われ ふれそめしものの のぞみ かなえん
概要
トライフォースはゼルダの伝説シリーズに登場するキーアイテムの一つ。主な舞台であるハイラルを創世した神々が遺したとされる秘宝。「黄金の力」「聖三角体」とも呼ばれる。
トライフォースは3つの黄金に輝く三角形からなる。それぞれが「力」「知恵」「勇気」の三要素を司り、上に位置するものを「力のトライフォース」、左下に位置するものを「知恵のトライフォース」、右下に位置するものを「勇気のトライフォース」といい、三位一体で完全を成す。
これらはハイラルを創造した3人の女神「ディン」「ネール」「フロル」に対応している。
ハイラル王家の紋章としても扱われ、作中の様々な場面で象徴的に登場する。なおトライフォースの形は日本の家紋の1つ「三つ鱗紋」の意匠を元にしているとされる。
資格者、または所有した者達(ネタバレ注意)
- リンク:勇気のトライフォースの資格者。
- ゼルダ:知恵のトライフォースの資格者。
- ガノンドロフ、ガノン:力のトライフォースの資格者。
- ヒルダ姫:ゼルダ姫に代わって一時的に知恵のトライフォースを宿す。
- ユガ:力のトライフォースを宿したガノンと融合した人物。
- ラナ&シア:『ゼルダ無双』における力のトライフォースの所持者(資格はないため魔力で包んで手に持っている)。
登場作品
作品毎に設定が変わったり追加されたりしている。
初代ゼルダの伝説
初登場作品。ハイラル地方の小国に伝わる神秘の力を持った黄金の三角形。
世界を闇と恐怖で支配しようとする大魔王ガノンは、これを狙って小国に攻め込んだ。“力のトライフォース”は奪われてしまったが、小国の姫ゼルダによって“知恵のトライフォース”は8つに分けて各ダンジョンに隠された。怒ったガノンはゼルダ姫を幽閉する。
ガノンを倒せる勇者を探していたインパから事情を聞いた旅人リンクは、力のトライフォースを持つガノンに対抗するため知恵のトライフォースを揃える。
最終的にガノンが討たれたことで二つのトライフォースは小国に戻された。
なお、この時点では“勇気のトライフォース”は未登場。
リンクの冒険
勇気のトライフォースの初登場作品。力、知恵、勇気の3枚のトライフォースが合わさった時に最大の力を発揮する。
まだ小国が1つの大きな国だった時代。偉大な王が所持した3つの黄金の力によってハイラルの秩序は保たれていた。王の逝去後には世継ぎとなる王子に黄金が継承されたが、なぜか力と知恵の2つしかなかった。
王の側近である魔術師は「妹の初代ゼルダ姫が勇気のトライフォースの在り処を知っているかもしれない」と言い、王子は妹に鞭を打って吐かせようとする。しかし口を割らなかったため焦れた魔術師が初代ゼルダに永遠の眠りを与える魔法を掛けてしまう。反動で魔術師は絶命した。
これらの結果を目の当たりにした王子は嘆き悲しみ、この悲劇を忘れぬようにと代々の姫に“ゼルダ”と名付ける習わしとした。
実はトライフォースを使うには「悪の心を持たぬ人格者」「生まれつきトライフォースを使いこなす素養」の2つが必要だった。残念ながら王の時代にはそのような人物がいなかった。
黄金の力が悪の手に渡るのを恐れた王は、勇気のトライフォースだけは大神殿に隠していた。
更に王はインパの一族に勇気のトライフォースの在り処を示す巻物を託していた。古代文字のため現在では誰も読めないが、トライフォースのあざを持つリンクには解読が出来た(このあざは、王がハイラル全土に掛けた魔法の影響によるもの。トライフォースを使いこなせる人物にあざが現れる)。
リンクはインパから渡された6つのクリスタルを各ダンジョンに置き大神殿への道を切り開く。そして自らの悪の心の実体化であるダークリンクを打ち倒し、勇気のトライフォースを手にする。
3つのトライフォースが揃ったことで初代ゼルダ姫は永遠の眠りから解放された。
神々のトライフォース
「天下る何処かに黄金の力有り。触れそめし者の望み神に届かん。」
力の神、知恵の神、勇気の神が世界を創造して立ち去る時に遺した黄金の聖三角体、トライフォース。
トライフォースは力を支配する者、知恵を司る者、勇気を鍛える者を象徴する紋章の持ち主が現れるまで、世界のどこかにある聖地で輝き続けていると言われている。
