「フフフ……闇は飢えている……」
「ありえない…」
CV:岩永哲哉
人物像
バトルシティ編におけるラスボス。
「墓守の儀礼」の想像を絶する苦痛と、心の傷によって生まれたマリクの闇人格。表人格の時と比べると髪はかなり逆立ち、感情の起伏が激しい。闇マリク本人をして「儀礼や身の上の苦痛から(表マリク)が作り出した自己破壊と憎悪の象徴」であり、「闇マリクを作られなければその精神の負担から表マリクは自らを死に追いやっていた」とのこと。
千年アイテムに封印されていた魂である闇遊戯や闇バクラと違い、本来の意味での二重人格である。
その誕生の経緯故、性格は残忍かつ極めて猟奇的である。そして、病的な程の破壊願望の持ち主であり、破壊こそが快楽であり、至福であるという歪んだ嗜好を兼ね備えている。その為、決闘においては対戦相手のライフポイントを0にする事よりも、相手に苦痛を与えつける事に喜びを感じるという、サディスティックな傾向にある。また、その性格の違いから、表人格のマリクが構築したデッキに甘さを感じ、デッキを大幅再編している。
彼は遊戯やその仲間の抹殺のみならず、現世に存在する全ての秩序と生命の完全なる破壊を望んでいる。また、闇に脅える表人格とは異なり、闇が大好きであるとの発言もしており、その言動の随所には狂気が垣間見える。その為、その精神・人格は「破綻」傾向にあると思われる。
原作ではそれほどでもないのだが、アニメではやたらと顔芸を披露する為、ネット等では「顔芸」の愛称で親しまれている。最近後輩ができたみたいだ。
表のマリクのことは「詰めが甘い」と評しているが、実際のところ斯く言う闇マリク自身も表人格を笑えた立場ではない。
自身の存在を封印してしまうリシドを抹殺するチャンスが三回もあったのだが、バクラに妨害された二度目はともかく、一度目は殺す直前で次の試合の選手としてコールされ、「今しばらく生かしておいてやる」とあっさり撤収。
アニメの乃亜編における三度目に至っては、遊戯たちはバトルシップを降りてしまい、残っているのは意識不明のリシドと千年タウクのないイシズのみ=邪魔者が誰もいないという絶好の機会にもかかわらず、おとなしく留守番。
当初は現実世界で様子見をしていたがその後、千年ロッドで海底要塞を破壊していき、要塞崩壊の要因を作っている。しかし、結果的にそれがきっかけで乃亜が遊戯たちの脱出の手助けにもなった。
退屈を持て余して暴れ回ったものの、バトルシップに帰ってからはやっぱり自室に引っこんでおり、全てが終わってから思い出したようにリシドを始末しようとして案の定邪魔が入るという何をしたかったのかさっぱりわからない行動を取り、結局最後までリシドを殺せなかった。
目先の楽しそうなイベントを優先し続けた、もしくは面白くなさそうなので食指が動かなかったと解釈する向きもあり、筋金入りの快楽主義者としての側面がより強く描かれて闇マリクというキャラクターの魅力が深まったとする評価も散見されるが、基本的には詰めが甘いにも程がある行動をネタにされることが多い。元々原作では間断なく続くトーナメントだったところに乃亜編が差し込まれた都合上、首尾よくリシドを仕留めさせるわけにもいかず、またマリクの性格上乃亜編に参加して共に巨悪を倒すというのも不自然なので仕方のない事ではあるのだが・・・
ラスボスの名に恥じない強さ
決闘者としての実力は高く、予選に勝ち上がった舞や、同じ闇の人格である闇獏良にも圧勝する。
準決勝の城之内戦では、最初は彼を見下していたが、闇のゲームによる精神の激痛にも屈しない精神的強さと、バトルシティでの予選で戦ってきた決闘者《デュエリスト》達との戦いの記憶を元に成長して強くなった彼の思わぬ攻めに追い込まれる。
その為、ラーを召喚して通常の決闘《デュエル》による勝利ではなく、闇のゲームによる精神的苦痛によるノックダウンを狙い、彼の精神を焼きはらったっと思いきや、それでも耐え切って彼が『鉄の騎士ギア・フリード』を召喚した所でついに倒れてしまい、ギリギリの勝利を掴んだ。(もし、決闘《デュエル》が継続していたら負けていた。ただし、直前のターンまで城之内のフィールドはがら空きであったため、死者蘇生によって「ラヴァ・ゴーレム」のような高ステータスモンスターを召喚すれば勝てる状況下であったにもかかわらず、闇マリクは城之内への精神的な嗜虐を優先して「ラーの翼神竜」を選択し、窮地に立たされている。)
