「おや? 私奴をご存じない? よろしい。私奴が誰かお教え致しましょう……」
「生まれも育ちも惑星ニーダム。ボスの為ならあいつは悪く、こいつは強く、魔改造! 私こそ、ハシリヤン改造隊長、キャノーーンボーーーグ!!」
「フフフフ……これが改造隊長の芸風ですよ……」 (バクアゲ11)
概要
バクアゲ11より登場。
惑星ニーダム出身の大宇宙侵略大走力団ハシリヤンの改造隊長。
様々な配線を赤紫色のドレッドヘア状に纏めた巨大な頭部を持ち、白衣と芸術家の服を組み合わせた様な一風変わった出で立ちとなっており、マフラーの様な耳に眼鏡を着用している。
先に地球に来訪していた斬込隊長・マッドレックスの殉職後、ギャーソリンが全く集まらない状況を改善すべく、地球にやってきた。
改造隊長の名の通り苦魔獣に魔改造によるパワーアップが出来る。ドレッドヘアのように伸びた髪房(配線)は触手状の端末・工具ツールであり、これで苦魔獣の身体を弄り細工を加え魔改造を施す。触手の操作精度は高く、改造を施した苦魔獣にその事実を悟らせない繊細さと隠密性も有する。
また、燭台みたいなシルエットをした、外科医とメカニックを掛け合わせた風のパペットめいた見た目の手持ちツールも所持。このツールの頭頂部は外科手術ベッドの照明を模していて、そこを開くと苦魔獣をリアルタイムで観察するモニターと操作コンソールが展開される。
マッドレックス同様幹部格に当たる人物なのだが、裏方仕事でもある技術屋故にあまり現場へ出て来ない身分だったのか、サンシーターは彼を全く知らない上に「どちら様?」と問い掛けていた。
また、敬語ながらも傲慢さが見え隠れする言動もあって、ヤルカーやイターシャからは良い印象を抱かれていないが、到着後に1度は彼等の手腕を(サポート付きで)見たり、巨大戦力を与えて直接手柄を立てるチャンスを与えたりと、サンシーターへの待遇は直属だったマッドレックスより寧ろ良い。
人物像
「ハシリヤンきってのキレ者」を自称し、甲高い男性の様にも低音の女性にも聞こえる独特な声の持ち主で、丁寧な言葉遣いながらもマッドサイエンティスト染みた雰囲気を持っている。一人称は「私(わたくし)」あるいは「私奴(わたくしめ)」。
ノリもそこそこ良く派手な名乗りを上げる一方で、サンシーターのやり方を見て様子見する等、自称通り一歩引いた部分もある。それでいて相手のやり方が失敗した事実と、自分がさり気なく仕込んだ改造による工作がもたらした成果を理由として、侵略現場での上下関係を確立させる知略も使う頭脳派。
また、ヤルカーから「マッドレックス様よりダサい」「自分でキレ者言うカー?」とあまりにもバッサリ酷評された際には「そんな口は改造しますよ?」と釘を刺して以降は、サンシーターが陰口を叩く度に「改造する」との脅し文句で牽制する様子から、要職に就く人物かつ頭脳派らしいプライドの高さも持つ様子。
また、あちこちの星で「改造」の形で戦力を現地調達しているからか、ブンブンジャーの正式な呼称を把握する程の高い情報収集能力も持ち、敵の戦闘データを密かに集めてその戦力を模倣した兵器を開発・建造、しかもそれを名うてのサーチャーであるシャーシロにすら把握させぬままに完遂させる、大胆かつ繊細な芸当までもやってのけており、自称の「ハシリヤンきってのキレ者」は決して伊達や酔狂ではない。
暗躍
バクアゲ11
低気圧で気分が乗らないサンシーターは、今回のギャーソリン納品を全会一致で休もうとする。しかしその背後から「ノンノンノン。サボリは改造しますよ?」と突然出現(尚、この直前に偶然通りかかった思わぬ被害者がいた事実が翌週に判明している)。
上記の自己紹介を済ませたキャノンボーグは、自身が「地球からのギャーソリン納品が滞っている現状から地球に来訪した」趣旨を伝えると、サンシーターの仕事ぶりを視察する為に仕事を催促する。そうして納車されたアンテナグルマーをひと通り観察し、後の仕事をサンシーター達に任せる。
アンテナグルマーは順調にギャーソリンを集めていくが、そこにブンブンジャーが出現。苦戦を強いられるアンテナグルマーだったが、突如としてパワーアップ。
実は観察中にキャノンボーグが密かに改造を施しており、これによりブンオレンジ以外の身体制御を奪って形勢逆転。しかし、ブンレッドが現れ2対3へ。しかし偶然からブンブンチェンジャーとブンブンブースターの共鳴を利用してアンテナを攻略された末、最終的にアンテナグルマーは撃破され作戦は失敗に終わった。
