真名
伝承では源頼光の兄弟として生まれた鬼子である。
丑御前は天神(雷神)の子として生を受けたが、その力から鬼子として寺に預けられた。
しかし、その力を惜しんだ父親の手によって連れ戻され、新しく生まれた息子として扱われた。
つまりは源頼光と丑御前は同一人物だったというわけである。
なお、丑御前の異形としての側面は頼光自らの内に封じられていた。
召喚時に当人がセイバーを自認して登場したにも拘らず、バーサーカークラスが適用されたのは、この丑御前の狂気が関わっていると思われる。
伝承上では父・源満仲の命で命を狙いに来た兄・頼光と、関東一帯を転戦しながら徹底抗戦する。そして隅田川に追い詰められると川に身投げし、身の丈十丈(およそ30m)という化け牛となって最後の抵抗を見せた末に、頼光に退治されたことになっている。
実際は牛鬼の部分を疎んだ父の努力によって牛鬼と頼光を分離させ、牛鬼だけを退治。これによって牛鬼は頼光の心の奥深くへと封印された。
……が、この話にも裏があり、丑御前として暴走して自害に及ぼうとした頼光を金時が食い止めて失神させ、無理くり深層へと押し込めたというのが本当のところ。その後、金時が涙ながらに説得して以来、丑御前が頼光の表層に出てくることはなくなった。
丑御前の方は同一人物という事もあり、本質は頼光と同じ。要するに子煩悩で鬼嫌い。
だが、狂戦士として召喚されたため異形としての側面が強く出ているため、頼光時と比較すると狂気を覆い隠す母性愛と自愛オーラが無くなっている(というよりそれさえ歪に歪んでいる)ため元より狂気の度合いが大きく見える。
要するに頼光時にあったフィルターが外れているのだ。
逆に、ショックなことがあってもひとしきり泣いて喚いてダダこねてしまえば開き直れる頼光ほど心が強くなく、悲観の果てに全ての異形のためという名目で魔境を新たに作ってしまうほど。しかし鬼嫌いで、しかも島の鬼たちも自身が聖杯で作った幻想とあって、そこに棲む鬼や妖魔に一切の情はなく、気まぐれに屠って気晴らしするなど、色々と破綻している。
なお頼光と丑御前とはいわゆる乖離性人格のような関係にあり、丑御前が表層に出てくると頼光自身は丑御前としてしでかした一切のことを覚えていない。
鬼ヶ島のみならず、茨木童子の起こした羅城門異変の根本的な原因を生みだした、いわば平安日本の特異点を作り上げた元凶。
意外にも頼光自身、ただただ屠られ虐げられるだけの妖魔鬼怪たちに憐憫の情は持ち合わせていた。
だが鬼嫌いの性と、丑御前としての狂気で捻じれた結果、忌避する妖鬼たち同様に混沌を撒き散らす“闇”そのものと化している。
金時曰く、生前に丑御前として暴れた際は鬼ヶ島の戦いの比ではないというから、そのヤバさ加減が伺える。
後日実装された絆クエストにて、生前の暴走は人と鬼と神の混ざりものであることに苦悩し、自身と丑御前の存在を分離して丑御前を消し去ろうとした末のことだったことが判明。
また丑御前の消滅は、頼光の消滅も意味し、頼光か御前のどちらかでも消滅すると存在が保てずにどちらも消滅してしまうことも明かされた。
伝承にある牛鬼退治は、とどのつまり文字通りの手の込んだ自殺であった。
宝具
牛王招力・怒髪天昇
――『牛王招力・怒髪天昇』。矮小十把、塵芥となるがいい!
丑御前として宝具を発動した場合の名称。
宝具としての内容は同じだが、「頼光伝説の再現」ではなく「大妖魔・牛鬼」としての怒り狂う力そのものを容赦なく振るうため、その単純な破壊力と繰り広げられる凄惨さは本来の宝具よりも痛烈と思われる。
その他
2017年の復刻イベントにて頼光に宝具ボイスが追加されたのだが……
『牛王招雷・天網恢々』 ふふ……あははははっ!――矮小十把、塵芥に成るがいい!
丑御前の人格がダダ漏れになってしまった。
関連タグ
Fate/GrandOrder バーサーカー(Fate) サーヴァント
天魔御伽草子_鬼ヶ島:このイベントのラスボスを担当。
ローレシアの王子:丑御前だけに限らずFateシリーズの源氏は全てドラゴンクエストモンスターズ+の彼をより掘り下げた解釈をしたものと言える。