概要
室町時代や江戸時代のおとぎ話『御伽草子』に書かれた物語の一つであり、か弱い小さな者が強大な悪を打ち破る話として現在も語り継がれている。
あらすじ
昔々ある所に、子供の出来ない老夫婦が居た。
二人が神に祈ると子供を授かる事が出来たが、生まれた子供は一寸(=3cm)しか無く、体も成長しなかった為『一寸法師』と呼ばれるようになる。
しかし身長が伸びなくとも、やがて彼は小さな体に負けない強い心の持ち主となり、武士になる為に旅へ出る事を決意した。
針を刀に、茶碗を船の代わりにし、一寸法師は京都を訪ね、公家の屋敷で働かせてもらった。
そして公家の娘と恋仲に落ちるが、そこに鬼が現れて彼女を攫おうと迫って来た。
娘を守ろうとする一寸法師を鬼は嘲笑い飲み込んでしまうが、彼はその体内を針で突き回り、見事鬼に勝つ事に成功する。
降参した鬼は『打ち出の小槌』なる道具を置いて逃げていった。
娘が一寸法師の頭上にて小槌を振ると、彼の体は大きくなり、立派な青年の姿に変わる。更に小槌を振ると金銀財宝や食べ物が現れた。
彼は後に帝に招かれ中納言に出世し、娘と共にいつまでも幸せに暮らしたという。
補足
上記の内容は現在一般的に広められているものではあるが、原典における御伽草子においては『老夫婦に物の怪と思われ始めて一寸法師は旅に出た』『娘との恋を親が認めなかったので冤罪をふっかけて家出させくっついた』など若干ブラックな内容だった模様。
漫画『鬼灯の冷徹』ではこのエピソードにより、「女をだまして手籠めにした」ことで地獄に落とされたものの、一寸法師自身が差別され続けていたこと、姫もまんざらではなかったことなどから情状酌量され、地獄の職員になったというエピソードになっている。詳細は一寸法師(鬼灯の冷徹)を参照。
なお、妖怪をテーマにした歌の本『狂歌百鬼夜狂』などでは、一寸法師は妖怪の一種としても扱われている。
韓国の一寸法師
1930年発行の『朝鮮民話集』に収録された「ギムソニョンと大泥棒」という民話に登場する大泥棒の一味のネズミの妖怪に、一寸法師を意味する一村玄(일촌법사:イルチョンボプサ)という名がつけられている。
父を殺して財産を奪い、母をもさらった大泥棒を退治しようとする主人公ギムソニョンと、それに協力する王の軍勢を、尾を振って大洪水を起こす道術で苦しめたが、最後はギムソニョンの師匠である道士の術による落雷によって大泥棒もろとも退治された。
一寸法師をモチーフにしたキャラクター/作品
- 南原竜太/ブルースリー(超電子バイオマン)※企画段階では一寸法師本人という設定
- イザム(小さな巨人ミクロマン)※一寸法師のモデルになった先祖がいる
- サンジョウノ・春姫(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)※モチーフは一寸法師の姫。
- ネガタロス(クライマックス刑事)※モチーフは一寸法師の鬼とのことらしい。
- 一寸法師(音戯の譜)(音戯の譜)※モチーフは一寸法師本人。
- 一寸法子(おにぱん!)※一寸法師の子孫という設定で、変身アイテムの打ち出の小槌を使用し、のりりんという芸名でトップアイドルとして君臨している。
- いっすん法師(にゃんこ大戦争)(にゃんこ大戦争)※モチーフは一寸法師本人。
- 死々若丸(幽遊白書)※普段のイケメン姿は牛若丸モチーフだが、本来の小鬼姿が一寸法師モチーフと言われている。
- 怪獣人プレッシャー、ウルトラマンキング(ウルトラマンレオ)※一寸法師の物語を題材にしたストーリーとなっている。