外見は同じ海牛目のジュゴンに似るが、ジュゴンと異なり尾は団扇状で丸い。体長2~4メートル、体重350~1500キログラム。
体には殆ど毛が無く、前足は鰭状を呈し、後ろ足は全く退化している。非常に分厚い唇を持っており、餌の水生植物を砂の中から探り当てたりするのに用いる。
哺乳類の中で唯一、頸椎の数が6個しかない(殆どの哺乳類では7個)。
アフリカマナティ・アマゾンマナティ・アメリカマナティ(フロリダマナティ)の三種があり、この中でアマゾンマナティのみ、淡水域だけに棲息する種で、近年は130cm前後の小型の亜種「ドワーフマナティ」の存在が考えられている。
大西洋をどのように渡りきったのかは現在でも不明。「セントヘレナのマナティ」というUMAもいるが、ゾウアザラシの誤認だろうか。
開発による生息地の破壊、水質汚染、乱獲、漁業による混獲、更に小型船のスクリューに巻き込まれての事故死などにより生息数は減少している。生息地では法的保護の対象とされている事が多いが、実効のある対策が取られていないのが現状。あったかい水が好きなので、温排水を好むため、冬場は火力発電所の周囲に集まる。
ジュゴンと同じく、時折人魚のモデルとされる事がある。乳房が脇についているので、授乳の行動が、「人間のそれとだいたいあってる」(抱っことかもまあするし)ためであるが、コロンブスが航海日誌でマナティーを見たと思しき
「リアル人魚見た 人魚に全然似てなくてがっかりだよ」
と言った旨の記録を残している。
マナティからしたら迷惑な話だが。
また、アマゾンなどではダムに生えた水草対策にマナティを飼う場合もある。今現在でもやっているのかは不明。
ちなみに、めちゃくちゃ人懐っこい。
人やパドルボードに抱き着いたり、人に身体を掻いてもらうととても喜ぶ。
アメリカでは川にも海水浴場にもいる。また、自宅の庭が川に面している家庭も多いので、野生のマナティが遊びに来ることも多い。シャワーの水をかけると喜んで飲むのでやってみよう(他にはマッコウクジラなどでも実験例がある)。
ただし繁殖シーズンにはたいへんお忙しいので邪魔をしないように。