はじめに
本記事はあくまで「カプ厨についての概要や注意」を記しており、カップリングやカップリングタグそのものを批判しているわけではありません。大切なのはそれを使う人自身の考え・行動であり、カップリング自体やそれをする人に対する悪いレッテル貼り、過度なバッシングをする目的の記事ではありません。
カップリングタグも正しい使い方をすれば立派な分類・棲み分けタグの一つです。それに、元からカップリングのつもりで描かれたイラストの場合は(特に投稿者自身が)カップリングタグをしっかり付けないと、逆に周りに迷惑をかけることになります。
概要
(異性・同性関係無しに)何でもかんでもカップリングしたがる(=キャラクター同士を恋愛関係にさせたがる)行き過ぎた人のこと、もしくは自らが贔屓にするカップリングを推しすぎて鬱陶しがられる人のこと。
カプ厨は家族愛や友情、仕事の相棒(相方)、師弟、慈愛や同情、共感や共鳴、敵対関係やライバル意識など、二者間の関心を何でも『恋愛(恋愛感情)』にこじつける傾向にある。ちょっとの喧嘩・対立・会話をしただけでカップルにするところも特徴。中には作中で一切接点がない、顔を合わせたかどうかも怪しい二者間のカップリングをでっちあげることさえある(「顔カプ」の項目も参照)。
ただ、二次創作においてこれらのこじつけはごく当たり前に行われており、単に自分が内心でカップリングを妄想している、というだけでは(たとえ公式設定と矛盾するカップリング妄想を抱いていたとしても)迷惑行為とは言えない。ところが、場をわきまえず自分の意見を押し付ける(例えば作品公式の感想投稿フォームやハッシュタグなどを利用して非公式カップリングを推す・大量に投稿して初見の人に捏造関係を植え付けるなど)などの行為が目立つと、「カプ厨」と呼ばれることになる。
Shipper
英語では日本における「カップリング」に相当するものを「ship」と呼ぶことから、カップリングを特に好む人として「shipper」と表現される。これは本来「周りを不快にさせる」といった意味は含まないが、しばしばshipperの暴走に眉をひそめる・非難するようなニュアンスで使われ、実質的な意味合いはだいたい「カプ厨」と似たような感じだ。
英語ではShipperの対義語としてProshipperという言葉がある。他人のカップリングの好みを尊重する姿勢を示すものだが、日本語にはぴったりした訳語がない(「雑食」と訳されることもあるが、意味合いが異なる)。
種類
カプ厨と呼ばれる人は、男女見境なしに好きなキャラ同士くっつけたがる者もいれば、男女CPしか受け付けない者、BLの中でも特定のカプしか受け付けない者など様々であるが、自分好みのカップリングを周囲に推しまくり、そして自分の好みではないカップリングを猛烈に荒らしまくる点は共通している。
受けや攻めに拘りがあったり、シチュエーションにも煩いカプ厨もいる。それゆえインターネット上ではカプ厨同士での抗争が激しく、カプ厨ではない人々からすれば迷惑千万な存在でしかない。
いずれにおいても、「自分の萌えは他人の萎え」となりうることを理解せず、嫌いな創作物を一方的に批判したり、好みの異なる他者を揶揄したり、二次創作でしかないカップリングを公式であるかのように押し付けるなどの行為が問題視される。
- 中には、嫌いなジャンルを荒らすために確信犯的にカプ厨を装い、カップリングをゴリ推しする荒らしが出現することもある。
- カプ厨による被害は2次元のキャラクターに留まらない。いわゆる「ナマモノ」と呼ばれている俳優や声優、アイドル、歌い手、YouTuber(バーチャルYouTuber)等実在する人物に関しても、「親しい交流がある」と発言したことを誇張して、現実で恋人として付き合っているものだと情報を捏造・拡散されるケースが見られる。
また、キャラクターであればあくまで「個人の解釈にすぎない」ということがある程度理解されているが、実在人物の場合「事実としてそのようなことが起こっている」と多くの人に誤解される・ゴシップとして取り扱われるという危険性が高い。 例えばあるドラマ作品で恋人役を演じた俳優たちが、現実でも恋愛関係にあるのではないかとドラマの視聴者が騒ぎ立て、それを受けて週刊誌などで「2人が恋人だという噂がある」と報道される、ということは度々起こっている。
