概要
1881年にアメリカ合衆国のアルフレッド・サウスウィックという歯科医師が感電死をヒントに考案。
その後、直流電流を推していたトーマス・エジソンが交流電流のイメージ悪化の為に部下のハロルド・P・ブラウンに開発させ、1889年にニューヨーク州で採用されたが、実際に特許取得をしたのはエドウィン・デーヴィスという死刑執行人である。
だが死刑囚の絶命まで時間がかかりやすいことから、次々と薬物注射刑に切り替わっていき、2008年までに廃止された。
誤解されているが、日本でも電気椅子による死刑が採用されている様で、実は一度も採用されていない。
そうなったのは、ザ・ドリフターズの死刑を題材にしたコントにおいて、一般的な絞首刑ではなく、電気椅子を使った刑が利用されたのが原因とされている。
また、バラエティ番組の罰ゲーム等にて、痺れを感じる程度の微弱な電流が流れる電気椅子も用意されており、それも日本で電気椅子が死刑に採用されているという誤解に拍車が掛かったと言える。
更に、アニメ『ルパン三世』(1期)の第4話である「脱獄のチャンスは一度」でも、主人公・ルパン三世に用意された死刑の方法が電気椅子となっていた。
歴史
19世紀以降、人権意識の高まりとともに、人間の命を奪う死刑からも残酷さを取り払う動きがみられるようになった。革命期のフランスでは、身分や罪を問わずギロチンで苦しまず処刑する動きもあり、各国で凄惨な処刑方法が姿を消していった(フランスの場合、より効率的に人命を奪う側面もあったと思うが)。
一方の米国はというと、南北戦争をはじめとする内政の動乱により、そのようなことを考える余裕はなかった。絞首刑や銃殺刑を盛んに採用し、多くの受刑者を苦しませた。しかし上述した背景から、1889年には交流による電気椅子が正式な処刑方法として採用された。
より人道的な処刑方法として採用されたはずの電気椅子だったが、実際にはうまくいかず。電気椅子を用いた初の処刑では、2,000ボルトという強い電気により、受刑者の肉が焼ける臭いが刑場にたちこめたという。その後改良が施されるも、薬物注射との選択制となってからというものの、電気椅子はたちまち活躍の座を奪われていった。
そんな電気椅子だが、短い歴史の中でも多くの著名な犯罪者を死に至らしめている。米国史上最悪の殺人鬼とされるAlbert Fishは、「こんなにワクワクすることはない」と言い残し、電気椅子に座ったとされる。また、連続殺人鬼を意味するシリアルキラーを象徴するTed Bundyも、自身の無罪を主張しながらも、最終的には電気椅子で処刑された。ほかにも、史上初の大西洋単独無着陸飛行を成功させたリンドバーグの愛息を殺害したとされるRichard Hauptmannも、この器具により死ぬこととなった。
長きにわたる死刑の歴史の中では、活躍の機会が非常に限られた器具である。しかし、人道的な処刑方法を謳いながら、数々の犯罪者を凄惨な情景とともに屠ってきたその衝撃は、今後も語り継がれていくことだろう。
関連タグ
美少女を嫌いなこれだけの理由:電気椅子の名を冠する美少女が登場する。
ヘクター・ドイル(バキシリーズ最凶死刑囚編):電気椅子で死刑執行されるも生き残る。
シビレイジン(仮面ライダー(スカイライダー)):ズバリ「電気椅子」という技を使う。空気椅子の状態で相手を拘束し感電させるという、本物さながらの処刑技。
イスギロチン(仮面ライダースーパー1):電気椅子に変形するジンドグマ怪人。ギロチンの要素は一切無い。
コシカケマン(ロボット刑事):電気椅子に変形する殺人ロボット。
チェアシャドー(烈車戦隊トッキュウジャー):電気椅子に変形するシャドー怪人。