概要
「広翼類」ともいい、古生代において主にシルル紀等に栄えた鋏角類の節足動物である。ラテン語で「広い翼」を意味する学名「Eurypterida」(ユーリプテリダ)を示す通り、多くの種類は遊泳に使われる幅広い後脚を持つ。
後述の系統関係云々はさておき、サソリではない。
形態
他の鋏角類と同様、ウミサソリの体は大きく分けて頭胸部と腹部(前体と後体)からなる。サソリのように、腹部は太い前腹部と細い後腹部(中体と終体)として区別できる。頭胸部の上側はそれぞれ1対の複眼と単眼をもち、裏側は1対の鋏角と5対の脚があり、多くの種はその最後の1対が遊泳用のオール状に変化している。鋏角(口元に当たる小さなハサミ)は通常では非常に小さいが、プテリゴトゥス類の鋏角は例外的に長く伸びる。
数cmの小型種から2m以上の大型種を含め、特に後者は地球史上最大の節足動物を含んだ。体長は2.5mに達するジェケロプテルス、体重は丈夫なヒベルトプテルスが最大(重)級といわれる。
生態
オルドビス紀に出現してから、浅海、特にサンゴ礁のラグーンに棲息し、淡水域に棲息するものも多く、陸上に進出する種もいた。
シルル紀までは食物連鎖の頂点捕食者として君臨している種類もあったが、デボン紀になるとダンクルオステウスや鮫類など顎を発達させた魚類の台頭により徐々に衰退し、ペルム紀末期に三葉虫などとともに絶滅した。
系統
古くはサソリの祖先を含んだグループと考えられてきたが、現在は系統的にサソリを含んだクモガタ類そのものと対になる説の方が主流である。通常はカブトガニと共に節口綱としてまとめられる。
┗┳━ウミグモ
┗┳━カブトガニ
┗┳━ウミサソリ
主なウミサソリ
- メガログラプトゥス - 全長1-2m、第2脚はとても強大。
- ミクソプテルス - 全長0.5-1m、第2脚は強大、サソリのような尾をもつ。
- プテリゴトゥス - 全長0.5-2m、鋏角はとても強大、オール状の尾をもつ。
- アクチラムス - 全長0.2-2m、同上。
- ジェケロプテルス - 全長1-2.5m、同上。
- フグミレリア - 全長0.06-0.2m、鋏角はやや大きい。
- ユーリプテルス - 全長0.2-1.3m、ウミサソリとして代表的。
- スリモニア - 全長0.2-1m、頭胸部は四角く、オール状の尾をもつ。
- スティロヌルス - 全長1.5m、後脚はとても細長い。
- ヒベルトプテルス - 全長およそ2m、丈夫な体型をもつ。