カプ厨による商業的な被害
とある有名作品の人気が下落した理由に「カプ厨」の存在があったと指摘されている。またこの事は人気投票にも如実に現れており、あくまで原作者が否定側であり許可していない「非公式カプ」であるにもかかわらず、一部のマナーのないファンが無理にでもカップリングとして認定させようという行いにより、それぞれのキャラ好きなファンがコミック及びキャラ推しから離脱したと見られている。
結果として20万部以上あったコミック売上が下落し、関連商品のグッズが軒並み売れ残るという大惨事が発生した。カプ厨の迷惑行為によってブームが終了し、企業が大損害を被るケースも多いのである。 また、声優や一部の脚本家・制作スタッフによって「監督や出版側、原作側が明確に設定していないケース」にもかかわらず「公式側の人間としてカプを肯定」してしまうような(悪意なき)ケースがあり、これも問題となっている(実際に、その後に更迭されるケースも存在している)。
カプ厨同士の抗争は女性向けジャンルでは古くから見られるため、公式も極めて慎重にならざるを得ない。かつてカップリングという概念が一般的ではなかった男性向けジャンルにおいても、2010年代半ば以降はカプ厨が幅を利かせるようになり、公式側の危機管理不足もあって大炎上するケースが増えてきている。
以上の事で作品のファンが離れてしまい、原作者だけでなく企業や会社や数多の書店等、様々な所で重大な損失を与えてしまう事をどうか理解してマナーを守って欲しい。
- 近年は、嫌いな作品を潰したり評判を貶めるために「アンチ」がわざとカップリングの話題をごり押してファンを煽る悪質なケースも出てきており、もはやファン間の啓蒙だけでは何ともならないことがある。そうした悪質な情報を拡散する行為について公式側が「法的措置も取る」と警告したケースもある。
暴走するケース
最悪な場合では、所謂「なりきり、ドリーマー的嗜好」目的で恋愛関係のないキャラ同士をキャラ愛と偽り恋愛カプとして成立させるように公式に嘆願書を出すツワモノもいる。キャラになりきることで自己投影するケースがこれに当たる。そもそも当人が公式だと思い込んでいる組み合わせが実際には公式ですらない(キャラ同士の接点がない、嫌われている・避けられていると設定されている)ケースも珍しくない。
また、所謂「公式カップリング」であれば構わないという意見もあるが、それが行き過ぎて他の二次創作を否定したり、公式で他のキャラとの関係が描かれるのを拒否したりするような場合はカプ厨となる。むしろ公式だからこそゴリ押ししても許されると思い込んでいる例もあり、なおさら始末の悪い場合も。
原作関係者に近い立場の人が、自分の好きなキャラ・カップリングを描きたい・見せつけたいという思いから、公式のメディア・グッズ展開において暴走してしまうケースも存在する。
- 例えば、ある作品のコラボカフェで特定のカップリングを好む店員が、原作では然程関係性やエピソードのない2人の立ち絵と2人のシーンの寄せ集めの自作パネルや2人のグッズを大量に展示し、公式のコラボカフェを私物化するという問題行動を起こした。これは一般ファンから公式にクレームが寄せられ程なく撤去されたが、コラボカフェ以外の店でも起こりうる事例だと言える。
- ある作品ではアシスタントが原作者に自身が好む非公式CPを匂わせる公式イラストを描かせたり、アニメ化の際は監修に関わり該当CPキャラ同士の数少ない接点のあるエピソードを優先的にアニメ化させるなど作品を私物化。また原作者とアニメ監督もそれぞれ好みの非公式CPをゴリ押しし、主役を差し置いて該当CPキャラの出番がやたら多くなる、Blu-ray・DVD全3巻中2巻のパッケージが本編では関係性の薄い該当CPキャラ同士が並んだデザインになるなど公式大暴走となってしまっていた。
実際にあったカプ厨の迷惑行為例
- CP名を出しての公式への凸行為全般
- 原作者や監督などに「2人をくっつけてください!」と迫る、役を演じているだけにすぎない声優に「この2人お似合いですよね!」と迫り言質を取ろうとする
