「さあ……振り切るぜ!」
演:木ノ本嶺浩
概要
家族を皆殺しにしたWのメモリを持つ男を追って風都警察署にやってきた刑事。
年齢は28歳前後(後年発売された『仮面ライダーチェイサー』のファンブックにて、演者の木ノ本氏が「W本編では28歳くらいという設定だった」と発言している)。
第18話ラストにて「風都を嫌う者」として登場(この直前風都を愛する敵幹部が死亡しており、対照的になっている)。翌第19話にて、鳴海探偵事務所に依頼人として現れた。
また、第18話以前より事務所に何度か出没していたビートルフォンの持ち主でもある。(その後の描写を見る限り偵察に用いていた模様)
ドーパントによる事件専門の部署である超常犯罪捜査課のトップで、この若さでありながら階級は警視(わかりやすく言うと相棒の杉下右京やルパン三世の銭形警部より階級が上)。刃野刑事や真倉刑事の上司に当たる。
性格は正真正銘のハードボイルドにして一匹狼。クールに何事も完璧にこなすタイプ。しかしあまりに真っ直ぐすぎて空回りすることも。
赤い革ジャン(たまに青も着る)を着て風都で起こる奇怪な事件に立ち向かう。身に付けているペンダントは、妹の春子から贈られた誕生日プレゼントにして彼女の形見。
シュラウドから託されたアクセルメモリとアクセルドライバーを使って、風都のもう一人の仮面ライダー、仮面ライダーアクセルに変身する。
家族構成は、父の雄治、母の真由美、そして妹の春子(いずれも照井の物語初登場時点で故人)。
警察官であった父に憧れて自分も警官になり、順調に仕事で成果を挙げる日々だったが、ある日帰宅した彼の目に飛び込んできたのは、すでにドーパントの手にかかり冷たくなっていた家族だった。
悲しみと怒りに打ちひしがれる最中に現れたシュラウドから、家族の仇である「Wのメモリの男」の話とエンジンブレード(後にアクセルドライバーとアクセルメモリも)を受け取って以降、ドーパント及びガイアメモリ犯罪に強い憎しみを燃やし、陰に日向にそれらと苛烈に戦っていくこととなる。
しかし事務所との関わり合いの末、復讐と憎しみに燃えていた思考も徐々に変化が訪れる。そしてインビジブル・ドーパント事件を経て「自分を心配する者がいるのに、自ら命を捨てることは愚か」であることを学び、翔太郎達から仮面ライダーの仲間として認められた。以降は頻繁に事務所に出入りするようになり、復讐ではなく人を守るために井坂と戦うようになる(ただし井坂への止めは自分で刺そうとしており、敵討ち自体は諦めていない)。
そして第35話にて、井坂によってメモリを植え付けられかけた少女島本凪と遭遇。彼女に妹の面影を見出だしたこともあって、凪を救うため第36話にて強化形態の力を会得し井坂をメモリブレイクした。
若い年齢に見合わぬ、警視という高すぎる階級(それも家族を皆殺しにされてから1年足らずの間でという、同じ刑事かつ仮面ライダーで特殊な事件と戦ってきた泊進ノ介(※ロイミュードとの戦いを完遂して巡査→巡査部長)と比較しても異常な昇進スピード)と風都署への超常犯罪捜査課の創設も、彼のそうした事情からの(通常の警察の捜査では難しすぎる)ガイアメモリ犯罪に対する高い検挙率や対処能力によるものと思われる。
決め台詞(というか、彼のお決まりの常套句)
『俺に質問するな』と『振り切るぜ』、そして『絶望がお前のゴールだ』がよく用いられる。
- 『俺に質問するな』
他人から詮索されるようなことを好まないため、気に入らない相手の発言を一蹴する場合と、信頼を築いた相手からの気遣いに対する『心配するな、聞かれるまでもない』という返事の場合の、二つの意味合いを持った、彼一流の返句。
臆病な子供相手だと流石に言い方を考える。
「俺に質問…しないでくれるかな?」
- 『振り切るぜ!』
何らかの面倒な案件(大概が事件捜査やライダーとしての荒事など)に挑む際の、すぐに終わらせて過去のものにしてやる、という気合をこめた一言。
- 『絶望がお前のゴールだ』
とどめの決め台詞。ガイアメモリ犯罪に手を染めた者に、決定的な終わりの一撃を見舞った際に叩きつける。
