『僕らにはまだ、輝く希望がある!!』
『誰も見たことのないウルトラマン。』
『子供たちのために戦う、すべての人へ。』
『あきらめるな!!』
キャラクターとしてのウルトラマンサーガについてはこちらを参照。
概要
2012年3月24日に公開された劇場版ウルトラ作品。2021年現在、劇場版ウルトラマンでは唯一3D上映が行われた作品。ウルトラマンシリーズ45周年記念作品第2弾。
主役ウルトラマンはウルトラマンゼロ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンコスモスの三戦士。また、本作は『ウルトラマンダイナ』15周年、『ウルトラマンコスモス』10周年記念作品でもあり、これらの事情からダイナとコスモスが主役に抜擢された。
人間側のキャストとして、主人公のタイガ・ノゾム役をBREAKERZのボーカルでタレントのDAIGO、シリーズ初の女性防衛チームであるチームUの隊員役を秋元才加を始めとする当時のAKB48メンバー7人が演じた。
既に世界が宇宙人により征服された地球、というディストピア的な世界観であり、「ポスト3.11のウルトラマン」と呼ばれることもある(実際、ラストシーンには宇宙から見た東北地方がズームアップされるシーンが入っている)。
『大決戦!超ウルトラ8兄弟』以来、3年半ぶりに地球が舞台となり(ゼロが地球で戦うのは本作が初めて)、久しく使用されていなかったミニチュア特撮も復活し大きな話題となった。
三戦士が合体した戦士・ウルトラマンサーガが登場。また、本作の最大の敵としてゼットンの強化種であるハイパーゼットンが登場したが、その黒幕として『帰ってきたウルトラマン』の最終回に登場したバット星人の同族が抜擢されたため、ある意味ファンの間ではゼットン以上にこちらが話題になった(公開前年が『帰りマン』40周年だったため、そちらが影響していると思われる。ちなみに公開一週間後の3月31日はバット星人が初登場した放送日と同じで40周年でもある)。
久々のミニチュア撮影の復活や一部キャラクターのサプライズ出演などの要素から期待を寄せるファンがいた一方、AKBメンバーが出演することに対し「アイドル映画になるのか」といった否定的な反応を示したファンもいた他、予告編の出来が微妙だったことも相まって公開前は映画本編の出来に懐疑的な意見も寄せられていた。
ところが、映画が公開されるや否や、キャストの迫真の演技や迫力のある特撮、メッセージ性の強いストーリーがファンの心を掴み、高評価を得ることとなった。
なお、本作の1年後に地球を舞台にしたTVシリーズ『ウルトラマンギンガ』が放送を開始し、以降も新作が制作され「新世代ヒーローズ」を形成していった。
その意味では、本作は暗黒期にあったウルトラシリーズを支えつつ、シリーズ復活を強く後押しした作品とも言える。
あらすじ
ウルトラマンの存在しない別宇宙にあるもう1つの地球“フューチャーアース”はバット星人の実験場と化し、人類はほとんどその姿を消していた。わずかに残った人類は、女性のみの地球防衛組織チームUと子供達のみ。
そんな中、アーストロンが出現。チームUのリーダーアンナが危機におちいるが、そこへ現れたウルトラマンダイナによってアーストロンは倒された。
一方、別宇宙“アナザースペース”でベリアル銀河帝国の残党と戦っていたウルトラマンゼロの元に何者かによるSOSが届く。
同じころ、別宇宙“ネオフロンティアスペース”の火星でスフィアの残党と戦っていたスーパーGUTSの新人隊員タイガ・ノゾムは突如バット星人の巨大円盤に遭遇し、“フューチャーアース”へ飛ばされる。
主なキャラクター&キャスト
ウルトラマン&変身者
バット星人の襲撃で瀕死の状態になったタイガを見たゼロは彼と一体化し、それによって生還を果たしたタイガはウルトラマンゼロへの変身能力を得る。
