概要
概要
演:ポーラ・ローズ/諸星すみれ
黒髪に黒いワンピース、そして黒いブーツを履いた10歳前後の少女。よく見ると整った顔立ちをしているがその顔にはどこか影があり、時には不気味な笑みを見せる。
一見すると人間の少女にしか見えないが、その正体はかつてアルバート・ウェスカーとエイダ・ウォンが所属していた、アンブレラのライバルであった製薬会社「H.C.F.」の協力の下、謎の組織「コネクション」によって創られた、新型B.O.W.「E型被験体」の第一号である。
作中で見られる「研究報告書」によると、特異菌(新種の真菌)のゲノムを人間の胚(胎児)に組み込み培養することで"エヴリン"が誕生したらしい。
>計画のきっかけとなったのは、◼︎◼︎での◼︎◼︎◼︎◼︎・◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
>と呼ばれる新種の真菌(特異菌)の発見であった。
>生物兵器は、特異菌のゲノムをステージ4以前のヒト胚に組み込み、
>製造された生物はただ「被験体」と呼ばれ、性能不良で実用性に乏しい「A〜D型」、
>諸問題をクリアした完成形「E型」とそれぞれナンバリングされた。
>都市や難民など社会集団に紛れ込ませるのが容易なためである。
>(「研究報告書 前」)
※真菌:「菌類のうち、細菌・変形菌(粘菌)を除くものの総称。カビ・キノコとよばれるものが含まれる。」(参考リンク1)。真菌はウィルスより遥かに大きい(参考リンク2)。
※ゲノム:「生物種を規定する遺伝情報全体のこと。」「生物が生きていくのに最小限必要な染色体の1組。」(参考リンク3)
※胚:「卵や種子の中の発生初期の生物体。」「哺乳(ほにゅう)類では胎児ともいう。」(参考リンク4)
つまり、エヴリンは真菌の集合体のようなものであり、同時に一種の人造人間、または生まれつきの改造人間ということになる。
ミア・ウィンターズのことを「ママ」と呼び慕っているが、その理由はミアはエヴリンを誕生させた組織の工作員であり、その記憶を失う前の3年前のミアがエヴリンを手懐けるために彼女の母親として振舞っていたため。
本作でイーサン・ウィンターズにミアのメッセージを送り、ベイカー邸に招き入れたのも「ママ」の夫であるイーサンを自らの父親、「パパ」にするためであった。しかしイーサンはミアと共に館から脱出を試みたため家族にすることを諦め、彼を殺すべくモールデッドを始めとした感染者達を操り仕掛けてくる。
能力
能力
>E型被験体が体内生成する特異菌(※)が、人体に感染した除の諸症状をまとめる。
>E型取り扱いにおいて必ず読んでおくこと。
>※ここでは、便宜上「カビ」と呼ぶ。
>(「感染症例レポート」)
>E型被験体の第1号である「エヴリン」は、体組織から自在に
>特異菌◼︎◼︎◼︎◼︎・◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎を分泌できる。さらに特筆すべきは、
>菌を他の生物に植え付けることによって
>対象にエヴリンがアクセスするメカニズムには不明点も多いが、
>緑膿菌や発光バクテリアが行う「クオラムセンシング」のように
>オートインデューサーと呼ばれるフェロモンが媒介しているのかもしれない。
>(「研究報告書 前」)
他の報告書によると、エヴリンは「菌糸から生物を形成する」という。実際にカビの力は超再生、死者蘇生、超人化、クリーチャー(カビ人間「モールデッド」)の生成、洗脳、幻覚、鋼構造物をも破壊する触手など、多種多様に発揮されている。
>感染後まもなく、感染者は(そこにいない)エヴリンの姿を目にし、
>感染者への聴取では、幻影のエヴリンは初めは少女らしく、
>甘えるような態度で現れるが、次第に過激な要求や命令を行うようになっていくという。
>そのようにして感染者への精神攻撃・洗脳をしつつ、
>最終的にはその肉体まで◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎のだ。
>(「研究報告書 前」)
