概要
- ドイツ軍が使用した戦車「ティーガーⅠ」は二種類の試作を経て制式採用された経緯を持つ。ポルシェ社が試作した採用されなかった方がこのポルシェティーガー。
- 車体はⅣ号戦車の守旧的な構造を引き継ぎ、T-34のような傾斜装甲や曲面化された装甲形状を持たない。
- 足回りの構造等、幾つかの試験的な設計が施されており、最大の特徴は駆動動力として電動モーターを採用している点である(発電用に普通のエンジンも搭載されている)。
- これはポルシェ博士が機械式操行装置の信憑性を危ぶんでおり、電動方式にすれば変速等によるギアチェンジ、複雑なステアリング装置が省略でき、電量の調節で無段階変速(極端な例で言えば、グランツーリスモのGTbyシトロエンみたいな感じの走行)が可能なので効率的なのだと考えたため。エンジンで発電 → モーターを駆動というコンセプトは昨今のハイブリッドカーの隆盛でわかる通り決して間違ってはいない。だが、当時は電圧を高効率で自在に調節できる半導体インバーター(VVVFとか)がないこと、パワーを一時的に蓄積するバッテリーを搭載していなかったこと、モーターが本来は魚雷用で非力だったことがあったためコンセプト通りの性能を出すことができなかった。時代が早すぎたのだ。(総統閣下が重装甲の大型車両にこだわり過ぎたせいもあるが)ティーガーはおろかパンターでも変速機などの故障が頻発しており、ポルシェの懸念も杞憂ではなかった。
- さらに、発電機、モーターの両方に貴重な戦略資源である銅を大量に使うということと、発電機とモーターから発生する電磁波により車内・車間通信が非常に難しいということ、さらには採用した空冷エンジンの性能が原因で坂を上る力が非常に弱いという問題もあり、採用には至らなかった。
- (総統閣下の勝手な判断で)不採用決定の時点で車体部分が既に100両分完成しており、内10台はポルシェティーガーとして完成し、訓練用、指揮車両(砲塔をつけて)として使われ、残り90台はエレファント駆逐戦車等に再利用された。
- ちなみにポルシェティーガーの車体を利用して作られたエレファントは、エンジンをマイバッハ製に変更したものの、駆動方式はそのままハイブリッド駆動を採用していた。通信にノイズが乗るという欠点は最後まで克服できなかったが、ハイブリッド駆動装置の故障は意外に多くなく、1945年4月まで戦い抜いていることから、コンセプト自体は間違っていなかったことが証明されている。
性能
全車長 | 9.34m |
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車体長 | 6.7m |
車体幅 | 3.14m |
車高 | 2.8m |
重量 | 57~59t |
懸架方式 | 縦置きトーションバー方式 |
最高速度(整地) | 35km/h |
行動距離(整地) | 80km |
主砲(弾数) | 56口径8.8cm KwK36戦車砲(70) |
機銃 | 7.92mm MG34機関銃×2 |
装甲 | 前面100mm 側後面80mm |
搭載エンジン(馬力) | ポルシェ101/1空冷V型10気筒ガソリンエンジン(発電用)×2(320hp) |
乗員 | 5名 |
まさかの復活
- 戦後、数両のみ実戦投入されたポルシェティーガーが複数出現しているとの噂があった。その噂を調査すると、驚愕の事実が判明。なんとT-34をティーガー戦車風に改造した車両だったのだ!
- 真相はこうである。第二次大戦ものの映画の撮影用にドイツ軍の戦車が必要であるが実車はレンタルするのにお金がかかる、またはできないという事態が発生した。
- そこで別の戦車を改造し、ドイツの戦車に見せかけることにしたのだ。その中でT-34を改造した偽ティーガーが車体前方に砲塔があるためポルシェティーガーに見えたのだ。T-34以外にもT-55(主に旧共産圏作成の映画)やM47(主に米制作の映画)がドイツの戦車を演じていたが、丸い砲塔に違和感を覚えた人もいた。