「おれの海兵としてのモットーは 『ダラけきった正義』だ」
「あらら… ちょっとごめんな兄ちゃん そこ どいてくれるか」
「友達なんだよ」
「海軍に所属しなくても実行できる事はある 所属しねェから見えて来るもんもある……」
概要
世界の均衡を司る“偉大なる航路”三大勢力の一つ、海軍本部にかつて所属していた元軍人。
物語の前半・超新星編では海軍の最高戦力と称される「三大将」の一角を担い、“青雉(あおキジ)”の二つ名で知られていた(ただし「青キジ」と表記されることが多い)。
本編では一番初めに登場した海軍大将であり、主人公モンキー・D・ルフィたち麦わらの一味とは“偉大なる航路”ロングリングロングランドで出会い、その圧倒的な存在感で多くの読者に強いインパクトを与えた。
海軍本部と白ひげ連合軍によるマリンフォード頂上戦争後、当時の元帥であるセンゴクが自身の引退に際し、後任としてクザンを推薦したことにより新元帥候補となるが、世界政府から推薦された同じく三大将の一人である“赤犬”ことサカズキと対立。
ジンベエによれば「普段やる気を見せない"青キジ"でさえサカズキが元帥になることだけは強く反発した」とのことで、当時無人の荒野と化していたパンクハザード島にて一騎討ちが行われた。
両者互角の死闘は10日間に渡ったが最終的に敗北、その闘いの中で左足のヒザから下を失ってしまう(そのため能力で氷を生み出して義足にしている様子)。
なおサカズキは流石に情けをかけたとの事だが、現在は海軍を退役し、相棒である超ペンギンのキャメルと共に各地を転々としている。
その行動の目的は未だ謎に包まれている。
プロフィール
本名 | クザン |
---|---|
通り名 | 青雉(あおキジ) |
掲げる正義 | 燃え上がる正義→ダラけきった正義 |
肩書き | 元海軍本部大将(22年前は中将) |
年齢 | 47歳→49歳 |
身長 | 298cm |
悪魔の実 | ヒエヒエの実(自然系) |
覇気 | 武装色、見聞色 |
出身地 | 南の海 |
誕生日 | 9月21日(モデル・松田優作の誕生日) |
星座 | おとめ座 |
血液型 | F型 |
好物 | シェリー酒、酪農牛乳、コーヒー(クザンオリジナルブレンド) |
口癖 | あらら |
主な部下 | オールハント・グラント(アニメオリジナル) |
初登場 | 単行本34巻 第318話『閉会』 |
WT100 | 36位(38,127票) |
CV | 子安武人) |
人物
階級の高いものは年長者が多い海軍にあって20代にして中将の地位にあり、若手ではずば抜けていた。
以前は『燃え上がる正義』を掲げ、現在とは違って割とハキハキした態度で職務を実行していたが、22年前のオハラ壊滅事件により、「海軍での、自分の正義とは何か」と苦悩するようになり、その悩みを経て確固たる信念をもって『ダラけきった正義』をモットーにするようになった。
そのため今では掴み所が無い性格となっている。
普段の性格も結構ダラけており、気の進まないことには頭の回転も働かない様で、質問に対して熟考したと思いきや途中で放棄し、逆に聞き返したりすることがある。
しかし、基本的には冷静沈着であり、海賊や悪党といった一般人を脅かす存在には決して容赦しない。
その一方、
など、海軍でなく一人の人間として相手に接する一面も持っている。
これらは一貫して青雉が持つ『ダラけきった正義』の信念に基づいており、海軍の正義を絶対視せず、様々な人の持つ正義を決して否定しない姿勢なのである。
世界レベルの組織の上流階級に与する身でありながら、そのことをあまり鼻にかけず、一民間人の悩みにも聞き入れて協力するなど、飾り気のない優しさもみられる。
