概要
1974年10月19日から1975年3月29日まで放送された仮面ライダーシリーズ第4作。全24話。
本作は初期仮面ライダーの怪奇性を基にしつつも、そこに南米アマゾンの野性味と古代インカ文明をモチーフとした設定を混ぜ合わせた事によって、それまでとは全く違った仮面ライダー像を作り出すことに成功した。
なお、昭和の作品の中では唯一「昆虫がモチーフとされていない」仮面ライダーでもある。
昆虫をモチーフとしないデザイン、「アーマーゾーン」と叫んで変身、必殺技がライダーキックではなく「大切断」などシリーズの中でも従来の作風から外れたかなり異色の雰囲気が漂う作品で、「もはや仮面ライダーではない」と当時のシリーズファンが語るほど内容に賛否があったらしい。
なおこうなった理由は、前作『仮面ライダーX』が試行錯誤及ばずあまりヒットしなかったことにより仮面ライダーの人気が低下していたため、それまでのライダーとは違った作風を求められたためである。
後半からはやはり賛否があったのか怪奇性とアマゾンの凄惨な戦い方は消え始め、それまで片言だったアマゾンが普通に会話するなど従来の展開にある程度近い形の内容になった。ただ、それでも本作の独自性は健在であった。
前述の通り賛否を巻き起こした異色の作風と、仮面ライダーブームが終わりつつあったのもあり、V3時代の視聴率を回復することはできなかったが、全24話でコンパクトにまとまったストーリーや、主人公アマゾンの素朴なキャラクター、一種独特な雰囲気の内容から今でも根強いファンを有している。
腸捻転
毎日新聞社系の毎日放送(MBS)が、朝日新聞社系の日本教育テレビ(NET、現テレビ朝日)と、朝日新聞社系の朝日放送(ABC)が、毎日新聞社系の東京放送(TBS)と系列を組んでいた。これは俗に「腸捻転」と呼ばれていた。
それに伴い、「仮面ライダー」シリーズは毎日放送製作で日本教育テレビにネットされていた。
これは「仮面ライダーアマゾン」放送後に本来の系列に戻すという措置から、全24話で放送が終わると最初から決定しており、打ち切りではない。次作の「仮面ライダーストロンガー」から毎日放送製作でTBSにネットされるようになった。
しかし、現場の人間にはこの事がきちんと伝わっておらず、一年番組だと思っていたら途中でその事を知ったという者も少なくなかった為、結果として作品に関わったスタッフ達からも打ち切りと勘違いされるという事態が起こってしまった。
一方でNET系列では、仮面ライダーシリーズの替わる作品として、スーパー戦隊シリーズの元祖となる秘密戦隊ゴレンジャーを今作の後番組として開始した。
アマゾンライダー
南米アマゾンで育った日本人、山本大介が長老バゴーの持つ古代インカの秘術によって生体改造された後、神秘のパワーを持つインカの秘宝「ギギの腕輪」を移植されたことによって変身したライダー。昭和ライダーとしては珍しく機械的な改造を施されていないライダーである。当初はバイクを嫌っていたが、インカの遺産「太陽の石」をエネルギー源にしたバイク、「ジャングラー」は気に入ったのか野生の勘で乗り回している。
変身の掛け声が「変身」ではなく、「アァ゙~~~ッマァ゙~~~ッゾォオオオオオンッ!!!」という全力シャウトなのも印象的。両腕を「ア」で凹の字に掲げ、「マ」で交差させ、「ゾン」で腕をまた開いて掲げると、両目が赤く輝き変身する。
必殺技は手の爪やカッターを活かした切断技「大切断」。
その他にも、牙を使った噛みつき攻撃「ジャガーショック」や、引っ掻き技の「モンキーアタック」などなど、ワイルドな攻撃方法を用いる。
十面鬼ゴルゴスの持つ(後にゼロ大帝に奪われる)「ガガの腕輪」を「ギギの腕輪」と合わせると、古代インカの超パワーによって能力を増幅することができ、「スーパー大切断」を放つ。
南米の大自然の中で育ったためか、性格は純粋で素朴な人間。手を組んで見せ合う「トモダチ」の仕草は彼の純粋な友愛の印である。
薬草から自然薬を作ったり、古代インカ文字を読み解いたりと、多才な一面も見せる。文明社会に馴染みが無かったため、日本に来たばかりの頃は謂われの無い迫害に遭い、傷付くこともしばしばであった。