しかし、何故かタイガはゼロへの変身を頑なに拒否しゼロも必死の説得を試みるが全く聞き入れてもらえず困惑する。
今回ゼロは主人公と言うよりも狂言回しに近い立ち位置であり、タイガの成長を見守ることになる。
本作の主人公。ゼロと一体化して戦うスーパーGUTSの新人隊員。
かつて、ネオフロンティアスペースにおいてウルトラマンダイナとなって戦ったスーパーGUTSの隊員。
TVシリーズにおける暗黒惑星グランスフィアとの最終決戦で宇宙に消えて以降、様々な宇宙を旅していた中でフューチャーアースへとやって来た。本作でのもう一人の主役とも言える立ち位置にある。
- ウルトラマンコスモス/春野ムサシ(演:杉浦太陽)
かつて、コスモスペースにおいてウルトラマンコスモスと一心同体となって戦った。
フューチャーアースの危機を知り、再びコスモスと一体化する。
コスモスペースでは遊星ジュラン開拓チームのリーダーとなり、保護した怪獣達を移住させる夢を実現させていた。
チームU
フューチャーアース最後の砦となる地球防衛隊。隊長のアンナを始めすべてのメンバーが女性である。出演は全員当時のAKB48所属メンバー。
- アンナ(演:秋元才加)他
レジェンド5
かつて地球を守ってきたレジェンド戦士達。光の国にて異変を察知しつつ、ゼロの身を案じていた。
ディレクターズカット版でハイパーゼットンが生み出した怪獣兵器であるアントラー・パンドン・ブラックキング・ベロクロン・タイラントと戦った。
当時ハヤタ、モロボシ・ダン、郷秀樹、北斗星司、おおとりゲンを演じた御本人達が出演。
中でもおおとりゲンは本作が劇場版オリジナル作品初登場である。それまでの映画にはテレビシリーズのブローアップ版やレオの姿でしか登場していなかった。
登場怪獣
- 宇宙恐竜ハイパーゼットン
ヴィラン
かつてウルトラマンジャックに倒されたバット星人の同族。
究極の怪獣ハイパーゼットン完成のため、あらゆる実験と破壊活動を行う。
時系列
ゼロやウルトラ兄弟などの出身地としてお馴染みのM78星雲・光の国が存在する世界は便宜上「M78ワールド」と称され、『大怪獣バトル』シリーズ以降の設定が継承されている。したがって、本作の時点では『ウルトラマンメビウス』の時代から遥かな時間(少なくとも数千年以上)が経過したことになっている。
また、ゼロは劇場版としての前作『超決戦!ベリアル銀河帝国』の出来事を受け、本作開始時点では同作の舞台となったアナザースペースに駐在していた。
ダイナの元いた世界は「ネオフロンティアスペース」と称され、アスカ=ダイナが消えてから15年が経った2035年となっている。2001年に発表された「ウルトラマンティガ外伝」は本作から3年後の話となる。
コスモスの出身世界「コスモススペース」では、シリーズ最終作となる劇場版3作目よりも後の時系列である。
『ウルトラマンオーブ』の前日譚である『THE ORIGIN SAGA』には本作の設定が深く関係しており、同作にも登場するアスカ(ダイナ)とムサシ(コスモス)にとっては『サーガ』より後の出来事となっている。
『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』第1章では、同作の黒幕であるアブソリュートタルタロスが何らかの目的でこのフューチャーアースに姿を現していたことが語られている。
これについては、第7話冒頭において、フューチャーアースに侵攻してきたバット星人をレイバトスの手によって蘇生させ、自身の配下に引き入れることが目的であったことが明かされた。
なお、この描写や、80がコスモスのことをゼロから聞かされていたことを示唆する台詞もあることから、『大いなる陰謀』第1章は『サーガ』よりも後の時系列に位置する出来事であることがわかる。
余談
企画当初は『ウルトラ銀河伝説』や『超決戦!ベリアル銀河帝国』と同様、宇宙を舞台とする作品を構想していたという。
