概要
「天帝編」後の主要舞台となる国。
北斗神拳の発祥の地であり、ラオウ、トキ、ケンシロウの生まれ故郷でもある。
この国は修羅と呼ばれる拳法家たちによって支配されており、力を持つ者のみが名前・結婚・領主権を得る事ができるという恐怖政治がしかれている。修羅となる過程で多くの殺し合いを経験させられるため、男子の生存率はたった1%。
なお男子も「ボロ(再起不能状態。敗北して足の腱を切られる)」になれば二度と戦えない代わりに生き残ることは可能だが、その身分は極めて低いものとなる。
しかし、逆にボロに化けることで敵の懐に潜り込み、野望を果たそうとした漢や、ラオウ伝説を信じ、ラオウ到来を待つために身をやつし潜伏していた者もいた。
また、生き残りをかけた修羅同士の殺し合いでは、負けた側が強い者にとどめを刺されることで「強者の一部となって生き続ける」という考えを持っているシーンがあり、自身に都合のいい部分だけではない意味での「力こそ正義」を実践している側面もある。
本編では、ジャコウの息子ジャスク(アニメでは元斗皇拳・緑光のタイガ)にさらわれたリンを救うために、ケンシロウは「死の海」を渡り修羅の国へ向かうことになる。
また、修羅達の長である3人の「羅将」カイオウ・ヒョウ・ハンは「北斗琉拳」と呼ばれる殺人拳の継承者であり、ケンシロウはそこで北斗の悲しい歴史と己に課せられた宿命を知ることになる。
実態
上の解説を見る限りは非常に強い国家に見えるだろう。
事実、半人前扱いの砂蜘蛛でさえも、当時最強クラスだったファルコを瀕死に追いやっている。このときのファルコが万全でなかったとはいえ、それでも半人前程度の者でさえこれ程善戦できるのである。
…が、修羅がまともに強かったのはここまで。
砂蜘蛛が『名を許された修羅は俺より強い』と断言した後、初めて登場した名前のある修羅・アルフは『自分は強い相手を選んで戦い、戦った相手はすべて二分以内に倒した』と豪語するも、逆に自分が二分以内に倒された。
その後はカニとかムカデっぽい変な修羅(しかもお世辞にも強いとは言えない)が登場し、しまいにはどう見ても拳法家に見えないただの中国人のオッサンっぽい修羅まで現れる始末。サモトに至っては拳法家というより貴族である。
アニメ版はさらに酷く、群将という高い地位にある修羅が、過去に砂蜘蛛に部下を皆殺しにされ自らも片目片腕片足を失う重傷を負い這う這うの体で逃げだした海賊赤鯱にタイマン勝負で敗北したり、羅将ヒョウの主戦力とされる機甲師団に所属する修羅達が、拳法を取得していない流れ者のロックとその仲間数人にボウガンや短剣等で大勢殺されたりしていた。
更に言うと、羅聖殿の復旧作業に駆り出された多数の人々は普通に歩いて作業をしているのでボロではなく普通の村人であり、全ての男子が修羅になる事を強いられていた訳ではない事は明白である。
彼らを見ると、本当に男子の生存率1%の厳しい世界だったかは疑わしい。
カイオウ・ヒョウ・ハンの三人は北斗琉拳の継承者だけあって非常に強いし、砂蜘蛛も実力者であることは間違いないのだが、それ以外のほとんどの修羅はいつもの雑魚と大して変わりはない。
世紀末の厳しい環境が修羅の国の外の人々を修羅の国並に強くしてしまったのか、それとも修羅の国の上記の掟がハリボテだったのかは定かではない。
もっとも「男子の生存率1%」はファルコの口から語られたのみでケンシロウが修羅の国に渡った後に言及される場面はなく、本来は修羅の国の一部の地域でしか行われていない修羅制度の苛烈さが誇張されて伝えられた可能性もなくはない。
別の使い方
上記の原典から転じて、きわめて治安が悪い地域のたとえに使われる。「世紀末状態」もほぼ同義。
インターネット上では、福岡県や愛知県や大阪府といった東京に仇する地域はネガティブな報道が多いためそう呼ばれ、徹底的に軽蔑されている。
狭い範囲だが評判の悪い川崎市や尼崎市もそう呼ばれることがある。
廃人ゲーマーの多い界隈を修羅の国と呼ぶこともある。