P-51とは、ノースアメリカン社(現ボーイング)の製作した戦闘機である。通称:マスタング(ムスタング)。
アメリカの荒野に野生する馬の事である。
概要
1940年代初頭、カーチスP-40の代替品としてしか見なかったアメリカ軍だがドイツとの大戦に入っていたイギリス軍が着目し採用に至る。
P-51Aは、当時アメリカには一段式過給器のアリソンV-1710液冷発動機しかなく
イギリスで高官が本国のスピットファイアに使ってるマーリンエンジンに換装することを発案。
これが見事にマッチし、2段過給インタークーラー装備のマーリン60が搭載され
すこぶる性能がよくなり、特に高空性能が特に改善され爆撃機の長距離援護に活躍した
これがP-51B/Cである(BとCの違いは生産工場の違うだけであり、実質同じ機体である)
それ以来、ドロップキャノピー(水滴型風防)のD型までパッカード製マーリンV-1650が使用されることになる。
機体の表面処理と層流翼の効果もあり時速703km/hを記録する。
だが、あまりにも生産性のよいモノコック構造にこだわりすぎたため空中分解事故も多数あり、
加えてアメリカ製でありながら矢鱈欠点が多いこともあってか頑丈なP-40も終戦まで生産し使われたこととしても有名。
評価
P-51のアメリカにおける評価は非常に高く、「第二次大戦最優秀戦闘機」とも呼称されるが、これは「最強戦闘機」を意味するものではない。短期間の設計によるためか、軽量化や強度の不足、燃料を満載した時の前後バランスの悪さ(胴体内燃料タンクに燃料が残っているときには空戦機動が禁止されている)、ラジエーターが飛行速度を殺ぐ上に戦闘時の弱点にまでなっているなど、いくつもの欠点が指摘されている。
事実、パイロットの中には空戦性能はスピットファイアの方が高いと評価する者もおり、敵であるドイツ空軍のベテランパイロットからも空戦性能重視のP-51より頑丈さと火力重視のP-47のほうが恐ろしかったといわれている。さらには自軍のパイロット達にすらP-47の方がいいと言う人までいた始末。
そらパイロットとしては、『ラジエーターに被弾する=撃墜されたも同然』なんて意見まであるほど脆い機体より、頑丈な(=安全性・生存性が高い)機体の方に乗りたいよなぁ……。
とはいえ、本機の主任務はドイツ領への侵攻作戦であり、その点で最大の評価を勝ち得ている。スピットファイアじゃあ航続力ではこの任務に適さず、P-51なら帰還できるだけの燃料を残した状態でも、新兵だらけになっていたドイツ戦闘機とは十分に戦えるし、ジェット戦闘機相手でも離着陸時なら撃墜可能。
さらに、いかなる状況下でも航続距離が長いという事実は彼らに余裕を与えてくれたのである。このように長い航続距離を持ちながら、高い巡航速度と高速性、加速性、機動性を併せ持つことが最優秀と云われる所以である(あわせて整備のしやすさや低価格であることもあげられる。)。
南方で鹵獲されたP-51Cに搭乗し、本土の教育部隊で仮想敵役を務めた黒江保彦なんかも有名。
余談
ストライクウィッチーズの登場キャラ、シャーロット・E・イェーガー、黒江綾香、ドミニカ・S・ジェンタイル、ジェーン・T・ゴッドフリーの使用するストライカーユニット、ノースリベリオン P-51の元ネタ。こちらもマーリンエンジンを搭載したことによってスピード、航続距離、高高度性能が著しく上昇した。