なお、アクセルトライアル変身時のとどめの台詞は『9秒××。それがお前の絶望までのタイムだ!』。これは、アクセルトライアルのマキシマムドライブに10秒の時間制限があるため。その時間を刻むトライアルメモリのストップウォッチに因んでいる。
身体能力と精神耐性
第22話のサブタイトル「死なない男」、そして本人もしばしば「俺は死なない」と口にしている通り、戦いでどんなに酷い大怪我を負っても無事に生還した不死身の男でもある。
- 照井の家族を皆殺しにした仇敵に扮した事件の犯人に工事現場に誘い出され、頭上から鉄骨の束を落とされて大怪我をするも、犯人の前にそのまま駆けつけ、戦闘参加。
- テラー・ドーパントが召喚したテラードラゴンに噛みつかれ瀕死の重傷を負うも、次の回でベッドから這い出してリベンジを果たす。
- ユートピア・ドーパントの攻撃を受けて火だるまになり病院送りとなったが、包帯ぐる巻き状態で無事生存。
- オウル・ドーパントに不意をつかれて殴り飛ばされ、建物の(少なくとも五階以上にある)窓を突き破って外の歩道に転落し、血だまりができるほど血を流しておきながら立ち上がって変身し、そのドーパントを撃破。
ひょっとしたら彼もまた異能生存体なのかもしれない。
ちなみにアクセルドライバーを渡されるまでは、
切っ先を下にして落とせばアスファルトに突き刺さり、投げつけられたコンクリートの壁が砕けるほど重いエンジンブレードを生身で引きずりながらドーパントに立ち向かっていた。ムチャにも程がある。
そんな戦い方を続けていた経験や、アクセルになるため鍛えていたこともあってか、変身していない生身での戦闘能力もかなり高く(流石に怪人級相手では分が悪いが)、鳴海亜樹子にアクセルドライバーとメモリを没収されていた劇場版『MOVIE大戦CORE』では生身のままでエンジンブレードを振るってプテラノドンヤミーに応戦しており(劇場版『AtoZ/運命のガイアメモリ』ではNEVERのスナイパー・芦原賢相手にもブレードを使って戦っている)、またVシネマ『仮面ライダーアクセル』内でも、コマンダー・ドーパントが作り出した手下のコマンド部隊や、人間のマフィア十数人を一度に相手取り、その全員を(特に後者は徒手空拳のみで)叩きのめす大立ち回りを演じたりもしている。
シュラウド曰く「ドーパントの行う精神攻撃に耐性がある体質」らしく、彼女からは恐怖を操るテラー・ドーパントへの対抗策として期待されていた。また、この耐性の為か作中どんな障害や敗北に対しても屈することはなかった。
これらの要素ゆえ、本作のファンからは主人公よりも主人公属性があると言われることも。実際、彼の主役回は翔太郎とフィリップよりも主人公感が満載である。
ただ唯一、第自主制作映画の監督をし始めた亜樹子にキスシーンを無茶振りされた時は流石に尻尾を巻いて(と言うより「振り切って」。ご丁寧に上記決め台詞とシグナルサウンド付き)逃げ出した。
……が、その後それすらも「克服した!」とヤケクソ気味にのたまいながら事務所に舞い戻り、
見事に熱いキスを成し遂げて見せた。
……………………………翔太郎に。
人間関係
左翔太郎ら鳴海探偵事務所の3人とは、上述のドーパント犯罪への憎悪や、照井からすればそれに比して甘すぎる事務所のスタンスから当初は馬が合わなかったが、いくつかの事件解決に協力する内に打ち解けていくようになる。コーヒーを淹れるのが得意で、彼らに振舞う事も。
ただし、他人を名前で親しく呼ぶ事に照れがあるのか、翔太郎を『左』と苗字で、亜樹子のことも『所長』と呼んでいる。(フィリップは本名不詳だったのでそのまま「フィリップ」)
鳴海探偵事務所の面々と付き合っていく内に、亜樹子とは劇場版『AtoZ 運命のガイアメモリ』で「一緒に風都タワーへ花火を見に行こう」とデートの約束をするような仲になり、後のオーズとのコラボ劇場版『MOVIE大戦CORE』でついに結婚。幸せな家庭を破壊されるという過去の絶望を振り切り、新たに幸せな家庭を築いていくというゴールインを果たした。