触れた者の願いを叶える能力を持ち、資格者が死ぬまで他の人間が願いを掛けることは出来ない。
トライフォースには精霊が宿っているが善悪を判断することなく資格ある者の願いを叶えてしまう(善悪を判断するのは神のため)。
古くから正しき心の持ち主が資格者となっていたが、それがどこかで途切れてしまい、まったくの偶然からガノンドロフの手に渡ってしまう。
ガノンドロフは盗賊団の首領であり、またの名を“魔盗賊ガノン”と言った。ガノンは仲間同士の殺し合いの末にトライフォースを手にし「世界を我が手に」という願いを叶え、聖地を闇世界に変えてしまった。更に闇世界に入った者は、呪いによって動物の姿に変えられてしまう。ガノンも豚の怪物に変異してしまった。
対抗手段として、ムーンパールと呼ばれる宝玉が存在しており、この宝玉にはトライフォースの魔力を退け、所有者を守護する力が秘められている。
続けてガノンは光の世界(ハイラル)の支配も目論んだが七賢者によって2世界の通路を閉ざされ、闇世界から出られなくなった。これは後に封印戦争として伝えられた。
それから数世紀が経ち、司祭アグニムに憑依したガノンは七賢者の末裔たちを鍵とすることで2世界の通路を開く。しかし通路が開き切る前にマスターソードを手にしたリンクによって倒された。
こうして魔族の手に落ちていた聖三角体は正しき心の持ち主に渡り、ガノンの陰謀によって死亡した人たちを生き返らせた。
時のオカリナ
力を司る神ディン、知恵を司る神ネール、勇気を司る神フロル。三人の女神は創世の後、地上から去っていった。その際、ハイラルのどこかに黄金の聖三角体トライフォースを隠していた。
それは触れた者の願いを叶えるとされている黄金の力。心正しき者が願えば世界は善き方に向かい、邪悪な者が願えば世界は悪に染まると言われている。
トライフォースが安置された場所を人々は聖地と呼んでいた。
悪しき存在の手に渡ることを恐れた光の賢者ラウルは時の神殿を建造し、時の扉(石の扉)によって聖地の入り口を閉ざす。
時の扉を開くには、コキリ族、ゴロン族、ゾーラ族に伝わる3つの精霊石と、王家が所持する時のオカリナが必要。この4つの鍵を持つ者でなければ聖地に入ることは出来ないとされている。
この伝承はハイラル王家にのみ代々伝えられている……はずだった。
幼いゼルダ姫はガノンドロフの野心を見抜き、今は国王に忠誠を誓っている振りをしているが、いずれハイラルに災いをもたらすと考える。そこでコキリ族の少年と協力して聖地の扉を開き、トライフォースを手にすることでガノンドロフを打倒しようとする。
少年は聖地の入り口である時の神殿を開くが、密かに後を付けていたガノンドロフに出し抜かれる。しかしガノンドロフには知恵と勇気の資格がなかったため力しか宿らなかった。
それから7年後。いずこかに飛び去ったトライフォースの内、勇気は時の勇者に、知恵はゼルダ姫に宿っていた。
力のトライフォースを持つガノンドロフは大魔王を名乗りハイラルを支配していたが、時の勇者によって追い詰められた結果、力のトライフォースを暴走させ魔獣ガノンに変貌。だが時の勇者の奮闘によって膝を突き、最後はゼルダ姫の呼び掛けに応えた六賢者たちによって聖地に封印された。
時の勇者はゼルダ姫によって7年前の時代へと戻される。こうして3つのトライフォースを持つ者たちはそれぞれ異なる世界・時代に別れてしまった。
ふしぎの木の実
冒頭で突然「トライフォースの試練を受けよ!」と言い放ち、リンクをホロドラム、ラブレンヌに飛ばしてしまう。
風のタクト
時のオカリナの大人時代のラストバトルから数百年後の時代。
引き続き力のトライフォースはガノンドロフが所持しており、知恵のトライフォースは王家に伝えられ続けゼルダ姫の子孫に宿っている。勇気のトライフォースだけはこの時代に存在しなかったが、リンクがトライフォースの欠片を8つ揃えたことで新たに誕生した。
復活したガノンドロフは神々によって海に沈められたハイラルを蘇らせるべくトライフォースを揃え願いを叶えようとする。最終局面で全てのトライフォースを揃えるが、先にハイラル王が「リンクと子孫の輝ける未来」「ハイラルの永遠の封印」を叶えたことでガノンドロフの野望は完全に潰えた。
