概要
武藤遊戯の前に神出鬼没する物語の重要な鍵を握る人物。闇遊戯の事をファラオと呼んでいる。千年アイテムである、相手の心の部屋に入り込む「千年錠」と、相手の罪の重さを量る「千年秤」の所持者である。ペガサス・J・クロフォードの過去にも関与しており、彼に千年眼(ミレニアム・アイ)を与えている。
罪の重さを量るというオーパーツを所持しているからか、その言動は冷徹なまでに冷静で中立的だが、杏子や闇遊戯の心の部屋を見た際に人間味を感じさせる一面も覗かせている。また、意図の読みづらい言動などに隠れがちだが、一応私利私欲で千年アイテムを用いる様子はない。
謎に包まれた人物像
原作において初登場した際は自らを「墓守の一族」と自称する以外に素性が明らかにされなかった。後に王国編において少年期のシャーディーは実際に墓守として千年アイテムを管理していた事が明らかになるのだが、BC編のマリクの口頭から少年期のシャーディーについて語られた際は、闇バクラのモノローグにて「ヤツは既にこの俺に(始末された)」という旨が言及され、人物像が掴めない。
また、記憶戦争編ではシャーディーの遣いを自称する千年アイテムの管理者ボバサが登場するが、彼はシャーディーと同一人物であり、またボバサの正体はかつてエジプトのファラオであるアクナムカノンが生前に遺した守護精霊ハサンであることが判明している。また、古代エジプトの時代には彼の前世と思しき千年錠の神官シャダも登場したが、ゾークとの戦いで落命している。
また、原作者がシナリオを手掛けた劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』においては「闇バクラとの過去の出来事」が描かれ、かつてエジプト(現代)には墓守の一族に身を置きながらも冥界の高次元に人々の魂を昇華させる精神の進化を説いた青年シャーディー・シンが登場するも幼少期の獏良了に宿った闇バクラの人格によって抹殺されている。
つまり現代編においてはかつてシャーディー・シンという人物が存在したものの、彼は遊戯王本編の時代には既に死亡しており、その後「墓守の一族」を自称するシャーディー=ボバサ=石板の精霊ハサンが現代で活動していたという事になる。つまりその頃のシャーディーがシャーディー・シンとどのような繋がりを持っているのか、実体を持った人間であったのか、または精霊や霊体の類であったのかも判然としない。
また、『THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』で描かれたシャーディー・シンは温和な青年であり、本編において冷徹なシャーディーの人物像とはかけ離れた人格である。
加えてシャーディーの目的も作中では明らかにはされる事はなかった。もっとも、同じ墓守の一族であるイシュタール姉弟によれば、彼らの一族は名もなきファラオ(この場合はアテム=闇遊戯のこと)が現世によみがえった際、その使命を全うさせるための手助けをするところにあるのだという。また、シャーディーの数ある姿の一つであるハサンはアテムの実父アクナムカノンの遺志により、息子アテムを守護する目的で遺されたと語っている。シャーディーは原作における最終章「闘いの儀」ラストでも顔を見せたが、その際は霊体のような出で立ちであった。
余談
文庫版で彼の初登場する『シャーディー編』がWJでのアンケートが著しくなかったと記述されている。このシリーズはカラー見開きで始まってカラー見開きで終わるゴリ押しっぷりで、普通に好きな人はびっくりしたであろう。
シャーディー編はホラーとスリルを堪能する雰囲気漫画風であり、(WJ繋がりで)幽遊白書の四聖獣編のサイドストーリー(螢子とぼたんがゾンビ化された岩本に追いかけられる展開)を、主人公たちレギュラー側に持ってきたような構造であった。
主人公が早く敵を倒さないとタイムリミットが過ぎてヒロインが死んでしまう構造は前述の幽遊白書・四聖獣編と一緒だが恋愛はスパイス止まりであり、闇のゲームで敵と戦うのは主人公だけであり、友情と先が読めない意外な展開が重視されていた。
シャーディーが杏子の心の部屋で「顔のない男の顔写真」が誰かを推察するシーンも出てくるが、WJ読者が「洗脳された杏子が顔のない男の顔写真を表遊戯や城之内や本田と混同していくのか」「闇遊戯とシャーディーが杏子を取り合うのか」…とか期待するはずがなかった。シャーディー編は、序盤の杏子と城之内の設定を知らない読者には不親切な描写が多く、杏子はラストで闇遊戯に命を救われたが、DEATH-T編まで闇遊戯がかつて自分を助けた声の主だと気付くことはなかった。そのせいか定かではないが、シャーディー編はアニメでは一話に短縮され、舞台が美術館から童実野高校に変更になっている。
実際には遊戯王がWJの掲載順最後尾に追いやられたのはモンスターワールド編である。