「ディルック様は極上の酒だ、ただ氷を入れすぎたのだ。」
── バーテンダーのチャールズに追い出される前、吟遊詩人のジョセはその言葉を口にした。
概要
オープンワールドRPG『原神』の登場キャラクター。
名前 | ディルック(英:Diluc/中:迪卢克) |
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レアリティ | ★5 |
国/所属 | モンド/アカツキワイナリー |
種族 | 人間 |
使用武器 | 両手剣 |
神の目(元素属性) | 炎 |
誕生日 | 4月30日 |
命ノ星座 | 夜梟座 |
オリジナル料理 | 「モンドの過去」(お肉ツミツミ) |
CV | 小野賢章 |
人物
毛量の多い豊かな赤髪ロング、青白いほど真っ白な肌、大きな瞳、中性的な童顔、小さな鼻。
男性キャラクターとしては珍しいソフトなインテーク前髪である。
細身な体格を、分厚いジャケットとゴツい靴で包む。
モンド最大の酒造「アカツキワイナリー」のオーナーで、テイワットに流通するワインの多くに関わっていると言われる。
「モンドの無冠の王」とも呼ばれるその立場にふさわしい、優美な立ち振る舞いを普段から保っている。
オーナーに就任してからは短期間でワイナリーを立て直す判断力と頭脳を兼ねそなえる。剣をはじめ弓などの全種類の武器の扱いから、難易度の高い楽器の演奏もこなし、料理、チェスにまでも精通しているらしい。
強い責任感と義務感を持ち、「西風騎士団」からはやや距離を置きながらも、モンドを護るために献身する。表では財力と自らの力で得た情報網を最大限に活かして暗躍し、裏では人々を脅かす怪物と日夜戦っている。正体を隠し暗躍する様はモンドの住人に「闇夜の英雄」と密かに呼ばれているが、本人はこの呼び名に「居たたまれない」ことと、名前のセンスに引いているという2点で良い感情を持っていない。アカツキワイナリーオーナーとしても闇夜の英雄としても多忙を極める生活を送っている。
クールな佇まいとは裏腹に、本来は穏やかで慎ましい、温厚で優しい性格。
真面目な堅物でありながら、押されると弱く、相手を不快にさせたことがわかると遠慮がちに訂正するなど、親しくなると本来の性格を垣間見させてくる。物言いこそ冷たいが言っている内容は優しく常識的なものが多い。過去のイベントでは、嫌いな食べ物(モンド風焼き魚)を渡しても「……ありがとう。」とお礼を言ってくれる。
一人称は『僕』。
「双方の立場が対立した時、一方にとっての「英雄」はもう一方にとっての「悪人」となる」という価値観の持ち主。
様々な因縁から命を狙われることも少なくないが、「敵を育む原因自体は戦い以外の方法で断ち切らなければいけない」とも考えており、戦いには自嘲的な呟きも漏らしている。
誰が相手であっても求められる優美で完璧な対応を取り、『極上の酒』に例えられる彼だが、実は酒が苦手などの弱点がある。スネージナヤ権力者との会食では流儀に従い酒を一気飲みしてみせ、すぐに眩暈を感じるが気力で意識を保ち、後で3日も気絶するように寝込んだという逸話もあるほど(ある意味、普段は手を抜いているガイアとは正反対)。
夜は酒場のバーテンダーとして立つこともあるが、彼自身のグラスの中身はワインと見せかけてぶどうジュースである。
本人は「僕はお酒が嫌いなんだ。いや…はぁ、酒の味が好きじゃないんだ。」と言い直している。
トーマのキャラクターエピソードによると、酒好きと言われるモンド人でありながら酒が苦手なことは恥であり、責任感の強い酒造の子であるディルックは人前で弱みを見せたくないのだろう。
(色々な意味で)慎み深く「ディルック様は仕事と結婚した」とモンドの酒飲み達は語る。
現在は西風騎士団から距離を置いており(のわりにお試しで使っているのは西風大剣である)、騎士団所属で義弟のガイアとも不仲ということになっている。とはいえ絶縁状態という訳ではなく、前日譚セレベンツの漫画での共闘も経て、今は軽口を叩き合う程度の関係になっているらしい。何かとディルックをいじるガイアに対し、ディルックは決して過保護ではなくごくフラットである。
過去
ディルックの過去と内面を理解したい人は、ゲームのモンドにあるキャッツテール前の掲示板と、ゲームの過去話にあたるホームページの公式漫画『セレベンツ』を読むことをお勧めしたい。
ディルックはかつて花束と拍手に囲まれ、周囲から大きな期待を寄せられていた。
最年少で神の目を発現させ、父クリプスの希望で西風騎士団に所属し、やがて最年少の騎士団長となった。
幼少期から父親の期待を背負わされ、自分を厳しく律する子どもだったという。
遊び心のある子どもだったガイアに対し、ディルックは父から「好きなようにしていい」と言われると困惑で硬直してしまうような子であったらしい(参照:イベント『酌み交す酔夢』)。
ディルックが何よりも嬉しく感じることは「父親に褒めてもらうこと」であり、やや盲目的なほど父親を敬愛していた。
しかし、ディルックは邪眼の反動に苦しむ父の心を救うため、最も敬愛する父を自らの手で殺害することになる。それ以来、彼は自分の色々な感情を抑圧して生きるようになった。
この事件を機に彼は西風騎士団を離職し、神の目を捨て、父親の死の真相を明かすために七国を放浪した。
詳細はまだ謎な点は多いが、ゲームでも公式漫画セレベンツの出来事は触れられるため、ディルックに興味がある人は公式漫画を読んでおきたい。
