概要
書籍版はMFブックス(KADOKAWA)にて2019年9月25日より刊行。イラストは黒井ススム。書籍版は全6巻。
2019年10月より川上真樹の作画によるコミカライズが『ComicWalker』にて連載されていた。単行本は全6巻。
物語の序盤は、当時「小説家になろう」で流行していたパーティなどの組織からの追放と婚約破棄で主人公たちが孤立するところから始まる。そのためよくある「ざまあ」作品と勘違いされやすいが、作中で主人公たちは積極的に「ざまあ」に乗り出すわけではない。どちらかというと主人公たちが人間不信から立ち直っていく話になっている。
登場人物
冒険者パーティ「サバイバーズ」
結成当初の4人はいずれも仲間や家族に裏切られた過去がある上に何らかの「駄目人間」としての欠点を抱えている。
元々は金銭という先立つものの為に渋々結成したため、当初は各メンバーは互いに疑心暗鬼に陥っていた。しかし本来なら高い実力を持つメンバーがバランスよく揃っていたこともあり、次第にパーティとしての能力を高めていく。
物語が進むにつれてサバイバーズのメンバー同士では信頼し合えるようになっていくが、人間不信のトラウマが解消されたわけではなく、正式なメンバーの増員は全員一致で拒絶している。
- ニック
CV:小林裕介
職業:軽戦士 駄目ポイント:ドルヲタ
メイン画像中央下の男性。本作の主人公。
元は有名なC級冒険者パーティ「武芸百般」に所属していた人間の軽戦士。
両親を失った後、武芸百般のリーダーである戦士アルガスに拾われて冒険者となり、恩に報いるため「武芸百般」をA級冒険者パーティにするべく様々な技術や勉強をしていった。しかしアルガスとは「武芸百般」の方針の違いから「武芸百般」を追放されてしまう。さらに恋人として付き合っていた女性クロディーヌに裏切られてしまう。
その後は公園でたまたま出会った吟遊詩人(アイドル)のアゲートにはまってしまい、ドルヲタとなった。
冒険者としては頭がよく機転もきき、読み書きや算術なども学んでいる。また手先が器用で罠解除や鍵開けなどもこなせるが、小柄な体格で重い武器や防具はまともに扱えないため軽戦士となっている。初期メンバー4人の中では唯一冒険者としての経験を真面目に積んでいたため、パーティリーダーとして皆を率いている。
特技は師匠であるアルガスから仕込まれた短剣術と格闘術。人間や人間型のモンスター相手であればかなり戦える。
第1巻で、「絆の迷宮」で入手したアーティファクト「絆の剣」のマスターとなる。
- カラン
CV:菊池紗矢香
職業:竜戦士 駄目ポイント:美食家
メイン画像左の女性。本作のヒロイン。
強靭な大剣を振るう女性の竜人族。戦士としては身体能力が高い上に、火竜の加護を得ており口から火球を吐き出す能力を持つ。
素直で純朴な性格だが、読み書きや算術ができず、人を疑うことをしなかったためカリオスという偽名を使う冒険者に戦闘能力を利用された挙句、竜戦士としての大事な宝玉を奪われた上に毒に冒されたまま地下迷宮に取り残された。なんとか生きのびて地上へ戻ることはできたものの、以降はパーティを組めないまま、高名な冒険者「一人飯のフィフス」の真似をして美食にはまってしまう。
金を少しでも美食趣味に回すため、貧民街に近い治安の悪い宿を借りていた。
戦士としての戦闘能力は高いものの、裏切ったカリオスの言うがままに行動していたため、冒険者としての常識や知識を学ぶ機会を逸している上に、もともと座学は苦手。そのためニックたちの協力で少しずつ勉強を始めている。
書籍版では4巻で倒れた後、5巻ではこれまでとは違った活躍を見せる。
ニックとの《合体》では高まった身体能力から繰り出される剣術、口からの火球など高い攻撃力で敵をねじ伏せる。
- ティアーナ
CV:渡部紗弓
職業:魔術師 駄目ポイント:賭博
メイン画像中央右の三角帽とローブの女性。
元貴族令嬢の魔術師。得意な属性は水と風で、水と風の複合属性である雷の魔術を行使できる。土属性もある程度使えるが、火属性はほぼ使えない。また支援系魔術や魔力探査による索敵ができるなど、魔術に関しては多彩な才覚を持つ。
魔術の知識、技量ともに高く真面目で成績優秀だったが、その真面目さと才覚を妬んだ婚約者に裏切られて婚約破棄をされてしまう。さらに婚約者と共謀した政敵の令嬢に陥れられてしまい魔術学院を追放された。貴族令嬢としての矜持を傷つけられた結果、父の奨めもあり家名を捨てて家を出る。
一時は魔術師として安定した就職を目指したものの、周辺情勢の影響で断念。就職活動中にうっかり手を出した競竜(小型の竜を使った競馬のようなギャンブル)にはまってしまった。またパイプ煙草も吸う。借りている宿が比較的まともなため、当初は彼女の宿がパーティの会議室と化していた。
元貴族令嬢のため魔術関係や貴族関係を中心とする知識は豊富だが、冒険者としての一般常識にはかなり疎い。
