概要
人、あるいは貨物を運ぶ目的で馬に引かせる軽車両のこと。騎乗が一般的になるより前の時代に誕生したとみられ、馬の利用法としては最古参である。
ユーラシア大陸で古代には戦車(タンクではない方。チャリオット)となり、機動力の高さから最強兵器として恐れられたが、コストの高さと小回りの利かなさが災いして、重装歩兵や弓騎兵に立場を奪われていった。
その後も、車体が改良される前の時代には主に荷物用で、身分の高い者や旅行者は馬に乗っていたが、乗り心地が良くなると旅客用途が広まった。もちろん馬に比べると路面を荒らすため、道路沿いの住民は反発したが、イギリスでは単純に禁止したりせずに、有料道路制度を設けて対処した。
20世紀の中ごろまでは世界中で広く見られたが、自動車の台頭とともに衰退した。
日本では、道路事情が悪い(湿地や山岳が多く、河川交通が優先され、架橋技術も低かった)ためか古代から一貫して導入されず、牛車は貴族に普及したものの馬車は普及しなかった。
また道路を整備する為政者や地域住民にも「前例がない」と拒絶されたため、幕末になってようやく導入されたが、それでも険しい山道では馬車を使えない所が多かった。狭い街路での取り回しの問題や、馬の飼育費用や馬糞の問題もあり、市街地では人力車や大八車もよく使われた。
馬車道の整備も行われたが、すぐ鉄道の時代が来てしまったために定着しなかった。人を載せる馬車は、鉄道が普及するまでの明治時代の短い間のみよく見られたが、荷車としての馬車は、昭和30年代にトラックに置き換えられるまで、農村でよく使われていた。
現代では主に、観光用や儀礼用などの雰囲気を重視する場面、あるいは馬の飼育コストが低い地域で使われる。
なお、馬車とはメイン画像のようなものを指すのであり、断じて下の画像のようなものではない。
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上述のような「馬車」を生みだした企画。PFの馬は化け物か。
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旅路は揺られて。馬車のイラスト特集 2018.12.14