ユーラシア大陸の中西部、中央アジアと東ヨーロッパの境界に位置する湖とも海ともされる面積約37万4千平方km(日本の面積とほぼ同等)の水域。湖とした場合は世界最大の湖である。
海なのか湖なのかの判断で政治問題を引き起こしている事で有名。
カスピ海の水域および沿岸と、カスピ海の水源に関連しているであろう地域は多くの固有種を含む貴重な動物の宝庫で、非常に巨大な亜種が多い。どれも絶滅したが、カスピトラやバーバリーライオン、インドゾウの最大亜種などが棲息していた。水棲では、世界最大の淡水魚であるチョウザメのベルーガ、どうやって到達したのかが未だに不明なカスピカイアザラシなどが代表例。
河川からの流入はあるが流出はなく、蒸発しか水の出口はない。そのため、水量の変動が大きいだけでなく、塩分などが過剰に蓄積されるため、微生物など以外の生物が棲息できない環境が形成されやすい。しかし、カスピ海はカラ・ボガス・ゴル湾と呼ばれる部分が塩分を溜め込むため、生物が棲息できる環境が保たれている。
もともとはチテス海の一部で、地中海や黒海、北海等の外海とつながっていたが約550万年前に大陸内に閉じ込められたと考えられている。アラル海や他の湖も、カスピ海とは一体だった。北海と繋がっていた時期か、それ以降の湖と化した時期の一時期、おそらくは氷河期から古代ローマ/ギリシャ時代までは、海鳥やクジラやイルカなどがいた可能性が、近隣の山々に残る壁画から示唆されている。カスピ海が一度干上がったまたはそれに近い状態になったのが、これらの生物の子孫が存在しない原因なのかどうかは不明。