「すべての圧政者を始末することがこの俺の使命だ」
「カーンダックに支配者など要らぬ。そして、この国は再び守護者を得た」
概要
ブラックアダムとはDCコミックスのキャラクターであり、ヒーロー・シャザムの宿敵として知られる。
元々はフォーセット・コミックという出版社のキャラクターであり、キャプテン・マーベル(現在のシャザム)の権利がDCコミックスに売却された際に一緒にDCに加入した。
シャザムと同じく呪文「SHAZAM」を唱える事で稲妻を召喚し神々の力を得る事ができるが、シャザムがギリシャ神話の六柱の神の力を使うのに対し、ブラックアダムはエジプト神話の六柱の神々の力を使用する。
オリジン
旧設定
現代から数千年前、エジプト文明の影響を色濃く受ける小国カーンダックの王子テス・アダムは魔術師シャザム(後述の新設定におけるカウンシル・オブ・エタニティであり、ヒーローのシャザムではない)からエジプトの神々の力をその身に宿す呪文「SHAZAM」を与えられる。
しかし後にアダムは堕落してしまい、カーンダックをその強大な力で支配し独裁体制を築いたため存在を危険視されシャザムによって魔法のスカラベに封印されてしまう。
それから数千年後、カーンダックの遺跡の発掘に訪れたバットソン夫妻とその助手テオ・アダムによってスカラベの封印が解かれ、テス・アダムはテオに憑依しブラックアダムとして復活、バットソン夫妻を殺害して姿を消す。
その後、魔術師シャザムはバットソン夫妻の息子であるビリー・バットソンにギリシャ六柱神の力を与え、キャプテン・マーベルとなったビリーとブラックアダムは因縁の相手として何度も戦う事になる。
新設定(NEW52)
数千年前、小国であるカーンダックは蛮族アイバックの侵略に遭い滅亡しようとしていた。そんな中、アイバックに奴隷として酷い扱いを受けていたカーンダックの少年アモンは伯父のアダムと共に「カウンシル・オブ・エタニティ」と呼ばれる魔術師達に「SHAZAM」の呪文を与えられる。
アモンとアダムは強大な力を授かったものの、二人がその力で目指したものは違った。アモンはその力でアイバックをも含む全ての人間を救おうとし、復讐心を捨てきれないアダムはアイバックを殺し尽くす事でカーンダックを救おうとする。話し合いの末、アモンを説得できないと悟ったアダムはアモンから力を奪い彼を殺害してしまう。
もはや引き返せぬ道を歩む事となった彼は漆黒の復讐者ブラックアダムとなり、人知を超えた破壊をもたらす神々の力を、ただただ復讐の一念をもってアイバックにぶつけ続けた。やがてアダムはカーンダックを解放し、民からは英雄として崇められたが魔術師達からは存在を危険視され封印されてしまう。
それから数千年後、家族を救うために魔法の力を求め、ブラックアダムの伝説を頼りにカーンダックを訪れたドクター・シヴァナによって封印を解かれたアダムは、自身を封印した魔術師達の最後の生き残りであるウィザードに復讐を果たすため、更なる力を求めシャザムと激突する。
能力
シャザムと同じく「SHAZAM」の呪文を唱える事で神々の力を持つ存在へと変身するが、力の源となる神々はシャザムとは違いエジプト神話のものとなっている。
- S:大気の神シュー(Shu)の体力
- H:天空の神ホルス(Horus)のスピードと飛行能力
- A:太陽神アモンの剛力
- Z:知恵の神ジェフティ(Zehuti)の知識(ジェフティはトートの別名)
- A:太陽を表す神アトン(Aton)の雷
- M:アモンの船を守護する冥界の蛇神メヘン(Mehen)の勇気
これらの神々の力を身に宿すことによってシャザムと同等、即ちDCコミックス最強のヒーローであるスーパーマンにも匹敵する力を得る事ができる。
(更にスーパーマンには「魔法的な攻撃に対する耐性・防御力は一般人並」という弱点が有るので、スーパーマンが相手の場合は更に有利になる)
なお、設定が一新されたNEW52においては「SHAZAM」の呪文の由来は明らかにはされていないため同じものなのかは不明。(2017年発売のゲーム「インジャスティス2」では上記の神々の名をアダムが唱えるシーンがあるが、あくまで並行世界でありコミックの世界とは異なる)
攻撃手段としては通常の打撃に加え、両手や胸の雷を象ったシンボルマークから放出される電撃、さらに様々な魔法を使用できる。