今でも父のことは消えない痛みとして尾を引いており、クリプスのことを「父上」と呼ぶ。
ディルックは父の意志を継いだ英雄になった。
なお、父クリプスの使ったラクヴィンド家の邪眼は、ファデュイ執行官『博士』ドットーレをして「唯一無二の特別なもの」と称されるものだが、詳細はわかっていない。
精神的内面
ディルックの内面については前述の通り、ゲームのモンドにあるキャッツテール前の掲示板と、ホームページの公式漫画『セレベンツ』を読むこと。
ディルックは自由と酒の国の子だが、そのどちらも享受することができない。
ディルックは人々が幸福でありさえすれば「自分が祭りを祝う一員にならなくとも、僕は満足している」という考え方をし、自らの幸福や犠牲を勘定に入れない。
しかし、ガイアだけはディルックを「英雄とは自己犠牲を払うもの」「色々な感情を抱え込んでいるだけの子ども」と分析しており、ガイアによると子どもの頃は「可愛かった」とのこと。
モンドのキャッツテール前にある掲示板には、ディルックが書いたと思われるメッセージが残されている。
「昔ののんびりとした日々を思い出すよ。騎士団の温かさも、友情も、父上も、あの頃の全てが美しかった。でももう戻れない。
未来のために、昔の夢に浸ってはいられない。というより、人々がいい夢を見れるよう、誰かが目覚めて、夜明け前の暗闇に向き合わなければならない。
捨てなければいけないと、理性で分かっていても、感性が先走りして少し懐かしく思ってしまう。困るなぁ。
貴店の商売繫盛を祈る。酒業界の競争率は激しいから。」
ディルックは自分自身を犠牲にしてでも大義のために尽くすことを厭わないが、その過程で感じる痛みに対して無感動な人間ではない。ディルックは他の人々のために課題に立ち向かい、前進する必要性を理性的に理解している。
一方でかつて経験した優しい過去から引き離されるような責任感にさいなまれており、それらの自分の感情を捨てようともがいている、精神的な強さと脆さを併せ持つキャラクターである。
今後のストーリー
- 「あいつはもっと面白くなる」── ファデュイ執行官『博士』ドットーレ
- 「彼の無慈悲な戦い方と優雅な振る舞いには俺も気に入っている。しかし、500年前の災厄が再び起き、真の悪をあいつが目にしたとき、それでも今と同じように前へ進めるだろうか。また一つ、興味深いことが増えたものだ」── ダインスレイヴによるチュートリアル動画
- 「彼の無慈悲な戦い方と優雅な振る舞いには俺も目が離せない。しかし、500年前の災厄が再び起き、真の悪をあいつが目にしたとき、それでも今と同じように前へ進めるだろうか。全く、面白い奴だよ、あいつは」── ガイアによるチュートリアル動画
このように、何かとおもしれー奴と評される。
この先のストーリーで彼の存在を揺るがしかねない真実が明かされること、彼の受難が示唆されている。
ディルックについて明らかになっていない情報は多いが、この先のストーリーで明かされていくことを期待したい。
彼の行く末に興味は尽きないだろう。
能力と戦術
リリース時から実装済み。恒常祈願(ガチャ)「奔走世間」で、あるいはキャラクター限定祈願でピックアップキャラが来なかった場合(いわゆる「すり抜け」時)に入手可能な★5キャラの初期5人のうちのひとり。
いつでも入手機会がある代わりに平時に狙って引く事は事実上不可能で、意識して獲りに行きたいなら不定期開催の集録祈願を使うか、ver5.0以降に年に一度(毎年9月頃)開催される周年配布イベントでお迎えするのが現実的。
全身ごと回転させるようなアクロバティックなモーションで炎元素と両手剣を操るメインアタッカー。
極めて回転率の良い炎元素と様々なギミックに対応できる両手剣の組み合わせは抜群の汎用性と扱いやすさを誇り、ある程度雑な運用でも装備・編成・状況をほぼ選ばずに探索・戦闘の両面で安定した戦力となるオールラウンダー。モンドと璃月(しかも危険地域抜き)の素材だけで育成が完結する育成面での扱いやすさもあり、序盤の旅の相棒として唯一無二の適性を持つ。最序盤で引けた場合は恒常★5で一番の当たり枠となるだろう。
天賦
- 通常攻撃『百煉の剣』
最大4発の両手剣による攻撃。4段のうち3段が横回転の斬撃であるため、攻撃範囲が広く敵を補足しやすい。
4ヒット目に遅延が発生するが、スキルや爆発を挟むことで遅延をキャンセルすることができる。
後述するが元素爆発の発動後しばらくの間は炎元素ダメージに変化する特性を持つため、倍率の高い炎の元素反応とあわせると通常攻撃でも継続して高ダメージを狙いやすい。
1ヒットごとの元素オーブ獲得量が多く、特に集団戦では爆発のクールタイムよりもチャージが早いこともしばしば。
重撃は前方の敵を連続で切りつける、いわゆるデンプシータイプ。
キャラ突破段階1(Lv20~40)で天賦「ノンストップ」が開封されると、重撃のスタミナ消費が半減し継続時間が+3秒される。しかし元素スキルと通常攻撃を交えた運用がメインウェポンとなる彼にとってはほとんど死にスキルと化してしまうのが痛い。
また、落下攻撃の火力は全キャラ中最強クラスであるが、自分だけではこれを安定した火力として運用する事はできない。一応「ドラゴンストライク」という敵の体を踏み台にし平地でも落下攻撃を出すテクニックもあるにはあるが、安定性や難易度が到底実戦向けではないという難点がある。
