概要
貨物の運搬や荷役作業に使用される特殊自動車であり、前方に爪(フォーク)がある。爪の部分は扱う貨物によって専用のオプションが装備されていたり、車両自体が特定の貨物専用機であったりする。
エンジンを搭載しているものは、通常エンジンを後部に搭載し前輪を駆動する。電動のものは、後部にバッテリーを搭載する。いずれも後輪で操舵するため、前進する際は一般的な自動車が後退する時の動きとなる。操舵輪の切れ角が大きく小回りが利くうえに後輪操舵なので爪を差し込む位置の調整がしやすくなっている。
最近はフォークやマストの操作を運転台前方のレバー操作からアームレストにつけられた小さなレバーで操作できるように改良された機種も多く出ている。
運転席に座って運転するタイプ(カウンターバランス式フォークリフト)のものと狭い場所での利便性をあげるため立って乗るリーチリフト(※)というものとがある。
最大積載量1トン以上のものを使う作業にあたっては「フォークリフト運転者」という免許が必要となる(1トン未満でも講習が必要。)他、公道での走行には車種に応じて「小型特殊自動車免許」または「大型特殊自動車免許」という別の免許が必要となる。これは、クレーン車やロードローラーなど別の大型特殊車両でも同じことである。
※・・・海外ではリーチリフトであっても座って運転するタイプが主流。国内でも一部座って運転する機種がある。
荷役する貨物の種類
- パレット(専用の台)に載せられた貨物
- ドラム缶・・・専用のアタッチメントを装着して荷役する
- 紙のロール・・・クランプを装着して荷役する
- 材木など・・・ダンプカーのように爪が傾いて一度に荷役できるようになっている
- ISO規格コンテナ・・・コンテナ固定用の爪がついており、それを使って吊り下げる
- その他・・・メーカーオプションや個別注文で雪かき用のバケットや除雪ブレードを雪かき作業時に取り付けることがある。(フォークリフト本来の作業ではないが構内の除雪用に代用されることがある)
駆動源
蓄電池+電気モーター
屋内など換気の悪いところや小型機でよく用いられる。長距離を走る乗用車やトラックと異なり、主に構内しか走らないので蓄電池が干上がっても救援が容易な上、その日の仕事が終わってしまえばあとは夜間に充電するだけなので充電時間の長さを気にする必要もない。またフォークリフトを導入する事業所では大抵複数台購入するので蓄電池を余分に購入し、予め充電しておき蓄電池が干上がりそうな車両の蓄電池を充電済みのものに交換するということも容易なので、近年最も普及している形式である。また、フォークリフトの構造上釣合い重りが必要なのでそれを蓄電池で代用できるので都合がよい。
ちなみにリーチリフトの場合、車体の寸法と形状ゆえにエンジンや変速機を積む場所の確保が困難なので、実質上この駆動方式のみとなる。
ガソリンエンジン、プロパンガスエンジン、天然ガスエンジン
屋外で作業するもののうち主に中型機(定格加重が1~3.5tくらい)に使われる。バッテリー車に比べ、稼働時間が長いことが特長。近年は電気モーター+エンジン式のハイブリッド型もある。
ディーゼルエンジン
大型機や荷役する貨物が重いもの(鉱石、鋼材など)に使われる。
駆動系統
クラッチ車
ギアが前進2速とバックだけのマニュアル車そのもの。空荷の時は原則2速発進で運転する。
トルコン車
一般的なAT車と同様、クラッチ部分がトルクコンバーター(液体変速機)になっているもの。大型機など車種によっては前進ギアが数段あることもある。
静油圧式無段変速機
オイルポンプと油圧モーターを組み合わせた構造を持つ油圧式の無段変速機。フォークリフト以外にも重機やそれに類する車両の採用例が多く、フォークリフトでは欧州の機種によく採用されている。
電気モーター車
駆動系は電気自動車と大体同じ。
運転時の注意事項など
- 貨物を輸送する際は前進だとブレーキをかけた際に貨物が滑り落ちたり、貨物ごと転倒することがあるので後退走行が原則となる。(前進で輸送することを禁じているところもある)
- ただし輸送中に坂道を上り下りする場合は荷物のほうが上が原則である。
- リーチリフトの場合、立って荷役をするためブレーキペダルは実質上デッドマン装置兼パーキングブレーキとなっている。そのためブレーキペダルを踏むとブレーキが緩み、離すとブレーキがかかるという変則的な動作となっており、走行中の加減速や前進/後退の制御は電動式ラジコンカーのように走行制御レバーの倒し具合によって制御するようになっている。
- フォークリフトの爪に人を載せて作業するのは落下による怪我や死亡の原因になるため原則的に法律で禁止されている。人を載せて作業するなら専用のカゴと命綱を着用しよう。
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