願いを叶えた後はいずこかへ飛び去っていった。
トワイライトプリンセス
時の勇者が帰還した歴史の物語。
コキリ族の少年と幼いゼルダ姫によってガノンドロフの悪事が暴かれ、クーデターは未然に防がれる。しかし少年が勇気のトライフォースを宿したままこの時代に戻ったことで聖地にあるトライフォースに影響を与えてしまい、力のトライフォースがガノンドロフに宿ってしまう。賢者たちに処刑される寸前だったガノンドロフは抵抗を始め、賢者の1人を殺害するも影の世界へと葬られた。
ここから長い年月が経過してから本編開始となる。
本ストーリーにはトライフォースは登場しないがリンク、ゼルダ姫、ガノンドロフの手の甲に三角形の紋章が浮かび上がっている。
スカイウォードソード
かつて女神ハイリアが守護したと伝えられる秘宝。天空の島スカイロフトにある3つの空の塔に保管されていたが、リンクによって合体した状態で揃えられた。そしてリンクの願いによって封印されしものが消滅するのだが……。
神々のトライフォース2
神々のトライフォースから遠い未来の物語。
トライフォースはハイラルだけではなく、対となる異世界ロウラルにも存在していた。しかし争いの元になっていたためロウラルの王家が破壊してしまう。だがトライフォースは世界を形作るエネルギーでもあったためロウラルは滅亡に向かうことになった。
ハイラルにあるトライフォースはゼルダ姫が管理していたが、謎の司祭ユガが振れたことで3つに分かれてしまう。知恵はゼルダ姫に、力は過去の戦いで封印されていたガノンに宿ってしまった。
ユガはガノンと合体したことで力のトライフォースの所持者となる。だがロウラルのヒルダ姫によって一時的に封印される。完全に倒すためには勇気のトライフォースが必要なためリンクはそれを探す冒険に出る。最終的にユガは、ゼルダ姫の助力を受けたリンクによって完全に封印された。
エンディングでは事情を知ったリンクとゼルダがハイラルのトライフォースに願ったことでロウラルのトライフォースが復活する。
「神の遺物を消滅させて、平和であれ争いであれ自分たちの力の範囲で生きていく」と言う崇高な選択の結果、世界そのものが神の恩恵だったと思い知らされる辺りは黒い任天堂と言えるかもしれない。
トライフォース3銃士
神々のトライフォース2から数年後。トライフォースは登場しないが、聖三角を象った遺物が各地に見られる。
ゼルダ無双
後に伝説として伝えられる物語。
黒の魔女シアは力のトライフォースを管理していたが、突如として知恵と勇気も揃えることで世界征服を目論むようになる。
知恵のトライフォースはシークに宿り、勇気のトライフォースはリンクに宿っていた。シアは二人を罠に掛けて誘き出し、トライフォースで時空を歪ませて3つの異世界を出現させ、そこに封印されていた魔王ガノンドロフの魂を解放する。すべてはガノンドロフの策略だった。
シアは全てのトライフォースを手にするもガノンドロフに奪われそうになる。そこでトライフォースをどこかに飛ばし、更にガノンドロフも強制転移の魔法で撃退する。
結果、勇気はリンクに、知恵はゼルダに宿った。そして力のトライフォースはラナの手に渡ることに(資格がないので球体に包んで所持している)。
最終的に全てのトライフォースがガノンドロフの手に落ち、覚醒の刻を得て魔獣ガノンに変貌する。しかしガノンはリンクに敗れて膝を突き、直後に3つのトライフォースはガノンから離れ、勇気がリンクに、知恵はゼルダ姫に、力はラナに渡る(ラナは資格がないので魔力の球体に包んで所持している)。最後はトライフォース自らが光線を発し、ガノンは肉体が消滅。邪悪な魂もマスターソードによって封印された。
劇中でも珍しいトライフォースでトドメを刺すという展開が描かれた。
ブレスオブザワイルド
永い時を経て伝承が廃れてしまったのか全く言及されることがなく、王家の紋章にその面影を残すのみとなってしまっている。
ただしゼルダが「封印の力」に覚醒し行使する際に、右手に黄金三角形が浮き出ていることから、本作ではゼルダがトライフォースを宿しており「封印の力」として王家に代々受け継がれている可能性がある。
ティアーズオブザキングダム
ブレスオブザワイルドの続編。
