「その優しさのせいで傷ついてしまうなら…わたしがあなたを守る!」(第17話)
CV:松田颯水
本記事ではキャラクターとしての概要と人間態について説明する。猫の姿についてはユキ(プリキュア)を参照のこと。
概要
『わんだふるぷりきゅあ!』の登場キャラクター。猫屋敷まゆに飼われているメスの白猫。
まゆの母・すみれが経営するコスメショップ『Pretty Holic』の看板猫として、アニマルタウンに住んでいる。
元野良猫で、名前も「雪の日に出会ったから」とまゆが命名している。
昼寝(日光浴)が好きで、店先のプランタースタンドが専用のお昼寝台となっている。好きな色はライトブルー。
元野良のため現在猫種は不明。まゆが小学4年生の冬休みに出会った時は子猫だったため、現在3〜4歳(人間に換算すると30歳前後)と推測される。
実際の出生日ではなく、まゆと出会った日を誕生日にしていると思われる。(回想シーンとも季節が一致する)
第17話で人間化でき、キュアニャミーの変身者であると判明した。
(それまではプリキュアやガルガルの事件には関わっていないと思われていた)
プリキュアシリーズ初の、本物の猫が変身するプリキュアとなる。
(同じく猫キュアと呼ばれる黒川エレンやユニは、猫に似た別種族である)
プリキュアに変身する動物としては、パピヨン犬の犬飼こむぎ(キュアワンダフル)に次いで2番目の存在。
プリキュア覚醒のきっかけは、第10話と第11話の間、熊のガルガルが人里に現れた夜。
「まゆを守るために何とかしたい」と強く願った際、まゆがくれたチャームからシャイニーキャッツパクトが飛び出し、プリキュアとして覚醒した。
人間の言葉を話す時の一人称は「わたし」。女性語を比較的多く用いた言葉遣いをする。
高圧的な物言いが多めだが、相手によっては礼儀正しく敬語も使う。
猫の姿でも話し方は変わらないが、時折語尾に「ニャ」をつける。
人間態では体質も人間と同じになり、猫が食べられない食べ物も摂取できる。ただし、猫としての特性や気質が完全に失われるわけではない。(後述)
特段人間の姿に執着はしておらず、必要に応じて姿を切り替えている。体力が尽きると自動的に猫の姿に戻ってしまう点もこむぎと共通。
人間化発覚後、私立湾岸第二中学校に転入し、まゆと同じクラスに通っている。
学校では、こむぎが飼い主の犬飼いろは(キュアフレンディ)の従姉妹で通しているのと同じく、まゆの従姉妹で通している。
好物は鮭で、同じく鮭好きの前作の主人公と組み合わせたイラストも存在する。(こちらも参照)
なお、実際に猫に鮭を与える場合は寄生虫(アニサキスなど)予防の観点から養殖の刺身(生食)用か加熱したものを与えなければならない。
また、チアミナーゼの作用により過剰摂取は脚気の危険があるので、主食にはせず間食程度に。
もちろん塩鮭は塩分過多なので絶対NG。
第21話でも、こむぎがユキに対し「動物形態で塩鮭など食べちゃダメだよ」と知識マウントをとっていた。
しかし、釈迦に説法でユキは重々承知だった。
兎山悟がいろはに恋心を抱いていると把握はしているが、まゆとは違ってその件に関心は薄い。
彼の恋愛事情にも極力深入りせず静観しているが、必要最低限のフォローはしている。
性格
クールでマイペースだが、合理的思考の持ち主。
自身の行動に他人の評価を求めることなく、ただ目的に向かって突き進む。
人見知りで引っ込み思案なまゆとは対照的に、常に悠然としており、多少の騒ぎにも動じない。
まゆに呆れる表情を見せる、猫パンチでツッコミを入れるなど、いかにも猫らしい上から目線の振る舞いをする。
しかし、まゆの社交性の不足を心配する仕草も見せ、まゆが他人と積極的に交流するよう促す場面も存在する。(身に危険が及ぶ非常事態でない場合に限るが)
単独行動がメインのネコ科の性からか協調性に乏しい一面をもつ。しかし、まゆに付き添う際など、必要に応じて自分を抑えることもできる。
孤独な野良だった自分に温もりを教えてくれたまゆを、とても大切に思っている。
プリキュアとして戦う理由も、まゆを危険から守る、ただその一点のみに絞られる。
その姿は「不器用な妹を守る過保護な姉」というより、「子猫を守る母親猫」のイメージに近いと作中で悟に評されている。
事実、自らのテリトリー内に踏み込んだガルガルに対して容赦なく攻撃する事を厭わないのも、まゆに危険が及ぶ前に排除するためであった。
しかし、必ずしもまゆだけを優先するわけではない。
知覧友真の件では、話し合いが無駄に終わるリスクを示しながらも、後を追うよう叱咤する場面もあった。状況によっては他人の救済を優先することもあるのである。
敵のガルガルを倒していた時に、椋鳥に助けを求められた際にも、(猫屋敷家が付近にあったとはいえ)巣ごとガルガルの卵を破壊する行動には出ていない。
作中で対立していたこむぎといろはに対しても、まゆを危険に晒したと非難したものの、彼女らの考え方を完全に否定はしていない。
害がなければ、自分と異なる考えを容認する度量を持っているのである。
ただし、まゆに危険が及ぶ可能性があると判断した場合はその限りではなく、引き離しなどの安全策を講じるようになる。
だが、その対応が裏目に出てしまうこともある。
第18話では、こむぎといろはと手を切るよう、まゆに忠言した結果、彼女を激昂させてしまった。
容姿
本来の猫としての容姿はユキ(プリキュア)を参照。
人間体の容姿は淡い金髪のブロンドヘアに青い瞳を持った優雅な美少女。身長はまゆと同じくらい。
作中でも容姿端麗の扱いであり、転校初日はその容姿に男女問わず殆どのクラスメイトが見惚れていた。
主要キャラ中では最も大人びた印象を受ける。(ただ、こむぎ同様、猫としての実年齢と人間の外見年齢は一致していない)
服装
服装は青い長袖ワンピースに膝までの白いレギンス、青い宝玉が付いたネックレスを付けている。
靴は青いパンプスを素足履きしており、キュアリリアンが履いているパンプスと同形状の色違い。
また、髪を青いリボンが付いたヘアアクセサリーでハーフアップに結んでいる。
そのデザインは雪の結晶があしらわれたもので、猫の姿の時に首に付けているアクセサリーと似たデザインである。
体育の授業ではまゆと同じくターコイズのシュシュで髪を(向かって)右側にサイドテールで纏めている。
制服についてはこむぎと同じくキュロットパンツを着用する。
映画
白の七分丈のコートの下に白のブラウスと水色のブラウス、首に水色のリボンを巻き、白のクルーソックスと水色のヒールを履いている。
こむぎ同様、劇中では人間態の出番が少ないため、この服装が拝めるシーンも少ない。
スペック
第21話で判明したが、
- 登校初日の時点で非常に多彩な漢字が書ける(書ける漢字は「驚」「顔」など画数の多いものや、「濺」など漢字検定一級に出題されるものも含む)
- 杜甫の漢詩『絶句』と『春望』をスラスラ一発書き(確かに中2水準で習うものではある)
- 水彩で非常に精巧なまゆの絵を描く
- 自分の身長より高い跳び箱(12段)を、前方四回転宙返り込みの余裕で飛び越える
- 精巧で緻密な花や蝶の刺繍を縫い上げる(ユキ自身は手芸分野ではまゆには劣ると思っている)
- お手製のお弁当を作成(おにぎりや焼き魚、だし巻き卵、エビフライ、筑前煮、さらには彩りの稲荷寿司まで入っているレパートリー豊富かつ非常に綺麗なもの)
など、とてつもない代物であった。知能レベルは猫の域を完全に超え、人間としても秀抜な水準であり、その多芸っぷりは最早超人的ですらある。
家で目にするであろう手芸や料理はまだしも、難読漢字の読み書きや水彩道具の使い方など、遭遇機会の稀な知識をどのように得たのかは特段描かれてない。
しかし、ユキ曰く「人間のフリするなんて簡単よ」とのこと。
弱点
映画公式サイトのプロフィール帳の「苦手なこと」の欄には、「あるわけないじゃない」と自信満々のユキのセリフが書かれている。
しかし、実際はお風呂や歯磨きが嫌いであり、特にお風呂は入れようとすると怒って引っ掻こうとする。
どうやら水に濡れることが苦手なようで、第25話で海に行った際も中々水の中に入ろうとしなかった。
その後、まゆの呼びかけにより何とか海に入ることができるも、こむぎが水中から飛び出し脅かしてきたために驚いて砂浜に戻ってしまう。
その際は言動が猫に戻りかけており、シャーッと威嚇していた。
ツチノコのガルガルを前にしていつものクールさが嘘のように崩れ、怯えて泣きじゃくってしまった。
猫は本能的にヘビや水濡れを嫌う性質がある(トラやジャガーなど、一部ヘビを獲物の一つとし、水濡れを恐れない例外的なネコ科もいるが)ため、人間の姿になってもそれが残っていると思われる。
また、元が猫であるためか、人間の姿でも猫舌となっている。
運動神経は高いがいろはやこむぎの全力疾走には敵わず、「あれ(いろは)に追いつくのは無理!」と第36話で言っている(ネコ科では世界最速を誇るチーターですら、200~500mまでの距離が限界である)。
プロフィール帳での「(苦手なことなんて)あるわけないじゃない」という言葉は、プライドの塊であるユキが盛っている部分もあるだろう。
しかし、猫の本能による恐怖感情を除けば、「学習・訓練で習得可能なスキル」については何でも身につけられる、という彼女の自信のあらわれなのかもしれない。
まゆとの過去と出会い
第10話では、ユキの野良猫時代とまゆとの出会いが詳しく描かれている。
ユキは野良の子猫として、山間の古民家の軒下に住み着いていた。見た目も煤で汚れており、白猫だと分からないほどだった。
こむぎ同様に過去に何かあったらしく、人間にそのものに心を閉ざし、非常に警戒心が強くなっていた。
しかし、ある冬。小学4年生だったまゆが、カメラマンの父・貴行の仕事でその古民家に短期間滞在することになる。
そこで、ついにユキとまゆは出会ったのである。
だが、人間嫌いだったユキは、まゆに対して素っ気ない態度を取り、軒下に隠れてしまう。
しかし、まゆはそんなユキに興味を持ち、彼女につれない対応をされてもめげずに何度も足を運んだ。
何度も会ううちに、次第にユキもまゆに心を開いていき、最終的にまゆの家に引き取られることになった。
そして、まゆは彼女に「ユキ」と名付け、大切に育てるようになったのである。
なお、ユキが住み着いていた古民家は合掌造りであったため、まゆとユキが出会った場所は岐阜県白川郷か富山県五箇山である可能性が高い。
ユキが生まれた時から野良猫だったのか、誰かに捨てられたのかは不明。また、親兄弟がいるかも分かっていない。
古民家の夫婦は、見つけた時からユキは首輪をしておらず、親猫も見当たらなかったため、「誰かに捨てられたのではないか」と推測している。
なお、主要3組の中では最も長い付き合いである(悟が大福を拾ったのはユキとまゆの出会いから数カ月後であり、こむぎがいろはと出会ったのはその更に1年後)。
チーム加入を断り続けた理由について
第12話でキュアニャミーであると判明したユキ。こむぎたちは一緒にプリキュア頑張ろうとユキを誘うが、彼女はそのまま去って行ったり、「まゆに関わらないで」と誘いを断ったりしていた。
これは、こむぎといろはに対するユキの心証が良くなかったことも理由として挙げられる。
しかし、それ以上に一人で長い間野良生活を送っていたユキが大勢の中にいることに慣れていなかったことが大きい。(実際、Pretty Holicに来てからもまゆといるか1人でいることが多かったらしい)
チーム加入後
まゆがキュアリリアンとなった後も、当初はこむぎといろはに対しては素っ気なく、ガルガルを止めるのもどちらかと言うとリリアンに付き合う形ではあった。
しかし、第21話でまゆの過去と自身の彼女への想いを打ち明けたことがきっかけで、徐々にではあるが2人に対しての態度も軟化していった。
第25話では、リリアンの危機にワンダフルとフレンディの加勢を受け入れて初めて協力し合い、騒動の後に初めて2人を名前で呼ぶようになった。
そして第30話で明確にいろはとこむぎを「仲間」だと認める発言をし、初めて4人揃っての名乗りを披露した。
余談
- 何気にプリキュアシリーズでは稀有な、飼い猫のキャラクターである。
- これまで猫に関するキャラクターはプリキュアシリーズに多数登場していたが、飼い猫が登場する事は極端に少なかった。(ふたりはプリキュアSplashStarで日向咲に飼われていたコロネぐらい)
- 本編でユキが人間態をとることが明確になったのは5月26日放送の第17話である。しかし、5月10日には『キュアフレンズぬいぐるみ 猫屋敷ユキ』が人間の少女の姿で公開されたことによりネタバレが発生していた。
- 更に着せ替え人形の『プリコーデドール キュアニャミー』が発表されたことにより、ユキ=謎の少女=キュアニャミーであると玩具展開で先んじて明らかされた格好。
- もっともユキがニャミーに変身することは、ファンの間では放送前の段階から公然の秘密となっていたので、ネタバレに厳格に配慮する必要は無いと判断されたと思われる。
- 当初エンディングのクレジットはまゆとセットで第2画面冒頭に表示されていたが、正体が判明した第17話からは(過去作の一部のプリキュア同様に)単独で第1画面に移動し、いろはの下に配置された。一方でまゆは第2画面のままだったが、キュアリリアンに覚醒した第19話からは第1画面に移動し、再びユキの下になる。
演者について
担当声優の松田颯水氏はヒーリングっど♥プリキュアの沢泉とうじ、ひろがるスカイ!プリキュアのベリィベリーに続き、本作で3度目のプリキュアシリーズ出演で、今回はメインキャラクターの担当となる。
当初は放送開始前に行われたオンライン会見にてキュアニャミー役で出演する事が発表されていた。
プリキュア役抜擢を機に双子の実姉である松田利冴氏からは祝福のコメントとニャミーのイラストを添えたポストが投稿、とうじの姉の沢泉ちゆ/キュアフォンテーヌを演じた依田菜津氏からは「とうじが!!!!!プリキュアに!!!!!!!!!!おめでとうございます!!!!!!!!!!」と言う感激のポストが投稿され、颯水氏本人も大変喜んだそうである。
一瞬時が止まり、息が止まり、気づいたらめちゃくちゃ泣いていました…
バクバクする心臓の音を身体中で感じながら、頂いたオーディション結果が現実のものだと一生懸命理解しようとしていた記憶があります。 長い間、松田の中にあるプリキュアのマインドを信じて背中を押し続けてくださったマネージャーさんとついに「プリキュア」のお仕事ができる喜びと、今まで「ヒープリ」や「ひろプリ」でご一緒させて頂いてきた作り手の皆様と、胸を張ってまたご一緒できる喜びの2つがドカーーン!と押し寄せてきて。
バクバクする心臓の音を身体中で感じながら、頂いたオーディション結果が現実のも あの瞬間だけは責任や緊張を一旦手放して、全身に幸せが漲っていました。
特撮ヒーローが好きで、かわいいよりかっこいいものが好きだった幼少期に「ふたりはプリキュア」のキュアブラックに出会って衝撃を受けたことを今でも覚えています。
フリルがたくさんあしらわれていて、ハートやリボンもついていて、だけどこんなにもカッコいい!
