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単線の編集履歴

2017-09-02 08:56:54 バージョン

単線

たんせん

単線とは鉄道などにおいてその区間を運転する線路が複数存在しない状態である。

概要

 単線の路線には、線路(通常の鉄道の場合、一定の幅に保った2本のレールが延びている)が1本しかない。つまり、路線上の特定の地点には1編成しか列車が存在できない。

 この状況にある場合、鉄道等では、営業運転において環状運転などで一方通行の運転を行っている場合(舞浜リゾートライン(ディズニーリゾートライン)、ポートライナー富山地方鉄道環状線など)を除いて上り下りとも一本の線路運転しなければならない。

 そのためすれ違い(これを「列車交換」という)のため、信号場(分岐器や信号設備が設けられ運転扱いは行われるが、旅客貨物の取扱を行わない停車場)などで待ち合わせが必要となる。全線を複線にできないが、待ち合わせに時間を掛けたくない場合、羽越本線などのように一部の区間だけを複線にすると、その区間だけお互いに走行しながらすれ違うことができるようになる。

 極端な話をすれば、始発駅から終着駅までその路線に一対の線路しかなく、途中に行き違い設備も設置されていない場合、車両の運行に強い制限がかかり、たとえば一方向に複数車両を走らせる、途中駅で分割運行させるなど、運用が限られることになる(例として関東鉄道竜ヶ崎線など)。


 対義語としては複線複々線などを含む)がある。別系統の単線が平行して敷設され、見かけ上複線のように見える場合もある(単線並列)が、これは上り列車用と下り列車用をセットで敷設する複線とは似て非なるものであり、単線並列の輸送力は複線と異なり単純に2倍にしかならない(複線の場合閉塞方式にもよるが単線の3倍以上の列車を運行できる。さらに待ち合わせ時間がなくなるため高速化にも有効)。単線並列の事例は別の路線(軌間や電圧が異なる)が組み合わさる事例も存在するが、あまりにも規格が違えば見かけが複線から掛け離れていく。



運用

 この状況は大都市圏外の地方の路線(ローカル線第三セクターに転換された路線、および中小私鉄)、また大都市近郊においては盲腸線(片方が他の鉄道と連絡していない路線)や引込線(車両基地や工場などをつなぐ路線)など輸送力が少なくてもかまわない路線において見られる。


 当然ながら複線の方が輸送力は圧倒的に高いものの、いったん単線で開業した後に利用客が増えて複線化しようとした場合、土地や設備等の買収などが絡んで思うように複線化できない場合が存在する。そのため開業時にあらかじめ複線分の用地を確保しておき、後からスムーズに複線化できるよう計らっておく場合もある(伊勢鉄道などの路線がそれである)。


 一方で複線で開業したものの、各種理由により後に単線化した例も存在する。阪急嵐山線、御殿場線(元東海道本線)および参宮線(現在の紀勢本線の一部を含む)では現在は単線運行であるが、よく見ると路線が複線分敷けるスペースが存在する部分がある。よくある例は、第二次世界大戦中に不要不急線とされて片方の線を金属供出させられたもので、需要が高い路線は戦後に再度複線化されているのだが、「もともと輸送力に対して設備が過大だった(嵐山線)」「新線開通後に需要が減っていた(御殿場線)」「競争相手の交通機関に負けた(参宮線)」などの場合は単線のままにされた。


 また、大手私鉄の幹線でも稀にある例として、土地等の関係で複線区間の一部のみ単線になる路線も存在している(名鉄名古屋本線は通常は全線複線以上として知られるものの、名鉄岐阜駅すぐそばの東海道本線高山本線との交差部分だけが単線となっている)。この場合単線区間がダイヤ設定上のボトルネックとなる。



運転方法

 上下線を1本の線路で行う単線の運行にあたっては、待ち合わせのための列車交換設備を持つ駅や信号場の間で閉塞と呼ばれる区間設定をし、その区間には1編成しか列車を入れないことによって正面衝突事故や追突事故を防ぐ方法が採られる。

 この閉塞という概念は、冒頭で述べた、単線における「一方通行を除き、ある特定の地点には1編成しか列車が存在できない」というものを理解する上で非常に重要である。


 どの列車に通行権を与えるかについて、最も原始的な方法は、その閉塞区間を通行する列車に何らかの通行許可証を持たせることで、1編成以上の列車を閉塞に入れないという方法である。

 例としては、スタフと呼ばれる通行許可証を出発駅で受け取ってから出発、閉塞区間に入り、列車交換設備のある到着駅でスタフを係員に渡し、係員は次に発車するべく待機していた列車へ受け取ったスタフを渡すことで次の列車にスタフを持ってきた列車が来た閉塞区間への出発の許可が出るというものである。これは、一部の単線の路線において現在も行われている方法である。


 時代が進み、これを自動化したものが列車の位置を検出するシステムの登場による鉄道用信号機を使用した制御である。

 ある列車交換場所からの発車について、その先の列車の有無を自動的に検知することで閉塞区間の安全を確認し、信号機を使用してその閉塞区間への進入の可否を制御するというもので、この技術を導入した路線では無人の信号場が誕生し、駅においても列車交換業務を扱う係員はいなくなった。

 列車の位置を検出するシステムに不調が発生した場合は、手動ですべての信号機を赤にした上で無人の信号場や列車交換を行う駅へ係員を派遣し、列車を走らせようとする閉塞区間に列車が存在しないことを確認してから先の通行許可証に相当するもので列車の制御を行う運行に変更、原因を突き止めて正常な状態に復旧するまで続けるのが鉄則であるが、運行責任者がこの鉄則を破ったことによる対向列車との正面衝突事故が実際に発生している他、自動列車停止装置の整備が完全でなかった時代には、運転士が信号無視して列車を閉塞区間に進入させたことによる対向列車との正面衝突事故というものも実際に発生している。


 信頼できる列車の位置を検出できるシステムの登場前は、長距離の単線で列車交換場所がいくつもある路線において、列車交換場所を通過する列車では、走りながらそれまでの通行許可証を投げて係員へ渡し、その先に置いてある次の閉塞区間の通行許可証を走りながら受け取るという荒業も行われた。

 もちろん、次の閉塞区間の通行許可証の受け取りに失敗した場合は、列車を停め、歩いて列車交換場所まで通行許可証を受け取りに行かなければならない上、駅や信号場では進入の信号機を赤にするなどの処置が必要になるというものであった。


関連タグ

複線 複々線 ローカル線 中小私鉄 第三セクター

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