「すいませんでした!!」と土下座をするサンシーターに対し、今回のやり方をダメ出しし「これからは自分が仕切る」と宣言するのだった。
「あなた達のやり方、ノンノンノン! これからは私奴が仕切ります……お覚悟を!」
バクアゲ12
早速サンシーターからイニシアチブを取るべく、キャノンボーグは懐にしまい込んでいたハシリヤンイグニッションキーを用いて、ゲタグルマーを生み出すや市井の襲撃を実行。
ブンブンジャーが全員そろった折を見て、ゲタグルマーに施した魔改造を解放して彼等を窮地に陥れると、それを満足気に観察するキャノンボーグ。
だが、途中で江角走輔/ゴーオンレッドの参戦で形勢逆転を許した挙げ句、最終的にゲタグルマーが2度も敗北してしまう。
尚、ブンブンジャーとゴーオンレッドが出会う切っ掛けとなったのは、偶然スピードルがブンブンジャー達の世界に現れたタイミングに地球に襲来したキャノンボーグと接触事故を起こしたからであり、皮肉にも今回の敗因はキャノンボーグ自身にある実態が露呈した。
バクアゲ13
「完成しましたよ……私奴の秘策が! バクアゲしていられるのも今の内ですよ、ブンブンジャーの皆さん! フッフッフ、ハッハッハ! アッハッハッハ!」
番組冒頭で廃工場らしき場所にて、ブンブンジャーを監視しているキャノンボーグの手には、ブンブンチェンジャーを歪めた不気味な外観のツール・ブンブンデンジャーが握られていた……。
本編開始直後、サンシーターに秘策・ブンブンキラーロボとそれに装備されたスピーカーに取り込んだ『逆転アゲサゲ音頭』を授け、見事にブンブンジャーの無力化に成功すると、キャノンボーグは通信機越しで「ギャーソリンの回収」を命じた。
しかし、せっかくの秘策もブンブンジャーの無力化で油断し切ったサンシーターと、その慢心をまんまと突いた玄蕃の策で逆転された上、そうした玄蕃の野生動物の如し忍従と強かさに惚れ込んだブンブンサファリの乱入で、更に根幹であるスピーカーを木端微塵に粉砕。サンシーターもキラーロボに搭乗して巻き返しを図るも、サファリと合体した『ブンブンジャーロボサファリカスタム』にキラーロボまで撃破されてしまった。
尚、ブンブンキラーロボから流れる『逆転アゲサゲ音頭』は演者のくじら女史が歌っているので、名言はされてないがキャノンボーグ自らが歌唱した可能性が高い。かなりはっちゃけていると同時に、何処までも抜かりない策士と評価できよう。
余談
- 名前の由来は1980年代に公開されたカーアクション映画『キャノンボール』、出身地はその監督『ハル・ニーダム』と思われる。ニーダム氏は『キャノンボール』シリーズには監督以外にも、1984年公開の第2作の脚本担当、第1作では救急隊員役、第2作では本人役として出演の形で携わっている。
- 担当声優であるくじら女史は手裏剣戦隊ニンニンジャーファイナルライブツアーの臥待天骸以来、およそ8年ぶりのスーパー戦隊シリーズ出演だが、本編内は初となる。尚、東映特撮作品への出演自体は『仮面ライダーアギト』の風のエル以来23年ぶりとなる。
- 公式ブログによると「キャノンボーグの不気味さを引き出す為に、あえて男性の声とも取れる様な低音の女性声優を起用して中性的なキャラにしよう」との意図で彼女が選出されたと答えている。
- スーツアクターの蜂須賀氏は前作『王様戦隊キングオージャー』で久々の戦隊ヒロインとなるパピヨンオージャーを演じた大ベテランで、キョウリュウジャーとのコラボ回では賢神見習いのキャンデリラを10年ぶりに演じ、第49話でもカーラス版のパピヨンオージャーを担当した為、最終的に1人3役を演じきっている。蜂須賀氏が男性でも女性でも無いキャラを担当するのは仮面ライダー亡以来5年ぶりとなる。
- マッドレックスとハシリヤン斬込隊にも該当するのだが、「ハシリヤン改造隊」には他に判明しているメンバーが不在。これがネタバレに接触する事案なのか、単に設定面での粗であるかは不明。
- 名乗りに含まれる「生まれも育ちも惑星ニーダム」の一節を聞いて、視聴者の中には「彼を思い出した」との声もあるとか。
関連タグ
ハイネスデューク_ウラ、魔導神官メーミィ、晦正影、ワイズルー:平成のシリーズにおいて、物語の序盤で倒された武闘派の幹部の次に登場した歴代の頭脳派の幹部達。
ユガミ博士、アントン博士、イジルデ:キャノンボーグと同様、怪人を改造する技術力を備えた幹部達。またイジルデには戦隊ロボを模倣した巨大戦力を開発した共通点もある。