- 作品Aで恋愛関係になったキャラ同士を演じた声優2人が別作品Bで共演した際に「推しCPの中の人が再共演した」という理由(中の人繋がり)だけでCP化する
- SNSの作品公式アカウントに非公式CP名を出してリプライを送る
- 公式ハッシュタグでCPものの二次創作を投稿
- 自CPのキャラがセットになっている公式イラストやグッズが出ただけで「公式フラグ!」と大騒ぎし、他CPにマウントを取る
- ジャンル外の人に自ジャンルを紹介する際、公式CPの中にしれっと非公式CPを混ぜ込み、あたかも公式CPであるかのように吹聴する
- 原作には全くない二次創作設定を公式と言い張り、冷静に否定した人を原作アンチ扱い
- 「〇〇(非公式CP名)ファンじゃない人は作品ファンじゃない!」と発言
- 他のCPが好きな人に「公式はこのCPですよ」・「このCPを描いてください」と迫る、「マシュマロ」などの匿名メッセージサービスで荒らし行為に走る
- 先行上映や試写会など、全員が情報を知らないような状況で、自分の好きなCP絡みの描写があるというだけで伏せ字やワンクッションなどの配慮を行わずネタバレする
- 映画の応援上映で、非公式CPであるにもかかわらずCP名や「◯◯の恋人は××!」などと叫ぶ
- 非公式CPであるという事実を指摘した人、CP厨のマナーについて苦言を呈した人を一方的に悪者扱いし、嫌がらせをしてそのCPから追い出す
- 原作未読・未プレイを堂々と公言した上で二次創作を行い、非公式CPを公式と同じように扱おうとする
- 原作リリース記念日を勝手に非公式CP記念日に設定して二次創作物投稿祭りを開催、苦言を呈した原作者に「CP差別だ!」と逆切れして大炎上(原作者が再び苦言を呈して鎮火)
pixivにおけるカプ厨事情
ピクシブ百科事典にある「カップリング」の記事の注意事項を見ていただくと分かるように、pixivにもカプ厨問題は存在する。
「まるでカップリングタグしか存在しないかのようにタグ付けする」「明らかにカップリングを意識して描かれていないorカップリングを特に考えずに一緒に描かれているだけのイラストをカップルと勝手に認定している」、これらはどちらも閲覧側の独断と偏見によるものである。
投稿側が指定カプのタグ付けをしていない以上は、閲覧側がカップリングを感じたからと言ってタグ付けするのは好ましくない。マイナス検索により本来は見てもらえる(見ることが出来る)イラストや小説が見てもらえないという事態を招いたり、気分を害した投稿者が作品投稿をやめてしまう場合もある。
また、まれに(作品自体は非カップリングものだが)カップリングタグを付けられて「タグがつけられたこと」そのものに喜ぶ人や、良い作品に対して高評価の意味で付ける人がいるが、カップリングタグはあくまで分類・棲み分けるためのタグであり、評価タグではない。 「直接的な表現はないが投稿者がカップルを意識して創作した」または「意図してカップリングタグを付けている」という場合を除いてはグループタグ(コンビ・トリオ・グループ)を付けるという選択肢があるのを忘れないように。
さらに、pixiv百科事典においても「ジャンルの親記事のメイン画像を、汎用性の高い集合絵から編集者の推しCP絵に変更される(この場合、ジャンルに詳しくない閲覧者が「この作品は、メイン画像のCPありきの作品なのか」と誤解する事例が発生してしまう)」「各CPの項目で、作中に起こっていないような展開(描かれなかった未来への展望や過去の回想)を記す、あるいは特にCP要素のないコンビに対しても恋愛要素を織り交ぜて印象操作をする」、ひどい場合は「(投稿作品が)もっと増えてもいいのよ」と編集者の願望が記された例もある。
ピクシブ百科事典は、あくまでも「編集者が分かる範囲、かつ良識の範囲内で編集をする」ことが前提となっているので、関係ない部分での推しCPに対する地盤固めも程々にしていただけると幸いである。
カップリングは「○○×**」のように表記されるのが一般的だが、カップリングのつもりでない(恋愛の描写はない)のであれば、キャラクター名(単体)のタグ、「○○+**」、「○○と**」のように表記することが望ましい。
あなたは大丈夫?