20年以上の長い付き合いである上司、中将ガープを尊敬しており、彼の行動理念に強く影響を受けている。
良くも悪くも「海軍」という一つの組織では型破りといえるが、そういった点が彼の魅力であろう。
ルフィに対しては「まだ未熟」と評しているが、その得体の知れない可能性を内心では脅威に感じているようだ。
また先見性が高く初登場時に麦わらの一味に対し「細かく素性を辿れば骨のある一味」との発言も、元々の調査目的のニコ・ロビン以外でも、ルフィの血筋、サンジの血縁関係等多くの事を見抜いていたとも取れる。また骨のある一味も偶然ではあるが彼の加入により物理的に実現してしまった。
戦闘能力
「──やっぱお前ら… 今 死んどくか」
全身から凄まじい冷気を放ち、自らの体を氷に変化させる事ができる「氷結人間」。
自分の体は勿論他者や周辺の有形物も一瞬で凍らせることができ、その気になれば凍らせた相手を砕く形で討ち取る事もできるので殺傷力も高い。
ただし、エドワード・ニューゲートやドンキホーテ・ドフラミンゴといった四皇本人やその幹部レベルの相手だと流石に拘束する効果は薄い模様(四皇配下ではないドフラミンゴは幹部級程度に相当するというべきだが)。
彼らくらいになると、全身氷漬けにしても平然としているどころか何らかの方法で芯まで凍ることを防ぐか内部から割ることができる能力を流し込むことによってすぐに氷を砕いて脱出することができてしまうのである。
しかし真に恐ろしいのは海水もたやすく凍らせるため、悪魔の実のペナルティが無いに等しい事。
海面を凍らせてその上を進むこともでき、船に頼らず海上を移動可能。
そしてクザンの力量次第では能力の範囲は広範囲にわたり、その場所を極寒の地に変えたり、高火力の技を繰り出したり、白ひげの海震によって引き起こされた島が丸ごと沈んでしまう程の大津波を一瞬で防ぐことも可能。劇場版『ONEPIECE FILM Z』では、巨大噴火によって起きた島を呑み込む火砕流を一瞬で凍結させて防いだ程だが、のちにその島は消滅してしまった。
頂上戦争後に元帥の座をかけたサカズキと決闘を行っている。その激闘は10日間の激闘の末、パンクハザード島の天候を大きく変え、その島半分が極寒の地と化してしまう程であり、その島を真っ二つにする裂け目と中央に爆心地のような穴(現在は塩水湖)が形成されている。
湖にサメが生息しているのもそのためで、反対側の半分は赤犬の能力によって灼熱の地になっている。
戦法は直接相手を凍らせる他にも、氷で武器を作りだしての白兵戦、飛び道具としての遠距離攻撃、海面などを凍らせて足場にする……と幅広い。
氷の特性ゆえに自然系(ロギア)でありながら攻撃の受け流しはできないが、砕けた身体の破片を結合することで再生が可能。
そのため武装色の覇気による攻撃以外、物理的なダメージは一切通らない。
それどころか、直接攻撃してきた相手に逆に冷気を送り込み、そのまま凍結させて仕留めてしまうこともできる。
基礎戦闘力
さすがに大将なだけあって、基礎戦闘力も相当なものであり、非常に高い攻撃力を持つマルコやジョズに不意打ちによる攻撃を見聞色で理解していたようである。しかし、体が反応しなかったためなのかジョズの突進を食らっているが、それでも一度もダウンせず頂上戦争を戦い抜いた。
これでも詳細な戦闘描写はあまりないため本当の実力は不明。少なくともサカズキとの決闘ではマグマと氷という、相性最悪(サカズキからすると最良)の能力であるが、それでも10日間にも及ぶ程の戦いになっていることから、大将に昇進していただけのことはあり相当な実力の持ち主であることが窺える。
六式
今までの戦闘では「剃」を使用している描写があり、頂上戦争編では大津波を止める際に圧倒的な速度で移動して飛び上がっている。
