あいさつするたび ともだちふえるね
概要
低学年までを対象とした挨拶励行を目的として企画された。
挨拶をするたびにそれを基にした愉快なキャラクターたちが登場し、友だちが増えていくさまを歌とアニメで表現している。
CMには15秒、30秒、60秒の3つのバージョンが存在し、ラジオ版や新聞広告も存在する。放送期間は2010年7月~2011年6月。
なお、CM内では触れられていないが、新聞広告によれば子供の名前は『あいさつ坊や』と『あいさつガール』だという。
と、日本広告機構のCMでときおり話題になるホラーじみたものでもないこのCMは、本来なら企業の不祥事などでCMを自粛した際にたまに目にする毒にも薬にもならない地味なものでしかなく、おそらくはほとんどの人の記憶にとどまることもなく消えていくものであったはずなのだが……
東日本大震災
2011年の3月に日本を襲った未曽有の大震災が、このCMの運命を大きく変えた。
前項でも軽く触れたとおり、企業による自粛や、何らかのトラブルによって特定のCMが差し止められた場合など、何らかの事情で普通のCMが放送できない場合がある。とはいえ、多くの番組はCMの時間を前提に製作されており、単にCMをカットするだけでは番組全体の進行に齟齬(そご)が発生してしまうのだ。そのための穴埋めとして非営利目的のCMが放送されることになる。その場合、すでに物が用意されているACジャパンによる公告が挿入される場合が多い。
さて、東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、各企業は一斉にCMの放映を自粛。各テレビ局も緊急性の高さからコマーシャルなしの緊急報道番組を展開した。しかし48時間を超えると、広告なしの放送が民放の規定に引っかかるために各テレビ局ではCMを再開。しかし、いまだ多くの企業がCMを自粛しているため、ACのCMがヘビーローテーションで放送された。
2010年夏から流れていたこのCMも、必然的にこれを機に一気に知名度が上がったのである。
なかでもこのCMは、あの東日本大震災を象徴するものとして特に人々の心にこびりついている。初めはある程度バリエーションのあったACの広告も、海外への募金の呼びかけなど未曽有の大災害のなかで『適切でない』と判断されたものが次々と自粛されていった。その結果、最後まで残ったCMのうちの一本でもあるため、このCM自体の放映回数が多かったのも確かに影響している。
しかし、次々に絶望的なニュースが飛び込み、現地の映像は現実離れしたものばかりで、死者・行方不明者の数も天井知らずに増えていき、原発事故が起き、流通も不安定となり、被災地以外での生活もおぼつかなくなった先の見えない不安に押しつぶされそうになっていたあの時期。そんななかで、心を癒す牧歌的な光景に、鎮魂歌であるかのような暖かくもどこか物悲しいメロディラインに、電波ソングを彷彿(ほうふつ)とさせる不思議と耳に残るフレーズ、そして『挨拶すると友達増えるね』というメッセージ。
凄惨な状況にあって、このCMは束の間だけでも心を現実へ引き戻し、未来の希望へ目を向けさせてくれる役割を果たしていたのである。
あまりにも放送回数が多いため話題となり、ネタ絵やネタ動画を含めて大量に投稿されるようにもなった一方、「(このCMが)流されすぎてうざい」といった苦情も出てきた。これを見ると震災のころを思い出すという人もいる。放送するかしないかはすべてテレビ局の自由なので、苦情を受けてもどうしようもできないACの中の人は、せめて「エ~シ~」という甲高いフレーズ(サウンドロゴ)をカットするように各局に頼んだという。
句点について
末尾の句点「。」であるが、これは広告名・CM名としても、曲名としても構わないで付くもののようである。
しかし、pixivでは句点のないあいさつの魔法タグ、ならびにぽぽぽぽーんタグによる扱いが流行時の中核を担った。この句点のないタグは、タグ数において正表記タグを下回っている2011/5/21現在でもなお根強い人気を誇っている様子で、(タグ数などに余裕があっても)あえて正表記タグの方が外されることもしばしば。
公式サイトから閲覧できる(株)カンパスによる字幕CMにおいても、タイトルが句点なしになっている(『見える気持ちに。』については句点付きのまま)。ニュースサイトにおいても混乱が多い様子。北海道新聞の記事においては「あいさつの魔法。」という表記が確認されるが、「さよなライオン」が「さようなライオン」になっている。
【本稿も元はあいさつの魔法で作成されたものです】
参考
- 北海道ぷっちねっと(曲名の情報)
- ゆうこりん☆の「なんでも応援団」(北海道新聞による記事の写真)
注
公式サイトにおいては『あいさつの魔法。』で通されていたが、2011/7/15の更新に伴う過去ログへの移動の際に、「見える気持ちに。」ともども句点が抜け落ちてしまっている。詳細情報が待たれる(公式サイトの記述がすべてのソースだったとは考え辛いはずだが……)。
余談
パロディ出演
2019年に配信された消滅都市シリーズの1作「AFTERLOST - 消滅都市」にて、このCMの作中での存在が示唆されている。メインストーリー5章25-1話にて、メタファーとして現実で発生した事件や災害(地下鉄サリン事件、9.11等)を織り混ぜる展開があり精神科医ヤスヒロの口から、「テレビを付けると、人をバカにするようなCMばかり流れる」「まるで僕らを洗脳するように」と苦言を呈され、その後は怒涛の9回連続「ぽぽぽぽーん」とフルボイスで台詞を発した。
関連イラスト
関連動画
あいさつの魔法 1分フルバージョン 2010年度全国キャンペーン
あいさつの魔法 15秒&30秒バージョン
関連タグ
主な愛称・表記ゆれ
キャラクター
こんにちワン ありがとウサギ こんばんワニ さよなライオン おはよウナギ いただきマウス いってきまスカンク ただいマンボウ ごちそうさマウス おやすみなサイ
二次創作
擬人化:ポポポポ~ン擬人化
オリジナル:オリジナルポポポポ~ン
企画
その他派生タグ
集合絵:ポポポポ~ン集合
マッチョ化など?:たのもしいなかま
腐向け・ホモ:ぽぽぽぽ~ん〔腐〕
他作品とのコラボ:ジョジョの奇妙なあいさつ 東方挨拶魔法