また、「SHAZAM」の呪文で召喚する変身の稲妻を敵に当てる事もあるが、避けられると自身が人間に戻ってしまう危険があるため正真正銘の奥の手である。
また変身中には老いる事が無いらしく、NEW52において本質的には人間であるアダムが数千年間生き延びる事ができたのは、封印されている間一度も変身を解かなかったからであった。
人物
※以下の解説は新設定であるNEW52での描写に基きます。
非常に直情的かつ独善的で、目的のためなら家族を殺す事さえも厭わない。しかし完全に冷酷な人間という訳ではなく、上述の甥を殺害した際には涙を流すシーンがある。
(要はこうと決めたら止まれない性格であり、この場合は家族の仇を取るという目的に囚われすぎ、唯一生き残った甥をも復讐の妨げになるという理由で殺してしまう本末転倒な結末を招いてしまっている。)
またカーンダックを解放する際に敵対勢力の皆殺しという手段をとったような、現代の価値観で言えば残酷かつ暴力的と言える面についても、彼が生きていた数千年前の「目には目を、歯には歯を」の価値観に照らし合わせれば決して珍しいものではない。
事実カーンダックの民の中ではアイバックの支配から民を解放した英雄として現代まで語り継がれており、再びアイバックに国を征服された際にも「アダムの子」と名乗る反乱組織が立ち上がりブラックアダムを復活させ、彼と共にアイバック政府を打ち倒している。
(この時のブラックアダムは、彼を「マスター」と呼び服従を誓おうとする「アダムの子」らに「俺はマスターではない、だから跪くな」と謙虚な姿勢を見せている)
上述の奴隷として酷使されていた経緯から独裁や圧政、支配といったものに非常に強い嫌悪感を示し、善悪反転世界「アース3」から現れたヴィラン達が「この世界は我らの物だ」と宣言した際には、「この世界は誰の物でもない」と激昂したり、彼らのリーダーであるウルトラマン(善悪反転世界におけるスーパーマン)と対峙した時は「すべての圧政者を始末することがこの俺の使命だ」と言い放っている。
……が、このエピソードでは、皮肉にも、故郷の惑星で独裁者となっていた過去のあるシネストロと成行きで共闘した上に、妙に気が合う仲となった。(ただし、シネストロの過去は知らない模様)
ヴィランではあるものの、これらの信念から侵略者と戦う事も多々あり、ヒーローチームと共闘した事もあるなどどちらかと言えばダークヒーローに近い。
実写映画
DC Extended Universe
「ザ・ロック」ことドウェイン・ジョンソン主演で単独映画『ブラックアダム』が2022年10月21日全米公開。日本では同年12月2日に公開された。
2020年8月23日公開の特報映像
映画『ブラックアダム』特報 2022年12月2日(金)公開
当初のオファーの内容はシャザム役かブラックアダム役のどちらかというもので、もしジョンソンがシャザム役を選んでいたら、ザッカリー・リーヴァイのシャザムとはまた違ったものとなっていたかもしれない。
またハリウッド界の大スターであるジョンソンがブラックアダム役に抜擢された事で、当初は映画「シャザム!」に登場させる予定だったものが「シャザムとブラックアダムそれぞれの単独映画を制作した後に続編で共演させる」という事になった。ジョンソンパワー恐るべし…
そして「シャザム!」では原作のメインヴィランであるブラックアダムが不在となった事で、原作ではスーパーパワーを持たないはずのドクター・シヴァナが「七つの大罪の悪魔を自身に憑依させてシャザムと同等の力を得たスーパーヴィラン」へと設定変更され、原作におけるブラックアダムの役割を担うこととなった。
スキンヘッドのブラックアダムはインジャスティス:神々の激突が前例。
ゲーム
DCユニバース・オンライン
スーパーマンが悪に堕ちた世界を描く。ブラックアダムはスーパーマン側のヴィランとして登場。他のキャラクターと同じく大幅なアレンジがなされ、金を基調としたスーツとマントにスキンヘッドというデザインとなっている。(原作に近いコスチュームもある)
前作に引き続き登場。故郷カーンダックに強制送還され、バットマンによる監視を受けている。
関連イラスト
DCEU
関連タグ
キャプテン・マーベル…宿敵シャザムのかつてのヒーロー名。紆余曲折あり2013年にシャザムへと変更された。