ニックとの《合体》では彼女の優れた魔術がさらに強化され、戦場となる場所一帯を凍てつかせるほどの威力となる。
- ゼム
CV:土岐隼一
職業:神官 駄目ポイント:女色
メイン画像中央上の男性。
元は地方の町の神官。神官としての能力は高く、治癒魔術だけでなく集団行動に非常に役立つ軍隊魔術を習得している。戦闘能力は高くないものの、メイスをある程度扱うことができる。また医術や薬草にもかなり詳しい。
端正な見た目も手伝って人望のある神官だったが、親しくしていた少女の逆恨みにより陥れられて婦女暴行の冤罪をかけられた。この冤罪を晴らすことができず3か月も牢屋に閉じ込められた挙句、破門。それまで神官として親身に接していた町の人々から侮蔑の視線と罵声を浴びながら町から追い出された。
その後、たまたま転がり込んだ宿の女主人のヒモとしてしばらく暮らしていたが、彼女から励まされて冒険者となる。それがきっかけで酒場(キャバクラ)にはまってしまった。ただしロリコン冤罪をかけられたトラウマのため、少女に対しては拒絶反応を示す。とはいえ基本的に人がいいため、キャバクラやオカマバーなどの風俗関係者を中心に顔が広い。
冤罪で公けに晒し者にされた境遇だったため、アニメ放映時は「気の毒すぎる」「こいつ1人だけキツすぎる」など同情的な声が上がっていた。
ニックとの《合体》ではニック本来の身体能力に加えて、ゼムの使う魔術による自己回復と自己強化が上乗せされる。
- キズナ
メイン画像右端の人物。
古代遺跡「絆の迷宮」の隠された最下層に封じられていた剣型のアーティファクトが人型に実体化した姿。正式名称は「絆の剣」で古代文明の時代に人類の脅威となっていた魔神に対抗するために開発された聖剣の1つ。外見は柄部分のみで刀身はなく「オーラブレード」と呼ばれるタイプの聖剣で、刀身となる部分は使用者の魔力により形成される。
使用者が仲間に協力してもらうことにより威力が増強するという特性を持つ。さらに、使用者が仲間と一体化する《合体》(ユニオン)を成功させることにより、その戦闘能力を爆発的に向上させることができる。ただし《合体》の成功率は低く、心から信頼し合う仲間同士でなければ成功は覚束ない。書籍版3巻まででニックはパーティメンバーのそれぞれとの《合体》に成功している。
この剣自体に知性があり、合体以外にも様々な能力を有している。ニックを所有者として「サバイバーズ」に加入後は、ニックに似た美少年のような姿の人間としてサバイバーズ5人目のメンバーとして行動している。
知識欲が旺盛で、様々な書物だけでなく怪しいオカルト雑誌なども積極的に購入しては、読み耽っている。
本作品では、同様の人格を持つ聖剣が他にも複数本登場しており、それぞれが独自の性格と目的により行動をとっている。
物語の相違
WEB版
- 序章「それぞれの悲劇と悪癖」
主役4人がそれぞれ被った追放劇と悪癖に陥り、サバイバーズを結成するまで。
- 一章「サバイバルは剣の輝き」
サバイバーズを結成して最初の冒険、そして聖剣探索でキズナが加わるまで。
- 二章「麗しのパラディンさま」
冒険者パーティ“鉄虎隊”との抗争。
- 三章「ミナミの聖人VS奇門遁甲」
スラム地域に住むというミナミの聖人との邂逅、そしてステッピングマンと呼ばれる謎の賞金首との戦い。
- 四章「落第生、深山幽谷の果てに単位を得る」
カランの家族、そしてティアーナの関係者の再会に端を発したダンジョン探索。
WEB版は小説家になろうに2019年1月から時々中断しつつも掲載されていたが、2020年9月で物語は中断している。
書籍版
- 最強パーティ結成編
- 麗しのパラディン編
- ミナミの聖人編
- 吟遊詩人大感謝祭編
- 修羅の巷の願い鏡編
- 夢の終着点編
2019年9月から刊行された書籍版では大幅に加筆されてはいるが、WEB版三章までと書籍版の3巻までの大まかな物語はほぼ同じ。
WEB版四章と書籍版4巻以降は登場人物こそ一部共通しているが、起きる事件は大幅に異なっており物語が分岐している。
2021年8月に第3巻発売後はアニメ版が始まる直前の2022年12月に第4巻、アニメ終了時期の2023年3月に第5巻、11月に最終巻となる第6巻が刊行され完結した。
漫画版
物語としては書籍版に準じているが、コミカライズに合わせて表現や演出が調整されている。川上氏の作画もあって好評だったが、なぜかアニメ放映が開始した途端に連載が終了した。
漫画化したストーリーは書籍版2巻までにとどまる。
そのためゼムにスポットが当たらないままだった。
テレビアニメ
2023年1月からTOKYOMX、BS11、KBS京都、サンテレビにて放送された。アニメーション制作はギークトイズ。
ナレーションは清川元夢(絆の剣と兼役)。
書籍版第3巻までの物語となっている。
関連動画
PV第1弾
PV第2弾