概要
大ヒットした『聖闘士星矢』の連載終了後、その路線を継承して1992年に連載を開始したバトル漫画。
主人公・翔は「神人類」として選ばれ「エボリューション」してシェルター(『星矢』の聖衣のようなもの)をまとってネオ・ソサエティと戦うという、これまた『星矢』の路線を受け継いだ壮大な設定で、伏線として序盤から敵の幹部が沢山登場した…のだが。
小宇宙(コスモ)→フィール
聖闘士(セイント)→神人類
聖衣(クロス)→シェルター
○○座の××→ルーツが○○の××
聖域(サンクチュアリ)→ネオ・ソサエティ
と、設定面で全て『星矢』の単語に置き換えることが可能で、単行本ではシェルターの分解装着図まで描かれていた。
本作でオリジナリティがある要素といえば、「チャージ」という「新人類同士は互いに生命力のやりとりが可能で、ダメージを受けた者に生命力を分け与えて回復させることができる」能力であろう(当然、与えた側は生命力を失う)。
本編ではヒロインが瀕死の状態の翔にチャージを行うのだが、そのポーズがどう見ても騎乗位で「これ絶対入ってるよね」としか思えないのである。
なので本作が語られるときにはこれがネタにされることが多い。
このように『星矢』の焼き直しにしか見えない内容だったこともあって実際人気は振るわず、僅か13週で打ち切りという憂き目に遭ってしまう。
そしてその最終回の最終ページは、見開きで地球をバックに「NEVER END」と大きく描かれるという、かの『男坂』にも匹敵する衝撃のラストであった。
本作が打ち切られた週刊少年ジャンプ1992年48号は、現在も連載が続く老舗漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載800回を記念する号という、あまりにも皮肉なものであった。
そして巻末の車田正美のコメントも…
………………………………Good bye。
この一言だけであった。
そして車田正美は本作を最後に、週刊少年ジャンプから離れることとなった。
単行本は全2巻が発行されたが、そこでのコメントも印象的なものが多かった。
表紙カバー折り返しの作者コメント
人類はサルから進化して現在に至ったというが、
この先も進化をつづけていくとすれば、いったいどんな姿になってしまうのだろうか?
勉強のしすぎで、脳ばっかり肥大化したタコみたいなヤツか?
いや、そんなやつなら、世の中もうすでにごまんといるぜ。
う~~む。進化ってのも、あんまりいいもんじゃないかもしれないな。
単行本最終ページでのコメント
時の流れの中で
わずかでも
翔に立ち止まってくれた
君に……
……ありがとう
ネタ的な意味で様々な伝説を残した車田作品として、マニアの間では『男坂』と共に語り継がれている…のかもしれない。
前作とも言うべき『聖闘士星矢』が後に様々な媒体でリニューアルされ、2012年に新作TVシリーズ『聖闘士星矢Ω』が放送開始されたことを思うと、この作品の残したものは一体なんだったのであろうか…。
登場人物
翔
主人公。中学生。ファルコンのサイレントナイト。
紫鈴(シーリン)
本作のお色気担当でフェアリーのサイレントナイト。
アーサー
皇虎(おうこ)
タイガーのサイレントナイト。
涼(りょう)
皇虎の相棒的存在でピーコックのサイレントナイト。かわいい系の女顔でいちおう正義側だがえらく性格は悪く、重傷の翔を「こんなの助けても足手まとい」と言ったこともある。