大日本帝国海軍の軽巡洋艦。名前の由来は北海道の石狩川の支流で、夕張を水源とする夕張川。
1923年7月に1917年度計画によって佐世保工廠にて竣工。
当時の不況の中で予算の乏しかった海軍は、球磨型をはじめとする5500トン型軽巡洋艦と同等の戦闘力をできるだけ建造費の安い小型の艦に詰め込むことを目標とした。
そこで造船基本設計主任だった平賀譲造船大佐が提案したのが5500トン級の軽巡と同じ火力を3000トン級の船体に載っけようというあまりにも画期的な物であった。
さすがに無理があるのではと反対した海軍だったが、平賀の頑固な主張・説得に折れ、長良型4隻の内1隻分の予算を充てて平賀の好きに試作させることとなった。
3000t級の軽巡でありながら5500t級軽巡と同等の武装（4連装魚雷、主砲6門など）を搭載する事を要求された結果、船体における機関部・煙突・武装等の配置の徹底的かつ独創的な効率化・最適化を追求した設計（単装砲の上に連装砲を乗せたり、武器を全て中心線上に配置したりなど）になっており、装甲には新素材の甲鈑を船体構造に組み込む等、その巧みな設計は竣工当時世界中の海軍関係者の注目を集めジェーン海軍名鑑にも数年間乗り続けたほどの野心的な設計だった。この設計が認められ、後の帝国海軍の艦船（古鷹型や妙高型）の設計の原型ともなった革新的な艦である。
ちなみに艦尾には日本海軍の秘密兵器「連繋機雷」の投下装置が付いていたらしいのだが、結局連繋機雷は実用の機会のないままに終わり、結局撤去されている。
ただし、排水量からすると過剰な兵装は速居住性の悪化、傾斜時の復元性の低下、防御性能の低下などの問題をもたらし、近代化改装に必要な拡張性能も限定され、他軽巡洋艦では搭載できた水上機の装備が搭載できないという弊害を産んだ。
特に防御性能は、装甲された場所に関しては他の軽巡とほぼ同レベルの性能を有していたものの、その装甲面積は天龍以下。さらに魚雷や浸水対策もほとんどなされておらず、結果として機関室への被雷たった一発で沈んでしまっている。
また速力は今までの重油石炭混合型の燃焼機関から、軽量で効率のいい重油型の新型機関部を採用したお陰で5500トン級の川内型より速い。ただし試作品であったためか燃費は非常に劣悪で、肝心の航続距離は旧型である天龍型の2/3しかなく、軽巡でありながら旧式駆逐艦より航続力がない艦になってしまった。つまり水雷戦隊（駆逐艦隊）の指揮艦（軽巡洋艦）が配下艦艇と同行できないという事態になってしまったのだ。
そのあまりにも壊滅的な燃費だったせいか、夕張の後に作られた5500t級の川内型では逆に重油石炭混焼缶が逆に増えることになった。
