概要
京都伏見高校一年生。
入部早々に不遜な態度で勝負を言い渡し、既存の三年生エースだった石垣を負かして強引にエースナンバーを手に入れた、京都伏見のエース。
細長い体躯に薄い唇、低い鼻、変化の少ない真っ黒な目をした、爬虫類のような不気味な青年。
言動も奇抜で、大袈裟にふらふらしたり首を傾けたり舌を出したりと挙動不審。王者箱根学園に壇上で宣戦布告を行い、チームメイトの先輩にすら「ザク(雑魚、どこにでもいる量産型の意)」と心の中で吐き捨てる、礼や愛想を持たない人物。
恐ろしく整った歯並びが特徴であり、京都弁を話す。
相手を見下し、敵の弱点をトラウマであろうと調べ上げて利用し挑発を投げかけるといった、スポーツマンシップを欠いた人間。しかし、競争におけるチーム内での戦略を主将を差し置いて担当するなど、状況全てを計算した上での確実な勝利を狙う、頭の切れる実力者でもある。
中学時代に今泉が大敗した因縁の相手であり、相手に闘志を燃やされるも「弱泉くんや」と嘲笑ってのけるなど自分の実力を自負している模様。
坂道の実力を見抜き、「量産型ではない」と訝しむ。
その本質は、異常なまでの「勝利」に対する拘り。
周囲からの評価を下げても味方を駒扱いして切り捨てても相手を欺いても、自身が前へ出て勝利する事に固執し、レース中に身体が悲鳴を上げても漕ぐ事を止めなかった。
勝利の為に綺麗事には一切興味を持たず、逆に「努力」や「仲間」を讃える他者の姿勢には「キモッ」を連発する。
反面、勝利を逸した際の落ち込み具合もまた尋常ではなく、インターハイ二日目に金城・福富に敗れた時はショックから退部まで断行しかけたほど。
劇中の回想によると、彼が自転車に目覚めたのは病弱だった母親を見舞うための遠距離の病院通いがきっかけ。しかし幼少期に周囲から受け続けたいじめと、その唯一愛していた母親の夭折が、現在の性格を形成した模様である。
京都伏見のチーム内では唯一の一年生だが、先輩らを含め部員には「自分を君付けで呼ばせる」「部員同士は番号か苗字で呼び合う」等の行為を強制し、自分の戦略に対する徹底した服従を言い渡す。
これにより京都伏見は元々の和気藹々とした雰囲気を失い、軍隊的な独裁主義のチームとなった。
しかし実は登場人物中坂道に次ぐオタクでもあり、「量産型」「ザク」のみならず本気を出す際には奥歯のかみ合わせを合わせる、自らを隊長機ではなく真紅の二号機に例える等、その言行は枚挙に暇が無い。
愛車は、その体躯に対して不釣り合いに小さめのフレームサイズに、長めのシートポストとステムをセッティングしたDE ROSA。「これがボクのスタイルや」と取材班にも堂々と言ってのけているが……。
本気の加速を行う際は、転倒すら厭わぬ程の異常な前傾姿勢を取り、奇声を張り上げながら鬼気迫るスプリントを見せる。後に大阪で鳴子と草レースを行った際には上体を車体前方に真一文字に伸ばして漕ぐという更に奇怪なフォームを披露、これを撃破してみせた。