概要
仏教においては『釈迦提桓因陀羅(Sakra-devanam-Indra)』と音訳され、『帝釈天』と訳されて信仰される。インドラは初期のヒンドゥー教において重視された神で、「リグ・ヴェーダ」では彼に捧げられた讃歌が全体の四分の一をしめる。
その性質は軍神、雨や嵐を司る雷神、太陽神で、初期ヴェーダでは雷神の性質が強い。
インドラは茶褐色の髪と髭を持ち、暴風の化身マルト神群を従えて二頭立ての戦車に乗って空を駆ける。メール山の頂上にインドラが住み、彼は神酒ソーマを痛飲し、ヴァジュラ(金剛杵、雷霆)を投じて悪魔を倒し、人々を守る。
彼が退治した悪魔は数多くアヒ、ヴァラ、ヴリトラ、ダーナヴァ、トリシラス、ナムチ、パーカ等が挙げられる。特にヴリトラとの戦いは、アーリヤ人と異民族の戦闘、そして旱魃・冬の化身ヴリトラが、雷雨・太陽を象徴するインドラによって倒される事で乾いた大地に水を齎す繰り返される自然現象等、様々な意味を持つという。
またインドラの勇敢で道徳に拘らない性格と物質的な恩恵をもたらす姿は、
インドラは所有・関連物の言及も多く、妃はインドラーニー(シャチー)、都はアマラーヴァティー、乗騎の象はアイラーヴァタ、馬はウッチャイヒシュラヴァ、弓はシャクラダヌス、剣はパランジャと呼ばれる。
上記の様にインドラは敵を撃破し、信仰者に慈悲を与える寛大な神として描かれる一方で、他神の持ち物を壊し暴飲暴食を行う粗暴な性格ともされる。そして後代になるにつれその地位は下落し、悪魔や聖仙(リシ)に怯え打ち倒される弱々しい存在にされ、人妻に夜這をかけようとして追い返される話や聖仙に呪われて睾丸を取られ千の女性器(後に千の目になる)を全身に作られるという情けない話まである。
後代の神話でも名目上は神々の有力者だが、『ラーマーヤナ』では羅刹王ラーヴァナの子供メーガナーダに倒され、『バーガヴァタ・プラーナ』では少年時代のクリシュナに神通力比べで負ける。ストーリーの盛り上げ役、他神の引き立て役である。挙げ句の果てには神々に戦闘を仕掛けてきた悪鳥ガルーダに打破され撃破された。
インドラの起源は古く、インド・イラン語族の神話にまで遡るとされる。ゾロアスター教では早い段階でダエーワ(悪魔)に列され、インドラは悪魔として定着した。BC14中頃のミタニ・ヒッタイト条約文の中に“Indar,Indara”の名で記されることから広い範囲に名が知られたと言われる。
仏教では十二天として東方守護の役目を担い、須弥山(メール山)のトウ利天にある喜見城に住むという。世に言う帝釈天とは彼の十二天名である。
また、仏教の悪の化身であるご立派様ことマーラの戦車を引く怪物はアイラーヴァタと同じ存在であるギリメカラであり、後代の下落した部分がマーラという怪物として表現された可能性がある。
また、観音菩薩の化身の一つ「千手観音(千手千眼観世音菩薩)」には、その成り立ちにインドの強力な神の要素が数体扱われており、その神の中にインドラが含まれているという。
この他、薬師如来の守護者十二神将の一人にも数えられ、「因達羅大将」として信仰されている。十二支では午に相当し、馬の頭を持つ武将の姿でも描かれる。
創作のインドラ
天空戦記シュラトのインドラ
NARUTOのインドラ
神羅万象のインドラ
パズドラのインドラ
女神転生シリーズのインドラ
初出は『真・女神転生』で種族は”魔神”。ヴィシュヌに次ぐ高レベルの悪魔であったが、『真・女神転生Ⅱ』では、上記の神話及び、劇中のメシア教のヒンズー教を貶める策略で弱体化したという設定で低レベル(LV72→LV27)になってしまった。
姿は金子一馬によって開発中に描かれた「天魔王」と名付けられた悪魔の姿がベース。
『女神異聞録ペルソナ』では封神具「寅の腹巻」(帝釈天に所縁がある人物から)を使用して作成できる、ドクロのマスクをかぶり、槍の様なヴァジュラを持つ法王のペルソナとして登場。
正直インドラとしてよりマーラ様としての出番の方が多い。
十二神将としての姿「インダラ」も登場しているが、馬の頭を持っている。
DDSAT
茶褐色を基調とした屈強な体に左手両足に二枚ずつの円盤、そして右手に巨大なヴァジュラを備える姿で、他のキャラクターが牙を剥き出しにしているのに対して口をカバーが覆っているなど異彩を放つデザインである。
戦闘では、通常は左手の円盤を回転させつつの殴打、クリティカル攻撃や物理スキルの際に右手のヴァジュラを用いて刺突・斬撃を繰り出す。
ヴァジュラの前後に備わる槍状の刃はある程度伸縮し、何度も伸縮させて連続で穂先を相手に撃ち込む、身を捻る動作と連動させて伸長時の勢いを相手に叩きこむという戦闘スタイルも取る。さらにヴァジュラを掲げて魔法を使用し、水平に構えて防御も行う。
また針系物理スキル使用時に、左手を顔の前に挙げて拝むという変わったモーションも用いる
なおインドラの身体の各所には藍色の菱形模様が無数に刻まれているが、千の目を表しているのか呪いで生じたアレを表しているのかは謎。
神話の雷神としての性格を反映して電撃属性の魔法に長け、パラメータの成長傾向は力・体のパラメータの上昇率が高い(ヒートと一緒)
デジモンテイマーズ
十二神将としての姿「因達羅大将」をモデルにしたインダラモンが登場。
しかし、性格は傲慢で自慢話が好きと言う設定である。
関連タグ
アルジュナ(マントラの力で授けた息子)
アンダル(ゾロアスター教におけるインドラ)