なお、本名は山本大介なのだが本人は完全に忘れているため、終始アマゾンと呼ばれている。
また、割と序盤(13話あたりから)に日本語をマスターし、最後はスーツ姿で南米に帰って行ったのだが、その設定は後の作品に登場する際には忘れられていたのか、結局野性児のように扱われている。
ちなみに、アマゾンの造形はこれまでのライダー同様、昆虫モチーフのデザインにする予定であったが、様々な過程を経ていくうちにカタツムリ、ピラニアなどのモチーフに変更され、最終的に爬虫類ベースのデザインに行き着いた。
作中において、アマゾンライダーは「マダラオオトカゲ」という架空のトカゲの能力を持っているという設定がある。
見た目はザ・野生児といった感じで、仮面ライダーの中でもかなりロングヘア。『仮面ライダーストロンガー』に登場したときは、まとまった短髪にいつもの服装で登場した。八重歯が見える純粋無垢な笑顔で描かれることが多い。
主題歌
OP曲。昭和ライダーにしては珍しく、仮面ライダーがバイクを延々と運転するものではなく、アマゾンがジャングルを駆け巡るという、異色のOP映像となっている。イントロの「アーマーゾーン!!」というシャウトは劇中でもアマゾンの変身時に使用されている。
作詞:八手三郎/作曲:菊池俊輔/歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
ED曲。ゲドン壊滅以降はゲドンが歌詞中に登場しない2番が使用され、仮面ライダー(新)と仮面ライダースーパー1ではイントロ部分が劇伴として使用された。
挿入歌/イメージソング
- アマゾンライダーアクション
作詞:石森章太郎/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人
アマゾンライダーの戦闘テーマ。
- アマゾン倒せ
作詞:中瀬当一/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:サニー・シンガーズ
秘密結社ゲドンのテーマソング。
- その名はアマゾン
作詞:土井信/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人
アマゾンこと山本大介のテーマソング。
- アマゾンおしえておくれ
作詞:中瀬当一/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人、山上万智子
劇中未使用。
- 走れ炎のジャングラー
作詞:赤井圭/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
アマゾンライダーの愛車ジャングラーのテーマソング。劇中未使用。
- 東京ジャングル
作詞:土井信/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人
劇中未使用。
- アマゾン一人
作詞:田中守/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人
劇中未使用。
- アマゾン一緒にたたかおう
作詞:田中守/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
劇中未使用。
- ぼくらのアマゾンライダー
作詞:赤井圭/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:コロムビアゆりかご会
劇中未使用。
各話リスト
No. | サブタイトル | 登場獣人 |
---|---|---|
1 | 人か野獣か?!密林から来た凄い奴! | クモ獣人 |
2 | 十面鬼!神か?悪魔か? | 獣人吸血コウモリ |
3 | 強くてハダカで速い奴! | カマキリ獣人 |
4 | 走れ!怒りのジャングラー!! | 獣人大ムカデ |
5 | 地底からきた変なヤツ!! | モグラ獣人 |
6 | インカ縄文字の謎!! | 獣人ヤマアラシ、モグラ獣人 |
7 | とける!とける!恐怖のヘビ獣人!? | ヘビ獣人、モグラ獣人 |
