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P-51の編集履歴

2013-12-08 22:30:55 バージョン

P-51

ぴーごじゅういち

戦闘機の名門、ノースアメリカンの戦闘機。第二次大戦では最優秀戦闘機だといわれている。最高速度は703kmにも達し、これは世界最速級である。

・・・「B-24と一緒に、おそろしく早い奴がきましたよ。見た感じがカツオ節みたいにとがった、大変な戦闘機です。なんか問題になりません。(中略)スマートな、きれいな、すばらしい奴でした」と搭乗員は言った。


(中略)みんなが、「これだ、これだ!」と叫んだのは、ノースアメリカンP-51で、別名を「ムスタング」とか「アパッシュ」と呼ばれる飛行機であった。性能細目欄(データ)は空白になっていて、なにもわからない。『強敵P-51ムスタング現る』である。

黒江保彦著『あゝ隼戦闘隊 -かえらざる撃墜王-』(光人社NF文庫)P416~P417より抜粋


・・・P-51とは、ノースアメリカン社(現ボーイング)の製作した戦闘機である。通称:マスタングムスタング)。

アメリカの荒野に野生する馬の事である。


概要

1940年代初頭、カーチスP-40の代替品としてしか見なかったアメリカ軍だがドイツとの大戦に入っていたイギリス軍が着目し採用に至る。


P-51A

最初の型はP-40P-38と同じエンジンであるアリソンV-1710液冷発動機を搭載していた。しかし、このエンジンは低空での性能に優れるものの、高高度での性能には不満があり、戦闘機というよりは攻撃機偵察機としての方が多く使われている。


A-36「アパッチ」

P-51Aは低空が得意というわけで、アメリカ陸軍航空隊(USAAF)ではこの機を低空専門の攻撃機としても採用した。特に目立った改修は急降下爆撃のためのエアブレーキ(ダイブブレーキ)設置で、アリソンエンジンが低空で威力を発揮するのと相まって、その爆撃精度は高く評価された。


だが、「爆弾投下後の引き起こしで空中分解した」という事故も発生しており、以降はせいぜい70度までの降下角で爆撃するように通達されている。

(そして、ベテランはそれを無視して任務を続行した)


P-51B/C

「高高度性能が悪い」。これは当時アメリカに使えるエンジンが、一段式過給器のアリソンV-1710液冷発動機しかないという問題によるものであった。


そこで、P-51Aの供与先であったイギリス空軍高官がエンジンをスピットファイアに使ってる新型の「マーリン」エンジンに換装することを発案。これが見事にマッチし、さらに2段過給インタークーラー装備のマーリン60が搭載されるとすこぶる性能がよくなり、特に高空性能が特に改善されたので爆撃機の長距離援護に活躍した。


ヨーロッパやアフリカだけでなく、ビルマ等では日本の陸海軍と砲火を交えている。

なお、BとCの違いは生産工場が違うだけであり、実質同じ機体である。


P-51D

ドロップキャノピー(水滴型風防)が取り入れられ、空戦で重要な要因である視界が改善された。

エンジンもパッカード社で生産されたマーリンV-1650が使用されることになる。

機体の表面処理と層流翼の効果もあり、最高速度は時速703km/hを記録。


だが、あまりにも生産性のよいモノコック構造にこだわりすぎたため空中分解事故も多数あり、

加えてアメリカ製でありながら矢鱈欠点が多いこともあってか、頑丈なP-40も1944年いっぱいまで生産し使われたこととしても有名。


P-51D以降の型

以降の型では軽量化が試されたり、もしくは新型エンジンを搭載し、さらなる高性能を目指している。だが、このあたりで第二次世界大戦は終結し、加えて主流はジェット戦闘機に向き始めたため、発展はこのあたりが限界となった。


また、キャバリア社では中古ムスタングを改修し、民間用スポーツ機として仕立て直して売り出していた。


評価

P-51のアメリカにおける評価は非常に高く、「第二次大戦最優秀戦闘機」とも呼称されるが、これは「最強戦闘機」を意味するものではない。


短期間の設計によるためか、軽量化や強度の不足、燃料を満載した時の前後バランスの悪さ(胴体内燃料タンクに燃料が残っているときには空戦機動が禁止されている)、ラジエーターが飛行速度を殺ぐ上に戦闘時の弱点にまでなっているなど、いくつもの欠点が指摘されている。


事実、パイロットの中には空戦性能はスピットファイアの方が高いと評価する者もおり、敵であるドイツ空軍のベテランパイロットからも空戦性能重視のP-51より、頑丈さと火力重視のP-47のほうが恐ろしかったといわれている。


さらには自軍のパイロット達にすらP-47の方がいいと言う人までいた始末。

そらパイロットとしては、『ラジエーターに被弾する=撃墜されたも同然』なんて意見まであるほど脆い機体より、頑丈な(=安全性・生存性が高い)機体の方に乗りたいよなぁ……。


とはいえ、本機の主任務はドイツ領への侵攻作戦であり、その点で最大の評価を勝ち得ている。スピットファイアじゃあ航続力でこの任務に適さず、P-51なら帰還できるだけの燃料を残した状態でも、新兵だらけになっていたドイツ戦闘機とは十分に戦えるし、ジェット戦闘機相手でも離着陸時なら撃墜可能。


さらに、「いかなる状況下でも航続距離が長い」という事実は、彼らに余裕を与えてくれたのである。このように長い航続距離を持ちながら、

・高い巡航速度

・高速性

・加速性

・機動性を併せ持つことが最優秀と云われる所以である

(あわせて整備のしやすさや低価格であることもあげられる。)。


要は、パイロットにとって最優秀とは微妙に言いがたいが、生産や整備、作戦を立てる上層部といった、軍全体にとって(今まで物足りなかった部分を埋めてくれたという意味での)最優秀というわけである。


南方で鹵獲されたP-51Cに搭乗し、本土の教育部隊で仮想敵役を務めた黒江保彦なんかも有名。


余談

ストライクウィッチーズの登場キャラ、シャーロット・E・イェーガー黒江綾香ドミニカ・S・ジェンタイルジェーン・T・ゴッドフリーの使用するストライカーユニット、ノースリベリオン P-51の元ネタ。こちらもマーリンエンジンを搭載したことによってスピード、航続距離、高高度性能が著しく上昇した。

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