残念ながらこちらでもトライフォースについて言及されることはなく、よく似た性質のアイテム秘石が登場した。
メディアミックスでの設定
今でこそトライフォース=願いを叶える神々のアイテムという立ち位置だが、初代ゼルダの伝説では「神秘の力を持つ黄金の三角形」くらいしか説明がなかった。設定が明確化する以前に描かれたコミカライズ版では、独自解釈によってさまざまな設定が付けられている。
また原作ではリンク=勇気のトライフォースの所持者、ゼルダ=知恵のトライフォースの所持者という設定だが、初期のメディアミックスではリンクが知恵の所持者として扱われることが多かった。
こばやし将著「ゼルダの伝説」
力と知恵のトライフォースが合わされることで絶大な力を発揮するという設定で登場。不思議な力でハイラルの土地を豊かにしていたが、地球の破壊を目論む闇の大王ガノンに狙われてしまう(本作は、はるか昔の地球にあるハイラル地方という設定である)。
この漫画では、リンクが知恵のトライフォースの所持者となっている。最後の戦いではガノンにダメージを与えて弱らせた後、知恵のトライフォースを掲げることで光線を放ちトドメを刺した。
乱丸著「ゼルダの伝説」「リンクの冒険」
当初は大地に恵みを与えるという設定であり、力と知恵がなくなったことでハイラル中の土地はやせ細ってしまっていた。
ガノンは力を所持することで凄まじいタフネスを得ており、胸を剣で貫かれても「力のトライフォースがある限りガノンは死なぬ!」と言い放っている。対抗するべくリンクは、マジカルソードと知恵のトライフォースを合体させることで槍を生み出した。
ちなみにこの作品では、リンクが知恵の所有者となっている。マジカルシールドの表面にはめ込む形で盾として使用した。
続編リンクの冒険では力、知恵、勇気の三つを揃えることで願いを叶え、死者すら生き返らせられるという描写がされた。ただし妖精たちによれば「トライフォースで人が生き返るとは思えない」とのことで、リンク自身も半信半疑だった。
3つのトライフォースを揃えたリンクがそれを掲げると、怪物に変異していた若者たちを元の人間に戻したり、溶岩の湖を清浄化して普通の湖にするというシーンが描かれた。
蜃気楼城の戦い
リンクがガノンを倒してゼルダ姫を救出した後の物語。
トライフォースは王家に保管されていたが、ガノンの弟である魔将軍(ジェネラル)ガイアによって奪われ各地に隠されている。ガイアが所持しなかったのは、聖なる力を持つアイテムを所持し続けることが出来ないため。
なお、力と知恵のトライフォースが2枚ずつ存在しており、計4枚集めないと蜃気楼城に近づいた途端、空間の歪みに飲み込まれてどこかへ飛ばされてしまう。
その後は作者によって振り出しに戻される。
ゲームブック「新・ゼルダの伝説」
複数の国が集まって大ハイラル王国を築いていた大昔の時代。“リンク”の正体、インパがゼルダ姫に引き取られる経緯、王家がトライフォースを保管するまでを描いている。
ゼルダ姫は侵略者ガノスの呪いによってクリスタルに閉じ込められてしまい、事情を知った旅人の青年リンクが討伐に向かうところから物語が始まる。リンクは旅の仲間に浮浪児コムを加える。
討伐の冒険の中、リンクとコムは3つの伝説の秘宝(見た目はトライフォース)を得ていく。3つの秘宝はガノスが恐れる者であり、これをすべて揃えないと倒すことが出来ずトゥルーエンドの条件が満たせない。
力の秘宝はダンジョンに隠されている。リンクに怪力を与えてくれる。リンクが歯が立たないほどのドラゴン(アクオメンタス?)の両翼を引き千切って勝利する(力の秘宝がない場合は一撃でリンクが殺されてゲームオーバーになる)。
知恵の秘宝は木のうろの中に隠されている。リンクの術の威力を引き上げてくれる。劇中では悪魔の使いたちを光の術で消滅させたり、次元の狭間へと葬っている。術を使ったのにもかかわらず少しも疲れていないことに驚いている(知恵の秘宝がない場合は術を封じられて発動出来ず、闇の中に閉じ込められてゲームオーバーになる)。
勇気の秘宝はラストバトルの最中、リンク、コム、クリコン(泉の妖精の使いであるいクリスタル状の鳥)の勇気が揃った時に姿を現す。強力な光線を放ってガノスを焼き尽くし勝利へと導いた。
