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89式小銃の編集履歴

2017-11-22 00:48:19 バージョン

89式小銃

はちきゅうしきしょうじゅう

陸上自衛隊の主力小銃。一般的なカテゴライズとしてはアサルトライフル。

概要

日本人の体格に合わせてカービン化されていない状態でも小型化され、樹脂パーツを多用し軽量化を施し、パーツ点数もAKを凌ぐほどに少ない点は知られていないが、もの凄く高価と思われているのは周知の事実

・・・もっとも更に値が張る制式採用アサルトライフル一時はとんでもなく高かった制式採用アサルトライフル他国製を買ったら納入価格が高価となったアサルトライフル元から結構高いが改修費用で更に高くなったアサルトライフルも普通にあったりするが。

ちなみにM4カービンの納入価格は約16万から20万円(2008年コルト製)、約8万円(2013年FNH製)程度の模様。


公募愛称は相棒を意味する「バディ」。ただし、一般人はおろか隊員にすら基本は「89(ハチキュー)」としか呼ばれていない。


アメリカ・アーマライト社のAR-18を参考にしている。

そのせいか外見がよく似ている為、中国やロシアから89式小銃はAR-18の亜種と見られているとか(外面が似ているだけで中身はまるで違う)。


開発経緯

 それまでは64式小銃を使用していたが「重い」「パーツ多くてメンテ面倒い」「反動デカイ」その他様々な理由で新たな主力小銃を考案する事になった。この当時は世界的に小口径・高初速弾が一般化し自衛隊もこの世界的な波に乗り同コンセプトで新たな小銃を独自に開発した。それが89式小銃である。

 改善点としては今まで使用していた64式小銃の重量を約20%削減、弾薬を7.62mmからより反動の小さい5.56mmへと変更、パーツ点数を大幅に削減した事が上げられる。同時に同盟国であるアメリカ軍の使用するM16マガジン(NATO STANAG 4179)を互換させている。

89式のマガジンには残弾確認用の窓が左側面に開けられているという違いがある。

STANAGマガジンは89式に使えるが、89式用のマガジンは他のSTANAG規格の銃には使えないという一方的互換のみと言われているが、実際にはちゃんと使用が出来る。(使えないとSTANdardization AGreement、標準規格書の意味がない)

ちなみにマルイ電動ガンでは89式にM16/M4のマガジンの使用が出来るが逆は出来ないため、電動ガン版の互換性が実銃の話に化けたと思われる。

NATOでは共通化のために5.56mmNATO弾用の着脱式マガジンをSTANAG 4179という規格で統一しているものの、製造国、製造メーカーの違いにより細部に差があり、L85で他国製のマガジンを使用するとジャムの一因が消えるように、組み合わせによってトラブルが生じたりするのは珍しくはない。

なので実際に使ってみるとトラブルが起きる、ということも有り得るのである。


運用状況

 日本の自衛隊だけでなく警察機関(海上保安庁警視庁特殊部隊)にもいくつか使用される例がありその扱いやすさが窺い知れる。が、一丁30万円以上と高価である為(アメリカ軍のM4は上記のように20万円~8万円)に未だ64式小銃を使う組織も少なからず存在する。値段が高いのは年間製造数が少なく、自衛隊が制作元である豊和工業の言い値で買っているからでもある。(とはいえ国内で高性能な小銃を作れるメーカーが豊和一社しかない、他のメーカーは利益が出ないからやらないといった仕方のない部分がある。)

 自衛隊が登場する作品には決まって登場するが魔法少女図書館の司書さんが使用していたりと二次元での運用は非常に広い。FPSでは日本版限定で登場するとか。

 お値段に相応しい性能のアサルトライフルではあるのだが、如何せん実際の戦場にて使用された事が無いのでその実力ははっきり言って未知数である。実戦が無いのが望ましいのは当たり前だが、このことが89式への根も葉もない悪い噂を広めてしまっている所もある。