ちなみに亜樹子と結婚してからの夫婦生活でも亜樹子のことは名前で呼ばず、前述の通り一貫して『所長』と呼び続けている。
ただこの呼び方も、亜樹子に対する愛情がないというわけではなく(むしろ作中描写を見る限りラブラブ?)、照井なりの彼女に対する愛称とも思われる。が、当の亜樹子は名前で呼んでもらえない事に不満やよそよそしさ的な不安を感じていたようで、これがVシネマ『アクセル』における離婚の危機につながっていくことになる。
Vシネマのラストで事件と危機が解消された後でも翔太郎たちに『所長』呼びが元でからかわれ……
「所長は、所長だ……」
フィリップ「では僕たちが亜樹ちゃんのことを名前で呼ぶのはどうだろう?」
周囲一同&亜樹子「亜樹子」「ハイ」「あーきーこ」「はーい」
「人の妻を気安く呼ぶなぁ~~っ!?」
と、顔面崩壊しながら狼狽した。
仮面ライダーチェイサーに出演した際には、亜樹子との間に娘の春奈が生まれていたことが明らかとなった(亜樹子のことは相変わらず「所長」呼び)。娘にはかなり甘いようで、電話越しに話していた際には普段の堅物っぷりからは想像もできないようなデレっぷりを披露している。
ヒデヨシ
「天下分け目の戦国MOVIE大合戦」では照井のそっくりさんとして武将「ヒデヨシ」が登場。大阪辺りを支配しているらしい。軍配には「俺に質問するな」と書かれている。
武神Wを倒した武神鎧武にエンジンブレードで斬りかかったが、亜樹子のそっくりさん「チャチャ」にスリッパならぬ草履で止められた。
どこの世界でも照井は照井である。
なんの因果か、ヒデヨシとチャチャを演じた役者は関西地方の生まれである。(ついでに言うとチャチャの元ネタも大阪生まれなので、そこから大阪辺りを支配している設定になったのだと思われる。また、史実でも豊臣家と縁の深いエリアだったりする)
後輩との共演
2016年4月20日(水)より発売中の『仮面ライダードライブ』のVシネマ作品、『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』に出演。こちらの作品でも風都署超常犯罪捜査課の刑事として登場する。
劇中では、ロイミュード051のコピー元と見られる人物の死体が東京都と風都との境目で倒れていたことから本庁と捜査権の取り合いになり、進ノ介と剛と出会う。
そして死体の正体であるロイミュード077の変身した、ビースト・ドーパントとの戦いで進ノ介たちと共闘した(奇しくも、あの時勝てなかったビースト・ドーパントへのリベンジを成功させている)。
なお、『W』から『ドライブ』までの間も続けていたたゆまぬ鍛錬の賜物か、W本編中においては生身だと『地面に引きずるか両手で抱えなければ保持できなかった』重量武器であるエンジンブレードを、『片手で柄を握り、刃を上に向けて保持する』という生身でのパワーアップぶりを披露していた。
『仮面ライダードライブ』とは、メインライターが同じ・仮面ライダーの変身者が刑事・変身するライダーのメインカラーが赤・乗り物(バイク/車)がモチーフ等といった共通点があり、今回の共演はこれらの理由によるものと思われる。
所属する部署が「通常の警察の捜査セクションでは対応できない超常的な犯罪・事件への対応部署」という共通点もあるが、特状課の設立は2014年度初頭のグローバルフリーズ発生以降であり、稼働開始が2010年である超常犯罪捜査課には数年及ばない。
照井が「超常的な犯罪・事件への対応部署」を新設することを認めさせ本庁から責任者として出向してきたという背景を考えると、特状課設立が認められた背景には成果を挙げている前例の存在もあったのではないかと推測される。
また、ロイミュードの離反が2000年に発生していたことを考えると、超常犯罪捜査課の設立承認には利害が一致していた同階級の本願寺純の後押しがあった可能性も考えられる。
