概要
MARVELコミックのヒーロー達が別の宇宙で活躍したシリーズ『Marvel Super Heroes Secret Wars』で初登場。
戦いの最中にスーツをぼろぼろにされたスパイダーマンがその代わりに身にまとったものがブラックコスチュームことエイリアン共生体「シンビオート」であった。
邪悪で凶暴な地球外の寄生生物であり、取り憑かれた人間は超人的な腕力や敏捷性を得るが、凶暴化してしまう。 宿主と感情や衝動が一致するとその性質はより強く反映される。
結合には生物学的な段階があり、結合が強いほど強力な共生体になり得る。
宿主を変えて別の人間に取り憑くこともあり、「ヴェノム」や「カーネイジ」といった固有名詞は概ねシンビオートの方につけられているため、宿主が変わっても名前を引き継ぐことが多い。
宿主のアドレナリンを餌にしている。
この種族の故郷はファンタスティック・フォーとも因縁深いギャラクタスによって滅ぼされたらしい。
なお後述の起源により神クラスの相手でも大ダメージを与える事が可能だが、「炎と轟音に弱い」という弱点があり、炎に似た力と轟音を同時に放てる神には、あと一歩の所まで追い詰めても逆転される事が多い。
主な個体
シンビオートは初代宿主のスパイダーマンに始まり、寄生相手を乗り換えたり分裂して増殖することで新たな共生体を増やし続けている。寄生する相手の身体能力によって戦闘能力や特性に個体差があるものの、どれも超人的な身体能力を発揮している。
作品によってはスパイダーマン以外のヒーローにも寄生している。
ブラックスパイダーマン
初代宿主であるスパイダーマンのコスチューム形態。
能力を大幅に増幅し、シンビオート特有の変体能力で色んな服に変化したり、ウェブシューター無しで蜘蛛糸を精製してくれたのでスパイダーマンは重宝していた。ただし上述の危険性からスパイダーマンは決別。裏切られたと感じたシンビオートは彼に復讐を誓った。
シンビオートはスパイダーマンの能力をコピーしており、後の共生体にもそれが反映されている。
ヴェノム
スパイダーマンから分離したシンビオートが最初に寄生して誕生したヴィラン。能力を完全に受け継いだ上に身体能力も上回っている難敵である。
初代宿主はこちらもスパイダーマンを逆恨みしている元新聞記者エディ・ブロック。その後もエディから更なる共生体が生まれている。
カーネイジ
投獄されたエディが脱出した際に、ヴェノムから分裂した子供が同室に居た凶悪殺人犯クレタス・キャサディに寄生して誕生したヴィラン。
残虐非道なクレタスはシンビオートとの相性が抜群であったため、スパイダーマンやある意味親であるヴェノムをも越える強大な戦闘力を見せつけた。ヴェノムとは同室時代から不仲であり、彼を倒すためにヴェノムは憎いスパイダーマンとも共闘している。
スクリーム
ライフ財団という組織がヴェノムから抽出したシンビオートを培養し、それを元に生み出した5つの共生体の1つ。ドナ・エディゴという女性に寄生している。
スパイダーマンやヴェノムと幾度となく戦いその過程で改心したが、最終的にヴェノムに殺害された。
ちなみにナイスバディ。
ライオット
スクリームと同じくライフ財団が生み出した共生体の1つ。トレヴァー・コールという男性に寄生している。
スクリームによって宿主のトレヴァーが殺害された後、残る3体(アゴニー、ラッシャー、ファージ)と共に米軍によって逮捕され、ヴォールト刑務所に投獄される。その後4体が融合した単一の新たなシンビオートとなり、看守スコット・ワシントンを宿主とする超人ハイブリッドとして活動している…が、こちらは元祖ヴェノムに殺害された。
アンチヴェノム
シンビオートと分離したエディがミスターネガティブという人物に投与された薬物の影響で発現した姿。薬物によってエディの体内に残っていたシンビオートが変質したもので、他のシンビオートを寄せ付けず、シンビオートがとりついた人を治癒することが出来る。
エージェント・ヴェノム
エディから分離したヴェノムがフラッシュ・トンプソンに寄生して誕生した共生体。
トキシン
カーネイジから生まれたシンビオートが警察官パトリック・マリガンに寄生して生まれた共生体。
パトリックは善良な警察官であったため、シンビオートの暴力衝動を抑えつけヴィランには成らず、クライムファイターとして活動。のちにパトリックと分離し、エディと強制的に合体させられたが後に分離し、10代の少年であるブレン・ウォーターズと融合を果たす。
スコーン
精神科医のタニス・ニーヴスが失った右腕の代わりに得た義手にカーネイジの一部が組み込まれており、これがタニスからクレタスに戻った際に残していった新たな分裂体。
その後タニスはシンビオートの支配に飲まれる事なく、トキシンと同様にヒーローとして活動している。
シー・ヴェノム
その名の通り女性のヴェノムで、エディの元妻アン・ウェイングがシンビオートに寄生された姿。
連続殺人犯に撃たれたアンの命を救うべく、エディがアンにもシンビオートを寄生させて誕生した。
マニア
エージェント・ヴェノムから生まれたシンビオートがアンディ・ベントンに寄生して生まれた共生体。
オールブラック