 ちなみに、イラク派遣前に米国で行われた実戦訓練にて使用された際、経験豊富な米軍兵士から命中精度の高さや耐久性、バイポッドの取り回しの良さを高く評価されている。


性能

口径5.56mm
使用弾薬89式5.56mm普通弾
装弾数20/30
全長916mm
重量3,500g
有効射程約500m

※wikipediaから概値


長所と短所

長所

・日本人にかみ合っている

なんといってもこれ。コーカソイドとは体格や頭蓋骨の形状が異なる日本人にとって構えやすくするため、銃床の左側を削り、全体のサイズを短縮し、軽量に作られている。それでいて射程、威力、堅牢性、持続射撃能力等について世界水準に勝るとも劣らない能力を有している。

単に日本向けを極めるだけでなく、特に銃口周りの設計は諸外国の銃と比べても非常に優秀で、同じ性能の弾薬を使っているにもかかわらず、M16などとは明らかに反動が違うという話も。

また反動抑制は、単に通常の照準、射撃を容易にするだけでなく、ちょろいもんだぜのような構えでの射撃も可能でありフルオートの制御も容易にしている(フルオートなんてめったに撃たせてもらえないんだけども)。


短所(と言い訳)

・高価

1990年頃に製造開始された製品でライセンス料もかかっていないのに、近年にいたっても24万以上もしてしまうのは結構な値段(安い部類であるM16やAKと比較しているから高く感じてしまうのだが)。


これは自衛隊の単年度会計方式と、豊和の小銃製造技術維持のための製造数制限が主な原因となっている。一度に数年分たくさんに買うことができないのでいくら買っても量産効果が生まれないのだ。(一括調達した場合、次の製造まで設備が遊んでいる状態となった上に販売数が0でも金型等の税金を払わなければならないために企業の負担が大きい。また次の製造の際に技術者がいないと言うことが起きてしまう可能性がある。ちなみに調達方法が変わった結果、20年度に2年分調達した為に21年度の調達数は0であった)


さらに製造できるメーカーが限られる上に、軍事産業は基本的に需要が政府機関にしかなく平時には儲からない分野のために新規参入もなく、競争原理も働かない。「輸出すれば安くなるのに」という意見もあるが、89式はとことん日本向けの設計に特化している部分があり、輸出したところで需要は限られ、たいして安くはならないと思われる。


陸上自衛隊も銃器の独自開発をやめて輸入品で済ませればたしかに安く上がるが、そうなると銃器開発のノウハウが途絶えてしまうし、情勢の変化により高値を吹っかけられて(本来の価格の数倍と言う例もある)結局高くつく可能性や、製造終了等により銃本体や部品の購入が不可能となる可能性もある。また、戦中に部品の輸入を待つことは難しいという理由もある。日本の事情がより特殊化し、海外で開発されるアサルトライフルでは要求を満たせない、となった場合、自国で小銃を作る能力がないのは致命的である。


・部品脱落しまくってビニテが欠かせないってどーよ?

これは89式の設計に問題があるのではなく、先述の高価さゆえに新品が回ってこないことに問題がある。数が足りなくて後方や訓練用にはどうしても古い銃しか回ってこないのだ。特に教育隊の訓練用は分解と組み立てを繰り返しまくっているために89式以外も部品がガタガタだったり。

一応最前線での戦闘が予期される部隊には、そんな心配とは無縁な個体が配備されている(はず)だが、念には念をとかビニテが巻かれている。


・今時レールもついてないのはどうなの?

改修予算をくれ。

レールもただじゃない。エアソフトガンに使うものならともかく、灼熱の砂漠から極寒の凍土まであらゆる環境で変形を起こさず重たいランチャーや照準器の負荷、アンダーマウントのショットガンの反動にも耐えられるピカティニーレールはそれなりの値段がするのだ。(M16等のように改造が当たり前の民間市場があれば安く済むし、多少歪んでも問題はない軽いライトなどに用いるのであればポリマー製でも作れるのだが)

しかもそれをハンドガードに取り付けようとすると、ハンドガードまで完全に再設計しなければならない。元から想定されていないものをやたらめったら取り付ければ、設計時に想定されていない負荷がかかって破損したり、銃身への負荷による射撃精度の低下が発生する可能性もある。現にフォアグリップを取り付けた89式のハンドガードが破損した事例がある。