か弱く守られる存在の女の子像が苦手だった自分に、新しい感覚をくれた作品だったんです。
「こんな風にカッコよさとかわいさを併せ持った人になりたい」と思わせてくれた20年前から、いろーーーんな形で「カッコいい×かわいい」を表現し続けてくださるところに惹かれています。
あと、なぜかハッピーなシーンでも泣けてきちゃう輝きがあるんですよね…素敵…
小さい頃プリキュアを見ていて、たくさんの素敵な思い出や気持ちを作品からいただきました。
キュアニャミーはこんなにも強く!気高く!かわいいのに! 猫ちゃんの時はお風呂を嫌がって激おこしたり、疲れて体調崩しちゃったらベッド下に隠れるだなんて…そんな…そんなん…メロメロになってしまいます!!!
初めてキャラクターの立ち絵を拝見したときに感じた凛とした可愛らしさから、ここまでの全力猫ムーブが繰り出されるとは想像できませんでした。だがそれがいい。
さすがにお風呂嫌がりまくるクールキャラは貴重ですからね…人間とは違う感性をもつユキちゃんは、きっとこれからも沢山の「そうきたか!」を魅せてくれると思います。 いっしょに楽しく見守りましょうね。
そうか…わたしたちは…1年かけてユキちゃんを眺められる見守りカメラなんだなぁ…
各話エピソード
■第1話
- 引っ越してきたこの町がアニマルタウンと呼ばれる理由を説明し、「いっぱい友達出来るといいね」と言うまゆに、一声鳴く。「わたしも頑張って、友達いっぱい作るよ!」と意気込むまゆを疑うような顔をするユキ。まゆは不服そうだったが、窓の下を通りかかった小犬連れの女の子と視線が合いそうになるや、案の定悲鳴を上げて隠れてしまった。
- 挨拶して去る女の子と小犬を、尻尾を振りつつ見送った後、ほっと安堵のため息をつくまゆに猫パンチでツッコミを入れ冷ややかな目で見下ろす。「べ、別に逃げてないからね!急にこっち見るからびっくりしただけで…」と必死で言い訳するご主人様を、呆れたように見つめるユキだった。
■第4話
- まゆより先に目を覚まし、鼻を舐めて起こすと「ユキ、おはよう。今日も可愛い、気持ちいい、最高……♡」と幸せそう。しかし、今日はまゆの母・すみれの店『Pretty Holic』の開店日なのに、「お客さん1人も来なかったらどうしよ~…」とネガティブな想像ばかりするまゆにため息をつくユキ。
- 店の外で昼寝しようとしたところ、こむぎが「おーい!ユキ!ユキ!」とやけに馴れ馴れしく話し掛けてきた。怪訝そうな眼差しを向けるユキをよそに「ねぇねぇ、こむぎの事知ってる?こむぎはユキ知ってるよ!この前いろはとお散歩してる時見たから。こむぎは犬だけど人間にもなれるんだよ。あっ、言っちゃいけないんだっけ?でも猫ちゃんだからいいよね!いいのかな?」と、彼女のおしゃべりは留まる事を知らない。
- こちらは昼寝をしたいのに、お構いなしにしゃべり続ける彼女にイラついて猫パンチをお見舞いするも、「今の猫パンチ?こむぎ、パンチ初めて!もっかい!もっかい!」と逆に喜ばせてしまう始末。彼女の興味が連れの子に移った事でようやく解放された。
- 接客が終わった後、疲れが出ながらも楽しさも感じ、「いろはちゃん、もしかして友達になってくれるかな…」とまゆは呟くが、過去を思い出して「わたしにはユキがいるし…」と、諦めたかのような表情になってしまう。こんな状態が良いわけがないのに…。ユキも心配そうだった。
- 夕方、そのいろはが再び現われ、「まゆちゃん、ユキちゃん、アニマルタウンへようこそ!これからよろしくねって事で!」とお散歩バッグをプレゼントしてくれた。思いもよらぬ贈り物に、まゆは胸をときめかせる。そんなご主人様をユキもうれしそうに見つめていた。
■第5話
- いろはから贈られたお揃いのお散歩バッグに、まゆは大はしゃぎ。お返しをしなければと突然思い立った彼女を見守るユキだったが、ああでもない、こうでもないと思案を巡らせた末、行き詰まったまゆに「助けてぇ~!」と泣き付かれ喉を鳴らす。
- ひとしきり吸って何か閃いたのか、机に向かいペンを手に何かを描き起こし始めたご主人様を見ながら、ベッドに跳び移ったユキは一寝入り。
■第6話
- まゆの部屋、キャットタワーの最上段に置かれたクッションの上でお昼寝から目覚めたユキ。あくびした後に下を見れば、そこには一心不乱に何かを作るまゆの姿が。極度に集中した彼女の耳には、ノック音も母の呼び声も届かない。机の上に降り立つことでまゆの集中を途切れさせ、すみれママのフォローに努めるユキ。
- 仕事でアフリカ・タンザニアにいる父・貴行とのリモート会話に心弾ませるまゆ。しかし自らの学校の話になるや否や、段々と声のトーンが落ちてゆく。母に「友達ができた」と水を向けられても「まだ友達ってわけじゃ…」と言葉を濁す。新学期を来週に控えて猶、友達作りに消極的なご主人様を見て嘆息するユキだった。
- アニマルタウン全域を震撼させるライオンガルガルの咆吼に、何かとてつもない事がこの街で起こっているのを感じ取る。
■第7話
- 完成した“お礼の品”…こむぎの洋服ハーネスを、早速いろはに渡しに行けと母に勧められたまゆ。「一緒に行かない?」と誘ってみても、ユキはお昼寝台の上から猫らしからぬ器用さで尻尾で方向を指し示すばかり。
- 10歩も進まない内から振り返っても、ユキが付いて来る気配はなし。諦めてトボトボとフレンドリィ動物病院&サロンへと向かうご主人様の足音が遠ざかるのを聞きながら、ユキは励ますような視線を送る。
■第8話
- 新学期、今日が転入初日のまゆは部屋の中を行ったり来たりしながら自己紹介のリハーサル。しかしネガティブな想像ばかり浮かんで緊張が増す一方。そんなご主人様を余所にユキはまだ寝ており、悠々と目覚めて毛繕いしていたところで、救いを求めるようなまゆと視線が合う。あからさまにアブナイ目つきと手つきに身の危険を感じ、逃走を図るも敢え無く捕まり、必死の抵抗も虚しく思いっきり頬ずりされて匂いを吸われてしまう。いつにも増して激しくもみくちゃにされたユキは不服そうな面持ちだったが、元気の出たまゆは張り切って学校へ。
- その間、改めて『Pretty Holic』の前で昼寝していると、先日いろはと共に店に来たこむぎがダッシュして来て迫り、「ねぇねぇ遊ぼ!追いかけっこ楽しいワン!」としつこく絡んできた。昼寝の邪魔をされて機嫌を損ね背を向けたユキに、猛然と飛びかかり、じゃれ付いてくる子犬。やっとの思いで振りほどき「シャー!」と威嚇するが、子犬は面白がって「ワオーン!」「シャー!」「ワオーン!」「シャー!」とエンドレスの威嚇合戦に。
- 遠くで嫌な気配を感じ、警戒の唸り声をあげると、子犬もそれに気付き、何と人間に変身する。「またね、ユキ!」と走り去る彼女を、ユキは唖然となって見送った。
- 夕方、ユキの迷惑顔も顧みず、匂いを吸いながら「自己紹介うまくできなかったの~」とこぼすまゆだったが、いろはが助けてくれたのと、動物達と触れ合えたおかげで、朝の不安とは裏腹に楽しい転入初日を過ごせていた。
- 「学校、楽しかった」まゆの口からその一言が聞けたユキは彼女の手をすり抜けると、締め切ったカーテンの陰に隠れる。「かくれんぼ?」とまゆがカーテンを開けると、美しい夕陽が沈みゆくところだった。「学校…明日も楽しみだよ」と笑顔で呟くご主人様に、一声鳴いて応えるユキだった。
■第10話
- 母のすみれから「『Pretty Holic』に出す新商品のアイデアを考えて」と頼まれたまゆは気分が高揚し、「どうしよう、ユキ…お店の新アイテム、わたしがデザインしていいんだって~!」とユキ目がけてダイブしてきたので、するりとかわすが、まゆはベッドに顔を埋めた姿勢のまま動かなくなる。『大丈夫?』と近づくと、すかさず抱き締められ、「エヘヘヘ~…どうしよう~、どうしよう~…」とニヤニヤが止まらないまゆ。一方のユキはげんなり顔。
- まゆはたくさんデザインを描いたものの、全部商品化する訳にはいかず、どれか一つを選ぼうと悩む。困った時のユキ頼りで、「ユキ~、ユキはどれがいいと思う?」と問い掛けるが、素っ気なく逃げてしまった。それでも「だよね~…でもそんなつれないところも可愛い♡」と、まゆはユキにデレデレ。
- そんなまゆとユキの出会いは、まゆが小学4年生の冬休みだった。父・貴行の撮影の仕事で、一緒に山間の村へ旅行に来ていたまゆは、無人の古民家の床下に棲みついていたユキを見つけた。ユキは泥だらけの薄汚れた有り様だったが、降る雪を見上げるその姿が綺麗に見えたまゆは思わず目を奪われる。しかし人間嫌いだった当時のユキは、まゆの視線に気づいても無関心で床下に引っ込んでしまった。
- 翌日もまゆはユキの様子を窺いに来て、ユキの声を「とっても綺麗な声ね」と褒めた。だからと言ってユキの態度が変わる事はなく、まゆが近づこうとしても不審げな顔をするだけで、「あっ、大丈夫。わたし触らないよ!」と彼女が言っても、全く無視して横をすり抜け、床下に潜ってゆく。それでもまゆはめげる事無く、毎日ユキの様子を見に行き、話し掛けるようになった。
- また雪が降った日、手袋に乗った大粒の雪を見て、「わぁ…見て~、わたしこんな大きな雪初めて。レースみたいで綺麗だね」とまゆは声を弾ませる。それを聞いたユキが、初めて反応して床下から姿を現した。まゆの外した手袋の上に降ってきた雪の一粒が、溶けずに結晶の形を保っていた。空から降る雪が、こんな形をしていたとは知らなかったし、同時に目の前の女の子が自分に対して害意など無く、友達になりたがっているだけという事がわかった。ユキの中で、人間への不信感が少し薄らいだ。
- さらに翌日、まゆはいつもかぶっていた帽子を脱ぐと「これ猫ちゃんにあげるね。寒いでしょ?ママが編んでくれた帽子でね、とっても温かいんだよ!あとね、模様がすっごく可愛いの。ほら、春のお花畑みたいでしょ。お外は寒いけど、心はちょっと温かくなるの」と、ユキにプレゼントした。その時は素直に受け取らず放置したが、次の日は吹雪になった。寒さに震える中、ふと帽子の事を思い出し、雪に埋もれかけていた帽子を引きずって床下に持ち帰った。
- 吹雪が止んだ後、様子を見に来たまゆは「よかった、元気だった?」と安堵するが、次に彼女の口から出たのは、「今日はね、お別れに来たんだ」という言葉だった。父の仕事が終わったので帰らなくてはいけないと説明するのを最後まで聞かず、ユキは素っ気なく床下に引き上げる。まゆが名残惜しげに去った後、ユキはもらった帽子にくるまっていた。彼女の匂いがする帽子はとても温かい。でも所詮は人間。あの子もどうせ自分を置いて去ってしまうのだ…。ユキの顔は淋しげだった。
- 貴行と共に宿泊先の村人に礼を言い、まゆが車に乗ろうとした時、ユキが帽子を咥えて現れた。「お別れに来てくれたの?」「ニャア…」「わたしを呼びに来たの?」「ニャア…」言葉が通じなくても、お互いに別れ難い気持ちが伝わってくる。その光景を見た村人の夫婦は驚いていた。あの猫はてっきり人間嫌いだと思っていたのに、ここまで懐くとは…。
- 「ごめんね、うれしいけど無理なの」まゆは懸命にこらえて背を向けた。貴行に「野良猫に無闇に触ってはいけない」と釘を刺されていたし、一時の感情でペットを安易にて飼うべきではない事もわかっている。だけど…。「わたしだって…わたしだって一緒にいたいよ!触れなくても、ツンってされても…一緒にいられたの、楽しかったの、うれしかったの!あのままずっと一緒に…一緒にいてくれるだけで…」まゆは溢れる涙を抑えられない。ユキも気持ちは同じだった。まゆの方へと歩み寄りながら、一際はっきりした声で「ニャア」と鳴いた。
- 「生き物を飼うっていうのは簡単じゃない」と心配する両親を説き伏せたまゆは、ユキを洗って綺麗にした。本来の純白の毛並に戻ったユキを見て、「すごい…猫ちゃん本当は綺麗な雪色だったんだ…。そうだ、あなたは今日から『ユキ』!雪の日に出会った雪色の『ユキ』!どうかな?」とまゆは命名し、手作りのチャームもつけてあげた。ユキもすっかり懐き、まゆに甘えて喉を鳴らす。こうしてユキは晴れてまゆと暮らす事になったのだった。