なお、入手した秘宝はリンクの右手首にあるブレスレットに保存されている。ただし保管用のプレートをガノスが所持しており、奪い取らないと勇気の秘宝が消滅してしまいノーマルエンドになる。
この場合はガノスを倒してもハイラルに魔物が残っているため討伐の旅へ出る。
トゥルーエンドでは、身寄りのなかったコムが恩を感じたゼルダ姫によって養女として引き取られる。そしてゼルダ姫は、3つの秘宝を王家で保管することを約束した。
その際に、コムの本名がコミィ=インパであること、ゼルダ姫の本名が初代ハイラル王女ゼルダI世であることが判明する。
そして3つの秘宝は、ゼルダ姫によって“3つの力(トライフォース)”と名付けられた。
しごと大介&みなづき由宇著「リンクの冒険」
ガノンはリンクに敗れて肉体を滅ぼされていたが精神のみ生き延びていた。しかし力、知恵、勇気の三つが揃うことでガノンの魂を永遠に封印した。
メディアミックスで確認できる限り「ガノンを封印した」という設定が出た初めての作品である。
ゲームブック「ハイラル英雄伝説」
リンクの存在が伝説の英雄としてのみ残り、魔王ガルゴアによって支配された並行世界のハイラルが舞台。
ハイラルには魔王の呪いが掛けられており、ガルゴアが寿命で倒れた後も解けることはなかった。解呪には力と知恵と勇気のトライフォースが必要だった。力と知恵はハイラルが保管していたが勇気だけは所在が不明であった。
そこで人々の想いに応え別世界からやって来たリンクが勇気トライフォースを求めて旅立つことに。更に魔王側もガルゴアを生き返らせるために伝説の英雄リンクの血を狙い始める。
ゲームブック「暗黒トライフォース伝承」
闇を崇める一族が持つ邪のトライフォース(ブラックトライフォース)が登場している。
これは対象を吸い込んで封印することが可能であり、黒幕はリンクを吸い込ませることで生命力と負の感情を利用してブラック・リンクを生み出した(邪のトライフォースそのものがブラック・リンクに変化した)。
まさかのトライフォースが敵になるという展開である。
最終的に脱出したリンクが「闇を封印する呪文」を唱えたことで邪のトライフォース(ブラック・リンク)は光に属性が変わり勇気のトライフォースに変化した。
未将崎雄著「ゼルダの伝説」「リンクの冒険」
古の時代にゼルダの一族が生み出した秘宝という設定で登場している。掌に収まるくらいのサイズであり、アクセサリーのように額や前髪に張り付けて所持する。
ゼルダ姫が所持する知恵のトライフォースは“光のトライフォース”と呼ばれ、強力な光線で邪悪な存在を消し飛ばすことが出来る。所有者の感情や想いが反映されて引き出せる力が増すような描写がされている。端的に言えばトライフォース版剣ビームである。
続編リンクの冒険ではバリアを展開したり、トライフォースのエネルギーを吸収してパワーアップしたり、取り込んだエネルギーをリンクのマジカルソードに送るという芸当を見せている。
また両手を添えて光を当てることでリンクのケガ(しもやけ)を直している。
ガノンが所持した力のトライフォースは暗黒に染められてしまい“暗黒のトライフォース”に変異しする。バリアを展開したりトライフォースを利用したエネルギーの攻撃を吸収するなど守りに特化した能力になった。しかも人間の負の感情を喰らうため、ゼルダが抱く復讐心が反映された知恵のトライフォースの光線(エネルギー)が通用しなかった。
トライフォース自体は強力な道具でしかなく、持つ者によって光にも闇にもなるというわけである。
トライフォースに魂を移植するという描写もあるが、これがトライフォースの特性なのかゼルダの一族の能力なのかは不明。
なお、本作に登場するホワイトソードとマジカルソードもゼルダの一族が鍛えたものとなっており、本質的にはトライフォースと同じ力を持つ。
過去、初代ゼルダはハイラル侵略を目論む魔王ガノンを魔界に封印し、魔界の扉を二つのトライフォースによって閉ざした。そして子孫たちにトライフォースを継承させ魔界を閉ざす役割を託す。
更に初代は二つのトライフォースに自身の魂を移し、肉体は魔界に残してガノンの封印の維持に使われた。
