概要
自家用車なしには生活が成り立たなくなる現象。日本では主に地方都市によく見られる。
米国
20世紀初頭、全米の大都市にはくまなく路面電車が敷設され、大都市の近郊には「インターアーバン」と呼ばれる鉄道網が整備されていたが、1920年代、GMや石油関連企業が出資したナショナル・シティ・ラインズ社が全米各地のインターアーバンや路面電車の会社を買収し、これらの路線は次々と廃止されていった(アメリカ路面電車スキャンダル)。
結果として、1970年代までには米国の旅客鉄道は近郊交通機関、および都市間交通機関としてほとんど機能していない状態になり、全米の多くの都市の中心市街地は荒廃。「アメリカで車なしで過ごせるのはニューヨークかサンフランシスコぐらい」と言われる状態になった。車社会を維持しようとするビッグスリーの政治力は今なお強く、高速鉄道の敷設が頓挫している一因となっている。
日本
アメリカ合衆国の圧力により大規模小売店舗立地法の規制が大幅緩和(のちに廃止)された1991年を境に、地方都市郊外に大型ショッピングモール、ロードサイド店舗が増殖し、商業エリアが分散したのが主な原因。他に、1990年代以降、公共施設なども中心市街地から広い土地が確保できる郊外に移転したことも原因である。
これにより車なしでは衣食住すらままならなくなってしまう街づくりが自ずと進行、かつて主流だった地方都市の商店街は衰退し、シャッター通り化した。バスや鉄道も次々と廃止され、地方住まいの人間は半ば強制的に運転免許はもちろんのこと、一人につき一台の自動車の保持が義務付けられている。こうなってしまうと免許を持てない高校生などは遊びに行くところもなくなり、車を所持できる年齢の人でも何らかの理由で免許停止処分を食らっただけで行動範囲が大きく狭められる。
こういった事で、大都市圏への人口流出に拍車がかかり、車を持ちたくない若者の地方離れすら招いている。