エヴリンは感染者に対する読心も出来るのか、イーサンを助けようとするミアに対して「こいつはおまえを愛してない わたしが愛させてあげようか?」と誘いかけている(だが特殊な理由で正気に戻ったある感染者は演技でエヴリンを騙しており、彼女の読心能力がそこまで高度かは不明。)更に感染者の一人であるハルクが《あのクソガキを…》と述べてしまった際には特異菌で全身を食いつくすように始末した。
本編から3年前。研究所での生活に嫌気がさしていたエヴリンは、ミアとその仲間が随行したタンカーによる移送作戦中に暴走して船を破壊。タンカーはベイカー邸そばに難破し、記憶を失ったミアと共にベイカー家に保護された。しかしエヴリンはミアとベイカー家を「家族」として洗脳。狂気に堕とし、それからも多数の人間を感染させて3年もの間「家族」を増やしていった。
(研究員達が製造したエヴリンがそのような行動に出たのは、自分が支配する集団を「家族」的に動かすことで社会に溶けこませるため、あるいは、隔離されて育った彼女が愛情に飢えているためではないかと研究の観察者は推察している。)
物語中盤では「ママ」であったミアに執着し、イーサンを人質に捕らえて彼女に記憶を取り戻すよう仕向けてくる。
その真相
その真相
「私は家族がほしかったの....」
演:パトリシア・マクニーリー/田畑ゆり
ベイカー家のあちこちで見かける車椅子の老婆。
言葉にならない何かを呟き、じっとイーサンの行動を見ていた彼女こそがエヴリンの真の姿である。それまでイーサンが目にしてきた少女の姿は感染者に見せる幻覚によるもので、なおかつ3年前の自分の姿を投影したものであった。
組織の手から逃れたエヴリンは、心身ともに異常をきたした。エンディングに一瞬表示される商品説明書曰く、製品(=エヴリン)は一定期間ごとに、「保全用化学物質(maintenance chemicals)」の「注入(injection)」を受ける必要がある。もし6ヶ月以上注入を受けない場合、「製品は急激に加齢する ― 通常よりも25倍速く。最終的には、製品は精神異常となって周囲全てに対し脅威となる(the Product will age rapidly - 25 X's faster than normal. Eventually, the Product will become insane and a danger to all around it)」。
「安定化化合物(Stabilizing Compounds)」を注入されることが必須のエヴリンだったが、薬の投与が事で、たった3年で少女の姿から骨と皮のような老婆に成り果ててしまったのである(ルーカス・ベイカーの言では「細胞劣化」)。
作中の終盤にイーサンは、「E-ネクロトキシン」というE型被験体殺処分用の壊死毒を精製。エヴリンはイーサンに追い詰められて壊死毒を打たれ、自身の真の姿が彼の目に晒される。
そして血の涙を流し、「どうしてみんな私を嫌うの...?」と嘆きながら訴えていた。
壊死毒に苦悶しながらもなお息絶えないエヴリンは、暴走するかの如く巨大な顔面と触手を持った怪物に姿を変え、「みんな」への呪詛の言葉を吐きながらイーサンを殺そうとする。
しかし、駆けつけたクリス・レッドフィールドがイーサンに投げ渡した対B.O.W.用拳銃「アルバート-01」によって止めを刺され、その短い生涯の幕を閉じた。
エヴリンは多くの人間を感染させて殺害し、「家族」と称した化け物に変えて操っていた。細胞劣化に至る前からB.O.Wとして危険な能力を行使していた彼女だが、ある意味では人間と共存しており、その姿は欲求不満を制御できない幼い少女のようにも見える。
ベイカー一家がエヴリンに対してどのような感情を持っていたかは掴みがたい。ジャック・ベイカーはすべての原因をエヴリンと見なしつつ、エヴリンは家族を欲しがってるだけだとも言い、それでいて家族が解放されることを望んでいた。
>「すべてあの子が・・・エヴリンがやった」
>もう抵抗できない
>「いいかあの子は・・・ただ自分の家族が欲しいだけだ」
>「お前ならあの子を 止められるはずだ
その後イーサンを救出したミアは、エヴリンによってまたもイーサンから引き離され、イーサンはエヴリンを追撃することになる。
>「苦しめられたのは俺とミアだけじゃない
>ベイカー家もそうだ
>あの化け物 「エヴリン」に変えられてしまった」
