概要
ある大学生が面白半分で仲間の集まりに持ってきた『呪いの箱』らしき物が、たまたま仲間内にいた神社の息子によって恐ろしく危険な『コトリバコ』であることが判る。至急対処しなければ被害が出てしまうため、不慣れではあるが電話で父親に連絡を取りながら呪いを抑える儀式を執り行い何とかその場は凌ぐことができた。
コトリバコとは何か?
見た目は、木でできたパーツを組み合わせた、立体パズルのような箱。
非人道的な手法により強力な「女子供を殺す呪い」を込めた呪具である。
「コトリバコ」が最初に生み出されたのがいつかは定かでは無いが、2chオカ板の書き込みで言及されたモノが作られたのは1860年代後半頃だという。
現在でいう所の島根県に相当する「出雲の国」には、周囲から酷い差別・迫害を受けている部落(※)があった。この部落に、1868年の隠岐の反乱で反乱を起こした側に属する男が一人落ち延びてきた。
部落の人間は、これ以上の厄介事を抱えたら迫害がさらに酷くなると考え、男を殺そうとしたが、男は「命を助けてくれたら、武器をやる」と取引を申し出た。
その武器というのが、他ならぬ『コトリバコ』の作り方であった。
その箱を作るには、あまりに凄惨で非人道的な行いに手を染める必要があった。
しかし、その部落の人間はそれをやった。
そして最初に作られたコトリバコは部落へ差別を行っていた者たちの元へと送り込まれ……わずか2週間足らずで、庄屋の家の女が1人と子供が15人、血反吐を吐いて苦しみ抜いて死んだ。
この殺戮劇をもって、部落は周囲の全ての地域に伝えた。
「庄屋の家の惨劇は自分たちの呪いの効果である。今までを許す事はできないが、放っておいてくれれば何もしない。仕返しを考えたりすれば再びこの呪いを振りまく。呪いの箱は既に7個あり、これからも作り続ける」と。
こうしてコトリバコは作られ、使われ、最終的に失敗せず完成した物だけでも16個の箱が作られたある時。
部落の中で、子供が知らずに持ち出してしまい、惨劇が起きた。
ひとつ間違えれば自分自身でも制御できない諸刃の剣である事を改めて思い知った部落の人間は、箱の処分を試みるために、近くの地域の神社に持ち込んだ。
しかし、呪いはあまりに強すぎた。
その場で祓う事ができないと判断した当時の神主は、箱1つごとに担当グループを設定し、一定年数ごとに持ち回りで保管して呪いを薄める事を提案した。
現代までに大多数の箱は解体が完了していたが、「チッポウ」と呼ばれる呪いが強い物はまだそれが済んでおらず、2chの書き込みの中で発見されたと言われているものもその一つである。
※ 元の書き込みの中では、「便宜上ここでは部落と書きますが、実際の話の中ではもっとひどい言葉でした」とのこと。この記事でもそれに倣い、差別用語ではあるが「部落」と表記する。
呪いをかける手順
①寄せ木細工等の見た目のよいカラクリ箱の中に、動物の雌の血を入れて満たす
②水子の死体の一部を入れる
③決して開けられないよう厳重な封をする
④殺したい人物に渡し、もっともらしい理由をつけて身近に置かせる
⑤呪われた者は血を吐き、苦しみ悶えながら死ぬ
この呪いは「呪う対象の一族を根絶やしにする」事を目的としているらしく、呪いを受けるのは「幼い子供」と「子供を産むことができる女性」に限られる。
ある程度以上の年齢の男性と、高齢で閉経している女性には効果が無い。
しかし、効果がある人物が呪いを受けると、内臓が少しずつ捻じれて千切れて、血反吐を吐いて死んでいくという…。
なお、何人の水子の死体を使用するかによって呪いの強さが大きく変化するらしく、
一人から順に「イッポウ」「ニホウ」「サンポウ」「シホウ」「ゴホウ」「ロッポウ」「チッポウ(シッポウ)」「ハッカイ」という順番で名前が変わっていき、呪いも強力になっていく。
特に「ハッカイ」は非常に危険な代物であり、呪う側も命を落とす危険がある。呪詛を伝えた人物が二度と作ってはならないと念を押した上で渡したとされる。
参考
箱の発祥・伝承について、本編内で島根県の隠岐、中国山地の山間部と表現されているが、該当の地域にコトリバコの伝承はない。隠岐騒動に関する解釈にも若干難がある。
が、隠岐の人にこの話を読ませると結構な確率で「あぁ、○○さんのことね」という反応が返ってくるのが地味に怖い。
関連項目
Occultic;Nine:本編内に登場。
裏世界ピクニック:本編内に登場。ファイル8「箱の中の小鳥」にて、呪物としてのコトリバコが登場した。強力な呪物であると同時に、「子取り」と「小鳥」の両方の意味が込められた存在になっている。
外部リンク
コミックパンダ:この話を題材とした漫画動画の前編と後編、そのルーツと思しき話やイタズラのつもりで偽コトリバコを作ったらえらい事になっちゃった話の漫画動画がある。