概要
アメリカのサンフランシスコに本社を置くリンデンラボ(Linden Lab)社が
運営する仮想世界(メタバース)。
一般的なオンラインゲームと異なり、リンデンラボが提供するのは3Dで
シミュレーションされた空間となっており、専用のビューアー(クライアント)を使って
ユーザーがアクセスする形で利用できる。
リンデンラボ自身はその他の事の殆どをユーザーの自主性に任せており、
一般的なオンラインゲームのように運営側としてイベントやクエストなどを提供したりする事はなく、
デジタルコンテンツの制作、コミュニケーション・コミュニティの形成、その他の活動に至るまで
自主的にユーザーが行う事で全てが作り上げられているという特徴がある。
オンライン版どうぶつの森と例える人もいれば、映画サマーウォーズに登場するバーチャル空間であるOZに例えられる事などもある。
ただし、原則的に自由であるとは言え他のユーザーに迷惑をかけたり
嫌がらせをするような行為はBIG 6と呼ばれる6つの重要なルールとして禁じられており、
これに反した場合はアカウントの凍結やBANと言った処理が行われる事もある。
なお、後述するような日本のメディア上での扱いとSLを開発・運営する
Linden Labには全く関係性がなく、一言で言うと
「Linden Labの運営するサービスに日本の広告業界が目を付け、新媒体として勝手に売り込み、失敗して去っていった」という経緯がある。
こうした実態を知らない人がインパク等とと同じ経緯を辿ったとする事があるが、
SLは2003年のサービスイン以来、今日に至るまでサービスを継続しているため事実誤認である。
日本国内のメディア上での扱い
2003年にサービスインし、一般ユーザーも利用できるようになったSLだが、
日本国内では電通を筆頭とするマスコミ・広告業界が主体となって2005年~2007年頃に
一斉にビジネス雑誌等で「新たな商売の場」として取り上げられた。
この広告業界主体のブームは加熱し(というか、意図して加熱させられ)、
これを受けて様々な企業が参入したものの、喧伝されていた内容は
あくまで宣伝媒体としての利用であったり「仮想の土地転がしで一攫千金」など、
SLの実態とは大きくかけ離れたものであった。
そこそこの数の企業がSL内に自社のパビリオンのような
SIM(土地)を設けていたものの、SLユーザーにウケるコンテンツを発信できた企業と
とりあえず作っただけの企業という形にはっきりと明暗が別れており、
その状態で数年が経過すると宣伝効果は薄れたとして撤退する企業が相次いだ。
~2010年までの間にブームを煽っていた電通以下広告業界も撤退し、
メディア上で作り上げられたSLブームは終焉。
こうした一連の流れや、インターネット上では広告業界への手厳しい意見が多い事もあり、
「SLは大失敗だった」「ブームを捏造しようとして失敗したオワコン」などと
酷評される事が多いものの、上で述べたようにこうした広告業界の動きと
SL自体には殆ど関係がなく、SLに定着するユーザーはこの間も右肩上がりであった。
日本人・日本語圏ユーザーは全体から見ると数%程度と言われているものの、
SL日本人ユーザーによるコミュニティの形成、
日本人ユーザーによるSL内アイテム販売ショップが登場するなど、
現在のSL日本ユーザーの基板となるものが作り上げられている。
また、後述するような別コミュニティからの集団移住や
個人で制作しうる3Dコンテンツのクオリティの上昇、SL自体の新機能追加等が
継続的に起こっており、2020年現在でも新たな物が生み出され続けている。
日本人コミュニティの成立・他ネットコミュニティからの日本人の移住
早い段階からSLに興味を示し定着している日本人ユーザーは
少なからず存在しており、外部のSNSやブログサービス等を介して
情報の共有や交流などが持たれていた。
後にVIPやふたば☆ちゃんねる、ニコニコ動画の特定ジャンルといった
ネットミームを中心とするコミュニティがきっかけとなってまとまった数の
新規ユーザーが現れるという事もあり、それぞれ新たなユーザー層を発掘している。
こうして誕生した新しいコミュニティが先発していたコミュニティや
日本人ユーザーと出会う事で緩やかな繋がりが形成され、
物作りのノウハウの授受やイベントでの交流・合同開催がなされるなど
日本人ユーザー界隈は緩やかな拡大傾向にある。
pixiv上におけるSL作品
SL上のデジタルコンテンツは製作者に著作権が帰属するシステムとなっているが、
こうした商品を購入して組み合わせる事でアバターや風景などを制作し、
その制作したものを被写体に静止画・動画作品を投稿する事が原則的に容認されているため
pixiv上に投稿されている作品も自身のアバターを被写体としたものが多い。
なお、SLはメタバースとしては珍しくR-18的な表現に非常に寛容で、
リージョンによる制限(=TPO)を遵守する限りは基本的に容認されている事などから
R-18要素のある作品も数多く投稿されている。