2023年の優勝チーム…
テキサス・レンジャーズ(球団創設63年目で初優勝)
概要
アメリカのプロ野球リーグであるMLB(大リーグ)における、アメリカンリーグとナショナルリーグの「リーグ優勝」球団同士による優勝決定戦。
名前は「ワールド」となっているが、これは初開催当時はアメリカ以外にきちんとしたプロ野球リーグのある国や地域が無かったからであるとされ、実際は「アメリカ一」を決める短期決戦である。
現在は、東アジアや中南米地域を中心に野球がある程度浸透してそれらの国にもプロリーグが設立され、さらにはWBCやプレミア12など、野球の世界大会が開催されるようになっているが、現在でもアメリカ国内ではこれらの大会よりもワールドシリーズの制覇こそが野球界で最高の栄誉とする向きが強く、この座を賭けて全米の球団が鎬を削りあうことになる。
歴史
現在に繋がるシリーズは1903年より開始。しかし1904年、ナショナルリーグの優勝チームであるニューヨーク・ジャイアンツは新興のアメリカンリーグを格下と見做して「マイナーリーグとの対戦など出来ない」と拒否したことで世間からの非難を浴びてしまう。そのためワールドシリーズはナショナル、アメリカン双方のリーグ優勝チームが対戦して年間最高優勝チームを決めるシリーズとするよう規約が制定された。
当初は両リーグとも8球団だったため、年間優勝チーム同士がそのまま進出して対戦した。
1969年、エクスパンション(リーグ拡張)による球団数増加に伴い、両リーグとも12チームとなったことから、東西2地区制を導入し各地区の1位によるリーグ優勝決定シリーズに勝ったチームがワールドシリーズに出場する方式に改められた。
1994年、さらに球団数が増えたことで中地区が新設されて3地区制となる。両リーグ3地区の優勝チームと、ワイルドカード(両リーグ各地区の優勝チームを除いたうちで勝率が最も高い1チーム)の計8チームによる地区シリーズが導入されたが、この年は選手会がストライキを行なったためワールドシリーズどころかポストシーズンそのものが開催されず、実際にこの方式でポストシーズンが行なわれたのは1995年からになった。
2012年からはワイルドカード枠が各リーグ2枠となり、ワイルドカードの2チームが一発勝負で直接対決するワイルドカードゲームが導入された。
2020年はCOVID-19の感染拡大対策としてレギュラーシーズンが60試合に短縮されたことに関連して、各地区上位2位とワイルドカード各リーグ2チームの計16チームによるポストシーズンとなった。
2022年からはワイルドカードが各リーグ3枠になり、プレーオフの1回戦前も最大3戦の(先に2勝したチームが勝ち上がる)ワイルドカードシリーズに変更された。
こうして各リーグのプレーオフを勝ち上がってきたチームをリーグチャンピオンとして、最後まで残った2チームがベスト・オブ・セブン方式の(最大7試合を行ない先に4勝したチームを優勝とする)ワールドシリーズで直接対決して年間総合優勝を決定する。
主な成績
※以下の数字はいずれも2023年時点
出場回数・優勝回数ともにニューヨーク・ヤンキースが他球団を圧倒している(出場40回、優勝27回、最長5連覇、出場8シリーズ連続優勝など)。2023年時点でヤンキース以外に優勝回数が2桁に到達しているのはセントルイス・カージナルス(11回)だけである。
ワールドシリーズ連覇を最初に達成したのはシカゴ・カブスで、1907年・1908年と連覇したが、その直後から「ビリー・ゴートの呪い」と呼ばれる108年の最長優勝間隔記録を作ることになる。現在、優勝から最も遠ざかっているチームは2016年にそのカブス相手に敗れたクリーブランド・ガーディアンズである。
一方、敗退数が最も多いのはロサンゼルス・ドジャースの14回。ブルックリン・ロビンス時代から通算して初出場から7シリーズ連続敗退もワーストである(初出場の条件を含まなければカブスもワーストタイとなる)。複数年連続出場したうえでの連続敗退は、デトロイト・タイガースとニューヨーク・ジャイアンツの3年連続が最長ワーストとなる。
ナショナルリーグ、アメリカンリーグ共に第1回ワールドシリーズ開催当時から存在しているチームには全て2回以上の優勝経験がある。最も少ないチームはガーディアンズとフィラデルフィア・フィリーズで優勝2回。フィリーズは初優勝も2度目の優勝もエクスパンションチームのニューヨーク・メッツに先を越されている(2度目の優勝に関してはメッツのみならずトロント・ブルージェイズとフロリダ・マーリンズ(現在のマイアミ・マーリンズ)にも先を越されている)。
エクスパンションチーム(1960年以降に創設されたチーム)ではメッツ、ブルージェイズ、マーリンズの他にカンザスシティ・ロイヤルズ、ヒューストン・アストロズが2回優勝しているのが最多となっている。ブルージェイズはカナダ(アメリカ国外)に本拠地を置くチームとしてのワールドシリーズ初出場・初優勝・初連覇・最長連覇を記録している(連覇に関してはエクスパンションの14チーム中でも唯一である)。
マーリンズはワールドシリーズでは初めてワイルドカードからの勝ち上がりで優勝したチームであり、ワイルドカードからの優勝2回はMLB単独最多となっている一方で球団創設以来1度も地区優勝をしていないチームでもある。
ミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、シアトル・マリナーズ、コロラド・ロッキーズ、タンパベイ・レイズの5チームは優勝したことがない。ロッキーズはワールドシリーズで勝ったことすら無く、マリナーズに至っては出場経験自体が無い。さらに他の29チームはマリナーズが創設された1977年以降に進出経験があるためマリナーズはシリーズ出場から最も遠ざかっているチームでもある。
優勝経験が無いチーム同士の対戦は6回あり(1903年、1905年、1906年、1909年、1920年、1980年)、エクスパンションチーム同士の対戦は3回あり(2015年、2019年、2023年)、ワイルドカードから勝ち上がったチーム同士の対戦は3回ある(2002年、2014年、2023年)。
関連タグ
日本シリーズ:NPBの日本一決定戦。第1回のみ名称は「日本ワールドシリ-ズ」だった。
スーパーボウル:NFL(アメリカンフットボール)の優勝決定戦。