イーサンではなくジャックのような視点に立てば、エヴリンは人間として生きていくための道徳と「家族」を知らなかっただけなのかもしれない(幻覚時にもイーサンに対し「お前にわかるものか」といった言葉を叫んでいる)。「研究報告書 前」では「制圧した敵人員を、そのまま味方戦力として取り込む」兵器として高く評価される一方、ルーカスは「親父やオフクロは完全にヤツの言いなりだな あれが「家族」って、あんたらどんな教育したんだ?」と組織にメールしている。専用の壊死毒まで用意されていたエヴリンに普通の教育が行われていたとは考え辛い。
とはいえ、エヴリンの外見が少女なのは「社会集団に紛れ込ませる」のが目的であり、また「少女らしく」振る舞うことは自傷行為や他者への攻撃を命じることに繋がっており、エヴリンの本質がどの程度少女なのかは明かされていない。
ただ、前述の「どうしてみんな私を嫌うの...?」という台詞から、彼女が「嫌われる事」への恐怖心やコンプレックスを持っていた可能性は高い。だとすれば、彼女はベイカー一家を「絶対に自分を嫌いにならない存在」として欲したのかもしれない。しかし、その行動の結果として自分自身を決定的に嫌われ者にしてしまったのだとすれば、正に皮肉としか言いようがない。
如何なる理由があるにせよ、彼女が生み出した「家族」は人間のそれとは異なる異形のものであった。
だが彼女も元は人間の胎児で、今回の事件の元凶である組織の実験によって生み出された存在であり、彼女もまたウィンターズ夫妻やベイカー家と同様に組織の犠牲者とも考えられる。
作中でエヴリンが口ずさんでいた本作のテーマソング「Go Tell Aunt Rhody」は本編を終えた後に聴き直せば、この曲が彼女の心情を歌っていた事に気付き、最初とはまた違った印象を受けることだろう。
『ヴィレッジ』では
『ヴィレッジ』では
※この先、『ヴィレッジ』の本編のネタバレを含んでいます。
『7』でイーサンの手によって短い生涯を終えたエヴリンだったが、『ヴィレッジ』では物語終盤でイーサンの精神世界で姿を現し、散々煽りながら(彼女なりの叱咤激励であった可能性もあるが)イーサンの身に隠された秘密を暴露した。
またとある資料から元々エヴリンは本作の黒幕から「カドゥ」と「エヴァの胚」を組織「コネクション」に提供した結果エヴリンが生まれたという誕生経緯が明かされており実質黒幕の実の娘も同然の存在である。
だが生みの親からエヴリンの事を「出来損ない」と酷評されている。
また「エヴリン」という名前も元々は黒幕の亡き娘の「エヴァ」から取られている。
更にDLCのShadow of Roseでは、なんと彼女も『菌根』に意識が保存されていたことが判明。とある経緯から『菌根』内部の世界にアクセスしたローズに対し、
「お前は愛されてない!」
「お前は独りぼっちだ!空っぽだ!誰にも必要となんかされてない!」
などと凄まじい憎悪が籠った罵詈雑言を叩きつけながら襲いかかる。
この事が、ローズが御目付け役から「エヴリン」と呼ばれた際に凄まじい怒りを見せた理由かもしれない(ローズ自身はエヴリンに気遣っているようなそぶりも見せているため同情だった可能性もあるが)。
イーサン(おそらくミランダにも)に可愛がられるローズに強く嫉妬しており、怨嗟の言葉を投げかけるが、どこかその言葉はエヴリン自身の自己評価ともとれる内容であり、上記の「愛されたかった」というのが本心であったことや、(失敗作である)自分にはそれが叶わないと内心悟っていたことで強く葛藤していたことを思わせる。
「私やっぱり失敗作なんだ…」
「だから誰も愛してくれない…」
結局、最後まで誰かの愛を真に受けることが出来ないまま退場してしまったエヴリンだったが、結果として彼女もまた被害者であったことが今作で強く強調されているようにも受け取れる。
ちなみにミランダにとってはエヴリンの意識が保存されていた事が想定外だったらしく、後に読めるミランダの記した文書の中では上記の「出来損ない」に加え「ゴミ」とまで呼ばれており、最後まで不憫な扱いを受けている。
エヴリンを単なる悪と断じるか、はたまた最大の犠牲者と受け取るかはプレイヤー(あなた)次第である。
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