「天下御免の侍戦隊!シンケンジャー、参る!」
概要
スーパー戦隊シリーズの第33作。戦隊で初の「侍」をテーマに、書道による「文字の力」で変身する「殿様と家臣」が主人公という“和”を全面に出した特異な作風になっている(当時は『パワーレンジャー』シリーズが打ち切られる可能性が高く、海外展開を意識しない設定ができたとも言える)。メインスタッフは東映プロデューサーに宇都宮孝明が初のチーフとして起用、メインライターを『必殺仕事人』シリーズのファンとしても知られる小林靖子が担当。このコンビは後の烈車戦隊トッキュウジャーでも再び組むことになる。
戦隊シリーズは本作からビデオ撮影による同時録音に移行した。これにより、日本のテレビドラマからフィルム撮影作品が無くなった。
オープニングも従来とは違い通常存在するメンバー個々の紹介パートがなく、普通のドラマのオープニングに近い形のものであった。また、放送話の中で変身しないメンバーがいる時はキャスト紹介時に変身後の役名が表示されない。
本作では『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』といった東映時代劇作品のオマージュやパロディが随所に見られており、キャスト面でもTBS版『水戸黄門』の3代目渥美格之進(格さん)の伊吹吾郎氏、うっかり八兵衛役の高橋元太郎が出演し、銀幕版における2代目格さんの大和田伸也と5代目格さんの会田雅史(三田裕司/オーブルー役でもある)との歴代格さん3人の共演でも話題となった。
(丹波歳三役の松澤一之と光栄二郎役の石橋蓮司や、血祭ドウコクの声の西凜太朗と筋柄のアクマロの声の堀川りょうも『水戸黄門』へのゲスト出演経験がある。)
余談であるが、丈瑠の父親役の津田寛治氏は後にBS-TBS版の3代目風車の弥七に抜擢されている。
また、名乗りシーンはリーダーが変身後の戦士名と本名を名乗った後に他のメンバーが「同じく、○○!」と続くスタイルは『大江戸捜査網』がモチーフとなっている。
東京ドームシティ(旧・後楽園ゆうえんち)で行われるヒーローショーは前作までは屋外で行われていたが、本作よりシアターGロッソ(屋内)で行われるようになった。
作風
全体的には仮面ライダーに近いシリアスな作風であり、初期はギャグ調の回が目立っていたが、俳優陣にまで隠されていた重大な設定が終盤に明かされ、シリアスなストーリーになっていった。
他にも子供向けとは思えないくらい重たい設定を持った敵や、和風ならではの殺陣、登場人物の葛藤、秀逸な伏線回収等が高く評価されており、放送から10年以上経った今でも脚本・ストーリー共に戦隊シリーズトップクラスの根強い人気を持つ。
あらすじ
この世とあの世の狭間を流れる三途の川に棲む妖怪・外道衆は、遥かな昔から人間達を襲い苦しめてきた。その外道衆と代々戦ってきたのが、殿とその家臣で構成される侍戦隊シンケンジャーであった。
志葉家の現当主を務める志葉丈瑠は、当初はシンケンレッドとして一人で外道衆と戦っていたが、外道衆の本格的な攻勢が始まることを察知した後見役の日下部彦馬は、いずれ殿一人での戦いに限界が来ることを危惧し、家臣の子孫である4人の若者を招集し、侍戦隊シンケンジャーを結成した。
登場人物
演:松坂桃李
志葉家の当主だが、実は…
演:相葉弘樹
歌舞伎役者の家柄に育つ。家臣としての忠義は人一倍。
演:高梨臨
召集までは保育士をしていた。演者が書道5段の腕前であることから、達筆である。
演:鈴木勝吾
高校生。丈瑠をライバル視している。
演:森田涼花
京都弁で喋る。病弱な姉に代わって、シンケンイエローとなった。
演:相馬圭祐
「ゴールド寿司」という屋台を引く寿司屋。「電子モヂカラ」を使うチームのエンジニア。
外道衆
声の出演:西凛太郎
声の出演:朴璐美
声の出演:チョー
演:唐橋充
声の出演:堀川りょう
シンケンジャーの関係者
演:伊吹吾郎
志葉家に仕える家老。
声の出演:遠近孝一
源太が一時期戦えなくなった時に作った提灯型侍巨人。
志葉薫/姫シンケンレッド
演:夏居瑠奈
存在そのものがネタバレ。
演:松澤一之
薫に使える家老。特に侍ではない源太を疎んじている。
シンケンジャーを支える裏方の皆さん。
音楽
- 侍戦隊シンケンジャー
作詞:藤林聖子/作曲:YOFFY/編曲:Project.R(大石憲一郎・サイキックラバー)/歌:サイキックラバー (Project.R)
OPテーマ。
- 四六時夢中シンケンジャー
作詞:藤林聖子/作曲:高取ヒデアキ/編曲:Project.R(籠島裕昌)/歌:高取ヒデアキ (Project.R)