ストーリーの概要も東日本大震災の前日の3月10日深夜に完成していたが、震災発生を受けてスペースコロニーや架空の惑星に舞台を変更することも検討されていたという。しかし、震災と向き合うものを作るという話になり、同時に「ウルトラマンには足があるのだから地に足を着けて戦うべき」「こういう状況だからこそ地球で戦うウルトラマンが必要」だとする考えに至ったことから、大きなストーリー変更はせず、舞台も破壊されて荒廃した世界ではなく人が消えた無人の街に変更され、前2作品とは違い地球を舞台とした作品となった。
終盤戦ではレジェンド5も参戦し、ハイパーゼットンが生み出した怪獣兵器と戦う予定だったものの、尺の都合から完成版では戦闘シーンは削除され、代わりに『ウルトラマン列伝』にて地球によく似た惑星での戦闘という設定で当該場面が放送された。この変更を残念がるファンもいたものの、レジェンドの登場によりサーガ登場のインパクトが弱まってしまうことと、彼らがフューチャーアースに存在するとマルチバースの設定に矛盾が生じてしまうため(光の国の全エネルギーを駆使してもアナザースペースに送り込めるのはウルトラ戦士1人のみ。技術革新等で複数人送り込めるようになった可能性も否定はできないが)、当該場面の削除については意見が分かれている。
その後、レジェンドの戦闘シーンも追加されたディレクターズカット版がイベント上映された他、『新ウルトラマン列伝』にて分割放送された。その後、2021年4月27日に発売予定の『ウルトラマンゼロ』10周年記念Blu-ray BOXにてディレクターズカット版が収録される事が決定した。
当初は本作を以てダイナことアスカがネオフロンティアスペースに帰還し、『ダイナ』のエピローグとなる予定だったが、アスカ役のつるのが「まだ帰らないほうがアスカらしい」「もっと飛んでいたい」と提案したことで結末が変更され、帰還する代わりにスーパーGUTSのメンバーに自身の生存報告とメッセージを伝えて去っていく内容となった。
初期プロットの内容では、完成作品に登場したウルトラ戦士や怪獣の他にも、ウルトラマンキングやウルトラマンメビウス、ウルティメイトフォースゼロ、ウルトラマンジャスティスやTEAM EYESのメンバー、怪獣も30体以上で、さらには黒幕として『ウルトラマンネクサス』で未登場だったダークルシフェル(プロットではダークルシファー)など、より多くのキャラクターが登場しており、クライマックスではコスモスとジャスティスが合体してウルトラマンレジェンド、ウルトラ兄弟とメビウスが合体してメビウスインフィニティー、そしてゼロとダイナが合体してウルトラマンサーガとなり、ダークルシフェルと戦う内容が検討されていた。
前年に放送が始まった『ウルトラマン列伝』は、元々本作との連動を兼ねた番組だった(もっとも本作ありきの番組ではなく、初期から長期化の構想はあったという)。
本作品の敵がゼットンというのは、当初はOVとして企画されていた「ゼットンに初代ウルトラマンが倒されて、人間たちがその復活のために検討する」という企画案の名残りである。
戦場の設定はビル街の特撮セットではなく、最終決戦までは対比物のない場所となっている。
あまり話題になっていないが、本作の描写にて多次元宇宙ごとで時間の流れに明確に差がある事が判明した。(アスカ=ダイナがギャラクシークライシスに参戦している為、ダイナ最終回のアレでM78スペースに飛ばされたとしても最低50年は経過しているが、ネオフロンティアスペースでは15年しか経過していない。)
……後の作品群は本作からそれなりの時間が経過していると思われるが作品ごとで舞台の宇宙が異なる為、総合的に見ると現状これが1番未来の物語なのかもしれない。
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ウルトラマンゼロ ウルトラマンコスモス ウルトラマンダイナ ゼットン