- 元素スキル『逆焔の刃』
炎を纏った剣で三段攻撃を行う。三段攻撃は追加入力で二段目以降が発動するタイプで攻撃タイミングをある程度調整できる(間に通常攻撃なども挟める)。
スキルのクールタイムが一段目を打ったタイミングから始まるため、工夫して撃てばクールタイムを短縮できる。高火力かつ使い勝手の良い非常に優秀なスキルである。
タイミングよく通常攻撃と爆発を組み合わせれば、敵に一切手出しをさせない立ち回りも可能。
スキルを4秒以内に発動させ続けることがディルック運用の要となるため、無凸では①、完凸では②のループに元素付着と爆発を挟むのが基本操作となる。
①スキル1回+通常2回(34回)
②通常1⇒スキル1⇒通常234⇒スキル2⇒通常123⇒スキル3⇒通常4
ただし、通常3段目は隙が多く、4段目の振りが遅いため、つなぎを途切れさせないのには慣れが必要となる。
- 元素爆発『黎明』
「判決を、下す!」
剣に大量の炎を纏い振りかざし、目前の敵に火の鳥を飛ばして攻撃する。火の鳥は全体に攻撃判定を持ち、ある程度進んだ先で大きく上昇して消える。発動後8秒間、ディルックの通常攻撃に炎元素が付与される。
また、キャラ突破段階4(Lv60~70)で天賦「溶融の翼」が開封されると、元素付与の持続時間が+4秒(8秒→12秒)され、継続時間中の炎元素ダメージが+20%される。
派手な見た目や性能に反し、発動に必要な元素エネルギーは40と全キャラ最低クラス(40族)。前述した元素スキルの性質もあり、上手く使えば元素爆発を連発し延々とバフの掛かった炎元素攻撃を続けることも可能である。
乱戦でも対大型でも問題なく火力が出せ、天賦「溶融の翼」を解放していれば自身に炎元素バフまで付与できる。溜まったら適当に打つだけでもいいが、元素反応を意識して使うことで膨大なダメージを短時間で叩きだすことができる。
火の鳥は敵に多段ヒットしつつ大きくノックバックするため、多数の敵に囲まれた状態から一気に体勢を立て直すという使い方も可能。攻撃範囲が広いので、ギミック等を解く際に使うのも便利。
一方で炎元素が強制的に付与されるため、相手の耐性次第では火力の低下や無効化を招くリスクがある。また、火の鳥が最も近くにいる敵を自動ホーミングする特性を理解していないと、火の鳥がすぐに通り抜けてしまいほとんどダメージを与えられないこともある。相手の属性や状況をよく見て使うべきスキルであるといえる。
- 天賦『アカツキの伝統』
両手剣を鍛造した時、使った鉱石の15%が返却される非戦闘系天賦。
ドラゴンスパインの「雪葬の星銀」や、稲妻の「桂木斬長正」、スメールの「深林のレガリア」など、バージョンを追うたびに対象が増えて有用性は増しているが、それでも他キャラに比べるとメリットは控えめ。
また、両手剣に限らず素材となる"原型"は基本的にはウィークリーボスからしか入手できず、ドロップ率もそう高くないのが悩みどころ。
命ノ星座
第一重「罪の裁断」 |
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HPが50%以上の敵に対して与えるダメージ+15% |
第二重「灼熱余燼」 |
ダメージを受けてから10秒間、攻撃力+10%、攻撃速度+5%(1.5秒に1回付与/最大3重) |
第三重「鋼鉄の熾焔」 |
元素スキルの天賦Lv.+3 |
第四重「流火焼灼」 |
元素スキル(の1段目)を発動して2秒後から2秒間、元素スキルのダメージ+40% |
第五重「朝を告げる炎の鳥」 |
元素爆発の天賦Lv.+3 |
第六重「闇を清算する炎の剣」 |
元素スキル発動後6秒以内の通常攻撃の攻撃速度+30%、ダメージ+30%(2発分有効)。また、元素スキルで通常攻撃のコンボ数がリセットされなくなる(間に挟んでも段数がリセットされない) |
見ての通り、既存のスキルを強化するものばかりで凸によって戦術が変わることがないため、凸の必要性は高くなく、無凸の時点で十分に戦える。(特に序盤に引けた場合)ディルックが"当たり"と呼ばれる理由のひとつである。
また、2凸効果はシールドを張っていても被弾さえすれば発動する。他のキャラや武器の「被ダメージ」をトリガーとする能力はシールドで弾かれてしまうが、これだけは例外と覚えておきたい。
装備・編成について
攻撃力2000・会心率60%・会心ダメージ120%が装備選定の一つの目標ラインとなる。会心率は自身の突破ステータスと冠のメインステータスだけでも50%を超えるため比較的容易に確保出来るが、会心ダメージの積み増しに苦労する旅人は多い。元素爆発の要求エネルギーは40と非常に低いため、元素チャージ効率の意識はしなくて良い。
- 武器
ver3.5で追加される★5両手剣「葦海の標」が比較的オススメ。サブステータスが会心率で、自身のレベルボーナスと合わせるだけで聖遺物の補正なしで実用的なレベルまで会心率を上げられ、元素スキルの命中と被ダメで無凸時点で計40%の攻撃力バフが乗る。これを腐らせないためにはシールド無しの運用を強制されるが、その際には32%というHPバフがかかる。
問題はコレが両手剣以外の武器種と比べると見劣りすること(両手剣不遇)、恒常キャラであるディシアのモチーフ武器であるため、集録祈願くらいでしか狙いに行けないことである。旦那を前線に立たせたいなら見かけ次第引いておきたい。