400年後には子孫である16代ゼルダ(ゼルダ姫の母親)に二つのトライフォースが渡ったが、肉体的にも精神的にも弱かったため魔界の封印が弱まるという事態を引き起こしてしまう。
現代において力のトライフォースは16代ゼルダが所持し、知恵のトライフォースは娘であるゼルダ姫に継承された。しかし母親は背後から襲って来たガノンに殺され力のトライフォースを奪い取られる。
3年後。力のトライフォースを暗黒に染めたガノンは知恵のトライフォースも奪うことで魔界の封印を完全に解こうとする。ゼルダ姫はガノンに捕まってしまうが、知恵のトライフォースだけは渡すまいと分散して各地に飛ばす。
知恵のトライフォースはリンクによって集められ、それを知ったガノンはゼルダ姫を人質に交換を要求。しかしリンクがガノンを討ったことで事態は収束した。
3年後を描いた続編リンクの冒険では、魔界の封印が破れてしまったことが判明する。しかも同じ封印は施せないので新たなトライフォースを生み出すしかない。それが出来るのは本来の肉体に戻った初代ゼルダのみ。
しかも前作で倒されたガノンは魔界に封印された本体の一部に過ぎず、密かに生き延びてリンクに化け各地で虐殺を働ていた。真のガノンは初代の肉体を利用した封印術によって眠りについているが、復活は時間の問題だった。
初代はいつか復活するガノンに備え、自身の魂を力と知恵のトライフォースに宿らせていた。そして接触して来たリンクとゼルダ姫の前に現れこれらの事情を伝えた。
リンクは子犬に宿った初代と協力して真のガノンと決着を付ける。そして初代の肉体を取り戻し、リンクが生み出した勇気のトライフォースを以て魔界を再び閉ざした。
ゲームブック「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」
原作と同様の役回りで登場。選択肢によって結末が変化するゲームブックであり、Aルートでは「時間を巻き戻し、平和だった頃のハイラルに戻してほしい」という願いによって死亡した人々が復活を果たす。
BルートとCルートはバッドエンドになっており、どちらもリンクがトライフォースの存在に気づかずハイラルに戻ってしまう。
小説「黒き影の伯爵」
アッサム王家の一人娘ゼルダが所持する神の石という設定で登場。
力のトライフォースは世界のすべてを制する強大なパワーを与え、知恵のトライフォースは過去・現在・未来すべての真実を知ることができると言われていた。
しかし、二つの宝石は片方だけでは効果を発揮しない。また絶大な力は人間ではとても扱いきれなかった。
ガノンはこの力で無敵の王となって世界征服を目論んでいた。手始めにアッサム城を襲撃して滅ぼしたが力の分しか奪えず、知恵はインパに持ち去られてしまう。その後はインパの手によって分割され各地に隠される。
最終局面ではリンクが知恵のトライフォースの所持者となってガノンと戦った。矢に知恵のトライフォースを取り付けることでその力を乗せて放ち、ガノンにトドメを刺した。
小説「ゼルダの伝説2 神々のトライフォース」
上記のゲームブックの派生作品だが普通の小説になっており、原作のストーリーを改変している。
トライフォースはハイリア人によって聖地に安置され、その後でマスターソードが鍛えられた。現在トライフォースはガノンの体内に宿り、倒さない限り取り戻すことができない。
ガノンが倒された後、トライフォースはリンクの傷を癒し聖地を元に戻すが、死者を生き返らせることも願いを叶えることもなくいずこかへと飛び去ってしまった。
このため死亡した人たちは生き返らないため後味の悪い結末となっている。
高長歩「魔性の影」
リンクの冒険の読み切り漫画。リンクは力と知恵のトライフォースを左手の甲に宿している。逆にリンクの影(ダークリンク)は右手の甲に勇気のトライフォースを宿している。
トライフォースが三つ揃うと共鳴し合うという性質がある。また退魔の力(聖なる力)も強くなるらしくリンクの影が苦しむシーンがある。
リンクの影は三つのトライフォースを利用してハイラルの支配を目論み、リンクが持つ力と知恵の分を奪おうとしたが返り討ちに遭い消え去った。
田口順子著「神々のトライフォース」
眠りについていたためガノンに利用されていたという設定。原作通り闇の世界を支配して住民たちを動物に変えてしまった。