- いろはと悟にその一部始終を話し終えたまゆは、新商品のアイデアが閃いて急ぎ帰宅。昼寝していたユキに「待っててね、ユキ」と一声かけてから、新たなデザインを描き始める。しばらくその様子を眺めていたが、外が騒がしいので窓を見ると、黒い毛むくじゃらの怪物と、2人の少女が乱闘を繰り広げていた。戦闘が終わるまで見届けていたところ、全く気付かずに集中して描いていたまゆが「出来た!」と声を上げた。
- 「見て、ユキ!どう?」とノートを見せられたユキは嬉しそうな鳴き声を上げる。まゆがデザインしたのはユキをイメージした猫型のチャームで、後日商品化されて『Pretty Holic』の店頭に並んだ時はお客様に大好評。「だって、ユキの笑顔を一番見たかったんだもの」と抱き上げるまゆと、その願い通り満面の笑顔で応えるユキ。あの雪の日の出会いが、まゆとユキに幸せをもたらしたのだ。
■第11話
- いろは達が見晴山の謎の巨大生物を調べに行くと聞いたまゆは、最初は「いいなぁ、わたしも見てみたいなぁ」と羨ましがっていたものの、「凶暴だったらどうしよう…いろはちゃん達大丈夫かなあ!!?」と、自分が行くわけでもないのに、ネガティブモードで不吉な想像に囚われてしまう。ユキに一喝するかの如く一鳴きされた事で我に返ったまゆは、「考え過ぎかなぁ…」と呟き、ユキもこくこく肯いた。それでも不安は収まらないらしく、ため息交じりに買い物に出かけるまゆの背中を、ユキはあたたかい表情で見送った。
- その買い物帰り、いろはのことが心配で見晴山の方向を見つめていたまゆは、突然見知らぬ美少女から「山には行かないで」と警告を受ける。帰宅してユキにそれを話し、「全然知らない子なのに、わたしの事知ってるみたいで…本当に誰なんだろう?」と悩むまゆに、一瞬意味ありげな視線を送りながらも、ユキは知らん顔で毛繕いをしていた。
■第12話
- 裁縫に熱中していたまゆが、ふと気づくとユキがどこにもいない。だが焦って探すと部屋の中に戻っており、「今までどこにいたの?」と甘えて匂いを吸ってくるまゆに、ユキは知らん顔でされるがままにさせていた。しかしその夜、まゆが目覚めると傍らで寝ているはずのユキはまたも姿を消し、どこかの森の中を歩いていた。さらに満月目がけて跳ぶ謎のプリキュアが……。
- そんな事が繰り返され、ユキが本当にいなくなってしまうのではと、まゆは不安で落ち込む。見かねたいろはが、ユキがどこへ行っているか調べようと猫屋敷家を訪れるが、当のユキはいろはやこむぎに対して露骨に嫌な表情を見せていた。いろはが持参したフクロウ型監視カメラにも唸り声を上げる等、すっかりご機嫌斜め。
- あれこれ気を遣ってくれる上に、自分を『友達』と呼んでくれたいろはに対し、まゆはすっかり有頂天。そんな光景すらユキには気に入らないらしく、仏頂面でしばらく眺めていたものの、いろはが恐る恐る声を掛けると、無視して走り去る。だが窓の所で立ち止まると、何か不吉な事を感じ取ったかのように、日が沈もうとする外の景色を見つめていた。
- 「カメラが1台では足りないから家から取ってくる」と飛び出したいろはの後を追ったまゆは、フクロウのような漆黒の怪物に襲われたところを、例の謎のプリキュアに助けられた。彼女はキュアワンダフルとキュアフレンディに「わたしの名前は…キュアニャミー」と名乗る。その頃ユキは、やはり部屋から姿を消していた。監視カメラが転がり、窓の隙間から吹き込む夜風が、無人の部屋のカーテンを揺らすだけ……。
■第13話
- まゆは食事中のユキに、自分を助けてくれた謎の美少女について熱心に語る。「ユキと同じですごく綺麗な白い子なの。不思議な雰囲気の子でね、知らない人って気がしなかった」ユキが話半分で聞いていても構わずに語り続けるまゆは、その名前すら知らない少女に心惹かれていた。
- 『Pretty Holic』を訪れたいろは達がすみれと何か話しているのを店の外から覗いていると、こむぎが「やっぱりユキだ!」と話し掛けてきた。「あれ?ユキ、君…」と匂いを嗅いできたかと思えば、「すっごい美味しそうな匂い!何食べたの?こむぎ、お腹空いちゃった!」と突拍子もない事を言い出し、ユキは呆れ顔。
- 再び謎の美少女に助けられたまゆは、彼女の名前がキュアニャミーだと知った。それをユキに報告しつつ、「また会えるといいな…」と彼女への憧れを募らせるまゆ。そんなご主人様を見て何を思うのか、ユキは「ニャン…」と一声鳴いただけだった。
■第14話
- ユキが体調を崩し、まゆは血相を変えて『フレンドリィ動物病院&サロン』へ。診察の結果、幸い疲れが溜まっていただけと聞き安心するまゆ。なぜユキがそんなに疲労してるのかの原因についてまゆは思案を巡らす余裕はなかったようで、逆にユキは一安心な様子。
- とりあえず今晩はいろはの家でユキを預かり、点滴を打って安静に体力の回復をはかることになった。いろははまゆに「ユキちゃんと一緒に泊まっていかない?」と提案する。友達の家に泊まるなど初めてのまゆはパニックになりかけるが、彼女のスカートをつついたユキの励ますかのような様子に勇気づけられ、お泊りを決意する。
- 食事ができるまで快復したユキだが、こむぎが話し掛けても知らん顔。早々にキャリーケースの中に引っ込んで寝てしまったと思いきや、こむぎがまゆに甘えて抱っこしてもらう様子を面白くなさそうな顔で眺めていた。
- 翌朝の夜明け前、「ガルルッル~!」というニワトリのようなけたたましい鳴き声がアニマルタウン中に響く。その声でまゆが目を覚ますと、いろはとこむぎが出かけようとしており、言い訳しようとあたふたしているいろはに、痺れを切らしたこむぎが「早くガルガルのとこ行くワン!」と人語で口走ってしまう。驚くまゆ。慌てたいろははプリキュアの事まで口を滑らせてしまい、ユキはいろは達に、某公安を思わせる怒りの表情を見せていた。
- 「帰ったら全部話すから、今はわたしを信じて」と言い残していろはは出て行った。まゆも居ても立ってもいられず、引き留めるような鳴き声を上げるユキに、「待っててね、すぐ戻るから」と言い聞かせていろはの後を追った。キャリーケースは内側からは開けられず、ユキは鳴き続ける事しかできなかった。
- 結局、こむぎが人間になれる事、二人はプリキュアである事、ガルガルを助けようとしている事などを悟から全て打ち明けられたまゆは、晴れて仲間になった。心配でキャリーケースの中をぐるぐる歩き回っていたユキは、無事に帰ってきたまゆに安堵のため息をつく。しかし今日はキュアニャミーが姿を現さなかった事を不思議がるこむぎといろはの会話にまゆが事も無げに加わる様子を見ると目付きが一変し、こむぎといろはを睨みつけている事には誰も気付かなかった。
■第15話
- すみれが開店の準備をしていると、さっきまで『Pretty Holic』の店外カフェテラスで話し込んでいたまゆやいろは達の姿がない。「あら?みんな出かけちゃったのかしら?」と怪訝そうな彼女の傍らで、ユキは無人のテーブルを睨みつけていた。
- 実はその直前、まゆ達がテーブルの上の奇妙な四角い物体の中に吸い込まれ、その四角い物体も小さく縮んで消え失せるのをユキは目撃していたのだ。「フフッ、まゆにも仲のいい友達ができてうれしいわ」と、すみれは呑気に喜んでいたが、ユキにとっていろはやこむぎは、友達というよりまゆを危険に巻き込む疫病神に近い。しかしどうする事もできないユキは「ニャー…」と心配そうな鳴き声を上げるのみだった。
- 街中でのガルガルの孵化を察知、一声鳴き何処かへ歩き出す。
- ガルガルを追跡するプリキュア達を「頑張って!」と祈りながら見守るまゆ。その姿を、背後のクレーンの上からキュアニャミーが見つめていた。「関わっては駄目と言ったのに…」と険しい表情で呟く彼女は何を思うのか…。
■第16話
- いろはとこむぎに話を聞いてもらえなかったムクドリが『Pretty Holic』店先の定位置で昼寝しているユキに目を付けた。小鳥の必死の訴えに興味を示したのか、ユキは飛んでゆくムクドリの後をトコトコとついていった。
- ムクドリに先導され現場に到着したのは、なぜかユキではなく謎の美少女。彼女は林の中の樹上に禍々しい模様の大きな卵を見つけた。卵はムクドリの巣を占拠するかのように鎮座しており、巣の中では二羽の雛鳥が鳴いている。ムクドリはこの卵を自力でどうする事もできず、あちこちに助けを求めていたのだ。そして美少女の目の前で卵は孵化し、インコ型のガルガルが誕生した。
- 美少女が背後の猫屋敷家にちらりと視線を送りつつ「此処を去りなさい!去らなければ…!」と腰のポーチに手をかけ警告するや、ガルガルは怖じ気づいて飛び去った。脅威を除いてくれたことを感謝するムクドリに、美少女は言う。「お礼なんて必要無い。わたしはただ、わたしの守りたいものを守っただけ。後は、あの子達が…」
- 夜。悩み事は無事解決したといういろはからの電話に安堵するまゆ。「わたしも、いろはちゃんみたいになれたらな…」と、月を見上げながらこぼすまゆを見ながら表情を曇らせるユキ。二人の思いを知ってか知らずか、月明かりの下で鏡石は燐光を発していた。
■第17話
- いろはから、動物の赤ちゃんを観察する『赤ちゃんツアー』に誘われウキウキのまゆを、すみれが「ユキはまゆの赤ちゃんというより…お姉さんよね!」とからかうのを聞き、「ニャーン!」とドヤ顔で鳴き声を上げる。
- こっそりと家を脱け出し、まゆを密かに物陰から見守る。「ユキが赤ちゃんの頃に出会えていたら、寒い思いも淋しい思いもさせずに済んだのに」と言うまゆの言葉を近くの樹上から嬉しそうに聞いていたが、ガルガルが出現。トラのガルガルの強大なパワーで地面に亀裂が走り、道路を横断していたカルガモの雛の1羽がその中に落ちそうになった時、まゆが手を伸ばしてそれを救う。しかし気付いたガルガルがまゆ目がけて襲い掛かってきた。
- その時、ユキが飛び込んできた。鋭い声を上げてガルガルを怯ませたユキは、「しょうがない子ね…言った筈よ、これ以上関わっては駄目だって」と人語を発したか思うと、驚くまゆの目の前で人間に変わってゆく。その姿は…あの美少女。謎の美少女=キュアニャミーの正体はユキだったのだ。
- この事実に驚きながらも、またユキに迷惑をかける事になってしまったまゆは「ごめんね、ユキ…わたし…」と詫びるが、ユキは振り向きつつ、「謝らないで。あなたはそのままで良いの。困っている子を放っておけない優しいまゆのままで」と微笑む。
- ガルガルの方へと向き直り、一転してまゆを守るために戦士の顔になった彼女はシャイニーキャッツパクトを取り出し、キュアニャミーに変身した。「気高く可愛くきらめく世界、キュアニャミー!仕方ない、構ってあげる」
- 目の前の少女が強敵と本能で悟り、恐れをなしたガルガルは前脚を振り下ろすが、ニャミーは片足だけで軽くいなし、追撃もひらりひらりと躱しつつ、まゆから遠ざかるようにガルガルを誘導してゆく。そして離れた竹林の中でガルガルを圧倒しながらも、ニャミーはまゆに思いを馳せていた。「まゆ、わたしはずっと一人で平気だと思ってたの。でもあなたに出会って気付いてしまった。わたし、寒かったんだって。ほんとはずっと淋しかったんだって。後悔なんてしないで、まゆ。あの時、あの場所で出会ったから…わたし達、友達になれたのよ…」
- ガルガルの渾身の攻撃もバリアで跳ね返したところへ、まゆやワンダフル達が駆け付けてきた。ニャミーはまゆを抱きかかえて「後は任せるわ」と言い残し、とどめを刺す事無くその場を去った。ガルガルを浄化して戻ってきたいろは達にまゆが謝ろうとすると、ユキは「どうしてまゆが謝るの?」と怒りの表情でその言葉を遮った。しかしユキの怒りの矛先が向いたのは、まゆではなかった。
- 「一緒にプリキュアしよ!」と言うこむぎに、「一緒?何故?わたしはまゆを守りたいだけ。なのに貴方達は、まゆを危険な事に巻き込もうとしている!」とユキの怒り爆発!プリキュアの誘いをお断り。まゆをプリキュアの活動に協力させ、危険に晒しているいろはやこむぎこそが、本当の敵だとばかりに。そしてユキは冷たく言い放つ。「これ以上、まゆに関わらないで…!!」
■第18話
- まゆの手を引っ張り、いろは達に背を向けて立ち去るユキ。まゆは困惑するが、ユキと会話できるという事実に改めて感激、ユキも相好を崩す。が、猫の時のユキの匂いを吸いまくっていた事を思い出し、気恥ずかしくなり、悲鳴を上げて逃げ出すのであった。