数え歌の体裁を取ったEDテーマ。劇場公開中に使用されたメインキャストで歌われた「銀幕版」も存在している。
挿入歌
- 斗え! シンケンジャー
作詞:高取ヒデアキ/作曲:IMAJO/編曲:Project.R/歌:高取ヒデアキ(Project.R)
- 侍合体! シンケンオー
作詞:桑原永江/作曲:高木洋/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:串田アキラ
- モヂカラ大行進
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:鈴木盛広/歌:ヤング・フレッシュ、高橋秀幸(Project.R)
- どこまでもシンケンジャー
作詞、作曲:高取ヒデアキ/編曲:籠島裕昌/歌:高取ヒデアキ(Project.R)
- つらぬけ武士道
作詞、作曲:高取ヒデアキ/編曲:籠島裕昌/歌:小野田浩二
- シンケン祭り
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:ジャック・伝ヨール/歌:Sister MAYO (Project.R)
- 一貫献上! シンケンゴールド
作詞:YOFFY/作曲:高木洋/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:YOFFY (Project.R)
- 侍変形! ダイカイオー
作詞:桑原永江/作曲、編曲:渡辺宙明/歌:宮内タカユキ
- 六人の侍
作詞:藤林聖子/作曲:菊池俊輔/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:松原剛志 (Project.R)
- 究極 サムライハオー 降臨!
作詞:里乃塚玲央/作曲、編曲:矢野立美/歌:MoJo
キャラクターソング
- シンケンレッド 一筆奏上
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:高木洋/歌:ヤング・フレッシュ、志葉丈瑠(松坂桃李)
- 青浪(あおなみ)世直し
作詞:藤林聖子/作曲:高取ヒデアキ/編曲:真崎修/歌:池波流ノ介(相葉弘樹)
- ナデシコ真剣 花吹雪
作詞:藤林聖子/作曲:押谷沙樹/編曲:亀山耕一郎/歌:白石茉子(高梨臨)
- シンケンデイズ Never give up 道中
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:籠島裕昌/歌:谷千明(鈴木勝吾)
- はんなり めっちゃ武士道ガール
作詞:藤林聖子/作曲:IMAJO/編曲:川瀬智/歌:花織ことは(森田涼花)
- ゴールド人情 一本締め
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:岩崎貴文/歌:梅盛源太(相馬圭祐)
侍戦隊シンケンジャー 第一・二幕 特別版
2010年8月6日にリリースされた、いわゆるディレクターズカット版。
30分の放送の制約上、第一幕・第二幕で泣く泣くカットせざるを得なかったシーンが少し追加されており、第三幕以降の物語の流れと違和感が無いように調整されている。
帰ってきた侍戦隊シンケンジャー特別幕
2010年6月21日にリリースされたVシネマ「帰ってきた~」シリーズ第1弾。
「帰ってきた」とあるが、後のシリーズとは違い、本編の幕間的なコミカル番外編で、サブタイトルは
「殿様評判記 荒野の握り 情熱系 ハイスクール ジャ‥‥」
丈瑠「長い!」
※正確には「殿様評判記 荒野の握り 情熱系 ハイスクール ジャングルの 歌声は 宇宙に消えて… スペシャル!」。なんでこんなに長いかは本編を実際に見てください。
ストーリー
警察に包囲されてしまった志葉丈瑠、彼を追い詰めた池波流ノ介刑事たち。
しかし志葉はこの状況を疑問に思っていた。
すると次は宇宙船の乗り組み員、学園青春ドラマなどなどこれは一体?
外道衆アヤカシ・デメバクトによる幻影空間に閉じ込められていたのであった。
いざっシンケンブルー参るっ!?
快挙
何とこの作品、2010年6月28日付オリコン週間ランキングDVD部門総合で特撮作品史上初の首位を獲得している。
ちなみに、約5年5か月後に『鎧武外伝第2弾 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル』が史上2作目の首位を獲得した。