最終決戦の際、ガノンに追い詰められながら必死に呼びかけるリンクに応えて目覚め、自らの意志で力を貸した。
ガノンは資格がないためかトライフォースを球体に包んで所持している。衝撃波で相手を吹き飛ばすなど攻撃に使うことも可能。
リンクがトライフォースを継承した際は、この衝撃波でガノンを圧倒した。劇中でも珍しい「攻撃にトライフォースの力を利用できる」という設定である。
かぢばあたる版「神々のトライフォース」
創世の刻から存在していたトライフォース。それを一番最初に手にしたのがガノンであった。
600年前、ガノンは“不老不死”を願ったことで不死身の肉体を手にする。しかも歪んだ願いのエネルギーは聖地の時間を止めてしまい、そこにいる者たちを不老にしてしまった。
主要人物の1人であるカニカは、ガノンに無理やり参謀にされて聖地まで連れて行かれたことで600年間も生き続け孤独を味わうこととなった。
やがてガノンは自ら配下を率いて光の世界へと侵攻を開始。当時の人々は不死身のガノンに対抗するべくマスターソードを鍛えたが、傷一つ付けることが出来なかった。そこで7賢者によって聖地のピラミッドに封印された。
原作とは違い死亡した人たちは生き返らず、リンクが叶えた願いも読者の想像に任せる形になっている。
リルトの誓い
パワーアップアイテムとして登場。ただし主人公たちではなく悪の三幹部に味方している。
主人公の故郷であるヘザラ村の近くにある禁断の谷に隠されていたが悪の三幹部によって暴かれる。
【恐怖】の心を持つ砂漠の盗賊ハギス。
【暴力】の心を持つ王家兵士団幹部グラスゴー。
【陰謀】の心を持つ闇の商人フーイディン。
この3人は上から順に勇気、力、知恵のトライフォースに触れたことで強大な力を得ている。力を与えた後はどこかへ飛び去ってしまったが、エンディングでは三幹部がどこかに隠していたことが示唆されている。
邪悪な心の持ち主が触れたことで世界中の犯罪者や囚人など悪党たちがモンスターに変異してしまった。また誰も願いを掛けることが出来なくなった。三幹部はモンスターたちを従えてハイラルに悪のトライアングルゾーンを形成する。
黒幕であるガノンはトライフォースを利用して復活を目論んでいたが、掲載紙の休刊により駆け足な終わり方になったため、その辺りは描写されなかった。
エンディングでは主人公たちによってトライフォースが集められ再び安置された。
姫川明著
「ふしぎの木の実」
ハイラル城の倉庫に保管されていたが、城に入り込んだリンクに試練を与えた。
実はこれ以前からリンクの手の甲にはトライフォースが宿っており、紋章を向けるだけで邪悪な存在の動きを封じることが出来る(ただしリンクにこの能力の自覚はない)。
これによりリンクでは歯が立たないほどの強敵に対するアドバンテージとなった。
「トワイライトプリンセス」
「トライフォースは世界を創生した時、神が地上に置いた〝黄金〟だ」
「触れた者の最初の願いを形にする」
「〝汝望むものあらば、我もまたそれを望む〟」
「どんな願いかではない。願い―――。すなわち神の意思。それがトライフォース」
「俺が支配者となる事が神の意思なのだ!!」
ガノンドロフの台詞は、要約すると願いそのものが神の意思ということ。あるいはトライフォースそのものが神の意思とも言える。
自分が支配者になることを願ってトライフォースが叶えるならば、それは神の意思になる。
言い換えれば自分が最初にトライフォースに触れられる自信があるということであり、リンクに対する勝利宣言でもある。
過去にリンクは英雄になるつもりでガウロフの剣(影の世界に蓋をする封印)を引き抜いたことで故郷を消滅させてしまった。それは今でも心の傷として残っており、マスターソードという今度こそ英雄に相応しい便利な力を手にしたことで「俺は最強の戦士」「俺は神に選ばれた人間」と慢心してしまう。
が、しかし。これは勇気のトライフォースを所持した影響によるもの。リンクは心の奥底で燻っていた負の感情(英雄になれなかった不満)を暴走させられてしまい、それがダークリンクとして顕現してしまった。
ちなみにゼルダ姫とガノンドロフは、トライフォースを宿したことで「時のオカリナの記憶(7年前と7年後)」を持っているという独自設定がある。