カップリング自体を愛でたり、語ったりする事はむしろそのカップリングの活性化や(特にマイナーカップリングにおいては)同士を見つけることにも繋がるので良い事なのだが、その行為が行き過ぎてしまうと公式や特定カップリングへの攻撃、周囲への迷惑行為が暴走したカプ厨となってしまう。この事は誰でもなりえるため注意が必要。
たとえば「一緒に遊んでいる」「同じ食卓で食事している」「会話をしている」「傍にいる」等は普通の日常生活であり、これらの行動の殆どはカップル以外にも親子や身内、先輩や後輩、友達や同僚など恋愛関係にない誰と一緒に行なっていても不思議ではないためこれらの行動だけでカップルと決め付けるには早過ぎる。原作においてこれらが伏線で「実はカップルという設定で描かれていた」という場合もなくはないが、全ての作品がそうとは限らない。
上記に挙げた例でも想像(妄想)したり、個人で創作したり、身内や同士で語り合いをするには何の問題もないのだが、それらを公の場で声を大きくしたりすると周囲の人たちに迷惑をかけてしまい、『TPOの判断や棲み分けが出来ず、結果的に空気を読まずマナーを守らない』、周囲に配慮した言動をとっているのに一部の不心得者のせいで『あのカップリング推しの界隈はマナーがなっていない』といった全体批判に繋がってしまうので、避けるようにしなければならない。
カプ厨にならないためには
- 自分の考えたカップリングがあくまで二次創作上の非公式設定に過ぎないことを忘れない。
- 原作あってこその二次創作であることを理解する
- 公式カップリング推しであっても、特定カップリングや非公式カップリングを攻撃する理由にはならない。
- 特定のカップリングを持ち上げ、他カップリングを貶す行為はしない。
感じ方は人によって異なるため、自分にとってはカップルでも見る人によってはカップルではないという人もいる。いずれの場合も、自分の感じ方・考え方・価値観を人に押し付ける、強要するなど否定的な態度は設定の公式・非公式問わず肯定されるべき行為ではないので、お互いに慎むようにしよう。
恋愛が主題ではない作品、主人公が読者全員に向けられている作品、本命が不確定となるギャルゲー・乙女ゲーム、BL、百合作品のカップリング判断は慎重に行い個人や同士で楽しんで欲しい。
状況によっては余計な争いを招く場合もあり、原作でいい雰囲気に描かれていた(男女)カップルが結ばれなかった際に「腐女子が苦情を送ったから」「百合厨が騒いだから」などの責任転嫁がなされることもある。
最後に
公式設定を尊重する姿勢はもちろん大切にすべきであるが、二次創作上でどのカップリングを好むか、考えるかもまた、個人個人の自由である。 自分の好まざるものに対して攻撃的、否定的な態度は周囲に不快を呼び、延いてはカップリング嫌悪・その作品のファン全体への嫌悪に繋がる可能性もあるので、行動と言動には十分に注意しよう。
カプ厨とは言われにくいケース
- 一次創作(作者が自分のもの)、キャラメイクが原作(オンラインゲーム、TRPGのようにキャラの設定が固まっていない作品)のオリキャラ、半オリキャラ同士のカップリングが好きな人
- 夢向けのように、カップリングではあるが片方が透明な存在となっているカップルを描く人(ただし「夢厨」として忌避感を抱く人もいる)
- 主人公=プレイヤーの恋愛ゲームにおいて、公式で取り扱われているカップリングを好む人
関連タグ
カップル | カップリング、カップリング論争、捏造カップリング |
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厨 | 厨房(ネットスラング)、厨房の一覧 |
ジャンル | 二次創作、男女CP/NL、BL、GL(百合) |
ペアリング | ペア、コンビ、相棒/バディ・男女バディ、タッグ |
マナー | pixivマナー、検索妨害、検索避け、棲み分け、棲み分けタグ、迷惑行為、自治厨、編集合戦(ピクシブ百科事典)、ネガキャン、自作自演、KY、無自覚な荒らし |
その他 | ロザリオとバンパイア:アニメ2期で『ロザリオとバンパイア CAPU2』(カプチュー)というタイトルで放送された。吸血鬼の「カブりつき+血吸い」の擬音によるものであり、違う、そうじゃない… |
外部リンク
カプ厨(アンサイクロペディア):こちらにも非常に分かりやすく(多少の偏見はあるが)書かれている。