その他の武器は能力のどこかを妥協するチョイスになる。安定した火力を出したい場合、★5武器であれば「赤角石塵滅砕」か「狼の末路」が候補に上がる。しかし「赤角石塵滅砕」は武器効果がほぼ無意味となり、「狼の末路」は会心系ボーナスを一切持っていないため聖遺物の厳選難易度が高くなってしまう。
その他で言えば「天空の傲」や「無工の剣」も視野に入るが、前者は元素チャージ過剰に陥りやすく、後者はシールドサポーターが必須とイマイチ噛み合っていない。
★4ならシールド必須だ会心率が伸びる紀行武器「螭龍の剣」か、会心ダメージを伸ばせるスターライト交換武器「黒岩の斬刀」。祈願や鍛造(武器製造)武器では会心率か会心ダメージを確保できる武器が無いため会心系ステータスが聖遺物頼りにならざるを得ないが、その上で選ぶなら炎系元素反応で元素スキルダメージを伸ばすナタ鍛造武器「アースシェイカー」が比較的雑に性能を引き出し切れて腐る能力も無いため有用。
なお、ムービー等で使われる「西風大剣」は元素チャージ効率に特化し攻撃力は低めであるため、元素エネルギーを簡単にチャージしきれてしまうディルックとは実はあまり相性が良くない。
- 聖遺物
聖遺物に関しては「燃え盛る炎の魔女」シリーズの4セット運用が最適解と武器に比べてはっきりしており分かりやすい。メインステータスは杯が炎元素ダメージ、冠が会心率/会心ダメージの足りない方、杯は攻撃力が良いだろう(だが、この明確な指針があるからこそ厳選の妥協も他の聖遺物に逃げることもできないという地獄につながるのである)。
逆に言えば、同じ両手剣使いでも物理アタッカーのエウルアやレザーのような、物理ダメージ型のセットにしてしまうと伸び悩みがちになるのでオススメはできない。
ちなみに「燃え盛る炎の魔女」シリーズ(それともうひとつの「烈火を渡る賢者」シリーズ)の手に入るモンドの秘境『無妄引責密宮』は周回が非常に面倒臭く、特に最高難易度であるⅣでは最後にアビスの魔術師・炎が出てくるのでバリアを割るのに時間が掛かる。
他の敵も無駄に耐久力があり、戦力が整ったマルチプレイでさえ1周で2分近くも掛かることがある。
なので、他の聖遺物ドロップ秘境を周回した際の不要な★5聖遺物を合成台で「聖遺物廻聖」(聖遺物を3つ入れると1つの聖遺物が出てくる聖遺物リサイクル。使用した聖遺物は手元に残らない)を利用して「燃え盛る炎の魔女」シリーズを手に入れるという方法が楽である。
最大39個を投入して13個が手に入るのでバッグの整理にもおすすめ。
- 弱点とオススメ編成
「火が、消えるのか…」
防御系スキルを一切持たないため、何らかの回復・シールドでの補助は必須となる。バーバラ・ベネットのような回復スキル持ちや、ディオナなどのシールド持ち、行秋のようなダメージ軽減持ちと組ませるといいだろう。
落下攻撃の倍率は全キャラクター中トップクラスだが、使う機会がなかなかない。「登って落下攻撃」の動作を元素スキルのコンボを途切れさせないように組み込む事が至難であるためである。だがこれらの隙を潰し回復と風元素追撃も付けてくれる閑雲と組むことが出来た時、落下攻撃でトップアタッカーとして覚醒する事になる。
総評
リリース当初はトップクラスのアタッカーとしてゲームを牽引し、ver5.0直前時点でも総合能力で見れば弱いわけでは断じてない。そんな彼が「活躍出来るのはキャラ層が厚くなる前の序盤限定」とされてしまうのは、「バランス型のメインアタッカー」という能力傾向そのものが原神の戦闘システムのゴールと噛み合っていないからである。
原神はキャラ単騎の強さを重要視していないゲームシステムであり、編成や装備の組み合わせで相乗効果を引き出す事で理想の強さに至る。その上でチームとしての最高火力を求める場合、大抵は「一芸特化型キャラの火力を残りのメンバーでさらにブーストする」事が最適解となるため、特にメインアタッカーの場合は利便性重視で尖った部分のない能力である時点で最終候補としての順位が大きく落ちてしまうのである。
リリース以来少しずつ重ねられた火力のインフレがこの「最終火力を盛る代わりに運用に制限を課す」形であったことも向かい風になっている。
とはいえこれらは言い換えるなら「特定の条件下でもっと強い者がいる」というだけで、ディルックが「どこに放り込んでも人並みの仕事はこなす」という事実は変わらない。数字よりも愛優先のポリシーで使ったとしてその愛に応えてくれるだけの実力は持ち合わせているので、好きであるなら胸を張って使っていって良いだろう。
コスチューム
Ver.2.8から新たな衣装の登場が判明した。
赤を基調としており、どこかデットエージェントを連想させるような見た目になっている。また、背中や手の甲には鎖が装飾されていたり、手には黒手袋の上から赤い宝石のついた指輪をいくつもしていたり、衣装名がご覧の通りだったり、果てには炎(元素スキルや元素爆発時)が普段のものに比べて暗めの色になっており、かなり赤黒く見えたり…と、どことなくファデュイを連想させられるものとなっている。新待機モーションに出てくる巻物の内容も、「ATTN ITS SNOWING(気をつけろ、雪が降っている)」と雪国であるスネージナヤを意識させるものである。
右手人差し指には紀行のアイコンに似た装飾がなされている。
元から高かったヒールがより厚底になったことや、高く結い上げたポニーテールによって、身長がかさ増しされている。やったね!