- 帰宅後まゆに、どうして人間やプリキュアになれるようになったのか尋ねられて経緯を語り出した。ある夜、ガルガルが『Pretty Holic』の近くに出没し(第11話のクマのガルガル)、ユキが対峙した時、まゆがくれた首のチャームが光り、シャイニーキャッツパクトが出現。キュアニャミーになれたのだという。「まゆがくれたこのチャームがわたしに力をくれたんだと思う」とユキは考えていた。
- いろは達と一緒にプリキュアをやらないのかと問われるが、「わたしはまゆを守りたいだけ。あの子達と手を組むつもりは無い」とお断り。ユキの態度は変わらない。ガルガルは気の毒な被害者であり、いろは達はそれを助けているのだからと続けて説得するまゆの言葉にも、「それはわたしとまゆには関係無い事。まゆ、ガルガルをどう思った?襲われて危ない目に遭って、凄く怖い思いをした。そうでしょう?あの子達と関われば、また怖い目に遭う。だから必要以上に関わらないようにね」と逆に釘を刺す。納得していない表情のまゆに、「まゆ、いいわね?」と念を押したが、曖昧にうなずくまゆの顔は曇ったままだった。
- やはり心配で学校についていき、物陰から密かにまゆを見守っていると、案の定ガルガルが出現。まゆが首を突っ込む前に、人間態になって現れ、強引に連れ帰った。翌日いろは達からそのガルガルを取り逃がした事を聞き、何か手助けしたい、自分にも何か奇跡が起きればとコンパクトを開閉しつつため息をつくまゆ。ユキはそれを横目で眺めていた時、ガルガルの気配を感じるも距離は遠く、まゆを刺激しないために静観を決め込んだ。
- だがハムスターのガルガルは地中を掘り進み、どんどん『Pretty Holic』の方へ近づいて来る。関わりたくはないが、まゆに降りかかる火の粉は払わねばならない。ユキは立ち上がると、「ガルガルが近づいてきてる」とまゆに告げ、いろは達に連絡しなくてはとのまゆの言葉を撥ね付けて、「その必要はないわ。仲間なんて要らない、わたしだけで十分。家から絶対に出ちゃ駄目。いいわね?」と念を押して、ガルガルを迎え撃つべく飛び出した。
- 市街地にはまだガルガルの姿は見えなかったが、ニャミーは鋭い聴覚で正確な位置を把握し、地上に顔を出した瞬間にバリアで先制攻撃。「ここから先へは行かせない!貴方が何故そんな姿になったのか、何の為にこの町に現れるのか、何も知らない。でも、まゆを傷つけるかも知れない。理由はそれで十分…まゆはわたしが守る!」襲い来るガルガルに、ニャミーは強烈な蹴りを叩き込む。「無駄よ、猫のわたしにあなたは勝てない」額の宝石が罅割れてダウンしたガルガルに、「これで終わり…!」とニャミーはとどめの手刀を振りかざした。
- そこへ駆け付けたワンダフルとフレンディに制止され、「どいて」「やだ!どかない!」と押し問答をしている内にガルガルは地中に潜って逃走。まゆから危険が遠ざかったのであれば追跡する必要もなく、ニャミーはまたしてもワンダフル達の前から風のように去り、帰ろうとする。そこで、自分を捜し回るまゆの姿を見かけた。
- ユキの身を案じて駆け寄るまゆを、「どうして家を出たの?出ないようにって言ったでしょ」と叱るユキ。「だって…」「それに、犬飼いろは 犬飼こむぎ これ以上あの子達と関わっては駄目」「どうして…?」「貴女の為に言ってるの。あの子達は貴女を危険な目に遭わせて、平然と笑ってる」「そんな事…!」「あの子達と居たらまた怖い目に遭う。もう話しかけられても相手にしては駄目。いいわね?」反論の隙も与えず、ユキはまゆに厳しく言い渡した。
- だが流石のまゆも、そこまで一方的に言われては黙っていられなかった。「よくない!!!勝手に決めないで!!!」まゆの思わぬ反抗に驚き、心が揺れ動くユキ。まゆもユキ相手に怒鳴った自身に戸惑い、口を押える。そこへ逃げたガルガルの行方を追っていたいろはとこむぎが通りかかり、二人に合わせる顔がないまゆはその場から駆け出した。ユキも動揺したまま、まゆの後を追いかけて行く…。ユキは知らない。まゆ自身にも、「逃れられぬ運命」が待っている事を…。矢が放たれたカウントダウンはもう止める事は出来なかった…。
■第19話
- 夜中にまゆがふと目を覚ますと、横で寝ているはずのユキの姿がない。そのユキは『Pretty Holic』の屋根の上に登り、まゆの怒りの叫びを思い起こしつつ、密かに覚悟を決めていた。「迷いは無い。譬え嫌われたとしても…まゆ、あなたを守る為なら…」嫌われても、傍に居られなくても、まゆを守るのが自分の務めなのだと…。
- 街路樹の上で昼寝していると、いろは・こむぎ・悟が通りかかる。こむぎが挨拶をしてもそっぽを向くユキだったが、その視線の動きを見たいろはが「ここからまゆちゃんを守ってるんだね」と彼女の真意を見抜く。その街路樹は『Pretty Holic』がすぐ見える場所にあり、ユキは変わらずまゆを見守り続けていたのだった。
- 「猫屋敷さんの傍に行かないの?」悟に尋ねられても、「貴方達には関係無い」と素っ気ないユキ。まゆと喧嘩したのではと問ういろはに、「わたしはまゆを守るだけ。まゆに嫌われても構わない」と冷たく返し、「嘘ワン!ユキはまゆが大好きなんでしょ?」と突っかかるこむぎにもそっぽを向いたまま。その時ガルガルが出現し。いろはは去り際に「ユキちゃん、一つだけ。まゆちゃんとお話ししなよ。あなたの気持ち、あなたの声、伝えてあげて」そう忠告を残していった。
- 参戦するつもりはなかったが、ガルガルが近づいてくるのを感じ、キュアニャミーに変身。公園へ行くと、暴れもせずにじっとしたままのガルガルを発見した。「まさか…わたしを待っていたの?」ニャミーの呟きに、ガルガルは口元を歪めて不気味に笑う。「懲りない子ね、あなたに勝ち目は無いのに…でもあなたがその気なら仕方ない…構ってあげる」そう言いながら、『あなたもこうなるのよ』と言わんばかりに足元の枯枝を踏み砕き、至上手段も辞さぬ戦闘態勢に入った。
- そこへワンダフルとフレンディが駆けつけて「待った」をかけるが、「貴方達が確り止めないからじゃない」とニャミーは戦う姿勢を崩さない。ところがガルガルが額の宝石から放った光線を浴びた三人の体は小人サイズにまで縮んでしまった。実は先の戦いでニャミーに痛めつけられて、巣穴の中で震えあがっていたガルガルは、謎の声の主に煽られて憎しみと怒りを増幅させ、自分自身だけではなく他者を縮小できる能力を与えられ、ニャミーに復讐しようとしていたのだった。
- ワンダフルとフレンディは遠くへ弾き飛ばされ、孤軍奮闘するも小さなサイズではまるでダメージを与えられない。物陰に隠れて打開策を考えていると、自分を捜すまゆの声が聞こえた。「させない!!」無理を承知で再度挑むも、ドングリ弾を食らって地面に落下、気を失ってしまった。遅れて駆けつけたまゆは失神した彼女を拾い上げて逃げ出す。
- 目を覚まし、自分の事よりも「まゆ、どうして来たの!?」とまたも危険に首を突っ込んだまゆを叱るが、「ユキに会いたかったから…」という彼女の言葉にはっとなった。「ユキ、いつも傍に居てくれたよね…わたしが怖がってる時も、心細い時も…いつも一緒にいて『大丈夫だよ』って励ましてくれたでしょ…言葉が通じなくても伝わってたよ…ありがとう、いつも助けてくれて」それはニャミーも同じだった。あの山村でまゆと出会って、話し掛けてもらって、人の温もりを知った。自分だってまゆに救われたのだ。ニャミーは瞳も潤ませながら答える。「それはわたしの方…まゆが居てくれたから…まゆがいなかったらわたしは…」
- そこでガルガルに見つかったまゆは再度逃げるが、工事現場の行き止まりで追い詰められる。「まゆ!あいつの狙いはわたし!わたしを置いて逃げて!!」まゆは恐怖で真っ青なのに、ニャミーが必死に訴えても頑なに逃げようとしない。「まゆ!お願い!あなたに何かあったら耐えられない!!」しかしそのニャミーの思いもまた、まゆと同じものだった。まゆは恐怖に耐えながら叫ぶ。「わたしもだよ!!ユキがいなくなるなんて考えられない!これからもずっと一緒にいたいから…。だから…あなたはわたしが守る!!!」
- その時、まばゆい光と共にまゆの前にシャイニーキャッツパクトが現われた。呆然となるユキが引き留める声を出す前に、まゆはキュアリリアンに変身する。ガルガルを傷つける事無く浄化したリリアンの姿に、ニャミーは言葉もなく立ち尽くす。もうまゆは守られるべき弱い存在ではない。『まゆを守る』という役目も必要が無くなった。だったら自分の存在意義も最早…。
- 「ユキ…」声をかけるまゆから、思わず視線を逸らすユキ。傍らではいろはとこむぎが『気持ちを伝えないと!』とばかりに懸命にジェスチャーで応援している。ようやくユキは本当の思いを口にする。「わたし…わたし…まゆの傍にいたい!ずっと…一緒にいたい…!!」まゆを守る、傷つけさせないという義務感より、一緒にいたい、それが一番大切な自分の思い。「一緒にいよ、ずっと…。」ユキを抱擁するまゆを、ユキも涙を流しながら愛おしげに抱き締めた。そして猫の姿に戻り、まゆの腕の中で嬉しそうに微笑む。心は同じ。すれ違いを乗り越えて、二人の絆は一層固く結ばれたのだった。
■第20話
- まゆがプリキュアになった事を報告する為に、いろは達からニコガーデンへ行こうと誘われるが、ユキは「わたしは行かないから。どうしてわたしが行かなきゃならないの?用があるなら向こうが来なさいよ」と、相変わらず素っ気なくその誘いを断る。しかしまゆに懇願され、『本当に困った子ね』と言わんばかりの澄まし顔で、「ハァ…仕方ないニャ」と承諾。
- メエメエに紹介されるも「協力はしないって言ってるでしょ。知らない動物なんて関係無い。わたしはまゆを守るだけ。それは変わらないわ」と、にべもなく言い捨てる。まゆがプリキュアになったとて、ユキはやはり彼女を守るという使命感を抱え続けているのだった。ユキはその場を後にするが、ニコアニマル達の楽しそうな光景を見て、「来るんじゃなかったニャ」と呟いた。
- しばらく徘徊し、「そろそろ諦めた頃かしら」と思っていると、物陰で一人淋しげにうずくまっているキラリンコジカの姿が目に入る。構う事無くそのまま通り過ぎようとしたが、キラリンコジカの方が「あーっ!知らない猫さんキラ!」と声をかけてきた。更にユキがキュアニャミーだと見抜き、皆を助けてくれたことの礼を言う。それと共に、ガルガルだった時は心が黒く染められ、自分が自分では無くなってしまっていた事を打ち明ける。
- 「あの時は本当に一人で苦しかったキラ」キラリンコジカの言葉に、「今も…一人なの?」と尋ねた時、「キラリンコジカ 見ーつけたキラ!」と、キラリンウサギらが現われた。キラリンコジカはかくれんぼをしていただけであり、「心配して損したニャ」と愚痴を溢すも、キラリンベアーにもキュアニャミーだとバレて、結局歓迎パーティーの場に連行される。
- 祝盃が上がる中、反りの合わないユキは「何でこんな事に…」と愚痴るくらい不愉快に。しかしまゆがキラリンアニマル達相手に流暢に会話しており、「まゆ、何時に無くリラックスしてる。こんな慣れない場なのに…」と疑問を呈すると、「今日はユキが一緒だから」と彼女は微笑んだ。
- そこへキラリンコジカが手作りのせんべいを勧めてきた。味をまゆから絶賛され、喜んだキラリンコジカがユキも食べてくれないかと目を輝かせるので、ユキも一口頂き「悪くないわ」と彼女としては最大限の賛辞を贈り、場を和ませた。ガルガルだった時にニャミーに手傷を負わされたキラリンベアーも「あのニャンコも悪い奴じゃないのかもしれないキラ」とその光景を眺めていた。
- 自宅に戻って、いろは達を見送った後、まゆは「やっぱりいろはちゃん達と一緒にやらない?」と頼み込むが、ユキは考えながらも視線を逸らして返事をしなかった。やはりわだかまりがあるのかとまゆが悄然となった時、ユキはガルガルの気配を察知する。
- ユキの様子をまゆは機敏に察したが、彼女を戦わせたくないユキは「何でも無いニャ」と敢えてしらを切った。だがまゆはもう以前のように黙っておらず、部屋を出ようとする。「危ない事はまゆにじゃ向かない!」ユキはまゆを引き留めたが、「確かにガルガルは怖いし、一人だと少し不安だし…でも、わたしはニコガーデンのアニマル達を助けたいの。わたし、プリキュアだから!」彼女は制止を振り切って飛び出て行った。「…放っとける訳無いじゃない!!」ユキもその後を追う。