2010年代のコミックで初登場した、最初に生まれた個体。ただしこれまで述べた個体の直系の先祖ではない(後述)。
主に剣「オールブラック・ザ・ネクロソード」として活躍し、ゴア・ザ・ゴッド・ブッチャーという全宇宙の神を殺そうとするヴィランの手でソーと対決したり、ギャラクタスが持ち主だったこともある。
以下、正史世界【アース616】以外の個体。
グウェノム
グウェン・ステイシー / スパイダーグウェンと融合した姿。
クロちゃん
「少年ジャンプ+」で連載していた日本独自の漫画『デッドプールSAMURAI』に登場。
アイドル新日ねいろと共生しており、チョコが好物。「他の人はいくら食べても良いけど、私のファンは食べないで」というねいろとの約束を守ったり、彼女が親に対して抱いているコンプレックスを心配するなど、関係は良好な様子。
また、2024年の『ホワット・イフ...?』では「もしもシンビオートが他の誰かに取り憑いたら?」と題してロキ、ウルヴァリン、ドクター・ストレンジ、ムーンナイト、???を主役とした全5話が発表されている。
起源
エージェント・ヴェノムがガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーの一員になっていた際に、シンビオートの母星に辿り着いたエピソードにおいて
元々「クリンター」を自称し、高潔な精神を持った者を宿主にする事によって気高い究極の戦士を生み出し得る一族だが、その「高潔」の基準が異様に厳しくスパイダーマンさえも暴走の危険が有る不適合者であり、ましてや悪意の持ち主と共生した場合には怪物と化してしまう
という背景が明らかになった。
しかしその後、邪神ヌルによって道具として生み出された種族だった、というとんでもない新設定が加えられた。
上記のものはその起源と血塗られた過去を恥じたシンビオートたち自身によって、ヌルがかつてソーに敗れた際に自由の身となった後に捏造された嘘の歴史であり、「母星」の正体は当時のヌルの本拠地で、シンビオートたちによってヌルが封じ込められている場所だったのだ。
そして「クリンター」は彼らの言葉で「籠」を意味していた。
早い話が「邪神によって作られた神殺しの生物兵器(ただし、後に創造主に反逆)」という、とんでもない(ある意味で中二病チックな)連中だったのである。
実写版
サム・ライミ版
『3』にて、突如地球に飛来した隕石の中から出現。最初スパイダーマンに寄生しブラックスパイダーマンとなり、次にエディ・ブロックへ寄生しヴェノムとなった。
劇中ではどこからやってきたのか等、詳細について語られることはなかったが、近年のMARVEL映画でマルチバース設定が導入されていることから、「起源はスパイダーマン・ユニバースに登場したものと同じで、何らかの原因でサム・ライミ版の世界(アース96283)に迷い込んでしまった個体だったのではないか?」とする推測の声が出されている。
スパイダーマン・ユニバース
ヴェノムがメインの1人となっており、加えて第1作『ヴェノム』にライオット、シー・ヴェノムが、第2作『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』にカーネイジが登場。
トキシンも第2作で宿主のパトリックが登場し、終盤で今後の変身を示唆する展開がある。
共通点としては、生物の脳とチョコレートにしか含まれていない「フェネルチルアミン」という物質が好物。
起源については、第2作終盤にてヴェノムから「宇宙を越えた800億年のハイブ」という概念が明かされた。
第3作『ザ・ラストダンス』の予告では馬や魚に寄生したバージョン、そして創造主とされるヌルらしき人物の登場が示唆されている。
MCU
- 『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
- 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
- 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
- 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』
- 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
原作でヌルと因縁のある惑星であったノーウェアがコレクターの本拠として登場。後にガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーの拠点となった。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』で転移してきたヴェノムが元の世界に戻る際に、シンビオートの欠片を残してしまった。
ゴアがヴィランとして登場。しかし権利関係のためか「ヌル」や「オールブラック」には言及されず、剣の名前は「ネクロソード」になっている。
ただゴアが剣から生み出した化け物は『ザ・ラストダンス』に登場するヌルの配下である怪物「ゼノファージ」に酷似しており、ファン界隈では関連が考察されている。