決勝戦での闇遊戯戦では、互いのもうひとつの人格を敗北した瞬間に生贄に捧げられるという闇のゲームを発動。勝てば表のマリクが、負ければ遊戯が消滅してしまうという状況を作り出して闇遊戯を精神的にも追い詰めようとした。
デュエルの腕としても『死者蘇生』を中心に容赦なく墓地から『ラーの翼神竜』を何度も召喚しまくり、同じ神である『オシリスの天空竜』を瞬殺するなど、出鱈目な力を発揮する。
1ターンキルを狙うも、ラー対策として海馬から受け取った『デビルズ・サンクチュアリ』の効果で危うく自滅するところに『融合解除』で無理やり解除してライフを回復したが、すぐに『オベリスクの巨神兵』の一撃を受けてしまうハメとなるがそれにより原作効果の『メタル・リフレクト・スライム』によってオベリスクの巨神兵の3/4の能力を持たせ、『リバイバルスライム』との融合で無敵の壁である『神・スライム』を生み出して神相手に時間稼ぎを行ってみせた。
その後もレベル10の神である『ラー』を『死者蘇生』で何度も復活させるなどまさに神の猛攻を繰り返すような攻めをするが、最終的には遊戯の『ディメンション・マジック』による効果で特殊召喚された『ブラック・マジシャン』と『ブラック・マジシャン・ガール』の連携攻撃で自身と融合した『ラー』ごと破壊されてしまう。
最期
融合した『ラー』を倒されたことで表人格と入れ替わり、今度は自身が生贄にされてしまう。
「残りライフポイント1でも逆転する可能性はある」と表人格に遊戯を始末するように指示するも、当然のごとく拒絶され、表人格がサレンダーを宣告することによってデュエルに敗北。
自分が闇遊戯へ仕掛けた闇のゲームによって消滅する、という最期を遂げた。
使用デッキ
悪魔族と機械族を混合させたバーンデッキ(ロックバーン)を使用する。
構成されるカード拷問器具や処刑人、猟奇的な魔物といった闇マリクの精神を象徴するようなものが多く、ライフポイントや手札をじわじわと削るえげつない効果をもったモンスターが大半を占めており、ドSな彼にふさわしいデッキといえるだろう。
が、あくまでそれは切り札であるラーの翼神竜召喚までの時間稼ぎである。ラーの翼神竜を召喚したあとは戦法をワンターンキルへと切り替える。
また、「俺のデッキのテーマは不死!相手をブっ倒すまで、何度でも神がよみがえるように構築してある」との発言からラーの翼神竜召喚の要である死者蘇生を何回でも使えるようにしているようだ。事実、闇マリクは闇遊戯戦で5回程死者蘇生を使用している。
だが彼のデッキは神のカード無しでも十分強く、その場合はバーン系効果を中心に相手を攻めてライフを削ると言うドS戦術だけで勝利する事も可能である。
実はラーによるワン・ショット・キルはあくまで攻撃手段の一つであり、かわされることを前提に戦術が組まれている(ゆえに「何度でも」神が蘇る構築になっている)。
そのかわされかたも単に「ラーの攻撃が何らかの手段で防ぐor耐えられる」場合と「自分の死者蘇生を奪われることで墓地からの蘇生を封じられる」場合の双方を想定しており、さらにそれでも倒せない場合に備えて無敵のスライムを壁にして時間稼ぎをする戦術も混ぜるなどかなり用意周到で慎重なデッキ構築を行っている。
ロックバーンで削りつつ、ロックを突破しようとして隙を生んだ相手にラーの存在をちらつかせて牽制、チャンスが来たらラーで抹殺、という流れを想定していると思われる。
主力カード
「オレが受けたすべての苦痛は倍返しだ……」
バトルシティ本選の舞との決闘《デュエル》で使用。
墓地に送られるだけで手札から罠カードを発動させる事が出来る恐るべき効果を持つ。
攻撃名は『断砕処刑』(アニメ版では『裁きの剣』)。
「こいつの攻撃はえげつないぞ…」
バトルシティ本選の舞戦で初使用。闇マリクの拷問系カードの1枚であり、遊戯王シリーズにおいて初めて登場した戦闘では破壊されない効果を持つモンスター。3ターンの間無敵というテキスト通り、戦闘破壊されずダメージも通さず大概の除去が通じない。原作のルール上、無敵状態のこのカードの攻撃でモンスターを弱体化させていくことができ、装着したモンスターのリリースを封じる効果も持つ。
攻撃演出は相手モンスターの頭部を締め付けて拷問を行うというもので、闇のゲームでプレイヤーの頭に直接激痛を見舞うことが可能。一枚で攻撃を封じつつプレイヤーに恐怖と苦痛を与え続けることができ、マリクの嗜好を体現したようなモンスターである。『バイサー・ショック』との連携で相手のサレンダーを封印したり、複数体の同時攻撃で更なる苦痛を与えることもでき、デッキにはフルで投入されている。攻撃名は「万力処刑」。『バイサー・ショック』との同時攻撃は「処刑攻撃」。