アニメオリジナルにおいても使用しているシーンがある。
元大将であるため六式を修得している可能性もあるが、戦闘描写があまりにも少ないこともあり、現時点では「剃」以外は確認できていない。
覇気
覇気による攻撃についても何らかの対策を講じており、白ひげに覇気を纏った薙刀で串刺しにされても死なないどころか、自身と薙刀を凍らせて連結して動きを封じて反撃に転じる等、超一流覇気使いでも簡単には青キジへ攻撃を決めることはできない様子。
覇気を無効化した策についてはシャーロット・カタクリがルフィに対して超高度の見聞色(未来視)により全く同じ芸当を用いており、青キジも同様に極めて高度な見聞色の覇気によるものと思われるが作中では未だ明言されておらず不明。
(だが、エピソード・オブ・アラバスタにてクロコダイルが血に濡れたルフィの拳を避けたように覇気をまとった薙刀の先端を避けているのかもしれないが)
他にも、サカズキ・ボルサリーノと一緒に武装色の上位技術らしきもので白ひげの攻撃によって起きた巨大な「衝撃波」を弾き返している。
技
- 氷河時代(アイス・エイジ)
海などに手を浸け、冷気を送り込んで一瞬で凍り付かせる(なお、海水などに身が浸かることによる力が入らない・能力の能動的使用不可といったデメリットは、体の大部分が浸かっていなければ起きない)。
これが発動した後は、水平線の彼方にまで氷の大地が続く、まさしく氷河時代を思わせる光景が広がる。無論、その範囲内に居れば諸共に氷漬けである。なお、この氷はおよそ一週間は解ける事がないという。
- アイスサーベル
千切った草など「芯になるもの」を氷の吐息で凍り付かせ、氷の剣を作り出す。
- アイスタイム
触れた部分から直接冷気を送り込み、相手の全身を瞬く間に氷漬けにする。
氷河時代を単独の相手に対して発動させるような技で、巨人族でさえ全身が凍り付くまでに要する時間は僅か数秒。無論、氷漬けにされてしまえば動くことすらできず、そのまま割り砕かれれば即死である。
- アイス塊(ブロック)
冷気によって氷の塊を作り出す。
氷であるがために形状は自由自在であり、矛の形にして相手へと飛ばす”両棘矛(パルチザン)”や、巨大な雉を象り、その嘴で相手を穿つ”暴雉嘴(フェザントベック)”などのバリエーションがある。
- アイスタイムカプセル
掌から冷気の弾丸を放ち、直撃した相手を一瞬で凍結させる。
- アイスBALL(ボール)
冷気で相手を包み込み、球状の氷塊を作り出して閉じ込める。
アイスタイムと違って距離を置いた相手にも有効だが、凄まじい基礎戦闘力を誇る者にはあまり効果は発揮されず、内側から割られると脱出を許してしまう。
活躍
時系列は新世界篇準拠。
過去
30年前、海軍に入隊する。
22年前の中将時代には、オハラに対するバスターコールで出撃。
オハラにはクザンの親友だった元中将のハグワール・D・サウロがいたが、「これでもまだ 胸を張れるのかァ!!!」というサウロに「『バスターコール』が 元海兵によって阻止されたんじゃあ格好つかんじゃないの…」 「それが今後の世界の為なら仕方ない 現に学者達は法を破ってんじゃない…!!」とサウロを氷漬けにする形で粛清。
しかしサカズキが一般人の避難船まで攻撃する姿勢に驚愕。「自分の正義を信じたサウロを追討し、一般人まで粛正する」『海軍の正義』に悩んだ彼は、友が命を懸けてまで生かそうとしたニコ・ロビンを敢えて逃がした。
第1章・サバイバルの海 超新星編
アラバスタの騒乱後に行方を眩ませたニコ・ロビンの消息確認とガープの孫のルフィを一目見る為にロングリングロングランドで麦わらの一味の前に赴いた。
麦わらの一味の前人未到の急成長・ロビンが今まで関わった組織が全て壊滅していることから彼らを脅威に感じ、麦わらの一味を殲滅するべく交戦。
