概要
Twitterにて「リアルおそ松さんに会った」という、真実か定かでない内容の漫画を投稿した人物に対し、なんJ民が名付けたことにより生まれた語である。
「嘘松さん」とも呼ばれている。対義語は「本当松」。
単純に「嘘が含まれるツイート」というだけでなく、「又聞きや自分だけが見聞きした話など、確実性に欠ける内容」、「体験談、目撃談ではあるが、妙に具体的な会話内容や、詳細な周囲の様子が語られる」、「ツイート内に自画自賛や特定の事象への賛美・批判などが含まれる」、「オチが必ずある」といった特徴が見られる。
ニコニコ大百科の同記事では、以下のような特徴が挙げられている。
- 知り合いの話、盗み聞き、(自分が)第三者
- 登場人物による対話形式、自身の心の中のツッコミ
- 周りのリアクション(拍手喝采、思わず握手した、一同感動など)
- 事後のオチ(何かに目覚めた、爆笑しながら何かを殴るなど)
由来
2015年に「リアルおそ松さんを見た」と語るツイッター民を晒し上げたなんJ民が広めたとみられる。経緯はなんJ用語集wikiが詳しいのでそちらを参照。(おそ松さんファンは微閲覧注意)
この語が生まれる以前(『おそ松さん』放送以前)から「自作のフィクションを実際に見聞きした話と称して語る行為」あるいは「実在したと称する人物を用いて自己の主張を語る手法」は「創作実話」と一部では呼ばれていた。
創作実話で頻繁に用いられた「マックの女子高生」「聞いた話なんだけど」などは「ばっちゃが言ってた」と同様の扱いを受けるに至っている。
現在は特に『おそ松さん』に限らず、荒唐無稽な内容の「創作実話」系ツイート全般やその発信者を揶揄する目的で用いられるようになっている。特に、腐女子(※ここでは、本来の定義であるBLを愛好する女性というよりは、オタクの女性ユーザー全般というニュアンスである)のSNS等の投稿について使われる例が目立つ。
『おそ松さん』という作品が風評被害を受けていると感じ「嘘松」という表現自体に否定的な人もいる。
傾向
根源にあるのは、炎上商法も厭わぬ過大な承認欲求、または匿名化に伴うモラルや危機感の消失と言われ、真っ赤な大嘘をつく事への罪悪感やリスクマネジメントを著しく欠いている点は共通している。
投稿には時事ネタを取り入れたものが多く見られる。
これは世間の興味を惹きつけやすく、話題化し拡散させるのが容易である為である。直近では2020年のコロナウイルス流行に乗じたものが粗製乱造され、悪質なデマと共に流行している。
「特定班」のような、炎上の渦中にある人物や犯罪者の個人情報を特定し書き連ねる行為については、そもそもその是非が問題視されているものではあるが、騒ぎに乗じて虚偽の情報を「特定した」と流布するような例も確認されている。
また、ツイフェミの一部や「欧米出羽守」と呼ばれる「海外かぶれ」のユーザーが、日本人(男性)を徹底的に叩くために、「外国人から聞いた(例えば『私のアメリカ人の友達がいうには〜』という表現がある)」という形で話を展開することが多い。一時は罵倒語としての「ジャップオス」という表現も多く見られた。
補足
あまりに見え透いた嘘をついた場合などは非難を浴びせられることがあり、最悪のパターンではアカウント閉鎖に追い込まれたり、逮捕される例も出ている。2016年に起きた熊本地震の際、「動物園から猛獣が脱走した」という嘘の書き込みを投稿した人物は、偽計業務妨害で逮捕されている。
他人に害を与える実例も確認されている。例えば、声優の田村ゆかりは、何ら接点のない女性が投稿した「田村ゆかりが仕事をサボってサッカー観戦しており、そこに親戚が遭遇して会話した」というツイートを目にしたことでTwitterに嫌気が差し、しばらくツイートを投稿するのをやめていた。
Twitter上には、嘘松を晒し上げる専用のアカウントもあり、「嘘松ソムリエ」なる人々が「痛々しさ」や「(嘘としての)完成度」を評価して遊んでいるようだ。
テンプレート
嘘松には下記のような文やシチュエーションが頻繁に用いられる。
- 「聞いた話なんだけど」
- 「寝ぼけてたんだけど」
- 「外国人の友達が言ってたんだけど」
- 「~って話、する?(したっけ?)」
- 「それでは聞いてください」
- 「現場からは以上です」
- 「拍手喝采」
- 「お互い握手した」
- 「スタンディングオベーション」
- 「何かに目覚めそうになった」
- 「実はアレ、私です」
定番の内容は以下である。
- 鋭い洞察を披露する公共交通機関で遭遇した幼児
- 颯爽と現れクレーマーを撃退していったイケメン・美人・外国人
- マックやスタバで遭遇した女子高生・サラリーマンの会話
- 日本を礼賛する外国人の友達、 日本を批判する外国人の友達
- 萌えミリに理解のある元帝国軍人
- 幼稚園や学校で子供がしたとされる巧妙な会話
- キレると手が付けられなくなるという危険人物アピール(記憶がなくなる、笑いながらボコる等)
- 若い頃の有名スポーツ選手に勝ったなど、過去の経歴を利用した自慢
- その他、自分の株を上げるような武勇伝
- ドラマチックな恋愛話
- 意識高い体験談
例文
【元のお話】
長年連れ添った老夫婦の片方が先立ってしまった。
無理に遺骨を持って飛行機に乗ろうとしたら、
CA(添乗員)さんが座席を設けてくれるという粋なはからいをしてくれた。
【嘘松風に変換】
知りあいから聞いた話なんだけど奥さんのお葬式後に遺骨を実家に運んでる途中
乗務員が「隣の席を開けております。お連れ様はどちらですか?」って言って
奥さんの分の飲み物も用意してくれて他の乗客みんなで拍手喝采した。
関連タグ
スカッとジャパン:扱っている内容が「嘘松」的であるとしてTwitterでは「嘘松ジャパン」とも呼ばれている