- 人間態でリリアン達の様子を窺っていたが、キツネのガルガルは変化の術を駆使しながら素早く逃げ回る。「やっぱりまゆ一人じゃ無理…!!」と見かねて変身し、リリアンと合流。「わたしが来たからには逃がさない」と先回りして立ちはだかる。ガルガルは今度は大木に化けて襲ってきたが、体力を使い果たしたのか、すぐに変身が解けてしまった。
- 倒れ伏す姿を見て、キラリンコジカの台詞がニャミーの脳裏をよぎる。「あの時は一人で苦しかったキラ」自分もあの寒村で孤独でつらかった。まゆがくれた帽子にくるまって暖を取り、人の優しさを知った。このガルガルも嘗ての自分と同じなのだ。それを悟ったニャミーは、とどめを刺すべく振りかざしていた手を下ろす。この子に自分は一体何をしてあげれば良いのか…。
- その時、ガルガルの体に闇の力が甦る。虚を突かれたニャミーは額の宝石からのビームを食らいそうになるが、すかさずリリアンが割って入り、渾身のバリアでビームを撥ね返した。驚くニャミーに、「きっと、今日はニャミーと一緒だからだね!一緒にあの子を助けてあげよう」と微笑むリリアン。二人が手を取り合うと、シャイニーキャッツパクトがアミティーリボンタンバリンへと変化し、合体浄化技プリキュア・アミティールミエールを繰り出す。ガルガルはキラリンキツネに戻った。今まで自分には不要だと考えていた仲間との和衷協同。そして苦しみ狂乱するガルガルを物理的に排除する強行手段ではなく、慈愛を以て浄化・救済する平和的解決。「フフッ、悪くないわ」と笑顔を見せるニャミーは「ニャミー!大好き~!!♡」とリリアンに抱きつかれ、喜びを分かち合った。
- ようやくリリアンとニャミーが正式に仲間になると聞いて歓迎するメエメエにユキは、一つの交換条件を付き出す。その条件とは、自分をまゆと同じ学校に通わせる事だった。
■第21話
- 「猫屋敷ユキです。よろしくお願いします。」3人目の転校生は凛とした佇まいの美少女とあって、男子も女子も目を奪われる2年1組の面々。馬場園先生からこむぎの隣の席に座るよう言われるが、ユキはなんとまゆの椅子に一緒に腰掛けて完全密着し、クラス中や視聴者をどよめかせた。
- 耳まで真っ赤になるまゆに対して、ユキは「どうかした?」と涼しい顔。ユキにとっては家での距離感と同じ感覚であり、別に普通なのであった。「ユキの席はこむぎちゃんの隣だよ」とまゆに訂正されるも、まゆの隣席の狸原に席を替わるよう命じるフリーダムぶりを発揮し、いろはや悟までをも苦笑させた。
- 休み時間、「学校の事、わたしが教えてあげる!すっご~くわんだふるー♪!な場所なんだよ!」とのこむぎの(なってない)説明に対し、「わんだふる」の意味に関して冷静に言及する。意味もわからず使っていたこむぎに代わり、悟が「『素晴らしい』『凄い』という意味だよ」と解説してくれたが、続けてこむぎが「だってわたし達、『わんだふるぷりきゅあ!』だもんね」と言うと、「わんだふるぷりきゅあ?お断りよ。わたしは猫なのに、『わん』だなんて」と、神をも恐れぬ番組名&チーム名全否定。
- そこで始業のチャイムが鳴り、こむぎが「まだ何も教えられていない」と嘆くと、「教えてなんて頼んでないわ。人間のフリするなんて簡単よ」と豪語。その自信は伊達ではなく、難解な漢詩をすらすらと黒板に書き、美術ではあっという間に見事な作品(全部まゆの肖像画)を描き上げ、体育でも体操選手並みの動きを見せる等、完璧超人(超猫?)ぶりを見せつける。
- 家庭科の授業では、黙々と刺繍に勤しむ可憐な横顔に、クラス中皆ため息をつきつつ赤面。ここでも見事なアジサイの刺繍を作っていたが、「刺繍って難しいのね。まゆがいつも楽しそうに縫ってるから簡単なんだと思ってたわ。まゆって凄いのね」と感想を漏らし、「ユキの方がすごいよ」とまゆを感嘆させる。対照的に、いろは&こむぎの不器用っぷりには呆れ顔。
- 更に昼休みには、みんなが寝ている間に作ったという豪華な重箱入りの弁当を披露。焼き魚の切り身を箸でまゆに差し出し、まゆが遠慮する暇も無く口の中に押し込み、「ほら、ついてるわよ」とハンカチでまゆの口元を拭う。
- 見とれていた演劇部の狐崎と狸原から勧誘を受けるが、ユキは「まゆは入るの?」と尋ね、「人前に出るのはちょっと…」と固辞されるや、「じゃあわたしも入らない」とあっさり拒否。人がいない所でまゆに自分以外の人とも関係を持ってみるよう勧められても、「必要無いわ。わたしが此処にいたいのは、まゆと一緒にいたいから。そしてまゆを守りたいから。人の姿になってまゆとずっと一緒にいれて嬉しい」ユキの姿勢は変わらず、まゆもそれはそれで嬉しい為、あまり強くは言えなかった。
- まゆと共に、いろは&こむぎに先刻の刺繍を教えている際、いろはが刺繍したハンカチの交換を提案する。するとユキは顔色を変え、「そんな事しないわ、絶対に」と全面的に拒絶する。「どうしてダメなの?」とこむぎに問われても、目を逸らして答えないユキだったが、まゆが「交換したい」と呟き、唖然となった。
- いろはに声をかけられても、まゆは集中モードに入っており、目も合わせなければ返事もしない。しかしいろはは気を悪くするどころか、「すごいね、まゆちゃん。周りの声も聞こえないくらい集中してるんだ。かっこいいなあ」と笑顔で褒め讃える。その言葉にはっとなったユキは、正面玄関2階の吹き抜け広場にいろはを連れ出し、「あなたは…あなたは『あの子』と違うのね」とまゆの身の上話を始めた。つらく悲しい過去を…。
- 転校する前の学校で、まゆにはとても仲の良い友達がいた。その子の誕生日に、彼女のペットのチンチラを刺繍したハンカチをプレゼントしようと思ったまゆは、誕生日に間に合わせるため休み時間も刺繍をしたが、当時から集中し過ぎると周囲の声が聞こえない性質だったので、図らずも友達を無視する形になってしまっていた。友達も傷つき、誤解が解けないまま二人の関係は壊れてしまったのだ。「わたしは…まゆにこれ以上傷ついて欲しくないの。傷つけるなら最初から近づかないで欲しい。まゆをいずれ傷つける友達なんて要らない」
- しかし、いろはにくっついて来たこむぎは「全然わかんない」と口にする。子供っぽく能天気なこむぎには、デリケートなまゆの気持ちなどわかるまいと冷たく見遣るユキだったが「いろはとわたしは仲良しだけど、喧嘩した事もあるよ。ユキだってまゆと喧嘩してたよね?」と彼女なりの見解を聞かされ、言葉に詰まる。
- 「いろはと喧嘩して悲しかったけど、もっと仲良くなれたよ。わたしといろはは、これからもず~っと一緒!ねっ!」こむぎの言葉を受けていろはもうなずき、「明日喧嘩するかもしれないからって、今日仲良くするのをやめちゃうのは淋しいよ」と続けた。「傷ついて辛い思いをするよりは良い」とユキが目を伏せても、いろはは微笑んだ。「わたしはユキちゃんともっと仲良くなりたい。喧嘩しちゃうかもしれないけど、それでも…!」
- そのどこまでも前向きな姿勢に戸惑うユキの手を取ったこむぎは「だって一緒に遊んだ方がわんだふるー!でしょ」と笑顔を見せる。この二人は間違いなく『あの子』とは違う。まゆが傷つく事だけを恐れ、危ない事から遠ざけようとした自分とも…。いろはとこむぎの裏表のない笑顔は、ユキの心を打った。
- 校庭に超巨大なジャイアントパンダのガルガルが出現し、あくびの催眠波で、全員眠ってしまった。しかし睡魔に抵抗しながらまゆを起こそうとするユキの横で、同じくいろはを起こすこむぎは、眠いと逆に元気が出る習性のおかげで無事。二人が変身するのを横目に、まだ『わんだふる』に抵抗のあるユキは、まゆの提案により『ニャンダフルプリキュア』として名乗りを上げる。
- ガルガルは暴れもせずに大の字になって熟睡中。みんなを目覚めさせるためにガルガルを起こそうとするが、寝相が悪くて近づけず、いびきでまたも催眠波が発生し、リリアンが倒れそうになる。咄嗟にニャミーはリリアンの頬をつねって目を覚まさせ、驚く彼女にも自分をつねらせて意識を保つ。おかげで、戦闘中なのに美少女二人が頬をつねり合っているシュールな絵面に。
- 悟の寝言から「タイヤ」というガルガル攻略の糸口を見出だしたニャミーは、キラリンキツネの力を借りて、唯一元気なワンダフルを巨大タイヤに変身させる。大はしゃぎのワンダフルはガルガルにじゃれつき、目覚めたガルガルも喜んで、巨大怪物がタイヤ化したプリキュアと嬉々として遊ぶという、これまたシュールな絵面が展開された。そして両者が遊び疲れたところで、ニャミーとリリアンがアミティールミエールで浄化。元に戻ったキラリンパンダをニコガーデンに送り返した。
- ガルガルの浄化後、いろはの提案通り刺繍したハンカチを交換する事になり、ユキから綺麗な蝶の刺繍のハンカチをもらって大喜びするこむぎに対し、対照的にかなりわかりづらいこむぎの作品を貰い「それよりこれは何?」と首を傾げる。雪だるまだと自信満々に解説されたユキは思わず吹き出した。
- 「あっ!ユキ笑ってる!」こむぎに言われたのに対してユキも今までとは違い穏やかに「もう少し丁寧にやらないと駄目よ」と指摘し、2人で談笑しはじめた。紆余曲折を経て、ユキとこむぎの距離も縮まり、こうして会話ができるようになったのだ。それを微笑ましく見守りながら「これからも、もっとも~っと仲良くなるよ!」といういろはの言葉通り、わんだふるでニャンダフルなユキのスクールライフが始まるのだった。
■第22話
- 『フレンドリィ動物病院&サロン』でまゆがいろいろなペット用グッズの前でテンションが上がるのを横目に、興味なさげに毛繕い。ちなみに爪切りも歯磨きも苦手との事。そこへ来店していたドッグトレーナーの犬束に誘われてドッグスポーツの「アジリティ」に挑戦するこむぎといろは。ユキはやる気ゼロのため、まゆの膝の上で傍観する。
- 「ドッグスポーツやるの初めて!楽しみ!」と目を輝かせるいろははユキにとっては理解し難く、「どうしてそんなにはしゃげるのよ?初めてでよくわからないものなのに」と疑問を投げかけるも、「よくわからないからワクワクするんだよ」と笑顔で返される。
- そんなポジティブな姿が眩しく見えるまゆが「わからないワクワクかぁ…いろはちゃん達はすごいなあ」と呟いたので、「羨ましがる事は無い。まゆだって凄いニャ。だって、このわたしがパートナーになってあげてるのよ。自信持ちなさい」とまゆを持ち上げつつ、澄まし顔で自己アピール。
- 障害物を悉くスルーして爆走するこむぎの姿に、「何あれ。」と呆れる。それでも犬束から「ちゃんといろはちゃんとコミュニケーションが取れてる」と褒められたこむぎは得意満面。「何?あのドヤ顔」と再度ツッコミを入れると、まゆが「でもすごく楽しそうだよね」と言うので、「こっちも楽しいでしょ」と釘を刺すと、「えぇ~?もしかして焼き餅焼いてる?大丈夫、わたしはいつだってユキ派だよ?もちろんユキと一緒の時間もすっごく楽しい!」とまゆは大はしゃぎ。ユキも「まぁ、当然ニャ」とこむぎに負けず劣らずのドヤ顔。
- 灯台によじ登ったハイイロリスのガルガルを捕獲すべく、フレンディはアジリティでの経験を生かした合図を繰り出し、ワンダフルもそれに合わせた見事な動きを見せ、ガルガルを捕まえた…と思いきや、ガルガルが齧った灯台が傾き、墜落しそうになる。「世話を焼かせる…!」とニャミーはすかさずリリアンと共にジャンプし、こちらも息の合った連携でワンダフルとガルガルを救出した。屈託のない笑顔で礼を言われるも、「別に」とそっぽを向く。
- 助けられてもなお敵意を剥き出しにするガルガルに、「もう大人しくしなさい」とニャミーは、キラリンパンダの力を借り、催眠波でガルガルを眠らせて浄化した。
- 帰り道、「ユキも絶対やった方がいいよ!」とアジリティを勧められ、生返事をするも、こむぎは「行くよ!わんだふるご~!」といきなりダッシュ。もちろんユキが素直についてゆく訳がなく、こ「なんで走らないの!?」ユ「何で走らなくちゃいけないのよ」。友達にはなったものの、犬と猫の価値観の溝を埋めるのはもうちょっと時間がかかりそう?