なお、階級が階級(この若さで、進ノ介ら特状課のボスである本願寺課長とタメである)だったためか、進ノ介からは「下手なことをしたら自分の出世に響く」と終始恐縮されており、剛が照井に馴れ馴れしいタメ口をきいた際には、その無礼を進ノ介から大慌てで侘びられていた。
仮面ライダージオウのVシネマ『ゲイツ、マジェスティ』にも登場。ジオウにおいて、ダブルは本編より本編外の方が客演したキャストが多いことになる。また、これを受けて所長役の山本ひかる氏がTwitterで反応している。
劇中ではオーラの父親が知り合いだという警視総監のツテで、柔道大会で怪我を負い選手生命を絶たれていた明光院ゲイツと対面。かつては復讐の為に動いていたが、そんな自分を仲間が変えてくれたという自身の過去をゲイツに語り、その上で「生きる上で大事なのは何になるかではなく、自分が人に何をできるかだ」「君は人に何がしたいんだ?」と問いかけた。
その後、カッシーンに攫われた常磐ソウゴがいる廃工場までゲイツをバイクで連れて行き、自身はアクセルに変身してカッシーンと対決。途中でカッシーンが2体に増えた事で苦戦するが、戦う覚悟を決めて再びライダーに変身したゲイツと共闘し、彼とのダブルライダーキックで見事カッシーン達を撃破したのだった。
余談
よく酢昆布がネタにされるが、これはライアー・ドーパントとの戦いで、ライアーの能力で暗示にかけられ、メモリブレイクしたと思ってガイアメモリを拾ったつもりが酢昆布だったため。
死なないことに定評のある照井だが、彼が乗るバイクのナンバープレートも4771(死なない)だったりする。
彼の性格について、初期では今に近い性格と後の泊進ノ介に近い性格の二つの案があった。そのため、MOVIE大戦2010では後者の名残があったという。
所持メモリおよびガジェット
- アクセルメモリ
- トライアルメモリ
- エンジンメモリ(エンジンブレード)
- ビートルフォン
- ガイアメモリ強化アダプター(Vシネ『アクセル』終了後)
- すこんぶメモリ?
関連イラスト
関連タグ
てりやき:彼の妻となる鳴海亜樹子とのカップリングタグ。
ライアー・ドーパント、ナイトメア・ドーパント:精神干渉系能力もちの中でも数少ない、照井を術中に陥れたドーパント。(照井が耐性を持つのはあくまで精神干渉"波"なので、波を用いていなかっただけかもしれない)
すこんぶ:上記ライアーの能力で、ブレイクしたメモリだと思い込まされた小道具。
風見志郎(仮面ライダーV3):彼と同じく敵に家族を殺され、最初は復讐のために仮面ライダーになろうとした人物。イメージモチーフの一人。
泊進ノ介(仮面ライダードライブ):彼と同じく刑事で、速度に関係する能力を持つ赤い仮面ライダー(ただし、意図的に差別化を図られている)。後に共演することに。
本願寺純(同上):彼と同じく警視で、(一応)仮面ライダーの変身者。上述の泊進ノ介の所属する特状課の長でもある。照井とは、「事件現場の最前線で捜査に当たる/後方から部下たちのサポートに徹する」「若すぎる(20代後半~30代前半)警視にして課のボス/年相応の(50代前後?)警視にして課のボス」「普段は鉄面皮/普段は昼行燈」と、むしろ対照的な面が多い。
大道克己(仮面ライダーW):同じくVシネマで主役になったWのキャラクター。
魔弾闘士リュウジンオー(魔弾戦記リュウケンドー):同じく敵に家族を殺されて、復讐のためにヒーローになった戦士。同じく高速での攻撃を得意としている。
快盗戦隊ルパンレンジャー(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー):同じく敵に大切な人(それぞれ兄・恋人・親友)を奪われ、怪しげな後援者によりヒーローの力を得た者達。ただしこちらはご覧のとおり警察と相対する快盗という逆の立ち位置であり、また(照井の家族は完全に死んでしまったのに対し)奪われた人達を取り戻せる可能性を持っており、終盤で奪還に成功した。
バーナビー・ブルックスJr.:同じく敵に家族を殺され復讐の為にヒーローとなった人物、イメージカラーも同じく赤。中の人は上記のドライブにて物語の全ての元凶を演じる事になる。