なお、今まではガチャ立ち絵で持っている剣が龍血を浴びた剣だったのでモチーフ武器は判明しておらず、多くの旅人から「龍血がモチーフ武器」と言われ続けてきたが、今回の新衣装立ち絵では狼の末路を手に握っている(ただし性能的には狼の末路もそれほどディルックと噛み合ったものではない。性能を噛み合ったモチーフ武器を望み続けていたユーザーにとっては残念な結果となった)。
また、コスチュームの羽根の紋章の上に付けられた傷跡という特徴的な意匠は、崩壊3rdの主人公キアナと同じ。参考
余談
考察
崩壊シリーズの概念が強いキャラクターであり、mihoyo側の意図は不明だが、ディルックを担当するライターが崩壊シリーズに深く関わっているとも推察される。
- 艦長兼旅人ならば一瞬でお察しする薄幸顔。サービス当初は同社配信中の『崩壊学園』及び『崩壊3rd』のメインキャラクターである『戦場のイシュタル』無量塔姫子(と前文明の第七律者)に似ていると当初は指摘されていた
- コスチュームの背面のモチーフ(羽根の紋章の上に切り付けられた傷跡)など、あえて意図しなければ被らない点が崩壊3rdの主人公キアナと共通している⇒参考
- 父親が子を守るために右腕を失う(ディルック、キアナ)
- ガチャ絵で持っているのは龍血を浴びた剣、キアナの父親はジークフリート・カラスナ
- 古の楽園に登場する十三英傑の一人コズマが憧れるのが「夜明けをもたらす英雄」
- 「英雄」「黎明」などmihoyo作品で重要な概念を背負う
- なぜか崩壊スターレイルのピノコニー編で「闇夜の英雄」が言及された
名前の由来
- 名前はラテン語の黎明(diluculum)から、父親クリプスの名もフランス語の黄昏(crépuscule)からと考えられる。
- ラグヴィンド(Ragnvindr)は、古ノルド語のregin(神)+vindr(風)に由来し、「風の神」を意味する。
体格が微妙に小さい?疑惑
- 厚底の靴をはいて高身長に見せ、分厚いジャケットを着て体型を隠し、更にコスチュームではポニーテールで高さを盛る。多少誤魔化されているが(ゲーム容量を軽くするため男性モデル素体はだいたい統一化されているが)高身長キャラ内では小柄細身な設定ではないかという疑惑がある。
- イラスト媒体になると他の長身男性よりも小柄に描かれることが割と多く、弟よりも頭半分ほど身長も体格も小さな兄となる(参考例)。
- タイ公式インスタでは「(体格差は)ハウジングの階段下でガイアなど高身長キャラクターとチェンジすると真実がわかりますよ」とイジられた。みんなも確かめてみよう。
- 納刀モーションでは大剣の重さの反動で踵が浮く。
- 水辺で他の男性キャラクターと同じ要領でキャラチェンすると、ディルックのみ水に浮いて戦闘不能となるため、戦闘では注意が必要。
イラストでの目の作画の違い
- 後述のとおりお世辞にも出来が良いとは言えない3Dモデルのため表現しきれていないが、一部のイラストだと瞳孔の表現に特徴がある。社内イラストレーターが担当しているイラストに限られるが、ディルックの瞳孔は丸い縁(●)の中にさらに縦長の瞳孔(◆)がある二重瞳孔になっている。また、イラストでは下まつ毛が強調される。おそらく社内のみで共有されている資料ではそうなっていると思われる。
その他
- ゲーム開始前時点では帯刀しておらず、神の目を捨て『邪眼』から発生する鎖(矢をつがえるような仕草をする)とナイフの投擲を攻撃手段にしていた。また、身体能力の向上効果のある神の目を持たないため、ゲーム開始前は大剣遣いではなく、どちらかというと近接戦闘はアサシン型+邪眼で大規模広範囲攻撃といった戦い方をしている。
- 『邪眼』の使用は身体的・肉体的に大きな負担を与える非常に危険な行為である。しかしどういう訳かディルックには肉体的な邪眼の反動が見られない(見せていない?)。
- キャラクターストーリー4で物議を醸しやすい「殺戮と狩りの旅」という翻訳だが、原語の中国語も含めた訳文にて「殺戮」という言葉が使われるのは日本語版のみであり、日本語版でのみ殺戮が目的であったかのような過激なニュアンスが独自に付け足されている。原語では「(父の死の)謎めいた真相を明かすための旅」というニュアンスが正しい。また、キャッツテール前の掲示板の「困るなぁ」も他言語版では日本語版のような軽いニュアンスではない。
- 星拾いの丘でもないのにセシリアの花が咲く『セシリアの庭園』を所持しているはずだが本編未登場。
- 既にファデュイ執行官や地下情報網と関係を持っているなど、不明な点が多い。
- 衣装のあちこちに付いたひし形の星マーク(◆)の赤い宝石は元素エネルギーが貯まると赤く光る。元素エネルギーが貯まった合図にすると良い。
- ラグヴィンドの血統にも謎な点が多い。公式漫画セレベンツに登場する英雄ヴァネッサの子孫…かと思いきやナタ出身のヴァネッサよりも古くから赤髪の人物がモンド周辺にいたことや、ゲーム内の武器テキストなどから血統は別である可能性がある。また、褐色肌のヴァネッサと違いディルックはモンドより北部のスネージナヤ人と比べても白肌である。ムラタ人の膂力についても、身体能力バフのある神の目や邪眼で戦っていた期間の長いディルックがそれを受け継いでいるとは言い切れず、公式設定でずば抜けた筋力があるモンド人はノエルのみである。
- グラフィックの美麗さを売りにし「3Dモデルはゲーム内でもイラストとまったく同じ感覚で見えるようにモデリングしている」と宣うmiHoYoのゲームでは珍しく、3Dモデルはテクスチャにもポリゴンにも粗が目立ち、他キャラと並べると明らかに見劣りするモデルがそのまま使われている。原神のプレイアブルキャラモデルは平均2万ポリゴン以下に抑えられているが、ディルックのモデルは5万ポリ超と異常にデータ量が重い。恐らく開発初期のローポリモデルを無理矢理ハイポリ化して使っているからだと思われるが、このせいで見栄えがしない割にモデルは重く、高負荷の原因になりかねない状態になっているようだ。3Dモデルの修正をアンケートで地道に要望し続けておくといつか調整されるかもしれない。
