サンダー・ボルトは、遊戯王OCGに存在する通常魔法カードである。
その強力な効果から2004年3月1日に禁止カードになって以来、一度も制限緩和されていない。
しかし、海外では2014年10月に制限復帰を果たした。
効果テキスト
通常魔法
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
概要
テキストがたった一行で、「単純なテキストほど強い」を地で行く効果である。
効果は極めてシンプルで、相手モンスターの表示形式・攻撃力・守備力・レベル等を問わず全て破壊する。
「それ以外に何も書かれていない」と言うことはすなわち発動時にコストを要求せず、使用後のデメリットも存在しないということを意味する。因みにこの単純すぎるテキスト故に、「相手のデッキの中のモンスターも破壊できるのでは?」というデマが流れた事もあった。
『遊戯王』を全く知らない人でも、テキストから「強そう」となんとなく想像できるくらい強力。
対となるハーピィの羽根帚とセットで使うことで、相手のフィールドを簡単に更地にできた。
現在では禁止カードに設定されており、公式大会での使用等はできないが、ゲーム作品ではストーリーを進めると「禁止カードが投入可能になる」(通常はどれか1枚だけ)という解禁状態になる作品も存在するため、そのような作品では強欲な壺と並び投入候補に挙がる1枚。
相手がモンスターを使用しない特殊なデッキでもない限り、手札に来て使い所がない場面が少なく、1枚で形勢を逆転できるカードである。
そのため、どのようなデッキにも「とりあえず」感覚で無理なく投入できる。
現在は完全下位互換となる「ライトニング・ボルテックス」が存在し、こちらは特に制限がない。
条件・効果面でかなり調整がされているカードで、発動時にコストとして手札を1枚捨てなければならず、表側表示モンスターしか破壊できないという制約がある。
なお、このカードですら制限カードであった時期もある。
海外では最近になって禁止から解除されており、代わりに伏せ除去の定番である大嵐やハーピィの羽根帚が禁止になっており、モンスターを取り除いても伏せカードを取り除きにくく攻撃が通らない、という可能性が高い。
国内と海外で環境バランスの取り方が異なっている一例といえよう。
原作・アニメにおいて
遊戯王
アニメ版のバトルシティ編での「城之内VS闇遊戯」戦において、マリク・イシュタールに洗脳された城之内克也が使用した。
バトルシティの大会では直接ダメージを与えるカードと除去カードは禁止カードに指定されており、マリクの狡猾さを演出している。
原作では「ライトニング・ボルテックス」が使用されているが、効果はサンダー・ボルトそのものだった。
遊戯王GX
『遊戯王デュエルモンスターズGX』では、カミューラが「幻魔の扉」というカードを使用している。
その効果は「相手のモンスターを全て破壊し、さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する」という凶悪なもの。
ただし、「使用者がデュエルに敗北した場合、幻魔に魂を奪われる」という恐ろしいリスクがあった。
召喚条件を無視するので、相手の墓地にさえあれば通常は蘇生不可能な古代の機械巨人や融合E・HERO等も特殊召喚できる。
タッグフォースシリーズではこちらもオリジナルカードとして収録されている。
幻魔に魂を奪われるというリスクは、エンドフェイズ時にLPが10分の1になるという効果になっている。
その性質上、とどめを刺すターンに使うのが定石であり、エンドフェイズを迎えなければリスクも関係ないというカードになっている。
このカードの効果で破壊した相手モンスターも条件を無視して蘇生できるため、とどめを刺すという状況はかなり満たしやすいチートカードである。
『タッグフォース1』では制限カードなのでそのまま投入できる。『2』以降は禁止カードに指定されている。
禁止されるまで
登場
遊戯王カードの1999年3月18日発売の「STARTER BOX」に収録されたのが初出。
これはシリーズ第一弾であるvol.1発売より一ヶ月後に発売された最初の構築デッキであり、シリーズ最初期のカードである。
発売直後は、罠や魔法のバリエーションが非常に少なく、効果モンスターもまだ登場していなかった上に、そもそもモンスター召還時の生け贄が不要だった時代であり、戦闘はただの力と力のぶつかり合いでほぼ決着がついていた。
そのため当時は単純に攻撃力3000の青眼の白龍が最強であり、サンダー・ボルトはそれを抑える有効手段として機能していた。
ちなみに最初期のルールでは、デッキ構築の一例としてこのカードや心変わり、死者蘇生などが平気で三枚入っているものが紹介されていた(この当時デッキ枚数は最低40枚というだけで上限が無かった)。
今から見れば信じられない、時代を感じる話である。
制限カード入り
しかし、発売された年に生け贄システムが導入され、青眼の白龍が一気に弱体化。
そして同時に設けられた「制限・準制限カード」で、サンダー・ボルトは準制限を素っ飛ばして一番最初の制限カードとなった。
禁止カードへ
そして2004年3月1日に『禁止カード』が設けられると当然のようにそれに指定され、『遊戯王』初の禁止カードとなった。
以来一度も制限が緩和されていないため、禁止カード設立以後に始めた人にとっては全くなじみのない、ある意味伝説のようなカードである(前述のようにゲーム作品を楽しんでいる場合は別)。長らく禁止とされていたが2014年10月1日適用の海外の禁止・制限カードで海外では制限カードについに復帰。日本でも復帰するかもしれない…。
自分フィールドを巻き込むブラック・ホールが禁止や制限を往復しているのを考えると、いかにノーコストかつ相手フィールドのみの除去が強力であるかが分かる。
類似効果を持つカード
以下のカードはサンダー・ボルトのように規制されていないが、発動条件が設定されている。
避雷針
サンダー・ボルトの効果を相手に跳ね返す「避雷針」というカードが存在する。
こちらは全く規制されていないが、サンダーボルトの禁止化と共に全く存在意義の無いカードとなってしまった。一応入れるだけならできるが。
同じような境遇のカードとしては「壺盗み」、「グリフォンの翼」などがある。