■第23話
- まゆから夏祭りに誘われるが、「騒がしいのは苦手ニャ。あの子達と行ってらっしゃい」と断るも、「ユキがいればもっともーっと楽しいよ!浴衣着て美味しい物食べて…楽しそうじゃない?」との懸命の説得に少し心が動く。ユ「でも…浴衣無いし」「わたし、浴衣もう1枚持ってるよ。ママに頼んで着せて…」そうまゆが言いかけたところで、下駄の用意ができたとすみれが入ってきた。
- ちょうどいい機会だと思ってか、ユキは「まゆの友達 ユキです」と喋り、しれっと人間態に変身。浴衣の着付けをしてもらいたいからという前代未聞の理由によるカミングアウトをぶちかます。まゆも視聴者も絶句。
- しかしすみれは特に驚きもせず、着付けを完成。「この町に来た時、何か素敵な事が起こりそうな予感がしたけど…アニマルタウン、思ってた以上に素敵な町ね」と、あっさりと受け止めてもらえた。悟と合流し、まゆから顛末を説明された彼が「猫屋敷さんのお母さんって実は大物なのかも」と感想を漏らすと、ユキは大福を「この子も大物ね。この顔つき、只のウサギじゃない」と評する。
- まゆは、悟がいろはに好意を寄せている事に気付き、動揺してたじろぐ悟以上にハイテンション。うきうきした気分のまま、短冊に願い事を書こうとして「ユキは短冊書かないの?」と問うが、ユキは「もう叶ってるからいい」と微笑む。先刻こむぎが「いろはと毎日一緒に遊びたい」「いろはとお話したい」と書こうとしたのと同様、まゆと一緒にいられてお話ができる今が、ユキにとっては既に願いの叶った幸せな時間なのだ。
- その後お祭りの屋台をみんなで見て回る。まゆに勧められたたこ焼きを頑として固辞。猫舌なのかどうかはこの際さて置き、消化に悪いタコが猫にとっては熱処理の有無に関わらず厳禁食材の一つな事を懸念して、だろうか。更にブルーハワイのかき氷を少量口に運んだ端から全身をケバ立たせる物凄いリアクション。味や刺激は気に入ったのか、瓶ラムネをラッパ飲みしたりと、人間態に変身しているからこそ可能な“今だけ”をそれなりに満喫。
- 白鳥のガルガル相手に、ワンダフルは諸事情あって落ち込み戦闘中断。フレンディがそれを慰めている間に、ニャミーは孤軍奮闘し、「貴方達…全く…あっちの方がよっぽどやる気じゃない」と呆れてため息をつきながらも、バリアの反動を利用して飛び回り、空中戦を繰り広げる。劣勢に陥ったかに見えたが実は誘いの罠で、突っ込んできたガルガルをリリアンがリリアンネットで捕獲し、浄化に繋げた。
■第24話
- ニコガーデンが本来の姿に戻り、ニコ様も帰還…と思いきや、現れたのは不思議な卵。メエメエは「執事であるわたくしが、ニコ様を全身全霊でお守りします!」と主張するも、キラリンアニマル達は「(本当に)大丈夫キラ?」と半信半疑で、ユキも「自分だけニコ様に褒められようとしてない?」とシビアな一言でツッコミをいれた。
- とりあえずメエメエに任せ、一同はニコガーデンを散策。「プリキュアがいなかったらみんなガルガルのままで、ニコガーデンも壊れたままだったキラ」とキラリンアニマル達は礼を述べる。「お礼なんて要らない。わたしは元々、貴方達を助けるつもりなんてなかった」相変わらず素っ気ないユキも、「ま~たそんなこと言ってるキラ!昔はそうでも今は違うキラ?」「ニャミーが助けてくれて本当に嬉しかったキラ」と口々に感謝されて、「そう…」と曖昧に答えて表情には出さないものの、決して悪い気分ではなかった。
- しかし全てのニコアニマルが帰ったわけではなく、母親が消えたマウンテンゴリラの子供が一人淋しげにドングリの枝を弄んでいる。いろはが「わたし達が必ず見つけるからね」と励ましても、元気のない子ゴリラは木陰に隠れてしまう。ユキは、子ゴリラが落としたドングリの枝を見つめていた。
- ガルガルが出現し、ドラミングする様子からマウンテンゴリラのガルガルではないかと悟が推察。昨日の子ゴリラの母親ではないかと変身した一同だったが、電波塔によじ登り、鉄骨を投げつけて暴れるガルガルにはなかなか近づけない。
- そこで一計を案じたニャミーは、キラリンスワンの力を借りて舞い上がり、ガルガルに接近すると、「あなたはこれを知ってるんじゃないの?」とドングリの枝を見せる。するとガルガルの動きが止まった。やはり昨日の子ゴリラの母親だったのだ。ニャミーはすかさずリリアンと共にアミティールミエールを決めて浄化、我が子の元へ送り返した。
- こむぎに「ねぇねぇユキ、どうしてあの小枝持ってたの?」と聞かれ、「別に…落ちてたのを拾って何となく持ってただけ」とはぐらかすユキの隣では、まゆがおかしそうに微笑んでいた。クールを装っていても、ユキの優しさは隠せないのであった。
■第25話
- いろはから共同で自由研究をやろうと申し入れられる。「いろは・こむぎ・まゆ&ユキの連名でやろうよ~」との案に「なんで貴方達二人の名前が先なのよ」と物言い。「じゃあ、ユキ・まゆ・いろは&こむぎでもいいから」と妥協案を出されても「違うでしょ。まゆが1番目、もしくは『まゆ&ユキwith犬組』」と上から目線で訂正する。しかし順番や呼称になんかこだわらないいろはとこむぎは秒でそれを受容、逆にユキの方が拍子抜けしつつ、海に行くことに。
- ビーチに到着し、いざアカウミガメの産卵を観察のはずが、産卵時間が夜ということで当てが外れ、元々乗り気でなかったユキはさっさと引き上げようとするが、いろは・こむぎ・悟は勿論まゆまでもが海で遊ぶ気満々で水着を用意しており、まゆはユキの分も用意していた為もはや逃げ道なし。
- 砂の城を作ったりはしたが、ユキは海に入らず、「あんまり深い所は駄目。水は怖いんだから」と保護者モード。まゆが見つけた綺麗な貝殻に手を伸ばそうとするも、波が押し寄せてきた途端、「ミャッ!」と猫らしい悲鳴を上げて後ずさりする。やはり猫の本能で水は苦手な様子。
- まゆはそんなユキに「ちょっとだけ一緒に入ってみる?わたし、そばにいるから」と手を差し伸べた。「ちょっと…だけなら…」恐る恐る水に足を入れ、「大丈夫。こわくない、こわくない」とまゆに励まされて「ほんとだ…恐くない」と安堵する。自分の手を握ってくれるまゆが、水に対する恐怖心を吹き飛ばしてくれたのだ。
- …が、場の空気を読まず海中から飛び出てきたこむぎに脅かされる。「ンニャアアアアア!!!!」と猫顔で絶叫して砂浜に爆速で跳び退り「フウウウウ……!!」と唸り声を上げつつ威嚇体勢に。こむぎ「犬かき教えてあげよっか?」ユキ「結構よ!!!💢」
- その砂浜にアオウミガメのガルガルが出現。リリアンは制止を振り切って懸命に甲羅にしがみついて離れようとしない。そしてガルガルはリリアンを乗せたまま、海に逃走してしまう。入江の沖合にある島へ向かっているのを見たニャミー達は、キラリンコジカの力を借り、小島をジャンプして渡りながら追跡する。
- ようやく追いつき、ガルガル立ち向かうニャミー達。しかしガルガルの水流砲に手こずる中、偶然アカウミガメの卵を見つけたリリアンは、冷水を浴び続けたら卵が孵化できなくなってしまう事をニャミーに伝える。低温の海水に長時間晒されてしまったリリアンを制したニャミーは、大量のニャミーシールドを張って水流砲を防ぐが、体力の消耗も激しく彼女も膝をついた。
- 「一人でなんて無理だよ!」「わたし達も守るよ!」ニャミーの身を案ずるフレンディとワンダフルだったが、あくまで意地を貫き通そうとするニャミー。「リリアンはここまで一人で頑張った!!今度はわたしの番!わたしが…!」だがその背後でリリアンは、海を怖がっていた自分にしてくれた時と同じように手を差しのべた。
- 「絶対にみんな来てくれる。そう信じてたから、わたし諦めないでいられた。頑張れた。今だって一人じゃない。わたし達も、あの子も、卵も…だから…」それを聞いたニャミーの目が覚めた。リリアンはみんなが必ず来てくれると信じていたから頑張れた、そしてどうにもならない時に差しのべられた仲間の手を取って頼るのは何ら恥じる事ではないのだと。「一人じゃないよ!」「任せて!」フレンディとワンダフルの加勢を受け入れたニャミーは、力を合わせてガルガルの動きを封じ、フレンドリベラーレで浄化されたガルガルはアオウミガメの姿に戻ってニコガーデンへ帰って行った。
- 夜になって、改めて観察を再開。砂浜に上がってきた一匹のアカウミガメが産卵を始めた。生命が誕生する厳粛な光景に一同が感動する中、いろはが「これで『まゆ&ユキwith犬組』の自由研究はばっちりだね」と言うと、ユキはぼそりとそれを訂正した。「犬組じゃなくて、『まゆ・ユキ・いろは&こむぎ』でいい…」
- プライドの高いユキが見せた初めての歩み寄りに、喜びつつ何度も念を押すいろはとこむぎ。気恥ずかしくなったユキは「もう!!こむぎ!いろは!しつこいニャ!」とキレる。今度は初めて名前を呼んだ為にますます喜ばせる結果になり、「もう1回!」「もう1回呼んでほしいワン!」と詰め寄られる。「絶ぇ~っ対!!嫌!!!」ともあれ、ユキとわんだふる組の距離が大いに縮まった夏の1日だった。
■第26話
- 猛暑の中、刺繍糸の買い出しに出かけたまゆ。ユキも「こんな暑い日に買い物に行く事ないじゃない」と愚痴をこぼしながらも、「一人では行かせられない」とまゆの買い出しに付き添う。
- しばらくは我慢していたものの、散歩中のこむぎが倒れたのに続き、ユキも遂に人間態が解けて暑さに倒れてしまう。まゆといろはは砂漠の幻覚を見ながらも、打ち水をしていた悟に助けられ兎山家へ。
- エアコンの効いた部屋で元気を取り戻したこむぎは早速大福とじゃれ始める。更に「ユキも遊ぶワ~ン!」と絡んできて、ユキの撥ね付けもお構いなしに、ダイブしてユキを下敷きにする。「シャーー!!」ユキはキレてこむぎを追い回し、結果としてこむぎに乗せられた形に。
- ガルガルが出現しても、暑さに弱いユキは「暑い…帰りたい…涼しい所に…。」「プリキュアでも暑いものは暑い」と珍しく弱音を吐く。何とかガルガルを浄化して帰宅したものの、当初の目的だった刺繍糸購入を二人してきれいサッパリ忘れており、後日再びまゆと共に「刺繍糸…買わなくちゃ…。」とうわ言のように繰り返しながら、地味な苦行の旅に出かける羽目になった。
■第27話
- いつものようにベタベタ甘えてくるまゆをあしらっていると、ふとテーブルの上のリボンがヘビに見えたのか、飛び跳ねてまゆの後ろに隠れる。その場は「何でもないニャ」と誤魔化したが…。
- いろは達がまゆを訪ねてきて何かのお誘いの話をしている間、我関せずと定位置でお昼寝。こむぎに「ユキもツチノコ探そう!」と起こされ、「ツチノコ?何それ?興味無いニャ」と撥ね付けたものの、まゆにまで「ユキも一緒だと嬉しいんだけど…どうかな?」と言われては、「仕方ない、つき合ってあげるニャ」といつも通りに保護者モードで同行する事に。途中まで寝ていたので、その未確認生物・ツチノコがヘビに似た生き物だとは全く聞いていなかった。
- よくわからないまま「ツチノコ大捜索大会」に参加…と言いつつ、探す気ゼロで傍観。昼食時も、こむぎがニコ様の卵を持ってきたと聞いて驚く一同の中、一人だけノーリアクションで黙々とサンドイッチを食べていたが、卵の様子を見に来たメエメエと悟の会話の中で、「ツチノコはニコガーデンにはたくさんいて、ヘビに似ている」と聞いた途端、ぎくりと顔色が変わる。
- その会話中、ニコ様の卵をメエメエが落としそうになり、みんなであたふたしながらキャッチボール状態に。それを見たユキの目が光ったかと思うと、猫パンチで卵を吹っ飛ばした。メエメエ「メェ~!!何するんです!?」ユキ「あ、転がる物を見たら、つい…」悟「猫の本能だね。」
- 卵は近くの小さな穴の中に転げ落ちてしまった。その穴からガルガルの気配があり、変身した一同はキラリンハムスターの力で小さくなって突入する。卵を発見するも、傍にあったガルガルの卵が孵化してツチノコのガルガルが誕生し、その姿を見たニャミーは「ニ゛ャア゛ア゛ア゛ーーッッ!!!」と金切り声をあげる。
- ガルガルはニコ様の卵を呑み込んでしまい、メエメエに言われるまでもなく奪回しようと一同が身構える中、ニャミーは一人うずくまって「無理無理無理無理無理ムリムリムリムリムリ……!!」と怯えるばかり。ワンダフルにストレートに「怖いの?」と訊かれ、「こ…怖い?そんな訳ないでしょ!全然怖くない!」と返すが、結局は見栄を張っているに過ぎず、再びガルガルの姿を目にしてはまたも「ニャイイイイイイ!!!!」と悲鳴を上げる始末。猫はヘビの類いが弱点だったのだ…。
- リリアンからそれ聞いたフレンディやワンダフルから「無理しないで」「逃げてもいい」と気遣われても、日頃犬組を上から目線で見ている彼女のプライドが許さず、「だから!わたしは大丈夫って…」などと言い張っていたが、ガルガルと目が合ったフレンディとリリアンの首から下が石化してしまう。
- 半石化したリリアンをガルガルの攻撃から守り、礼を言われても「た…大した事無いわ」と応えるニャミーの笑顔はあからさまに引きつっている。その間にワンダフルも石化の餌食になり、最早動けるのはニャミーだけ。ニャミーに逃げるよう叫ぶリリアンや、地上から聞こえる卵の奪還を望むメエメエの声に、恐怖で涙を浮かべながら葛藤していたニャミーは遂に意を決した。
- ニャミーシールドでガルガルを吹っ飛ばし、いつも通りの強気な姿勢で立ち向かうニャミー。「わたしが逃げる?笑わせないで。仕方ない…構ってあげる!」目を閉じる事で石化を防ぎ、「こわくない…こわく…ない!」と鼓舞しながら、相手の気配と攻撃パターンを読んで、ガルガルを翻弄する。
- 「すごいすごい!後はガルガルをなでなでして落ち着かせてあげて!」半石化していても能天気なワンダフルに笑顔でそう言われてビクッとなる。「なッ…なでなで…!?」「優しくなでなでだよ♡」「優しく…なでなで…」ただでさえ目を逸らしたくなるほど怖気が止まらないのに、直接触れるなど堪ったものじゃない…。とうとう限界を迎えてギャン泣きしてしまう。「あっ…あぁ…そんなの無理ニャアアアアア!!!!!」
- その時天井に大穴が開き、日の光が差し込む。一同のピンチを聞きつけた悟が、ショベルで穴の上の地面を掘ってくれたのだ。苦手な日光を浴びてガルガルは怯み、石化も解除された隙に、ニャミーとリリアンはアミティールミエールで浄化に成功、ニコ様の卵も取り戻す。ただし元に戻ったツチノコが笑顔のみんなに囲まれている中、ニャミーだけは複雑な表情で微妙に距離を取っていた。
- 大捜索大会も終わり、安らぎのひと時の中で言葉を交わす二人。まゆ「ありがとね、ユキ。恐かったのに頑張ってくれてかっこよかった」ユキ「全然格好良くなかった」まゆ「ううん、とってもかっこよかった!」その時、草むらの中を太く短いヘビのようなシルエットが横切った。「ニャアアアアアアアアッッッ!!!!!」果たして、アニマルタウンにツチノコはいるのか?それはわからずじまいだったが、ユキの隠された内面が沢山明らかになった1日だった。
■第28話