「ハハハハハ! そのツラを見るとよほど大事なカードを奪われたようだな!」
バトルシティ準決勝の城之内戦で使用。戦闘破壊されると相手の墓地に埋葬され、毎ターン相手の手札を1枚墓地に送るハンデス効果を持つ。攻撃力2000だが『ロケット戦士』の効果で弱体化し、『漆黒の豹戦士 パンサーウォリアー』の攻撃で破壊され効果を発動。『棺桶売り』とのコンボでじわじわとダメージを与え、『邪神の大災害』(原作効果)での一撃必殺を狙うも、ハンデスが仇となり『人造人間-サイコ・ショッカー』の召喚に繋げられ、形勢を逆転されてしまう。
原作ではレベル4だが、アニメではOCG化の都合によりレベル5となり『埋葬されし生け贄』の効果で生け贄無しで召喚された。
バトルシティ準決勝の城之内戦で使用。
原作では『ギル・ガース』、アニメでは『ドリラゴ』を生け贄に捧げて召喚された。
自分のターンの毎に攻撃力を上げる効果を持っている。罠をセットしつつその効果を説明して城之内を追い詰めるが、『人造人間-サイコ・ショッカー』の効果により罠カードを破壊され、瞬殺されてしまう。アニメではその効果が発動されて攻撃力が2200まで上がる。
「貴様への罰ゲームはこのカードで決定したな…」
バトルシティ準決勝の城之内戦で使用。攻撃力3000・守備力2500と青眼の白龍に並び最高峰の基礎スペックを持つモンスター。相手モンスター二体を生贄に相手フィールドに生贄召喚することができ、毎ターンコントローラーにダメージを与える強力な効果を持っている。相手の厄介なモンスターを処理しつつ攻撃をロックすることで継続的にダメージを与える戦術が可能である。
攻撃名は「ゴーレム・ボルケーノ」または「城之内ファイヤー」。
バトル・シティ決勝戦での闇遊戯戦で使用。
罠カード。戦闘ダメージでライフが半分以下になった場合に発動でき、戦闘ダメージを与えたモンスターの3/4の守備力を持つ『メタル・スライム・トークン』を特殊召喚する。
『オベリスクの巨神兵』の直接攻撃のダメージをトリガーに発動され、守備力3000のトークンを特殊召喚。攻撃力4000のオベリスクの前にはこけおどしに過ぎないと思われたが…
バトル・シティ決勝戦での闇遊戯戦で使用。
表マリクも使用していたが、彼とは全く違う使い方を披露した。
『メタル・リフレクト・スライム』が発動された返しのターンで召喚され、魔法カード『融合』によりスライムトークンと融合した『神(ゴッド)・スライム』と化す。
アニメオリジナルで舞戦でも召喚された。
「攻略不能たる壁――不死の神・スライムだ!!」
魔法カード『融合』によりスライムトークンと融合した、鉄壁の守備力に不死の再生能力を持つ融合モンスター。『ディフェンド・スライム』との併用によって強固な壁となり、オベリスクの攻撃をも無力化した。
バトル・シティ決勝戦での闇遊戯戦で使用。自分のスタンバイフェイズ毎に相手にダメージを与える効果を持つ。効果名は「地獄送りのボーガン」。
バトル・シティ決勝戦での闇遊戯戦で使用。ラーの翼神竜の効果を使うためのライフポイント回復のために召喚され、その回復したライフポイントをコストにラーはオベリスクの巨神兵を破壊するべく効果を発動。その後はラーの効果で生贄に捧げられ、ラーの攻撃力の一部となった。しかし、上級モンスターの召喚に生贄が必要なバトルシティのルールにおいて生贄が不要な星4の低級モンスターでありながら攻撃力が1900。召喚時にデメリット無しでライフポイントを1000回復するという作中の活躍の地味さの割に非常に高いポテンシャルを持っているカードであった。カード化の際には破壊されたときに2000のダメージを受けるというデメリットがついてしまったが。
「我が勝利のために起動せよ!」
まともに操るにはテキストスペースに記された『古代神官文字(ヒエラティック・テキスト)』を正確に唱える必要があり、それができなければ効果の発動はおろか起動すらままならない。
通常召喚時・特殊召喚時ともに生け贄に捧げたモンスターの攻守合計をそのまま得る効果を持つが、原作中で生贄召喚を行った場面があるのはピーピング効果でラーを奪い、そのまま召喚した舞及びコピーカードを使用したリシドのみ。闇マリク自身は『死者蘇生』による特殊召喚をメインに使用している。(アニメDMではバクラと闇遊戯によって生け贄召喚された。)
その真価は墓地からの特殊召喚によって発揮される。