主戦力であるルフィ、ゾロ、サンジを圧倒したが、ルフィから「一騎打ち」を申し込まれそれを承諾。
ルフィに圧勝するも、「一騎打ち」を了承した以上、それ以外の面々に手を出せば自分の恥、及び麦わらの一味によるクロコダイル討伐の恩を理由に、ルフィ達を見逃した。
しかしニコ・ロビンは20年もの間多くの裏組織を壊滅させながら逃げ続け、古代兵器復活の可能性も消えていない以上、もう彼女という危険分子を放っておけないと考えたクザンは、CP9長官のスパンダムに国家戦争級の総攻撃であるバスターコールの発動権限を与えて、ロビンの確保を行う。
しかし、麦わらの一味とCP9の戦いの場となった司法の島エニエス・ロビーに姿を現し、バスターコールから麦わらの一味が逃げ切ったことを確認し、「完敗」を宣言。
麦わらの一味が身を寄せていた水の都ウォーターセブンに現れ、長年追い続けていたニコ・ロビンが一味に定着したことを確認し、ロビンに「オハラの遺志」がまだ生きていることを確認し、その場を去った。
マリンフォード頂上戦争では、白ひげ海賊団相手と激闘を繰り広げ、白ひげやマルコの負傷に気を取られた同海賊団3番隊隊長ジョズの隙をついて彼を氷漬けにして片腕を破壊し重傷を負わせた。
頂上戦争後、センゴクが海軍本部元帥を引退することとなり、クザンはセンゴクから後任に押されるものの、世界政府上層部はサカズキを推薦。
絶対的正義を持つサカズキが元帥になることを反対したクザンはサカズキと決裂。彼と決闘で雌雄を決することとなり、パンクハザードでの10日間に及ぶ決闘の末に敗北。
お互いに現在まで跡の残る重傷を負ったが、さすがのサカズキもクザンに情けをかけ、生き延びたクザンは海軍を抜けた。
第2章・最後の海 新世界篇
海軍を退役した後、超ペンギンのキャメルと旅をしている。
2年後の世界を舞台とした2012年12月15日公開の劇場版第12作目『ONEPIECE FILM Z』では、原作に先立ち海軍を去った後の姿が初披露され、そこで赤犬との戦いで右半身に大火傷を負い、左足を欠損していることが判明。
作中では、かつての恩師ゼファー率いるNEO海軍と麦わらの一味の戦いの動向を見届け、一味にゼファーの情報を教える役割として、作中でも重要な役割を果たした。
パンクハザード編では、元部下の海軍G-5支部中将スモーカーが王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴにより殺害されかけたところに突如現れ、スモーカーを助けた。
この際、スモーカーやドフラミンゴに「新世界の闇」に繋がっている事を示唆された。
ドレスローザ編では、クザンが黒ひげ海賊団と何らかの関係を持つようになったことが判明した。
扉絵連載では何処かの島にてキャメルが焼いたバーベキューを食べながらドレスローザでのルフィの活躍が載った世界経済新聞を読んでいた。
余談
- モデル
彼のモデルとなった人物は、俳優の松田優作である。
髪型・アイマスク・ファッションなど、代表作「探偵物語」の主人公工藤俊作が、主にモチーフになっている。プロフィールの好物はすべて工藤俊作と同じ。
- 映画での先行登場
新世界編では、原作の前に映画『ONEPIECE FILM Z』で先行登場を果たした。
これについて作者尾田栄一郎は「原作で登場させれば驚かさせられただろうに、原作の読者にやんわり伝わってしまったことが残念だった」とのことで、映画『ONEPIECE FILM GOLD』公開前に、原作でロブ・ルッチらを登場させたとのこと。
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