現状でもダットサイトACOG、レーザーサイトなどの搭載は可能であり、自衛隊はライフルグレネードがメインなので問題は生じていない。

更に言えば米軍ですらレール全てを使用してアクセサリを大量に取り付けたり、アンダーマウントを介してM320等を全員が装備する事はないため、全面にレールがあっても上側以外は殆ど使わない上にカバーを付けないと握り辛いので上側のレール以外はオプションにしてアクセサリホール等を用いて必要に応じて必要な長さのレールを取り付けるかレールを介さず直に取り付けるといった程度で十分だという意見もある(実際にM4A1-Plus計画では上側レール以外はオプションとすることを条件としている)。仮に自衛隊でこの意見を採用した場合、強度が足りているのであれば現状のマウントベースを銃身側に延長したマウントベースを作る、もしくは長いライザーマウント(レールの高さをかさ上げするためのマウント)を付ければ十分と言うことになる。

(延長用として機能する長いライザーマウントは実銃用の部品としては珍しいものではなく、M700M14EBR等で銃身に影響を与えないようにレールを延長するのに用いられており、レール付のハンドガードを持たないフラットトップAR-15等のアッパーレールの短い銃に取り付ける事があった。エアソフトガン用ではあるが89式用の延長したマウントベースが販売されている。これらを用いればナイトビジョンとダットサイトのタンデム搭載やレーザー照準器等の搭載も一応可能である)

しかし、2010年に確認された物にはピカティニーレールが追加されており、2015年に行われた上陸訓練では西部方面隊普通科連隊の隊員がピカティニーレールが追加された本銃を使用していることから、一部はピカティニーレール搭載改修が行われているものだと考えられる。


・三点バーストはいらない

滅多に使わないし、個人の整備レベルでトリガーパックから外して単射にしてしまう事も出来る。

この三点バースト、「二発で発射を中断すると、カウントをリセットしまた三連射してくれる」という高性能なものになっており、先述の値段の高さに一役買っていることは間違いない。(ちなみにM16A2のギアラック式バースト機構は機構こそ単純であるが二発で発射を中断すると次は一発しか撃てない三点バースト機構である。FNCStg90等は不明だが、M16のような不満が聞こえないことから89式同様にリセットされるものと思われる)

おまけにこいつがセレクターの選択肢を増やしてるせいでセレクターが人間工学的に無理がある構造になってしまっている。

米軍もフルオートで新兵の撃ち過ぎやを防ぐためにM16A2ではフルオートを排してバースト機構を採用しており、アメリカ以外でもスイスやフランス、ベルギー等でもバースト機構を採用していた。米陸軍では上記の欠陥に加えて戦術の変化もあってM4カービンではフルオートのM4A1へと置き換える方向に進んでいる。


・左手で構えにくい

採用当初の90年代はともかく、昨今重要視されるCQBにおいては、構えを左右に機敏に切り替えられる能力が要求される(曲がりの角から向こう側を覗くような際、右構えと左構えでは体の露出面積が大きく異なる)。だが日本人が右手で構えることに特化した形状をしている89式は、左手では構えづらく、操作もやりにくい。

セレクターを左側にも取り付けることでしのいでいるが、銃床の形状だけはどうにもならない。


・銃床が調節できない

個人差に対応できず、軍用装備で着ぶくれすると非常に構えにくくなる。

ただ伸縮銃床を取り入れると銃床左側を削ることは難しくなるので一長一短。


・セレクターの使い勝手が悪い

設計が少々古いこと、日本向けにガラパゴス化していることを考えても、これだけは説明不能。「これさえなければ文句なしの名銃」とも。

グリップ上方、握ったままでは指が届かない位置に「安全→連射→三点バースト→単射」の順に九十度ずつ回転するセレクターがついている。これにより、最も使用頻度が高い単射を使用するには「グリップから手を放し」「親指と人差し指で挟み」「270度回転」させなければならない構造をしている。他国の小銃が、右手親指が届く位置に「安全→単射→連射」のセレクターがついているものが大半であることを考えるとえらい違い。

