概要
現存する様々なイラストソフトの源流ともいえる、パイオニア的存在で、Gペンや油彩、水彩など実在する画材の書き味をナチュラルにコンピュータ上で再現することに重点を置いており、その表現力においては他のソフトの追随を許していない。ブラシの設定項目が他ソフトに比べ圧倒的に多く、実在しないブラシを作り出すことも可能。
世界的にPhotoshopと双璧をなすソフト(画像の加工ならPhotoshop、ナチュラルペイントならPainter)として知られているが、近年の日本ではSAIのほうが人気であり、pixiv使用ツールランキングでも上位を奪われている。理由として「SAIのほうが安くて、動作が軽い」などがあげられる。
元々FractalDesign社が開発し、その後MetaCreation社への売却を経て現在はCorel社が開発、販売を行っている。かつては特徴的な缶パッケージで知られたが、バージョン6から7へ移行する際にコーレルに買収され、一般的な紙パッケージに移行。
開発エンジニアが変わった影響もあり、バージョン7の出来は散々なものであった。特にWindows版はバグだらけの動作が不安定なものであり、Mac版は比較的動作が安定しているということでMacintoshで使うことが勧められることがある。ただ、その後は徐々に開発者が復帰し、バージョンアップを重ねるごとに完成度が向上。バージョンⅨ.5以降は安定したペイントツールとなった。
ソフトの解説書がPhotoshopやSAIに比べて少ないのは、作家によって使い方が大きく変わるため。
Photoshopなどはレイヤー分けをするなどの一連の決まった流れが存在し、書籍が発行しやすい。Painterでも再現が可能なテクニックはあるが、Painterは表現力が幅広すぎるためそういった書籍が出にくいのが現状である。
すごいソフトなんだよ!!
(少し重いけどね)
低価格モデル
Painterは通常で6万、学割でも3万近くの値段になるが、それよりも安くPainterの塗りやお絵かきを楽しめるのが次のシリーズ。
- Painter Essentialsシリーズ
- Painter Sketch Padシリーズ
Painter Essentials4
市販版は100種、タブレット付属版は95種類のブラシを搭載したお絵かきソフト。PainterX(10)をベースに作られている。主線に便利な「ペン」、デジタル水彩、色伸ばし(指先ツール)など、表現力は豊か。グラデーションやレイヤーモードのカスタマイズの機能制限が大きい。
2011年現在Wacom Bamboo FunとIntuos4 Special Editionに同梱されているが、使っていないユーザーも多い様子。とてももったいない、眠れる宝である。
Painter Sketch Pad
ブラシの数は11種類と少ないが、レイヤーモードが11種類から選択でき、またPainter11で搭載された「ドライメディアツール」を搭載。「タブレットのペンの角度を認識して斜めに描くことが出来る鉛筆」「スピードをつけて描くと細くなるインクペン」「ペンをタブレットから離さない限りべた塗りになり、離して重ねると色が重なっていくマーカーペン」など、高度な表現が可能になっている。
2011年8月現在、Wacom Intuos4 Special Editionに同梱されているものと、ダウンロード販売でしか入手することは出来ない。価格帯はEssentials4よりも高めに設定されている。
主な機能
ブラシカテゴリ
バージョン12
アクリル、エアブラシ、アーティスト、ブレンド、チョークとクレヨン、木炭とコンテ、クローン、デジタル水彩、消しゴム、F/X、フィルタ、グワッシュ、イメージホース、インパスト、リキッドインク、マーカー、油彩、パレットナイフ、パステル、パターンペン、鉛筆、ペン、フォト、リアル水彩、リアルウェット油彩、スマートストローク、スポンジ、墨絵、ティント、水彩
Essentials 4
厚塗りペイント、薄塗りペイント、水彩、鉛筆&ペン、ドライメディア、ブレンド、効果、フォト
自動ペインティング
写真やイラストをもとに自動的に絵を書く機能。色の流れを認識し、より人間が書いたようなイラストにしてくれるため、結果が毎回微妙に違う。オイルペイントや水彩、鉛筆画など手法も様々選べる。
使用ファイル形式
専用ファイル形式
入力専用ファイル形式
入出力可能ファイル形式
Painter12
RIF TIF PSD BMP PCX TGA GIF JPEG EPS MOV AVI FRM
Essentials4
購入のポイント
●Painterにはパッケージ版とダウンロード版が存在する。
パッケージ版はネット環境必須ではないため、再インストールが楽な点が良い。ダウンロード版はネット環境で最初に認証が必要である。
ただし、12の発売の際に、ダウンロード版はパッケージ版よりも一ヶ月早く先行発売された。
●学割版(アカデミック)が存在する。
しかし、アカデミック版はアップグレード対象から外れるので、次バージョンは特別優待版を購入することになる。
学割版→特別優待版→アップグレード版
特別優待版→アップグレード版→アップグレード版
と考えると3バージョンアップグレードしたときのトータル金額はそれほど違いがない。
●Photoshopシリーズ、Painter Essentialsシリーズ、Corelの製品を何かしら所持している場合は特別優待版が購入できる。SonyなどのPCに入っているWinDVDも対象。
バージョン12ではSAI、IllustStudio、comicstudioユーザーも特別優待版の対象となった。
Painterは、バージョン毎にアップグレードや特別優待版の範囲が変わるので、購入の前には必ず現時点のバージョンでの購入条件を確認した方が良い。
また、ある程度はPaintShopProなど、同社が発売しているフォトレタッチソフトなどで機能補完が可能。