航空機の離発着を行える場所(飛行場)のうち、船に対する港のように、航空機に対して旅客乗降・貨物取扱、機体整備などを行うことのできる場所のことを指す。
日本の空港の特徴
日本は島国という特性ゆえに国土面積あたりの空港数が多いということが特筆される。滑走路やターミナルビルの数が少ないのも特徴である。
また、日本では戦後にかけて中小規模の空港が乱立したために、仁川国際空港(韓国)やドバイ国際空港(アラブ首長国連邦)のような乗り継ぎで大きな役割を果たす「巨大ハブ空港」の建設ができなかったという経緯がある。例えば成田国際空港は当初国際線専用のハブ空港になることを目指して作られたのだが、利便性の高い羽田空港が後に再国際化したことに伴ってデルタ航空など羽田に発着枠を移籍する航空会社が多く出てしまい、その後JALやANAでも成田は羽田に準ずる国際空港という扱いになった(ざっくりと言えば幹線は羽田、準幹線は成田となっている)ほか、近年では利便性の高い羽田に入れない格安航空会社の住処ともいえる状態になっている(ただし機体が大きすぎて羽田に入れないエアバスA380型機の運用場所になっていたり、羽田空港で万が一大事故が起きてしまった場合の緊急避難先としても機能できている)。
また「門限(カーフュー)」の問題も懸案事項である。成田空港(門限24時)・伊丹空港(門限21時)・福岡空港(門限22時)など住宅地の真ん中にあるような空港では深夜帯の離発着が概ね不可能となっており、そのような空港に向かう旅客機が門限に間に合わなかった場合、近隣の24時間空港にダイバート(目的地変更)させられるケースもしばしばある。
近年になってからは代替空港側のダイバートを受ける体制が整うようになり、伊丹の場合は関西空港へ(このダイバートは航空ファンから「島流し」と呼ばれる)、福岡の場合は北九州空港へダイバートすることが多くなった。
国内線に関しては、東京・羽田空港と大阪・伊丹空港の2空港を基軸に日本全国に路線が張り巡らされている。ただし羽田と伊丹は主に日本航空と全日本空輸の大手2社が使用しており、Peach Aviationなどの格安航空会社(LCC)に関しては上述の2空港より利便性で劣る成田空港・関西空港をメインに使用している。
国際線に関しては、海外からの入国の殆どが航空機を使ったものになる関係上、羽田・成田・関空のような大規模な空港に人が集中しやすく、欧米や中東のような長距離路線は主にこれらの空港からのみ離発着する。一方、地方空港は主に東アジアの国々からの人々を受け入れている。
地方ごとに見ていくと、東北地方や中四国・九州地方では各県に一つ以上は空港がある。一方、大都市圏としてまとまりのある関東地方・関西地方は一つ一つの空港が大きい代わりに数が少なく、空港のない府県も存在する。また、長崎・鹿児島・沖縄の離島などには小さな空港が作られていることが多い(ただし空港が乱立したために需要不足にあえぐ空港も出てきてしまっている)。
日本国内の空港の種類
内訳は以下の通り。
- 拠点空港: 28空港
- 会社管理空港: 3空港
- 国管理空港: 20空港
- 特定地方管理空港: 5空港
- 地方管理空港: 54空港
- (軍民)共用空港: 8空港
- その他の空港: 7空港
日本国内の空港の一覧
本項では、以下の通りに記号で示す。
- 拠点空港: ☆印
- 会社管理空港: ☆☆☆
- 国管理空港: ☆☆
- 特定地方管理空港: ☆
- 地方管理空港: ○印
- (軍民)共用空港: ◎印
- その他の空港: △印
利用客数上位10空港は太字で表記。
定期便運行無しの空港は斜字で表記。
北海道地方
北海道
- 新千歳空港(CTS)☆☆ ※1
- 丘珠空港(OKD)◎ ※2
- 稚内空港(WKJ)☆☆
- 利尻空港(RIS)○
- 釧路空港(KUH)☆☆
- 中標津空港(SHB)○
- 女満別空港(MMB)○
- 紋別空港(MBE)○
- 旭川空港(AKJ)☆
- 帯広空港(OBO)☆
- 函館空港(HKD)☆☆
- 奥尻空港(OIR)○
- 礼文空港(RBJ)○
東北地方
青森県
岩手県
秋田県
宮城県
山形県
福島県
関東地方
茨城県
千葉県
東京都
東京都(伊豆諸島)
中部地方
新潟県
長野県
静岡県
富山県
石川県
福井県
愛知県
近畿地方
大阪府
兵庫県
和歌山県
中国地方
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
四国地方
香川県
徳島県
愛媛県
高知県
九州地方
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
薩南地方
鹿児島県(薩南諸島)
沖縄地方
沖縄県
- 那覇空港(OKA)☆☆
- 久米島空港(UEO)○
- 北大東空港(KTD)○
- 南大東空港(MMD)○
- 宮古空港(MMY)○
- 下地島空港(SHI)○
- 多良間空港(TRA)○
- 新石垣空港(ISG)○
- 与那国空港(OGN)○
- 伊江島空港(IEJ)○
- 慶良間空港(KJP)○
- 粟国空港(AGJ)○
- 波照間空港(HTR)○
※1 航空自衛隊の千歳基地と隣接
※2 陸上自衛隊と共用
※4 航空自衛隊と共用
※5 航空自衛隊と共用
※6 航空自衛隊と共用
※8 海上自衛隊と共用
海外の主要空港
詳細は国際空港の記事を参照。
東アジア
東南アジア
- スワンナプーム国際空港(BKK)
- シンガポール・チャンギ国際空港(SIN)
南アジア
- インディラ・ガンディー国際空港(DEL)
中東
欧州
- ロンドン・ヒースロー空港(LHR)
- シャルル・ド・ゴール国際空港(CDG)
- フランクフルト空港(FRA)
- ヘルシンキ・ヴァンター空港(HEL)
- シェレメーチエヴォ国際空港(SVO)
南北アメリカ
- ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)
- ロサンゼルス国際空港(LAX)
- サンフランシスコ国際空港(SFO)
- ダラス・フォートワース国際空港(DFW)
オセアニア
表面制限
あれば便利な空港。しかし、便利である分、手に入れた時の代償は大きいものとなる。
空港の周辺には、滑走路からの距離によって建物を建てることができる高さの制限が科せられることになる。(中心部近くに空港があるために、高い建物が建てられない福岡市の例は有名)
そのため、1990年以降に開港した空港は海上や山間部に多い。
建築物の高さの制限については以下を参照。