概要
2018年12月22日の21時27分頃(日本時間)に、インドネシアのスンダ海峡で発生した大規模津波のことである。地震ではない火山島アナククラカタウの噴火による海底の地滑りなどによって発生した津波と推測され、24~27日までに発生した噴火で火山の体積は1億5000万~1億8000万㎥まで減少し、現在の火山の体積は4000万~7000万㎥ほどだという。22日の津波の原因となった噴火で、64haに及ぶクラカタウ火山の土砂の塊が海に滑り落ちたとされた。12月29日現在で400人を超す死者がでている。死者数は426人、行方不明者数は29人。報告によると一部の集計に重複があったとされ、死者数は430人から引き下げられた。合計の死者・行方不明者数は455人で、負傷数は7202人に上る。また、ほかにも4万3386人が避難生活を送っている。
警報発令
現地には噴火による津波警報は整備されていなかったため、警報が発令されておらず、避難する時間がなかったことが、被害を拡大させてしまった。
現在も火山活動は続いており、新たな津波の発生の可能性があるとして、湾岸部には近づかないように警戒を呼び掛けている。
新しい津波警報システム
現状のシステムは地震を感知するものの、致命的な津波を生む可能性のある海底の地滑りや火山の噴火には対応していない。
資金不足や観測ブイへの破壊行為、そして技術的故障のため、津波警告システムは2012年以来作動していないという。
観測ブイが火山の近くにあったら、アナククラカタウが海岸線に近いため、避難するまでの時間は最小限だっただろうと専門家は指摘している。
クラカタウ島
今回噴火したアナククラカタウ島の位置にはかつて、クラカタウ島という火山島が存在したが、19世紀に噴火で大部分が消失した。1883年8月にあった旧クラカタウ島の噴火は、記録されている中で最も暴力的な噴火の1つ。
- 最高で高さ41mの巨大な津波が発生。3万人以上の死者が出た
- 噴出された高熱の火山灰でも数千人が死亡した
- 噴火は、爆薬のトリニトロトルエン(TNT)200メガトンが爆発した規模に相当するという。1945年、日本の広島に投下された核爆弾の約1万3000倍にあたる
- 噴火音は数千キロ離れた場所でも聞かれたという
- 爆発後の1年で、世界の平均気温は摂氏1度以上低下した
この噴火でクラカタウ島はほとんど消滅した。その後、1927年の噴火により、アナククラカタウ島が誕生した。