概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』の舞台である世界の理(ルール)そのものであり、またそれを強いる存在。
自己の司る理を他者に押し付ける能力はどれも超常的ではあるが、そこには一定の理屈(ルール)が存在する。
作中では、〝UMA■■〟と称される。
特性
基本はバケモノ然とした形態をとるが、その姿は個体やフェーズで大きく異なる。
組織(ユニオン)が挑む黙示録(アポカリプス)の課題(クエスト)で取り扱われることが多く、確認されている限りは「捕獲」と「討伐」の2種類ある。捕獲クエストでは否定者・古代遺物の所在や円卓の席の追加など特に理とは関係のないものが報酬であるのに対し、討伐クエストではそのUMAの理が生み出した弊害を取り除くような報酬が与えられる傾向がある。さらに全課題未達成の罰(ペナルティ)によってUMAは追加される。
バケモノとは言え特殊能力の行使には一定の条件があるが、個体によってはフェーズを上げることでその縛りを緩めることができる。
一覧
- ムーブ
組織の移動手段として運用されている存在。組織に加わったものを円卓に強制連行する際にも使われる。
独自の自我を持った上で、組織には何かしらの取引として協力しているらしい。
正確にはUMAとは明言されていないが、ダイス型の頭部やコマとマス目などの双六の意匠を持った体から、順位や進捗を司る存在と推測される。
- クローゼス
服のUMA。組織によって捕獲されていたところを脱走していた。
不定形のヘドロのような体をもち、憑りついたの人物の望む服に化ける能力を持つ。その服に魅了されてしまった者は身体の主導権を奪われて暴れまわる。特性上、対象は女性を優先する傾向がある。現在は化ける服に対して満足しないアンディに憑いてしまったことで、「丈夫ですぐに再生する衣服」として彼の露出問題を解決することになってしまった。
クロちゃんの愛称で呼ばれ、アンディへの嫌がらせのために風子に協力する事もある。
毛糸玉が好物。
- SPOIL -スポイル-
腐敗のUMA。黙示録の課題で捕獲対象となった。アメリカのロンギングを根城にしていた。
単眼の顔を持った丸い体を核とする。自身の領域内の者にカウントダウンを刻み、0になると永続の腐敗状態を付与してゾンビにしてしまう。ただし夢を語り「心を腐らせない」という意思を見せることでカウントを大幅に遅らせられてしまう欠点もある。一度ゾンビ化されるとまず元に戻ることはないが、稀に自我を僅かに保つ者も存在する。
フェーズ1では町の教会の天使像に化けて人を腐らせていた。戦闘時にはアンディによって切り裂かれた天使像がそのまま顔面に貼りついた巨大な怪物となった。
ゾンビたちを食べることでフェーズ2に移行する。こちらはヘドロのような髪と翼を持った単眼の巨人となる(メイン画像参照)。対象が胴体に近づくだけで腐敗させることができるようになり、腐敗のルールの範疇を超える分解ビームを指先から放つ。
アンディ・風子・シェンの3名によって捕獲された。
- バーン
燃焼のUMA。黙示録の課題で捕獲対象となった。
岩のような体表と燃え盛る炎が特徴的な人型の怪物。体の一部は武器に加工でき、捕獲後は炎を纏った剣などに加工された。
ジュイス・タチアナ・ビリー・一心・フィル・トップの6名によって捕獲された。
- イート
食のUMA。黙示録の課題で捕獲対象となった。
課題提起時のイメージには複数の口が食べ物を食らう様子が映し出されたが、詳細は不明。
ジュイス・タチアナ・ビリー・フィル・トップの5名によって捕獲された。
- ランゲージ
言語のUMA。黙示録の課題で討伐対象となった。
課題提起時のイメージには無地のかるたが散らばっている様子が映し出されたが、詳細は不明。
ニコによって討伐され、言語が英語のみ世界に改変された。
- パスト
過去のUMA。黙示録の課題で捕獲対象となった。
課題提起時のイメージには時計が様々な時刻を示す様子が映し出されたが、詳細は不明。
ジュイス・ニコ・フィルの3名によって捕獲された。
- コール
何を司るUMAかは不明だが、課題の報酬としてその所在を開示されるという。
- 銀河(ギャラクシー)
銀河のUMA。全課題達成に失敗した事で99番目の罰(ペナルティ)として追加された。
筋骨隆々な体を持ち、顔の中心の地球をはじめ様々な惑星と星空が全身に描かれている。
宇宙空間へ飛び出し、宇宙を改変して銀河を生み出す事で今まさに地球を侵略しようとしている宇宙人の大軍団を発生させた。
その後の動向は不明。
番外枠
- リプリント
Twitterの作品公式アカウントの単行本重版出来の告知ツイートに名称のみ登場したUMA。何を司るかは不明だが、討伐の報酬として本作の単行本1巻、2巻の重版が決定した。
ジュニア
理を司る大型UMAによって派生したUMAを指す。親となったUMAが不明の場合、便宜上UMAと仮称することもある。
例:スポイル(UMA)によって腐敗付与をされた人間⇒ゾンビ(スポイルのジュニア)
マフィアの黒競売で売り出されているものは全てこれに該当するもので、鑑賞や賞味といった用途で流通している。上記の例の通り、ジュニアの中には人間が変化させられた個体も存在するわけで…
余談
本作「アンデッドアンラック」に登場するUMAの存在は、異常存在を確保・収容・保護する架空の創作群【SCP】を題材にしたと思われる要素が多い。
特にSCP-8900-EXが限りなく近い。ざっくり説明すると目から脳に届く光の波長(=色)に干渉して、不可逆的に色の認識を変えてしまうという現象系オブジェクト。
UMA(アンデラ)の理(ルール)を司る存在は、日本のUMA・妖怪【付喪神】と類似するものがある。
付喪神(別名:九十九神)とは、古い器物などに精霊(霊魂)が宿って誕生する妖怪。(諸説あるが)“九十九”の文字には「長い時間(九十九年)や経験」「多種多様な万物(九十九種類)」などを象徴する意味合いが込められている。また名称に「神」が付いている事から、妖怪ではなく神の類ではないかという説もある。
付喪神の姿は「男女老少の姿」(人間のかたち)「魑魅悪鬼の相」(鬼のかたち)「狐狼野干の形」(動物のかたち)など様々で、触媒となった道具がモチーフともなっていたりと混成している。
付喪神は妖怪漫画の題材にされやすく、器物の他に生物や概念に霊魂が宿って誕生する作品もある。
メジャーな作品で例えれば、スタジオジブリ『千と千尋の神隠し』の(魔法の契約で化けた者もいるが)煤と埃の力持ち達や神通力を持った川の化身、どこかからやって来た『何か』といった者達だろうか。
因みに、万物に霊が宿るとする信仰・思想を「アニミズム」と呼び、世界各地に存在している。
関連タグ
否定者・・・世界の理(ルール)を否定する超能力者
UMA・・・【未確認動物:Unidentified Mysterious Animal】の略称。