概要
本来、人間を含めた生物の筋肉はミオスタチンと言うタンパク質によって過剰に成長・発達しないようにできており、筋トレのような激しい運動をする事で生成が少なくなり、筋肉が発達する仕組みとなっている。
しかし、先天的な要因でこのミオスタチンの生成が少なかったり、筋細胞がミオスタチンを受け付けにくい体質を持つ者が生まれる事がある。すると、筋トレをしていないのにもかかわらず、筋肉が凄まじいスピードで成長し腹筋を含めた筋肉が異常に発達した外見となる。
これがミオスタチン関連筋肉肥大である。
原因
前述した通り
- 筋細胞がミオスタチンを受け付けにくいタイプ
- そもそもミオスタチンの生成量自体が少ないタイプ
の2種類に大別される。
どちらも筋肉が異常発達するのは同じであるが、後者の方が発達し易いようで、なんと健常者の2倍にもなるとされる。
問題点
何もしていないのに筋肉が発達すると、一見すると良い事尽くしのように思える当症例だが、これだけのスピードで筋肉が成長すると言う事はそれだけエネルギーを消費する事でもあり、幼児ですら体脂肪は殆ど付かず、空腹にも陥り易く、その体を維持する為に常人の倍以上の摂食をしなければならないのである。
自然界の野生動物にも稀に見られる病気であるが、飢餓に繋がりやすく生存性が低くなる。
筋肉と骨格のバランスが取れず人体形成に悪影響を及ぼす症例もあり、適切な処置をしなければ命に関わる場合も多い。
治療方法
先天性かつ遺伝的なものの為、根本的な治療方法は存在しない。過剰な筋肉肥大を阻害する薬も開発されているが、これは対処療法(根本治癒が出来ない病気に対し、都度適切な投薬や治療を施してベターな状態を保つ方法)であり、完治が望めるものではない。
現在も医療機関で研究が進められている症例の一つである。
医学への応用
筋肉が成長していくと言うその特性から、「筋ジストロフィー等の筋肉が衰えてしまう病気の治療に使えるのではないか」と研究がされている。
メディアでの扱い
筋肉が異常なスピードで発達するという症状から漫画作品、特にバトル系漫画などではこの体質を持つ人物が登場することがある。
勿論、筋肉が発達するという長所だけでなく、空腹に陥りやすいという欠点も再現されていることが多い。
尚、筋肉が肥大化するというよりは筋繊維の密度が高くなるという形で表現されることが多い。見た目の割に固くて重いということ。