- 皆で大熊牧場へ遊びに来た。しかしユキは普段通り反りが合わずマイペース。「まゆが行くって言うからついて来ただけ。興味は無いわ」しかし花畑には少し心動かされたようで、「見てユキ!お花畑もあるよ!パッチワークの絨毯みたい!すっごくきれい!」と目を輝かせるまゆに、「ええ、素敵ね」と微笑んで相槌を打っていた。
- ニコ様の卵と共にメエメエがやって来た。「ニコ様もたまには外の空気を吸いたいと思いまして」などと言うメエメエに、「メエメエが遊びたいだけじゃないの?」と図星を突く。メエメエ「ぎくっ…!そんな事はありませんっ!」
- 乳搾り体験で、ホルスタインが怖かったり気を遣ったりで真面に出来そうにないまゆに懇願され、バトンタッチしたものの、ホルスタインの鳴き声に「ニャッ!?」と猫顔になってビビる。
- その牛乳から作った牛乳アイスが美味いあまり一瞬にしてたいらげ、「もうない…」としょげるこむぎの様子を呆れながら見ていたが、自分もまゆに勧められて口に運んでみると…「美味しい…!?」こむぎ同様たちどころに平らげて、空になったカップを前に愕然となっていると、まゆから「少し食べる?」と助け船を出され、逡巡するも食欲に勝てず「仕方ないわね…」と有難くいただく事に。
- シープドッグショーを見物していると、牧羊犬に追われるヒツジの群れの中に、さっき牧場の羊と間違われて連れて行かれたメエメエの姿が。驚く一同の中でユキも再び猫顔のリアクション顔を披露。まゆが精一杯「が…頑張れ~!」と声援を送るので、流れ的に無言を貫く訳にも行かなくなり、少々赤くなりながら小声で「頑張れ…」と声援を送った。
■第29話
- 夜明け前、何かの気配を感じて窓から様子を窺うユキ。大福やアニマルタウンの動物達もざわめいている。そしていろはからまゆに「ニコ様の卵にひびが入った」と連絡があり、急いで駆けつけると、皆の前で卵が割れてニコが誕生した。
- 「皆さんお静かに!」メエメエの下知で一同が畏まり、ニコ様からの御言葉がある…と思いきや、「初めまして!ニッコで~す!ニコー☆」とめちゃくちゃ砕けた自己紹介。ニコはこむぎやいろはを興味深そうに見て回るが、警戒心の強いユキは不審顔で眉をひそめる。
- ニコガーデンを襲い、アニマル達をガルガルに変えたのは、かつて絶滅したニホンオオカミの群れのリーダー・ガオウと聞かされていた時、ユキとこむぎはいつもの邪な気配を感知。だがそれはこれまでのガルガルよりもずっと闇が濃く、メエメエも「これはニコガーデンが襲われた時の様な…」と不安な面持ち。そしてアニマルタウンに戻った一同の前に、ガオウの部下ザクロとトラメが現われた。
- トラメが黒い卵に力を注ぐと、ガルガル以上に強力なガオガオーンが誕生。ユキ達はプリキュアに変身するが、ザクロ達はこむぎが犬なのに人間サイドにいる事をなじった上で、「お前達人間が狼を絶滅させた」と糾弾。衝撃を受けるプリキュア達に、4体に分身したニホンザルのガオガオーンが襲い掛かった。
- ワンダフルとフレンディが繰り出したフレンドリベラーレが破られ、ガオガオーンの素早い動きに翻弄されて青ざめるリリアンの顎を持ち上げて、「怖いんだろ?」と愚弄するザクロ。ニャミーは怒りの声を上げながらザクロに爪を振り下ろすも、軽々とかわされる。そしてアミティールミエールまでもが撥ね返され、ガオガオーン4体の集中攻撃を食らったプリキュア達は変身解除に追い込まれてしまった。
- ガオウの呼び声によりザクロ達が撤退した為に辛うじて難を逃がれたが、自分達人間が一方的に狼達を害獣呼ばわりし絶滅に追い込んだという残酷な事実の前に、いろはは打ちひしがれていた。「狼を絶滅させたのは昔の人間達でしょ?」とユキの慰める声も聞こえないかのごとく、いろはは自責の念に苛まれ…。
■第30話
- 「まゆ…いつ迄丸まってるの?」ガオガオーンの破壊行為でアニマルタウンが厳戒態勢に包まれる中、ユキは頭から毛布をかぶって部屋に閉じこもるまゆに声を掛ける。「だって…あんないろはちゃん、初めて見た…。どうしたらいいの…?」まゆはガオガオーンへの恐怖と共に、狼の絶滅の件でショックを受けるいろはに対して何をしてあげればよいかわからず、気落ちしていた。
- 狼の遠吠えに青ざめるまゆに、ユキは言った。「わたしもああなっていたかも。わたしはまゆに助けられたから。でもわたしだけじゃない。あなたは恐がりだけど弱くない。今だってシャイニーキャッツパクトを手放そうとしないじゃない。ガオガオーンや狼達を助けたいと思ってるでしょ?」ユキの指摘通り、まゆはシャイニーキャッツパクトを片時も手放さなかった。どんなに恐くても、プリキュアの使命を放棄していない。彼女の心はまだ逃げ出していないのだ。
- ユキは人間態に変身し、シャイニーキャッツパクトと共にまゆの手を優しく取った。「わたしがついてる」しかしその手は僅かに震駭していた。まゆを励ますユキもガオガオーンに戦慄していたのだ。恐いのはお互い同じ。でも一緒なら…。まゆとユキはベッドに並んで座り、手を握りながら肩を寄せ合った。
- まゆ「不思議だね、恐いのが消えていく…」ユキ「皆でこうすればもっと消えるかも…プリキュアはわたし達だけじゃない。」ユキの瞳には力強い輝きがみなぎっていた。
- トラメとガオガオーンの元へ駆け付けたユキは、変身しようとするいろは達に待ったをかける。「この前は別々に動いてガオガオーンに敵わなかった。だから…4人一緒に!」仲間入りを果たしたものの、犬組と猫組に拘るなどどこかで一線を引いていたユキからの申し出に、いろはとこむぎの顔が輝いた。4人は初めて揃って1つの名乗りを上げた。
「みんな一緒に!」
「せーの!」
「「「「わんだふるぷりきゅあ!」」」」
- エスカレーターの手すりを滑り降り、バク転でガオガオーンの攻撃を躱したりするも、ワンダフルを飛び道具として投げつけられてダウン。ならばとキラリンライオンの力を借りて、超スピードで応戦するニャミー。戦いを見守るニコは、もしプリキュアがガオガオーンに勝てないようであれば、変身能力を剥奪して自らがガオウ軍団に立ち向かうつもりでいたが、キラリンアニマルがプリキュアに力を貸している事に驚く。メエメエも「プリキュアを信じてください!」と懸命に訴えた。
- 「(友達に)なれるワケねェ」と頭から拒絶するトラメに、「そんなの!!やってみなきゃわからない!!」とニャミーは反発。決して諦めず、狼達とも友達になりたいというプリキュアの思いを認めたニコはダイヤモンドリボンキャッスルを作り出し、その力を得たプリキュア達はダイヤモンドリボンスタイルにチェンジし、合体浄化技エターナルキズナシャワーで遂にガオガオーンを浄化した。
■第31話
- 「ユキってば可愛い~♡」「でしょ?」ユキの動画に見とれるすみれとまゆに、「わたしは何時でも可愛いニャ」と当然だとばかりのユキ。すみれはユキの写真をキュアスタにアップしてはどうかと勧めるが、炎上したり、ユキやお店が悪く言われるのではないかとネガティブな事ばかり想像するまゆは、ニコの「一度嫌われたら修復するのは難しいもの」という言葉にも、前の学校で友達だった知覧友真との事を思い出すなどで、いま一つ乗り気になれない。それでも「まゆ、大丈夫。被写体はこのわたしよ。悪く言われる訳ないじゃない。でしょ?」と自信満々のユキに後押しされ、写真を投稿する事に。
- その心配は杞憂に終わり、ユキの写真はバズりまくり。学校から帰宅すると『Pretty Holic』にもユキ目当ての客が訪れる程で、ユキも物陰で変身を解いて猫の姿で現れ、ファンサービス。すっかり気を良くしたまゆは、友真との仲直りのきっかけにならないかと、友真が見てくれるような新作を考え始めた。まゆがユキに意見も聞かず突っ走る時は、あまりよくない事が往々にして起こるのだが…既にまゆは集中モードになり、一心不乱にノートに向かっている。ユキもとりあえず静観する事にしてお昼寝。
- しばらくすると、テラスの下からまゆを呼ぶ声がする。何と友真だった。ペットのこてつの診察に『フレンドリィ動物病院&サロン』へ来ていた友真は、偶然いろは・こむぎとの会話でまゆがここに住んでいると知った。彼女もまたまゆと仲直りしたいと思っており、勇気を出してやって来たのだが、二度三度と呼び掛けても集中モードのまゆには聞こえない。あきらめた友真は悲しげに目を伏せて去ってしまった。「まゆ!あの子が来てるニャ!知覧友真が来たの!!」ユキがテーブルの上に飛び乗って呼び掛け、ようやく我に返ったまゆだったが、時既に遅く、友真の姿はなかった。
- 「またやっちゃった…。わたしやっぱり駄目だ…知覧さんとはもう…」仲直りするどころかあの時の二の舞になってしまい、大粒の涙を溢すまゆをユキは叱咤する。「そんな事無い!まゆは駄目なんかじゃない!!いろははまゆの事わかってくれた。ちゃんと話したら、あの子だってわかってくれるかも知れないでしょ!?」「でも、もう話せない…。」「追いかければいいじゃない!あの子はお店まで来てくれた。今度はまゆが勇気を出す番!もし上手くいかなくても、わたしもいろは達もいる。大丈夫!」勇気づけられたまゆは、友真の後を追う。
- しかしその途中、ユキがガオガオーンの気配を感じ取る。それを聞いたまゆは「ガオガオーンのとこ行こう!」と即断。「いいの?」とユキが問うても「うん。ガオガオーンを保護した後、今度はわたしが知覧さんの家まで行く」と答えるまゆはすっかり立ち直っていた。ユキも一安心して微笑む。
- 現場に駆け付けて変身すると、悲痛な叫びと共に友真が現われる。ザクロが闇の力でチンチラのこてつをガオガオーンに変えたのだ。ガオガオーンを説得しようとした友真は母親共々攻撃の煽りで失神し、フレンディ達が避難させた。「大好きな飼い主を襲わせるなんて許せない!!あの子を戻しなさい!」「アハハッ!やなこった!」ニャミーは逃げるザクロの相手をする。
- その間にリリアンはリリアンネットでガオガオーンを捕えようとするが、あっさり破られる。そこで「今度は網目を細かくして強度を上げてみる!」と集中モードでネットを拵えてゆくリリアン。ガオガオーンが後足蹴りで飛ばしてくる瓦礫はワンダフルとフレンディがバリアで防ぎ、ニャミーもザクロを追うのをやめてバリア張りに協力。皆の協力を得たリリアンは強度の上がったネットでガオガオーンを捕獲し、エターナルキズナシャワーで元のこてつの姿に戻した。
- こてつの診察が終わった後、まゆは改めて1年前の事、そして今日無視する形になってしまった事を謝罪する。友真も、まゆの気持ちを知るのが怖くて逃げてしまった事を詫びた。お互いに内向的で引っ込み思案な性格の為、勇気を出せなかっただけと知った二人は和解する。
- それを見たニコは「途切れた絆がまた結ばれる事もあるんだね」と呟いた。何か意味深な響きがあったが、とりあえず「そうね…」とそれ以上言及・介入はせず、今はまゆと友真の友情が再び結ばれた事を喜ぶユキだった。
■第32話
- いろはに誘われ『ふれあいパーク』へ。ハイテンションなこむぎにも「別に。まゆが来たいって言うから来ただけ」といつも通り素っ気なく、早く行こうと腕を引かれても迷惑顔。コモンリスザルが肩に飛び乗り、まゆが目を輝かせるのに対しても露骨にジェラシーの眼差しを送ったりしていたが…。
- みんなが爬虫類館に入った時は、相変わらずヘビ嫌いのユキは外でお留守番。ニコに「動物園は好きじゃないの?」と尋ねられ、「別に。興味が無いだけ」と返すが、ニコはなおも「まゆには興味あるのに?どうして人間と仲良くするの?」と切り込んできた。「どうしてそんな事を訊くの?」「気になっただけだよ~。どうしてまゆと仲良くなったのかなって」二人は微妙に腹の探り合いのような会話を続ける。
- 「わたしも気になってる事がある。貴方はどうして此方の世界に来たの?」「みんなをニコニコさせたくて。ほら、ユキもニコニコ~」ニコは屈託なく笑うが、何かを隠しているように思える。ユキはニコの笑顔を無条件で信じる気にはなれなかった。
- ウサギのふれあいコーナーでも、ベンチに座ってまゆ達の様子を眺めるだけだったが、気付くと1羽のカイウサギがユキの足元にくっついていた。「おやつちょうだい」とか「一緒に遊ぼう」とでも言いたいのか、しきりに鼻を鳴らしている。追い払う訳にもいかず困った顔のユキだったが、体を少し傾けて譲歩の姿勢を見せる。
- 大型動物が放し飼いされるエリアで、いろはのお気に入りであるおばあちゃんゾウのさくらとご対面。まゆに促されておっかなびっくりニンジンをあげてみたところ全然怖くなく、すっかりさくらの優しい眼差しの虜になったようで、最後には「まゆがさくらに会いたいなら、また一緒に来てもいいけど」とツンデレ混じりながらも、さくらが推しになった模様。
■第33話
- まゆに連れられ、爪切りチェックのために『フレンドリィ動物病院&サロン』へ。爪切りが苦手なユキはずっと不貞腐れた顔をしていたが、剛にヤスリで綺麗に整えてもらうと、その輝かんばかりの出来映えに「まぁ…悪くないニャ」と上機嫌に。気難しいユキをもリラックスさせる剛のテクニックと『マルっとスマイル』にまゆ達は感服する。
- その後通されたいろはの部屋にて、恐る恐るカーペットの上を歩くも「爪が全然引っかからない…!」と、見た目のみに留まらない細やかな仕上がりに改めて驚嘆。
- フレンディの発案でガオガオーン相手に『スマイルお父さん作戦』を展開。剛のように、笑顔でガオガオーンが興味を引く行動をしながら、河川敷まで誘導するというものだったが、作り笑いなどした事の無いニャミーは若干口元が引きつり気味。それでも何とか「ガオちゃ~ん!ほらほらこっち☆」と満面の笑顔を初披露し、ガオガオーンの浄化へと繋げた。
- そうこうしている内にシーズー犬のモカのトリミングは完了。劇的なビフォーアフターを遂げて大満足の内にモカと飼い主は帰路に就く。いろはにブラッシングして欲しいと甘えるこむぎに感化されたか、ユキもまゆに「わたしも、ブラッシング…」とねだる。「していいの?」 「…うん」 「やったぁ♡」
■第34話
- まゆに遊ぼうと誘われ、今はその気分ではないので「後で遊んであげる」とそっぽを向くも、まゆが持ち出した猫じゃらしに思わず反応。一度は誘惑に抗おうとしたものの、我慢しきれず「もう駄目ニャ~!!」と飛びついた。
- しばらくまゆにいい様にあしらわれていたが、そこへまゆの父・貴行が久々に帰宅する。まゆはユキも猫じゃらしも放り出して貴行を出迎え、取り残されたユキは「スリスリしてるニャ…」とちょっと淋しげだった。
- それで貴行に焼餅を焼いてちょっと拗ねてしまったか、翌日まゆがいろは達を誘って貴行の写真展を観に行く際、「今日は一人で過ごしたい気分」とお留守番する事に。しかしいざ送り出した後はやっぱりまゆの事が気にかかる。
- そこで人間態になり、こっそり写真展の会場まで行って外から覗いてみると、まゆはいろはや貴行達に囲まれて、笑顔で過ごしていた。心配する事はなかったと一安心して踵を返した後、「せっかくだし、やりたかった事やってみようかな」と街歩きを開始。カフェでお茶したり(ただし猫舌のユキにとっては熱過ぎて顔が真っ赤に)、映画を観たり、花を眺めたりと、人間の姿での優雅な時間を満喫。ちなみにお小遣いはどこから?
