別化を超えた期待が寄せられた。
しかし、現実にはフェアリー技「マジカルシャイン」を得たのみでタイプの変更は無かった。それは同時に、対ドラゴン・悪・虫の上で同じ素早さ80属エスパーであったサーナイトに大きく後れを取ったという事であり、「れいとうビーム」や「ほのおのパンチ」を持つ優位性が揺らぐ事であった。「砂漠の精霊」の二の舞である。
その後は急速に関心が薄れてゆき、ディアンシーの鳴き声やメガチルタリスの種族値配分で時折引き合いに出される程度の存在となった。
一時はネット検索をすると「もしかして:エンペルト」という予測変換が出ていたくらいである(現在は解消)。
長所としては、バランス型故どのような育て方をしてもそれなりの成果を発揮できる上、単体で完結する型が多いためパーティを組むメンバーもさほど選ばないという自由度の高さが挙げられる。
特に、素早さ80はいわゆる「スイッチトリパ」の起点としてはちょうど良い速さであり、実際にそれなりの割合で「トリックルーム」を搭載している。火力と耐久を両立し、型も豊富なエムリットは妨害に遭いにくく、不発時や発動後もそのまま攻撃に移れるため「置き物」になりにくい。
他にも「ステルスロック」「ふういん」「あまえる」「とんぼがえり」といったエスパーとして個性的な技は有しており、特にダブルバトル以上にて「ふぶき」「まもる」「ふういん」の組み合わせでいわゆる「あられパ」を機能停止に持ち込めるとの見立ては当初からなされている。
決して地力が無いわけではなく、物理耐久などはエスパーとしては高い部類に入ってすらいる。何らかのきっかけで「パチリスの奇跡」のような事を起こせるのでは?という期待は今も潰えていない。
二次創作での扱い
2017年現在、pixivに投稿された作品数はクレセリアやユクシーを上回ってアグノムと互角に争っており、桁は違うもののやはり「砂漠の精霊」に似た状況となっている。『ポケダン』での扱いもあり、明確に女性・メスとして描写される傾向にある。
もっとも、見た目から「ピンクは淫乱」、名前から「性的な意味でM」、図鑑ナンバーと実力から「481=よわい」等と不名誉な方向でネタにされる事も多く、その影響でR-18比率が4種類中単独首位という手放しでは喜べない一面もあったりする。結果的に日本名も「メスプリ」で良かったんじゃ…