- もっとも、社内絵師のイラスト通りにするのであれば、体格も今より小さくすることが必要になるが、それではコストがかかりすぎるという考慮すべき点はある。
- 立ち絵初公開時は女性キャラクターだと勘違いされ旅人を困惑させた。「CV:小野賢章…CV:小野賢章?」
- 原神初期のイメージボードでは片手剣を手にしていた。また、ゲーム中では全種類の武器を使いこなしているらしき発言がある。
- 2023年4月には何故か長毛種のネコ化したイラストが公式Twitterに投稿された。
- 漫画、またゲーム内モーションで左手を気にしているため、本来は左利きなのではないかという説がある。
- パイモンの呼び方「旦那」は、当然だが夫ではなく商家の若旦那という意味である。
関連イラスト
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ネタバレ注意
期間限定イベント「残像暗戦」
2022年7月の期間限定イベント「残像暗戦」では、ディルックと他のキャラクターとの手紙を読むことができた。
ディルック本来の優しい性格が窺えるイベントとなっている。
- 【アリス(クレーの母親)】
「ラグヴィンド家の貴公子へ
突然の手紙、失礼するね。あなたは私のことをもう覚えてないかもしれないけど、私たちは何度も会ったことがあるのよ。
時には広場の近くで、時には「鹿狩り」の隣のテーブルで、時にはあなたの酒場でね…
あなたはいつも色んなことに追われていて、忙しそうにしていた。それに以前のあなたは今よりも口数が多くて、より仲間たちと楽しそうに話していた。
当時のあなたが私に気付かなかったのはしょうがないけど、私はあなたのことをずっと覚えていたのよ。
ええ、よく覚えてるわ。うちのクレーがあなたのブドウ畑で晶蝶を捕まえて、きれいに並んでいたブドウ畑をめちゃくちゃにしちゃったことをね…
でも、あなたはまったく怒ることなく、クレーを送り届けてくれた。その上、搾りたてのブドウジュースまでいくつかプレゼントしてくれたでしょ。
これで、私が誰なのか少しは想像できたかな。
最近、クレーの手紙に「あの赤い髪をした変な大人に最近会ってないんだ」って書いて会ったの。つい気になって、思わず他の人に話を聞いてみたんだけど…
大変だったわね。あなたの父上のこと、お悔やみ申し上げるわ。
聞いた話では、あなたはいつも完璧で、気品に溢れ、気鋭の名門の騎士だと誰もが言っていた。
けど、あなたは見かけよりも優しいって私は知ってる。そうでないと、あんな風にクレーと接してくれないもの。
うちの子の面倒を見てくれたから、私もあなたを自分の子供のように可愛がってあげたいの。
だから、あなたが早く暗闇から抜け出して、悲しみや後悔に明け暮れることがないように心から願ってる。
別れはとても辛いけど、人を成長させてくれるものよ。雨宿りできる軒下を失った鳥は、他の鳥よりもっと高く、遠くへ飛ぶことができる。
外に出てみるのはどうかしら?今は旅をするのが一番いい選択だと思うの。今のあなたには、感じて、見て、耳を傾けることが必要。そうすることで、あなたの心は癒されていく。
親は誰しも、いつまでも子供のそばにいてあげたいと思ってる。空、海、そして星々は、その誓いを見届けるはずよ。
あなたの父上のすべては、あなたの中に受け継がれた。あなたがこの世界で感じていることは、あなたの父上が感じていたことかもしれない。
あなたが歩む風の中で、素敵な出来事に巡り会えることを願っているわ。
気をしっかりね、私の小さなお友達さん。」
アリスさんへ
正直なところ、あなたから手紙が来るとは思ってもいなかった。
おそらく、あなたは何度も僕の近くにいたのだろう。ただ、僕はそれに気づくことができなかった、申し訳ない。
あなたは非常に優れた魔女だと聞いた。僕がいなくても、クレーはきっと無事に帰れただろう。
それでも、あなたはあのような手紙を僕に送ってくれた。心から感謝する。
あなたの言う通り、旅に出るのが一番いいのかもしれない。この身をもって、世界を体験してみることにしよう。
父の意志は、僕が受け継いでいく。
僕が留守の間、クレーがアカツキワイナリーに遊びに来ても大丈夫だ。アデリンにデザートやブドウジュースを用意させて歓迎しよう。もしよければ、アリスさんも一緒にどうだろうか。
あなたとクレーが、いつまでも健やかであることを祈る。
- 【執事エルザ―?】
「旦那様へ
ガイア様が休憩を取って、アカツキワイナリーに数日泊まっていきました。
本当に珍しいことがあったものです。ガイア様は昔の自室で過ごされていました。暇な時は周りを散歩し、食事はアデリンに好きなものを作ってもらっていました。
まるで昔のように…懐かしいです。
正直に言うと、ガイア様が数日泊まりたいと言ってきた時は大変驚きました。
ですが、私たちは断りませんでした。もし旦那様がその場にいたら、はっきりと断りはしないだろうと思ったからです。
アカツキワイナリーは静かな場所です。それは、ここに住んでいる人たちが皆、穏やかな方々だからでしょう。
…家の雰囲気は、中に住んでいる人によって変わります。ガイア様の来訪で、ここは少し賑やかになりました。
旅に出た旦那様が元気でいらっしゃることを心より願っています。ワイナリーのみんなは、旦那様に再び会える日を楽しみにしております。
どうかご無事で、お身体にお気を付けください。」
- 【ファルカ団長】
「ディルックへ
ジンからの手紙を読んで本当に驚いた。俺の予想が正しければ、彼女は君にも手紙を書いたはずだ。彼女は騎士団全員を代表しているからな。
クリプスはとてもいいやつだった。俺も彼のことを高く買っていた。彼の身に起きたことを聞いて、本当に心が痛んだよ。実に残念に思う。
それから魔龍を退けた件は、君の父上の功績だ。彼がすべてを賭して手にした結果をイロックが奪うなんぞ、この俺が絶対に認めない。
それに他者を謀り、偽りの名声を得ることを、この西風騎士団では断じて許さん。
ジンには、イロックを厳重に処分するようにと伝えた。結果が出たら、騎士団がいち早く君に知らせよう。
