概要
フレメヴィーラ王国における新たなる幻晶騎士(シルエットナイト)。
大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)後に入手した飛空船(レビテートシップ)関連技術を元にエルネスティ・エチェバルリア が提案、飛行可能な機体を目指して開発された。
人魚のような外見をもつ、後の空戦仕様機(ウィンジーネスタイル)の開祖。
開発にはツェンドルグの設計思想が反映されており、下半身部分に魔力転換炉(エーテルリアクター)を二基、源素浮揚器(エーテリックレビテーター)や源素供給器(エーテルサプライヤー)など飛行に必要な技術が詰め込まれている。
魚のような脚部は鰭翼に置き換えられており、ランディングギアとして使用や歩行も可能。
操縦席は背部に設けられており、飛空という仕様上から緊急時の脱出装置の機能も搭載。また同じ理由で搭乗の際は降下甲冑(ディセンドラート)と呼ばれる幻晶甲冑を着用する。
欠点として、源素浮揚器の機能上、急に高度を変える(=急に周囲の大気中のエーテル濃度が変わる)と、浮揚器が不安定になり失速・墜落する可能性がある。そのため、ゆっくりとしか上昇、下降できない。
幻晶騎士単体の性能も優秀で、飛空しながらの法撃は勿論ワイヤーを射出しての捕縛・近接も高く、それまで飛空船固定だった対空上魔獣において制空権を確保できるようになった。
後にこの機体をベースに、先行量産型のトゥエディアーネ(下記)が開発されている。
この機体自体は試験騎操士(テストランナー)であったアデルトルート・オルター(アディ)がそのまま使用し、「シーちゃん」と呼んで愛用していたが、ボキューズ大森海での穢れの獣(クレトヴァスティア)との戦いで墜落したイカルガを助けるために機体を地表へのクッションとしたために大破(アディはギリギリで脱出)。その残骸はカササギの建造やイカルガの再建に使用された。
シルフィアーネ一世
上述した形態はシルフィアーネ『二世(セカンド)』であり、その前に製作された幻晶騎士。
‥‥のだが一世は外見も中身も完全に失敗してしまったことで不評であり(「親方」ことダーヴィド・ヘプケンが作れというなら団を抜けると冗談を抜かす、アディが試験中に搭乗拒否する等)、黒歴史扱いされて半ば存在を抹消されている。そのため、「シルフィアーネ」と言ったら、通常は二世か後述の三世のことを指す。
派生機
トゥエディアーネ
シルフィアーネのデータを元に改修された量産機。
フレメヴィーラ王国における初の空戦仕様となる幻晶騎士。
今までと操縦系統が違うということで「騎操士(ナイトランナー)には幻晶騎士をまだ知らない若人の方が適任」という理由から、国王リオタムスにより新設された「紫燕騎士団」に受領される。
そして銀鳳騎士団中隊長格指導の元に訓練を受け、初の飛空船防衛を見事に果たす。
巨人戦争では穢れの獣との空中戦が多かったため、銀鳳騎士団のほぼ全員がこの機体に乗り換えている。
誕生までの経過からその後にいたるまで、銀鳳騎士団の今後の運命を左右した機体。
浮遊大陸編では、他国の開発が主に飛空船の改良や小型化がほとんどなため、やはり空を飛ぶ幻晶騎士を開発するのはフレメヴィーラ王国くらいなのだろう。
主なパイロット
エルネスティ・エチェバルリア
ヘルヴィ・オーバーリ他銀鳳騎士団団員
紫燕騎士団団員
カササギ
アディのシルフィアーネの機体パーツが素材に使われた。
イカルガ
本来の心臓部に変わり、再建時にシルフィアーネの魔力転換炉が使用された。
シルフィアーネ・カササギ三世(サード)・エンゲージ
巨人戦争後、分解されたカササギの機能を継承する形で作られた新型機。名前は不評だったため、普段は二世同様「シルフィアーネ」で呼ばれる。
可動式追加装甲(フレキシブルコート)を兼ねた大型の翼を追加しており、この翼により他の空戦仕様機よりも直進時の安定性が高い。また、操縦席も操鍵盤(キーボード)がついたイカルガに近いものとなっており、当初からアディの搭乗を前提として造られた事実上の専用機。
また、劇中のエルとアディの会話から、イカルガとの連携=マガツイカルガへの合体も想定されている模様。
外装に結晶質の透き通った外板状結晶筋肉(クリスタルプレート)を予備動力も兼ねて取り付けられ、見た目も豪華。なお、外板状結晶筋肉は構造が脆く、追加装甲には不向きだが、機動性が高いので問題ないと判断された。
当初は「シルフィアーネ・カササギ三世」という名前だったが、完成後、エルから婚約指輪代わりに「エンゲージ」の名前と共にアディに贈られた。
‥‥言うまでもないが、婚約指輪代わりにロボット兵器を贈るなんて、作品世界広しといえどエルぐらいであり、そんな物を贈られて喜ぶのもアディぐらいである。