- 中でも、ガランとした映画館にて、ホラー作品らしき映画を無表情に眺めるシュールな絵面がちょっとpixiv絵師のツボに入る。
- 公園を通りかかると、野良猫達が集まって猫集会をしているところだった。"見知らぬ人間"に唸り声を上げるボス猫を無視してベンチに腰掛けるも、やはり心をよぎるのはまゆの事。「まゆ、どうしてるかな…まゆは怖がりで、人付き合いが苦手で、だからわたしがいつも…でも、プリキュアになってまゆは変わった。まゆが笑ってるならそれで一番じゃない」そう考えて、ユキは自分自身を納得させる。
- すると、1匹の子猫がハシブトガラスに襲われていた。咄嗟に助けて、家に帰るよう促したが、どうやら迷子らしい。猫の姿に戻り、先程の猫会議の場に行って尋ねてみると、親猫が出てきて感謝され、警戒心を解いた猫達の輪に加わる。雑談をしていると、そこにザクロが姿を現した。
- 「おやおや、可愛い猫ちゃん達じゃないか」ザクロは相好を崩すが、彼女の内なる悪意を感じ取ったか、猫達は一斉に唸り出し、ボス猫は彼女に飛びついて引っ掻いた。そこでユキが人間態になった為、ザクロは腹立ち紛れにボス猫をガオガオーンに変えてしまう。変身して一人で戦うも、鋭い爪でニャミーシールドを引き裂かれピンチ。だが駆け付けたリリアンのリリアンネットで難を逃れた。
- 仲間の猫達は逃げずにその場に留まっており、ニコ曰く「ボスが心配だし、ニャミーを応援したい」との事。絶対に元に戻すと奮起したニャミーは、リリアンが召喚したキラリンキツネの能力で巨大猫じゃらしに変身。リリアンお得意の猫じゃらしさばきで、ガオガオーンはすっかり夢中になり、その隙に浄化に成功した。
- 感謝するボス猫や猫達に取り囲まれ“アネゴ”と慕われ、「ニャ…ニャニャ!?ちょ…ちょっとやめるニャ!」と照れながら困惑するユキ。「あの子、ニコの前ではち~っとも隙を見せなかったのに、友達にはああいう顔するんだぁ~」ニコにからかわれ、まゆも「ユキにも猫の友達いたんだ」と感激するなど、皆の笑顔に包まれたユキは「もう…仕方ないニャ」と満更でもなかった。その夜はすっかり機嫌も直り、まゆとおしゃべりしながら夜更かしするユキだった。
■第35話
- 屋上にまゆの忘れ物を取りに戻ったところ、悟が女子生徒に告白されて断る場面を目撃。慌てふためく悟とまゆに対し、ユキは「わたし達は忘れ物を取りに来ただけ。貴方達のやり取りを聞いたのはたまたま」と至ってクール。過去に悟は他の女子生徒からも何度か告白されていたらしく、ユキに「それ全部断ってるのね。いろはが好きだから?」と問われ、まゆから「兎山くんは気持ちを伝えないの?」と言われても、悟は「犬飼さんを困らせたくないから。それに今の関係が壊れるのも嫌だし」と複雑な思いを吐露する。
- そのいろはは『ケイジくん』なる人物に会うためにいそいそと下校しようとしていた。すわ恋敵出現かと悟とまゆがパニックになっているのも気付かず、いろはは「ケイジくんはねぇ、すっご~くかっこいいの!頭が良くって頑張り屋さんで、足もとっても速いんだ☆」と、目を輝かせ大絶賛。ユキだけが「そんな人間いるの?」といち早くオチがある事に感づいていた。
- 『フレンドリィ動物病院&サロン』に来たものの、ドッグランの外壁あたりでこそこそする悟とまゆに「…で、何で隠れるの?」とツッコミを入れていたところ、イケメンの青年と楽しそうに会話するいろはの姿が見え、悟とまゆは大ショック。ユキはそんな二人を冷めた目で見ていたが、外壁の隙間から犬が舌を突き出して自分の膝を舐めようとしており、仰天して後ずさりする。案の定、そのシェパードこそが『ケイジくん』で、圭一という青年はその飼い主というオチだった。
- 悟は一安心するも、ユキの「そうでもないんじゃない?」という一言と、犬の話題で盛り上がるいろは達の姿を見てはモヤモヤが収まらず、その場を立ち去った。ユキは「ジェラシーね」と断じ、まゆにいろはが他の男と交際してもいいのかと言われた悟は、ようやく前へ進む決断をするが、「決まりね、戻りましょ。先手必勝 あの圭一とかいう人に取られる前に告白するの」「大丈夫、こわくない、こわくない!」と強引に話を進めようとするユキとまゆにはたじたじ。
- ニコの発案で、悟はニコガーデンのアニマル達の求愛行動を学ぶ事になるが、あまり役に立ちそうにない上に、悟がいろはを好きだと知ったメエメエが「悟くんはいつまでもわたくしと友達ですよね!!?これからもお話してくれますよね!!?」「悟くんがわたくしの話を聞いてくれな~い!!」と大騒ぎするメエメエに、ユキは腹を立てたりため息をついたり。
- ガオガオーンを浄化後、遂に意を決した悟はいろはに告白しようとする。興奮するまゆの傍らで、ユキはこむぎが空気を読まず何か言い出さないようにと、こむぎの口を手で塞いで告白を見守った。しかし結局、勇気が出なかった悟は「帰ろっか!」と無難な台詞しか言い出せず、ユキは頭を抱える。
- ところが、一世一代の告白は不発に終わった……と思いきや、メエメエが「もう驚かさないで下さいよ。いろは様に好きって告白するかと思ったじゃありませんか!!」と不発弾を大爆発させてしまう。一同は凍りつき、ユキも目元がシルエット化して完全にキレているご様子。果たして悟といろはは、そして地雷を踏んだメエメエはどうなる!?
■第36話
- メエメエの失言で一同が凍りつく中、状況がわかっていないこむぎは「悟、いろはの事好きなの?こむぎもね、いろはの事だ~い好き!」といろはに抱き着き、ユキは「好きにもいろいろあるの」と窘めるも「いろいろって?」と全然理解してもらえない。
- メエメエが今のは冗談と言い訳し、いろはもそれで済ませようとしたが、意を決した悟は「僕は君が好きだ」と告白。真っ赤になったいろははその場から逃げ出し、まゆは追いかけるも体力差は歴然で、ユキが「あれに追いつくのは無理」と止めようとしたところ、後ろからこむぎが二人をブチ抜いてゆくのだった。
- まゆと共に『フレンドリィ動物病院&サロン』の前で待っていると、ようやくいろはとこむぎが帰ってきた。「まゆちゃ~ん!話聞いて~!」とのいろはの懇願を、もちろんまゆは快諾するが、「こむぎもお話するワン!」と能天気で乙女心を解さないこむぎがいつも通りに首を突っ込もうとする。やむなくユキは「仕方ない…わたしが遊んであげる」と、珍しく自らこむぎの遊び相手を引き受けた。
- 飽きもせず何回もボール拾いを繰り返し、「ユキ、もう1回!」とせがむこむぎに、「え?…まだやるの?」とすっかり閉口。しかしいろはを呼びに行こうとするので、「わかったってば!別のやりましょ」と半ばヤケ気味でとことん遊びに付き合う。いろは達の話が佳境に入った頃には、疲れ果てて猫の姿に戻り、こむぎと折り重なってスヤスヤ。
- しかし翌朝、狼狽するいろはに悟が「昨日言った事は忘れて」と告げるところを目撃し、まゆと顔を見合わせる。煮え切らず、悟に何も返事できないいろはを見たユキは、放課後の掃除中、いろはに声を掛ける。「貴女らしくない。わたしとまゆが喧嘩した時言ったでしょ?」その喧嘩の際に『あなたの気持ち、あなたの声、伝えてあげて』といろはが励ましてくれたのを、ユキはちゃんと覚えていた。「悟は気持ちを伝えてきた。貴女の気持ちも悟に伝えたら?」背中を押すユキの言葉に、いろはは考え込んだ。
- ザクロが悟を気に入って攫い、トビのガオガオーンに乗って逃走。必死に取り返そうとするフレンディを援護すべく、ニャミーはワンダフルのプニプニバリアーの弾力を利用して、加速しながら追撃。リリアンとの連携でガオガオーンの行く手を阻んで失速させた間に、見事フレンディは悟を奪回した。
- 夕焼けの中、見つめ合う悟といろは。いよいよいい雰囲気に……と思いきや、お子ちゃまこむぎがまたも「あ!空が赤くなってきたよ!いろは!夕方のお散歩に…」と言い出した。空気を読んで、まゆと一緒に帰ろうとしていたユキは「またか…」とばかりに振り向いて、「散歩、付き合ってあげる」とまゆやニコと共にこむぎを引きずっていった。
- 今回は悟といろはのフォロー及びこむぎのお守り役に徹したユキだったが、まゆ以外の他人には徹底して無関心だった頃からすると、まるで別人のような気遣いを見せた。彼女も大きく成長しているのかもしれない。
■第37話
- まゆと共に出かける途中、初デートのため待ち合わせしている悟に出会う。程なくいろはも到着するが、二人はそれぞれ大福とこむぎを連れており、「デートって二人っきりであんな事やこんな事するもんでしょ!?」などとまゆは悶々。それをすかさず読み取ったユキは、「今日はわたしが遊んであげる」と前回に続いてこむぎの子守り役を引き受け、更にデートに割り込もうとしたメエメエには大福を押し付けて、まゆの希望通り悟といろは二人きりのデートに送り出した。
- 元々の目的地だったショッピングモールに連れてこられたこむぎは興味津々。その背後ではユキもまゆと一緒に帽子を試着しつつ、しっかり満面の笑顔になっている。いろはが着ていたようなひらひらのワンピースを着てはしゃぐこむぎを「いいんじゃない」と褒めるなど面倒見の良さも見せた。
- しかしフードコートでメロンソーダを飲んでいる最中、偶然にもショッピングモール内の水族館に向かういろはと悟が通りかかった。こむぎが気付いて騒ぎ出したら元も子もないので、「これメロンいっぱい入ってる?」などとメロンソーダに夢中のこむぎから、いろはと悟が見えないよう姿勢を変えてまゆと共に懸命のガード。前回に続いて今回も黒子役に徹した。
■第38話
- こむぎの前の飼い主が栗原という老人だと判明し、彼が入所する施設を皆で訪問する事に。いろはとお別れしなくてはならないかもと意気消沈しているこむぎを「どうしたの?あなたらしくないじゃない。いつもは所構わず走り回って、遊ぼう遊ぼうって迷惑な犬なのに」と、ぶっちゃけた本音でからかう。
- しかし「こむぎ、迷惑じゃないワン!」とむくれるこむぎを抱き上げて、力強く励ます。「一つ教えてあげる。こむぎといろはは強い絆で結ばれている。二人の絆がそう簡単に切れる筈は無い。わたしが言うんだから間違いないニャ」その声には優しさが満ちていた。確かに『迷惑な犬』には散々振り回されてはきたが、いまやユキもこむぎの友達であり、立派な理解者であった。
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