ただ最近、君は気を晴らすための旅に出たと聞いた。連絡を取ることもなかなかできないとか。この手紙が君のもとに届く保証もないだろう。だから、今回はここまでにしておく。
もし届いていたら、旅の健康と安全を祈っている。何か必要なものがあれば、遠慮せず連絡してくれ。
君の鷹がこの手紙を届けてくれることを願っている。俺はあまりペンを執らないからな。
今の君にとって、これは冷たい言葉だと思われるかもしれない。だが、よく覚えておいてほしい———どんなに大きな困難でも、過ぎてゆくのだと。
俺たちはモンドで君が帰ってくるのを待っている。復帰する気があるのなら、騎士団はいつでも君を歓迎しよう(もし君がそれを望まないのなら、この話は忘れてくれ。)」
ファルカ団長へ
僕のことを気にかけ、また哀悼の意を表してくれたこと感謝する。あなたから賛辞を受けたこと、父もきっと光栄に思ってくれるだろう。
北風騎士団に認められたんだ。これほど嬉しいことはない。
幸運にも、旅の途中であなたの手紙を受け取ることができた。
当然のことながら、僕は騎士団に戻るつもりはない。だが、過去の経験を忘れはしないだろう。騎士団から教わったことは、この心に刻まれている。
体調を崩されぬよう、どうか気をつけて。
- 【ジン】
「ディルック先輩へ———
モンドにお帰りなさい。
あの事件が一段落してから少し経った。邪魔立てをしていたのがイロックだと判明し、処分もされている。
これを聞いて、少しでも先輩の心が落ち着くことを願う。
それと、また奔狼領から石門にかけてのエリアで、アビス教団の動きが活発になっていることに部下たちが気づいた。
その上、「闇夜の英雄」と呼ばれる謎の人物も現れている。彼は夜半によくモンド城の周りに出没するのだが、その目的は未だ明らかになっていない。
くれぐれも気をつけてほしい。もし妙な状況を目撃したら、騎士団に連絡を。ディルック先輩の力になろう。
騎士団に所属していようといまいと、先輩の騎士団への貢献は、強い信念を持つすべての騎士の心に永遠に刻まれている。
どうか、お身体には気をつけて。」
ジンへ
気遣い感謝する、代理団長。その通りだ、あの件ならもう気にしないで済むだろう。
職務を蔑ろにしたイロックを処分する意味は、騎士団の犯した過ちを正すことにこそある。騎士団自身に対する意味合いのほうが大きいんだ。
それから僕の身の安全については、騎士団が心配する必要はない。騎士団は本当に困っている人々を助け、そこに人員を割いてくれ。
それから、僕も君の健康を祈っているよ。
- 【アルベド】
「ディルックさんへ
キミと地脈について議論することができて、とても嬉しく思う。
ただ、ボクの研究は主に錬金術に関するもので、地脈については詳しくないんだ。だから、ボクなりの解釈を簡単に述べることしかできない。
既存の様々な文献によると、地脈は情報を保存する媒体のようなもので、特定の状況になると周りの物事を記録し始めるようだ。
すべての情報は、記録と積み重ねの過程を経る。そして、一定の時間が経過すると、これら情報が地脈から放出されることがあるんだ。
これはあくまでボクの大胆な推測に過ぎないが、地脈の動きを刺激する方法が存在するはずだ。それが分かれば、情報の記録と放出のタイミングをコントロールできるかもしれない。
符文とその他の情報から考えるに、一部の特殊なアビス教団のメンバーなら、そのようなことができるだろう。ただ、それをする確率は極めて低い。
より深く調べるつもりなら、これらの個体がキミの突破口となるかもしれない。
数年前、地脈の動きとそれに関連する問題について考察した論文を書いた。その写しを手紙とともに送ろう。
キミの役に立つことを願う。」
アルベドさんへ
丁寧な返事に心から感謝する。君の論文を拝読させてもらった。内容も分かりやすく、なかなかお目にかかれない優れた資料だった。
関連する情報はすべて記録した。今後、これが役に立つことを願おう。
大きな危機を未然に防ぐことは、重要なスキルだ。僕も引き続きアビス教団に注意を払う。必要があれば武力行使も辞さないつもりだ。
- 【ガイア】
(その一)
「Dへ———
騎士団内部では嵐が吹き荒れている。ファルカの腹心が、イロックとその仲間を徹底的に調査する準備を始めた。イロックは十中八九、罪に問われるだろう。
お前は俺からの手紙なんて見たくないかもしれないが、俺はただこのことを、いち早くお前の耳に届けたいだけなんだ。
返信はしなくても構わない。」
(その二)
「Dへ———
…お前が長い旅に出ると聞いて、この俺でさえ少し驚いた。
ジンは手紙でお前を説得しようとしていたが、やめておけと忠告しておいた。
ファルカはこのことを知らないようだ。そうでなければ、あの人の性格からして、きっとお前を酒場に誘っていただろう。
行きたいのなら、早くしたほうがいいぜ。あまり周りに知られていないほうが、別れを告げる手間も省ける。感傷に浸ることのないよう、夜間に出発するのが一番いいだろう。
気を付けろよ。」
(その三)
「Dへ———
半分悪いニュースだ。イロックはそう簡単に折れそうにない。
大団長が調査を命令したことで大打撃を与えたのは確かだが、まだその勢力を根こそぎ潰せたとは言えない。
この件は今、ジンが担当している。あいつなら適任だろう。いずれにせよ、イロックは彼女にとって壁となるような存在だからな。
お前はただ朗報を待ってればいい。」
(その四)
「Dへ———
最近、一部の商人たちがモンド城に戻ってきた。外での経営がうまくいかなかったから、モンドで事業を展開するらしい。
俺の観察によると、そこの従業員は「エンジェルズシェア」に行くことが多い。さらに郊外の危険な場所に何度も出没している。
ただ中には用心に欠けたやつもいてな、そいつが落としたノートの切れ端を拾った。親切な俺は、それを「エンジェルズシェア」に届けといてやったぜ。
あそこに行くのは、あいつらがお前と関係があるからだろう?あいつらのノートには暗号が使われていた。情報提供者か?それとも秘密組織だろうか?