これは「匍匐の時に誤動作を起こさないように」と安全性を過度に優先する悪癖と、「近接遭遇みたいな緊急時は連射に一発で入った方がいい」というよく分からない考えによるもの。おかげで自衛官は「一挙動で270度セレクターを回転させる」という職人芸のような操作を習得しなければならなくなった。

実際に問題と思われているようで、アンビ化のために追加された左側セレクターは、右手親指を伸ばして「安全→連射」まで切り替えられるように角度がずらされており、射撃大会などに持ち込まれた特殊仕様は「安全→単射→」の順に改良されているものも確認されている。豊和の新型小銃もセレクターの構造は他国に倣ったものとなっている(採用されるかは不明だが)。


よく同様に右側セレクターで「安全→連射→単射」のAK-47が挙がるのだが、新たに採用されたAK-12では他国に準拠した位置、順番になっているあたりロシアも不便に思っていたらしい。(雑な変更でも連射できるようにするという面もあると思われる。例えばベトナムでは突発的な交戦の際に単射まで進めてしまったことで単射しか出来ずにAKで撃たれた側である米海兵隊員が命拾いしたと言うことが起きている。)

動作角度が90度ずつと大きめなことについては「指先で触れてどの位置にあるか分かりやすく、誤操作も少ない」というメリットが存在する。M16はこの形で「安全→単射→連射orバースト」で操作角は最大180度(社外のカスタムパーツに変える事で45度毎最大90度の操作角にしたり、AUGTMP等の押し込み式に変える事も一応は可能)。FNCは「安全→単射→バースト→連射」で、操作角は最大270度となっている。どちらもセミオートで発射するには90度でいいので89式よりずっと使い勝手が良い。


まとめ

開発当時のドクトリンに見事に適合した優秀な自動小銃であることは間違いないが、三点バーストのような過剰機能(上記のように当時は過剰とはいえなかったが)、セレクター関連の不便など、軍用兵器開発のノウハウの足りなさがそこかしこに現れている。

また、1989年の設計ということもあって現代の防衛省のドクトリンともかみ合わない部分が存在する。特に現在重要視されている市街地での近接戦闘や、昨今防衛省が重視しているゲリコマへの対処については向いているとは言い難い。


遊戯銃

 前述のように東京マルイから電動ガンが発売。

 開発に当たっては訓練機材として採用のために詳細なデータを提供したとの話もあり(真偽は不明)、自衛隊にも閉所戦闘訓練用教材として納入されている。

 一般に販売されているモデルや実銃との区別の為に一部部品の色が変更されている。

 また、一般に販売されているものは実物の薬莢受けや銃剣等の取り付けが不可能なように一部部品の形状は変更されており、実銃用アクセサリーを購入したとしても無加工での取り付けは不可能となっている。

 新規形状のメカボックスと共に機械式のバーストメカを採用しており、同社のSG550シリーズ(SG550及びSG551)に採用された電子式バーストユニットと違いバッテリー電圧等の要因から発射数が変動するといったことを防いでいるが、変動に対応するための調整機能が不要となった結果、発射数の変更を行うことが出来なくなっている。

 また、バッテリーとメカボックスの間にユニットがあるSG550シリーズと違い、メカボックスの分解が必要とバーストメカの除去が非常に面倒となっている。

 そしてついにガスブローバックモデルが登場予定。マガジンはM4A1MWSと共用可能。内部構造はどれだけ再現されるかは不明だが、バースト機構の除去が容易なトリガーパックの再現は期待したい。


 夜間用照準器や空砲発射補助具、銃剣などの部品はガレージキットが販売されている。

過去には有限会社キャロットから東京マルイ製M4カービンを89式風に変更するコンバージョンキットが販売されていた。


実銃にはないアクセサリーも販売されており、レール付きハンドガードやAR15のレシーバーエクステンション及びストックを取り付ける部品等によりカスタマイズが可能となっている。


関連イラスト

自衛隊


関連タグ

アサルトライフル 自衛隊 64式小銃


出演

1990年以降の自衛隊が出て来る作品では大抵これが登場する。下記はその一例。

攻殻機動隊

SIREN2

機動警察パトレイバー

図書館戦争

魔法少女まどか☆マギカ

自衛隊彼の地にて、斯く戦えり

ゴジラ

ガメラ

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