「もう大丈夫!何故って? 私が来た!!」
「君はヒーローになれる」
プロフィール
概要
作中において絶大な力と人気を誇るNo.1ヒーロー。主人公緑谷出久の師匠であり、彼の通うヒーロー養成校雄英高校の教師を務める。
存在そのものが敵(ヴィラン)犯罪の抑止力とされ、作中において“ナチュラルボーンヒーロー”、“平和の象徴”と称される生ける伝説。
とある町を訪れた際に“無個性”の少年・緑谷出久と出会い、彼が見せた勇気にヒーローとしての資質を見出して自分の後継者とするべく鍛え上げていく。
人物像
非常に正義感が強く、相手に不安を与えないため、常に笑顔を絶やさない。強面な濃い見た目に反してやたら喋り方がフランクでアメリカンジョークも交えたりと、茶目っ気も結構強い。
「〇〇が来た!」というフレーズを決め台詞としておりよく使う。電話の着信音は「でーんーわーがー来た!」である。
ただ、そうした笑顔は「平和の象徴」という重圧から己を騙すものでもあるため、人目の無い所で隠れてアタフタしている事が度々ある。
年齢不詳、"個性"の詳細は世間には非公開と謎は多いが、本人は「隠し事はするが、嘘は吐かない」としている。
実は物語の開始5年前に、とある大物敵(ヴィラン)との闘いで重症を負ってしまい、その後の度重なる手術と後遺症によって、現在では見る影もない痩身となってしまっている。ヒーローとして活動できる時間は物語開始時点で3時間ほどであり、これはストーリーが進む毎にさらに短くなっていく。その秘密を知るのは、後継者である出久や親しい友人、同じ雄英高校の教師達など限られた者のみ。
母校である雄英高校に教師として赴任したが、これは弱体化のカモフラージュに加えて、ヒーロー育成の最高峰・雄英高校で、自身の後継者となりうる人材を探すためだった。
教師としてはド素人であり、元来の不器用さもあって結構苦労しており、カンペや参考書が欠かせない。親友の塚内直正からも「向いてない」と言われている。
出久がオールマイトの後継者であることは周囲には秘密としているが、校内では2人で話し込んでいる姿が度々目撃されているため、出久がオールマイトの「お気に入り」であることは、半ば公然の事実となっている模様。
当初は誰かを救える人間になろうと必死な出久にヒーローとしての資質を見出し、できる限りその姿勢を後押ししてきた。しかしアクシデント続きの高校生活の中で、余りにも自分の身を顧みず行動する出久の姿に次第に不安が募っていき、そして雄英体育祭にて一線を越えかけた際、彼の見込んだ出久の心の強さは、逆に出久自身の未来を摘みかねないことに気づいてしまう。
そのため物語の前半は、師匠として出久を叱責しつつも、悪の手から生徒達の未来を守り抜くために奔走していくこととなる。
容姿
前髪を角のように二本立てたオールバックの金髪と、白黒逆転した強い眼差し、きらりと光る白い歯。筋骨隆々のマッチョボディを誇る大男。なぜか彼だけはアウトラインや陰影が強調されたアメコミ画風で描かれる。
なお、逆立った前髪は、企画段階で彼がまだ「オールマイト」という名前ではなかった頃の名残であり、作者は“ヴィクトリー”の「V」をイメージしたもの」という裏話を語っている。
青を基調とした星条旗カラーのヒーローコスチュームは、“ゴールデンエイジ”のコスチュームと呼ばれている。
左イラストは過去に使用していた“シルバーエイジ”のコスチューム。色合いは同じだが、赤い上半身のスーツと赤い裏地の青マントが特徴。ファンサービスのためか、現在でも時折こちらのコスチュームで人前に現れることがある。
過去にはサポートアイテムの装着を検討したこともあったが、自身のフルパワーの反動に耐えることができる装備が存在しなかったため、結局は己の身ひとつで戦うことを決断したという。ちなみにその際の姿は生粋のオールマイトマニアの出久ですら存在を知らなかったほど貴重なものだとか。
トゥルーフォーム
現在の彼の本来の姿。ちなみに、ヒーロー活動中の姿は「マッスルフォーム」と呼ばれる。
トレードマークの二本の角は垂れ下がり、画風もがらりと変わってまるで子供の落書きのような骨ばった姿となる。日頃の無理が祟ってか、この状態では少し興奮しただけで喀血してしまう。
マッスルフォーム時の気迫は目に集約されており、濃い影になった眼窩の奥では、曇りない瞳が強い光を灯している。
普段の姿とのあまりの違いから、一目見ただけでは誰もオールマイトとは気づかない。雄英体育祭では保健室でうっかり出久のクラスメイト達と鉢合わせてしまったが、同一人物だと気づいた者は誰もいなかった。なお、塚内と出会った頃は、この姿を使って「オールマイトの部下の八木俊典」として接触していた(すぐにバレたが)。
ヤングエイジ
2018年公開の劇場版「2人の英雄」では青年期(ヤングエイジ)のビジュアルが公開された。アウトラインや陰影が無く、目のくぼみもまだ浅く白目がハッキリと見えている。コスチュームも現在とはやや異なり、ライトブルーのマントと手足を覆う銀色の装甲が特徴。なんでも、アメリカで生活する内にあのアメコミ調の画風になっていったらしい。腹筋を力み続ける要領でマッチョボディに変身したりと、色々と常識外れな男である。
入場者特典のコミック『Vol.Origin』に掲載された描き下ろし「オールマイト:ライジング」では高校時代のビジュアルが明確に描かれており、雄英卒業の頃にはマッスルフォームの体格となっていた。顔立ちはヤングエイジより更にくぼみが浅くなっている。