特にガノンドロフは『リンク』さえいなければ世界を支配出来ていたとして激しく憎悪している。逆にリンクは覚醒が遅いことから当時の記憶がなく“この世界で生きるリンク”として終始立ち回った。
外部出演
- 大乱闘スマッシュブラザーズシリーズではゼルダの最後の切りふだに“知恵のトライフォース”が登場。知恵のトライフォースに敵を1人だけ吸い込んでダメージを与える。最後に爆発を発生させるが、これの前にダメージが100%を超えた場合は即死させる。
- 『星のカービィスーパーデラックス』と『ウルトラスーパーデラックス』の「洞窟大作戦」にお宝として登場している。全60個のお宝の内の60個目、つまり最後に入手できるお宝である。ねうちは800000Gで、2位タイ。
- どうぶつの森シリーズでは、『おいでよどうぶつの森』以降から家具として登場。触れると神トラのタイトルBGMのような音楽と共に一旦バラバラになり、その後再び元に戻るというファンにはニヤリとくる演出が起こる。
- 『おいでよ どうぶつの森』~『街へいこうよどうぶつの森』まではつねきちの店で買うことが出来たが、『とびだせどうぶつの森』ではフォーチュンクッキーのくじでしか入手できず、更にカタログで買う事も出来ないためレア度が上昇している。
- 『モンスターハンター4』にも登場。チケットとしての扱いであり、入手することでリンクの着用している服のレプリカ防具が作成できる。
パロディ
エライフォースという名の装備アイテムとして登場。作成者はオヤ・マー博士。与えるダメージが1.5倍に増えるが、受けるダメージも1.5倍になるという使いどころの難しい性能である。リメイク前ではそのまま黄色い三角形というシンプルなデザインだったが、リメイク版の『マリオ&ルイージRPG1 DX』では元ネタにかなり似せた見た目に変更された。また、入手時にゼルダシリーズにおけるアイテムゲットのSEが流れる。
集めずにはおれぬものシリーズのオタカラとして『力のエレメント』、『知恵のエレメント』、『勇気のエレメント』という名前で登場。見た目は任天堂が開発、販売した日本初のプラスチック製トランプ。
余談
- トライフォースという名称のアーケードゲーム基板が存在するが、任天堂・セガ・ナムコ(現・バンダイナムコ)3社共同で開発されている。主に使用されたゲームは任天堂のゲームのアーケード版である『F-ZERO AX』(セガ。ゲームキューブ版の『F-ZERO GX』は任天堂発売)、『マリオカートアーケードグランプリ1&2』(ナムコ)、それ以外のタイトルでは『アヴァロンの鍵』(セガ)など。残念ながらゼルダの伝説のアーケードゲームは存在していない。
力のトライフォースには変身能力があるのに他の2つにはそれが見られない。この点に関しては『時のオカリナ百科』のスタッフの言葉によれば、
N「結局、変身するのはガノンだけだよね」
O「変わろうと思えばリンクもゼルダも変われるのかな」
H「勇気と知恵ってのは変わる能力じゃない。つまり3つのトライフォースが重なった時、この外観に勇気と知恵があるやつが生まれるんだ」
O「でも、それは違う形かもしれないね」
とのこと。
ただし、後の『トワイライトプリンセス』では勇気のトライフォースが輝き、リンクが狼と化して、獣の敏感な感覚を発揮することで人間の瞳では感知できない幽霊の存在を見切るなど設定は変わっており、それぞれ何らかの変身能力を持つものと思われる。
力と勇気に限らず、知恵のトライフォースを奪ったユガが飛行能力を得たり、ゼルダからフォースの力を盗んだグフーが風の魔神へと変貌するなど、知恵についても空を駆けるような存在に姿を変えるものと思われる。
共通アイテム
- 『海賊戦隊ゴーカイジャー』に『宇宙最大のお宝』という作中における重要アイテムが登場しており、名前こそ違うが『形がそっくりで持ち主の願いを叶える』という共通点がある。
関連イラスト
関連タグ
トライフォース農法:一種の風評被害?
エターナルダークネス:任天堂のホラーゲーム。力、知恵、精神の3つのシンボルが存在し、各秘宝に触れるとその神に呪われる。いずれの神も人間を滅ぼすことしか考えておらず、わりと救いがない。
北条氏:家紋が似ている。