8 | 学校を襲ったワニ獣人!! | ワニ獣人、モグラ獣人 |
9 | ゆけアマゾン!カニ獣人の島へ! | カニ獣人、モグラ獣人 |
10 | 黒ネコ獣人保育園を狙う!! | 黒ネコ獣人、モグラ獣人 |
11 | 金色のカタツムリは死神の使い?! | 獣人カタツムリ、モグラ獣人 |
12 | 見た!ゲドンの獣人改造室!! | トゲアリ獣人、モグラ獣人 |
13 | 迫る!十面鬼!危うしアマゾン!! | 獣人ヘビトンボ、モグラ獣人 |
14 | 十面鬼死す!そして新しい敵!? | 獣人ヘビトンボ、モグラ獣人 |
15 | 出たぞ!恐怖のゼロ大帝!! | ハチ獣人、モグラ獣人 |
16 | ガランダーの東京火の海作戦!! | ゲンゴロウ獣人、モグラ獣人 |
17 | 富士山大爆発?東京フライパン作戦! | ガマ獣人、モグラ獣人 |
18 | ゼロの恐怖!大地震作戦!! | ハンミョウ獣人、モグラ獣人 |
19 | 出動、ガランダー少年部隊!! | フクロウ獣人、モグラ獣人 |
20 | モグラ獣人最後の活躍!! | キノコ獣人、モグラ獣人 |
21 | 冷凍ライダーを食べる人喰い獣人! | イソギンチャク獣人 |
22 | インカ人形 東京全滅の日!? | モモンガー獣人 |
23 | にせライダー対アマゾンライダー!! | サンショウウオ獣人、ニセアマゾンライダー |
24 | やったぞアマゾン!ゼロ大帝の最後!! | ゼロ大帝 |
余談
漫画『仮面ライダーSPIRITS』にも出演しているため、pixivでも知られた存在。その純朴な人柄から女性ファンも多いが、ありがちな腐向け指向のイラストは少なく、むしろ彼個人をフィーチャーした作品が多い。今も昔も母性をくすぐる、なんとなく放っておけない男なのである。
仮面ライダーディケイド出演用に作り直されたスーツは、大元よりかなり明るめの色調で女性スタッフに「かわいい」と大人気だったそうである。
ちなみに、名前つながりで通販のamazonネタも多く投稿されている。アマゾンだけに。
そして遂に……公式ではamazonで…
2016年4月1日からリファインされた『仮面ライダーアマゾンズ』の配信が決定した。
完全新作で、赤い戦士「仮面ライダーアマゾンアルファ」と緑の戦士「仮面ライダーアマゾンオメガ」の二人の仮面ライダーアマゾンを軸にした物語。
2021年に行われたNHK主催の「全仮面ライダー大投票」では、作品、音楽部門こそランクインを逃したものの、「仮面ライダー部門」では仮面ライダー2号を躱し、昭和ライダーでは5番目に高い、第41位を獲得した。
2023年7月7日からはTOKYOMXにて、仮面ライダーXの後番組として放送されることに。こちらはHDリマスター版が放送。金曜放送というのもあり、金曜ロードショーでもののけ姫が放送された日には、ある共通点からアマゾンが話題になった。アマゾンの後にはシンカリオンZが放送されるという流れでもある。番組編成の関係で休止することもあり、12月22日の放送は最終回を残すのみと言う中で休止となった。こちらの理由はナイター競艇(住之江グランプリ)の放送が理由で、放送は29日にずれることに。
関連タグ
秘密結社ゲドン ガランダー帝国 獣人(仮面ライダーアマゾン)
仮面ライダーBLACK:石ノ森章太郎原作漫画の存在、生物的なバイク、モチーフ生物そのものに近い形態の怪人、一対のアイテムの争奪戦など、いろいろと共通点の多いライダー作品。
仮面ライダー響鬼:後に制作・放映された平成ライダーシリーズ第6作目。「シリーズの中でも異色の作品である」「主役ライダーが変身する際に変身という掛け声を言わない、変身ベルトを使わない」「次回作がカブトムシをモチーフとしたライダーを主役としている」といった共通点がある。実際、プロデューサーが制作発表の場で「平成の『仮面ライダーアマゾン』」と表現するほど。
無敵超人ザンボット3、電磁戦隊メガレンジャー:ヒーローが迫害に遭う点では共通している。
お笑い頭の体操:毎日放送における後番組。本作のレギュラーもアシスタントで出演していたらしい。
主なゲスト出演者
仮面ライダーX → 仮面ライダーアマゾン → 仮面ライダーストロンガー