個性
彼の“個性”の詳細は世間には公開されておらず、一般的には「怪力」や「ブースト」などと呼ばれている。
個性の名は”ワン・フォー・オール”。“己の力を次の者に引き継ぎ、力を育てていく”個性であり、歴史の裏で正義の意思と共に脈々と伝承されていた。詳細は個別記事を参照。
性質としては“自らの肉体を強化する”というとてもシンプルな個性。前述の怪我の後遺症に加えて、出久に力の大部分を継承したため、現在では全盛期ほどの力は無いとされる。だが彼はそれを長年の経験と強靭な意志力によってカバーしており、衰えてなお他を寄せ付けない圧倒的な力を保持している。
幾人もの超人達によって極められたその力は作中を通しても破格の威力を誇り、ジャンプ一つで日本中を飛び回り、ありとあらゆる敵を圧倒的な力技でねじ伏せてしまう。まさに究極の脳筋。
オールマイトはこの個性の8代目の継承者に当たり、自身は元々無個性だったとの事。先代は他の個性も持っていたらしいので、無個性でなければ継承できない訳ではない。
なお、彼は個性の扱いに関しては天才肌であったようで、継承された直後には既にOFAの力を感覚的に扱うことができたという。(そのため、出久への指導には勝手がわからず苦労している様子が度々見られる。)
グラントリノによれば彼と出会った時には既に100%の出力を引き出すこともできたようだが、どこにでもいる“無個性”の少年であった当時の彼が、なぜそれほどの常人離れした身体能力を持っていたのかは、作中では明らかになってない。
ルーツ
この個性の発端は、「オール・フォー・ワン」と呼ばれる人物が自身の“他者の個性を奪い、与える個性”によって弟に与えた“力をストックする個性”と、その弟が元々持っていた“個性を譲渡する個性”が合わさって生まれたもの。
そもそも、弟は裏社会の支配者として君臨する兄の所業に心を痛めていて、力を与えられても従わずに後継者を育て、いつの日か兄に対抗出来る者を出す道を選んだという。
前述した「オールマイトに重症を負わせた大物敵(ヴィラン)」というのもこのオール・フォー・ワン。彼との戦いはオールマイトの代だけでも長期に渡るものだったようで、先代継承者・志村菜奈も18歳の頃の戦いで殺されている。そして、5年前の戦いでは、自身も脇腹を貫かれながらも致命傷を与え長き戦いに終止符を打った。
・・・とオールマイト達は思っていたのだが、あちらもまた満身創痍ながら生き延びており、敵(ヴィラン)連合の黒幕として暗躍している。
死闘の果てに
「さらばだ ワン・フォー・オール」
夏合宿で攫われた爆豪勝己の奪還と敵(ヴィラン)連合の殲滅のため、プロヒーローと警察の連携による電撃奇襲が行われ、あと一歩の所まで追い詰めたのだが、最後まで潜伏していると思われたオール・フォー・ワンが現れ、直接対決する事になる。
お互いに衰えてもなお圧倒的な力を持っており、街を壊す程の凄まじい激突を繰り広げていくが、ついに活動限界を超えてしまい、さらに世間に「トゥルーフォーム」を知られてしまう。だが、それでも皆の声援と「生きて出久を導かねばならない」という使命感で限界を超え、渾身の一撃「ユナイテッドステイツ・オブ・スマッシュ」を決めて勝利を収める。
だが、この戦いで彼の中に残った「ワン・フォー・オール」の残り火は潰えてしまい、"平和の象徴の死"という大きな代償を払う事になった。
そのため、彼自身はヒーローを引退し、雄英高校で出久の育成に専念する事を決意する。
だが、当然"平和の象徴の消失"が世間に与えた衝撃は大きく、ヒーローと敵(ヴィラン)の双方が在り方を変化させていく激動の時代を迎える。
引退後もマッスルフォームへの変身だけなら数秒ほど可能なようで、挨拶代わりにこの姿になることがある。
ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-
ちょい役で何度か出ていたが、第37話にてようやくメインで登場。
トゥルーフォームが出てくる事から、オール・フォー・ワンを一度退けた後のようだ。
余談
- 2016年6月10日に発売された『月刊ニュータイプ』7月号では、『ヒロアカ』アニメ第1期が大詰めを迎えていたことと、発売日の6月10日がオールマイトの誕生日だったことから、ヒロアカ特集ならぬ「オールマイト特集」が組まれていた(内容は見開き2ページの描き下ろしイラストに加え、担当声優・三宅健太、キャラクターデザイン&総作画監督・馬越嘉彦へのインタビュー、原作者・堀越耕平へのアンケートなど、オールマイトを作り上げる上での裏話が数多く語られていた)。
- 物語開始直後はその一切が謎に包まれているオールマイトだが、ストーリーが進むにつれてその素性が明かされる。それと共に、No.1ヒーローとしての輝かしい功績の裏で、彼が多くの犠牲と後悔を積み重ねてきたことが明らかになっていく。作中においては、出久の純粋で直向きな姿にかつての自分を重ねており、そして弟子である出久に触発されて変化していくオールマイトの心情もまた作品の見所の一つである。
- ちなみに学校における彼のポジションは、「主人公と重要な秘密を共有して、影ながら応援しつつも導いていく。病弱(?)設定な学園のアイドル(?)新米教師」である。自作の弁当を持って出久をお昼に誘うなど、そこだけ見るとまるでヒロインのようにも見えてしまうのだから、恐ろしい箇条書きマジックである。