とにかく、片目だけであのぼやけた文字を読むのは大変だったが、頑張って読んだぜ。この秘密は俺の中にしまっておくことにする。」
(その五)
「Dへ———
隠すつもりはなかったんだが、まさかもうバレるとはな。
失明してないと眼帯を付けてはいけないなんてルールないだろ。右目の傷を隠すために付けてたっていいじゃないか?
そういえば、待ちに待った朗報が届いたぞ。
イロックが退団する日、あいつが荷物を片付けて去っていくのを、酒や茶を飲みながら見届けるのも面白いと思うんだが。
お前のことだ、そんなことはしないだろう。だから、俺が喜んで代わりにやっておいてやる。」
(その六)
「Dへ———
全くどんな偶然だろうな。お前がモンドに帰ってきてすぐ、街に謎の人物が現れるとは。
そいつは「闇夜の英雄」と呼ばれているらしい。モンド周辺の宝盗団や魔物たちを何度も懲らしめ、アビス教団の拠点にも攻め入ったとか。
今のところ、彼の行動はモンドに利するものだ。だが、騎士団が独立した武装勢力の存在を認める訳にもいかない。
お前なら、そいつと気が合いそうだと思うんだが、知り合いになってくれないか?説得してくれたらなおいい。そして、騎士団に捕まらないよう警告してくれ。」
(その七)
「Dへ———
定期公務により、騎士団では関係者から証拠を集めることになった。
近頃、騎士団に何件もの目撃報告が寄せられている。「闇夜の英雄」は、アカツキワイナリーの近くによく出没するらしい。
大団長は、今回の任務に騎兵小隊を任命した。だから俺も、三日後にそっちを訪問する予定だ。
俺たちが無理矢理にでも顔を合わせれば、関係が改善されるとあの人は思っているみたいだな。
もちろん、ただの形式的なものだ。俺は余計なことを言うつもりはないし、手順に沿って必要な工程を踏むだけだ。それに、三日も前に知らせたんだ、時間は十分にあるだろう?」
(その八)
「Dへ———
以前、アビス教団の襲撃を受けた時、「闇夜の英雄」は騎士団のために時間を稼いでくれた。
ジンにとって、それが皆を納得させる理由となった。騎士団もこれ以上「闇夜の英雄」を重点的にマークすることはないだろう。
「闇夜の英雄」が受ける制限は少なくなるが、状況が良くなるとは限らない。
切れ味が鋭いほど、折れやすくなるもんだ。単独行動には大きなリスクが伴う。お前もよく知っているだろう?
とはいえ、俺はお勧めしないがな。」
(その九)
「Dへ———
アカツキワイナリーには、何の被害もなかったと聞いた。騎士団のほうも数名の軽傷者が出たのみで、すぐに復帰できるだろう。
ただ、店の従業員が一人失踪した。連絡が途絶えた場所は、アビス教団の行動経路にかなり近い。
そいつを探すため、すでに騎士団は人を回している。
アビス教団のやつらは、ますます危険な存在になってきた。多方面から攻め入ってくる可能性があることも頭に入れておいたほうがいい。
「闇夜の英雄」も、騎士団と協力すればリスクが減るだろう。」
(その1)
Kへ
分かった。手紙、感謝する。
それから、目について書くのはやめたほうがいい。君の右目が失明していないことぐらい知っている。
(その2)
Kへ
手紙、感謝する。
騎士団に協力することは、コインの裏表のように客観的な長所と短所がある。そのことは、僕よりも君のほうがよく理解しているはずだ。
こちらの安全を心配する必要はない。自分を守るのは何も難しいことではない。むしろ難しいのは、目標に向かって突き進むことのほうだ。やはり、自分の面倒は自分で見るべきだろう。
- 【地下情報網の情報提供者?】
「「闇夜の英雄」よ、騎士団は既にモンドの各地で警戒を強めている。目立った動きはしていないため、アビス教団にも気づかれていないはずだ。
俺はドラゴンスパインの周辺を偵察している。ここの魔物どもはそれぞれ散らばっていて、アビス教団に集められてはいないようだ。
モンドの南側にも、敵が活動した痕跡はない。
もし他のエリアにも魔物がいなければ、今回の地脈の異常はアビス教団と関係がないということだろう。」
去っていくディルックの後姿を旅人が見送るシーンでイベントは終わる。
その空には神の住む島が今日も輝くのであった。
(なお最期のシーンでディルックの背景に映る天空の島は、例え天候が曇りや雨であってもはっきり見える演出になっている。)
家系の謎について
1000年前、暁の騎士ラグヴィンドは、かつての旧貴族の室内浴場を図書館に改装した。
その図書館の地下室にある『禁書エリア』は、今も頑丈な扉に閉ざされている。
図書館と騎士団設立の前からあったその扉は、深い秘密を抱えているという。
また、その地下図書館がちょうどモンド城の巨大な風神像の足元(THE GATEWAY OF CELESTIA)に近い。
このことから、ラグヴィンドの祖先は扉の向こうで何らかの秘密と関わり、その秘密を禁書エリアに秘匿したのではないかと推察される。
この「開かずの扉」は旅人が開いた時に「幻想シアター」と呼ばれる魔女会によって現実と幻想の狭間に作られた劇場へとつながってしまった。この扉の向こうに「本当は何があったのか」は、現状旅人は確かめる術を持たない。